路線データ

※新発田〜村上間のうち中条・坂町・村上は一部対応駅。その他は通過利用以外不可。

概要

新津駅(新潟県新潟市秋葉区)と秋田駅(秋田県秋田市)を結ぶ本線と、山形県酒田市の酒田駅と酒田港駅を結ぶ支線(酒田港線)で構成されている。本線は第一種鉄道事業者が東日本旅客鉄道(JR東日本)、第二種鉄道事業者が日本貨物鉄道(JR貨物)であり、酒田港線は貨物線の為全線JR貨物が第一種鉄道事業者である。

なお本線は酒田駅〜本楯駅間(山形県酒田市保岡屋敷付近)にJR東日本の支社境があり、新津方は新潟支社、秋田方は秋田支社の管轄である。またJR貨物は本線の新潟県・山形県区間及び酒田港線は関東支社、秋田県区間は東北支社の管轄である。

接続する信越本線・白新線・奥羽本線等と共に日本海縦貫線を構成する路線の一つである。その為貨物列車が各地から運行される他、かつては寝台特急も多数設定されていた。

新津駅〜村上駅間は越後平野を走行する為線形が非常に良く、新幹線並の線形を誇る。

本線区間は全線電化されているが、村上駅〜間島駅間(新潟県村上市瀬波上町1丁目付近)にデッドセクションが設けられており、新津方が直流、秋田方が交流電化されている。後述するがデッドセクションのある区間は新潟・山形県境区間であり需要が極めて少ない為、村上駅〜鶴岡駅〜酒田駅間の普通列車は気動車で運行されている。また同区間は輸送密度2000人未満の線区の中でも赤字額が非常に大きい事がJR東日本から公表されている。

新津駅〜村上駅間は大都市近郊区間の新潟近郊区間及び交通系ICカード乗車券「Suica」新潟エリアに指定されている。但し新発田駅〜村上駅間のうち中条駅・坂町駅・村上駅は乗車券機能及びチャージのみで使用可能な一部対応駅であり、その他の駅では通過利用のみで使用できない。

またSuica秋田エリアが2023年(令和5年)5月27日に新設され、新屋駅〜秋田駅間で使用可能になった。

日本海沿岸を走行する為、強風や大雪の影響を非常に受けやすくしばしば運休する。なお2005年(平成17年)12月25日には強風が原因でJR東日本発足以降最悪の事故となった「羽越本線列車脱線事故」が発生している。

沿革

三県ごとに分かれて開業している。最初の開業区間は新潟県区間の新津駅〜新発田駅間。信越線の支線として1912年(大正元年)9月2日に開通した。その後1914年(大正3年)6月1日に信越線から独立し村上線として新発田駅〜中条駅間が延伸。同年11月1日には村上駅まで延伸した。

山形県区間は1914年12月24日に酒田線(現・陸羽西線)の余目駅〜酒田駅間の延伸を始まりとする。1915年(大正4年)4月25日には酒田駅〜最上川駅(現・酒田港駅)間の貨物支線が開業。1917年(大正6年)11月1日に陸羽西線に改称された。

その後も山形県内及び秋田県で延伸を続け、最終的に鼠ケ関駅〜羽後岩谷駅間の路線となった。

秋田県区間は1920年(大正9年)2月22日に秋田駅〜道川駅間で羽越北線として開業した。同年7月30日には道川駅〜羽後亀田駅間が延伸した。

1924年(大正13年)4月20日には羽後亀田駅〜羽後岩谷駅間が延伸され、陸羽西線鼠ケ関駅〜羽後岩谷駅間を編入し羽越線に改称された。同年7月31日には村上駅〜鼠ケ関駅間が延伸され全線開通。同時に村上線を羽越線に編入した。1925年(大正14年)11月20日には支線の赤谷線(廃止)が開通した事で羽越本線に改称された。

以降は日本海縦貫線として機能し続けている。

1987年(昭和62年)4月1日に国鉄分割民営化が行われ、JR東日本が本線区間の第一種鉄道事業者、JR貨物が本線区間の第二種鉄道事業者及び酒田港線の第一種鉄道事業者として継承した。

2004年(平成16年)11月27日には大都市近郊区間として新潟近郊区間が新設され、新津駅〜新発田駅間が指定された。

2006年(平成18年)1月21日からは「Suica」新潟エリア新設と共に新津駅・新発田駅で利用可能となった。途中駅では使用できなかったが、2008年(平成20年)3月15日から同区間内の各駅でも利用可能になった。

2014年(平成26年)4月1日には新潟近郊区間及びSuica新潟エリアが新発田駅〜村上駅で拡大した。

2023年5月27日にはSuica秋田エリアが新設され、新屋駅〜秋田駅間で利用可能になった。

運行形態

新潟県最大のターミナルである新潟駅を起点としていない関係で全線を通して運行する旅客列車は存在せず、歴史的にも全線を通して運行したのは新潟駅を経由しなかった一部の寝台列車や、一時期の特急「白鳥」くらいであった。

広域輸送は後述の特急「いなほ」が担当し、普通列車は地域輸送に特化している。なお特急及び臨時列車を除く殆どの列車でワンマン運転を行っている。

特急

詳細は「いなほ」も参照。

現在は特急「いなほ」が白新線新潟駅〜酒田駅・秋田駅間で運行されている。現在は定期列車は酒田駅発着が5往復、秋田駅発着が2往復の計7往復運行され、繁忙期には臨時列車が設定される。

快速

定期列車

定期列車では現在は早朝に下りの新潟発村上行1本のみ運行されている。これはかつて新宿発の夜行快速「ムーンライトえちご」が村上駅まで運行されていた名残で、同列車が2004年3月13日ダイヤ改正で新潟駅発着に短縮された時から運行されている。

この他に新潟駅〜米坂線米沢駅間の快速「べにばな」が1往復存在するが、2022年(令和4年)8月3日の豪雨で米坂線が被災した為運行を休止し、8月11日から無名の快速が代替列車として新潟駅〜坂町駅間で運行されていた。しかし2023年3月18日ダイヤ改正でこの快速が廃止された為、「べにばな」としては廃止されていないものの全区間で運行を休止している。

かつてはこの他に2004年3月13日から2021年(令和3年)3月12日までホームライナーとして「らくらくトレイン村上」が運行されていた。同列車は夜間に下り1本運行され、村上駅到着後は折り返し快速新潟行として運行された。上り快速は「MLえちご」の区間短縮時に同列車のスジを利用した送り込み運用として設定され、廃止後も新潟車両センターへの入庫の為引き続き運行されていた。

・停車駅

新潟　→ 豊栄　→ 新発田　→ 中条　→ 坂町　→ 村上

海里

詳細は当該項目も参照。

485系を改造したジョイフルトレイン「きらきらうえつ」の老朽化に伴い、後継列車としてHB-E300系ハイブリッド気動車を使用して新潟駅〜酒田駅(延長運転時は秋田駅)間で主に週末に運行されている。「通常ダイヤ」と「冬ダイヤ」が存在する。

普通

新発田駅・村上駅・酒田駅で運行系統が分割されている。一部列車は村上駅を跨いで運行されるが、前述の交直セクションが存在する為全て気動車で運行される。これはJR東日本新潟支社が交直流近郊型電車(一般形電車)を保有していないため。かつてはEF81形電気機関車牽引の客車列車も設定されていた。

新津駅〜新発田駅

直流電化されているがターミナルである新潟駅から外れている為、E129系電車で運行される1往復を除き気動車で運行される。

概ね1〜3時間に1本程度で、同区間内及び送り込みも兼ねて坂町駅・鼠ケ関駅・酒田駅間で運行されている。なお坂町駅発着の列車は本来は米坂線直通列車だが、前述の理由で米坂線を走行できない為発着駅が変更されている。

また平日・土曜日朝に1往復新津駅〜水原駅間に区間列車が設定されている。

新発田駅〜村上駅

この区間の列車は白新線と一体のダイヤが組まれている。新津駅発着の列車以外は全て白新線経由で新潟駅に直通し、一部は信越本線長岡駅・越後線吉田駅まで直通する。

概ね毎時1本程度の運行間隔で、新津駅発着の列車は気動車、白新線直通列車は電車で運行される。なお前述の通り電車は全てE129系直流電車の為、村上駅から先の交流区間に直通する列車とかつての米坂線直通のスジだった列車は気動車で運行される。

村上駅〜酒田駅

交直セクションを跨ぎ、かつ県境区間で羽越本線内では需要が最も少ない為、定期列車は鶴岡駅〜酒田駅間の1往復を除き全てGV-E400系電気式気動車で運行される。但し鶴岡駅〜酒田駅間については臨時列車は701系電車を使用する事がある。

運行間隔は村上駅〜鶴岡駅間は概ね3時間に1本、あつみ温泉駅〜余目駅間は2時間に1本、余目駅〜酒田駅間は1〜2時間に1本程度である。

同区間内の運用の他出入庫を兼ねて新津駅発着の列車が設定されている。また鼠ケ関駅・あつみ温泉駅・鶴岡駅〜酒田駅の区間列車も存在し、余目駅〜酒田駅間は陸羽西線の列車が直通する。但し陸羽西線は2024年(令和6年)まで国道47号のトンネル工事の為全線運休しバス代行を行っている。

酒田駅〜秋田駅

全て電車で運行される。酒田駅を跨ぐ列車は設定されていない。

区間内を走破する列車の他に羽後本荘駅〜秋田駅間の列車が設定され、酒田駅〜羽後本荘駅間は1〜3時間に1本、羽後本荘駅〜秋田駅間は1〜2時間に1本程度運行される。この他に一部時間帯に酒田発吹浦行、新屋駅〜秋田駅間の区間列車が設定されている。

また早朝の下り新屋発大館行と朝の上り東能代発酒田行・八郎潟発新屋行(平日のみ)は奥羽本線直通列車である。

なお女鹿駅・折渡駅・桂根駅は一部の普通列車が通過する。

貨物

日本海縦貫線の一部として日本各地からの貨物列車が多数経由し、一部が酒田港線酒田港駅を経由する。

駅一覧

本線(新津駅〜酒田駅)

●：停車　○：「海里」のみ停車　ﾚ：通過

※快速「べにばな」は運休中の為省略

✳︎：バス代行中

本線(酒田駅〜秋田駅)

●：停車(「海里」は延長運転時のみ停車)　○：一部通過　ﾚ：通過

✳︎：バス代行中

支線(酒田港線)

廃止駅・信号場

• 加治川仮乗降場

新発田駅〜加治駅間。1962年(昭和37年)8月1日廃止。

• 新川信号場

中条駅〜平木田駅間。1966年(昭和41年)9月20日廃止。

• 矢引信号場

三瀬駅〜羽前水沢駅間。1967年(昭和42年)10月17日廃止。

現在の使用車両

JR東日本所属

電車

• E653系1000番台(U編成)・1100番台(H編成)

新潟車両センター所属の交直流両用特急形電車。

U編成は7両、H編成は4両。

いずれも特急「いなほ」で運用されるが、H編成は酒田駅発着の一部列車のみ。かつて運行された「らくらくトレイン村上」及び折り返しの快速列車はU編成が担当した。

• E129系0番台(B編成)・100番台(A編成)

新潟車両センター所属の直流一般形電車。A編成は2両、B編成は4両。

直流区間で気動車運用を除く快速・普通列車として運用されている。

• 701系0番台・100番台(N編成)

秋田総合車両センター南秋田センター所属の交流一般形電車。

鶴岡駅〜秋田駅間の普通列車で運用されている。

気動車

• HB-E300系「海里」

新潟車両センター所属のハイブリッド気動車。

同名の臨時快速列車で運用されている。

• キハ110系100番台・200番台

新潟車両センター新津派出所(100・200番台)・仙台車両センター小牛田派出所(200番台)所属の気動車。

新津車は米坂線直通(米坂線区間は運休)及び間合運用として新津駅〜坂町駅間で運用されている。運行休止前の快速「べにばな」は当形式で運行されていた。なお2022年3月12日までは坂町駅〜鼠ケ関駅間、2019年(令和元年)12月までは鼠ケ関駅〜酒田駅間でも運用されていた。

小牛田車は陸羽西線の車両で専用塗装が為されている。

同線の直通列車として余目駅〜酒田駅間で運用されているが、国道工事による運休期間に伴い羽越本線・陸羽西線での運用も中止している。

• GV-E400系

新潟車両センター新津派出所所属の電気式気動車。

現在の運用区間は新津駅〜酒田駅間。交直セクションを跨ぐ定期普通列車は全てこの車両で運行されている。

この他に米坂線直通列車でも運用されていたが、快速「べにばな」では使用されていなかった。

電気機関車

• ED75形

秋田総合車両センター南秋田センター所属の交流電気機関車。

酒田駅以北の交流区間で配給列車で運用される。かつてはJR貨物に貸し出され貨物列車を牽引していた事もあった。

• EF81形

新潟車両センター所属の交直流両用電気機関車。秋田総合車両センターへの入出場や配給列車で運用されている。

長岡車両センター廃止までは同センターに所属し、かつてはJR貨物に貸し出され貨物列車の牽引を行ったり、民営化直後は前述の運用の他に客車普通列車を牽引していた。

また寝台特急が運行されていた頃は、青森車両センター(現・盛岡車両センター青森派出所)所属車が寝台特急「鳥海」→「あけぼの」「出羽」を牽引していた。

JR貨物所属

• EF510形0番台・500番台

富山機関区所属の交直流両用電気機関車。現在本線を走行する貨物列車は全て本形式による牽引である。

500番台は元JR東日本所属車で、寝台特急「北斗星」「カシオペア牽引機。

• DD200形

愛知機関区所属のディーゼル機関車。

酒田港線で使用されており酒田港駅に常駐する。

過去の使用車両

国鉄民営化後の車両のみ記載。

JR東日本所属

電車

• 485系

上沼垂電車区→新潟車両センター所属の交直流両用特急形電車。

ボンネットの0番台やLED幕の3000番台等多数の形式が運用されていた。

使用列車は特急「白鳥」「いなほ」、快速「ムーンライトえちご」「らくらくトレイン村上」及び間合の快速。

なお3000番台R24編成は後述する羽越本線列車脱線事故の当該車両であり、事故後廃車され欠番となった。

• 485系700番台「きらきらうえつ」

新潟車両センター所属のジョイフルトレイン。同名の臨時快速列車として運行されたが、老朽化の為「海里」に役目を譲り引退した。

• 583系

秋田車両センター(現・秋田総合車両センター南秋田センター)所属の交直流両用特急形電車。

臨時寝台特急「あけぼの81・82号」で運用された。

• 165系

上沼垂運転区(現・新潟車両センター)所属の直流急行形電車。

快速「ムーンライト」→「ムーンライトえちご」及び間合運用の快速、直流区間の普通列車で使用された。

• 115系(L・N・S編成)

新潟車両センター所属の直流近郊形電車。

E129系登場までの新潟地区の主力車両で、直流区間の普通列車で運用されていた。

• E127系0番台(V編成)

新潟車両センター所属の直流電車。115系補完の為直流区間の快速・普通列車で運用されたが、2015年(平成27年)3月14日ダイヤ改正でE129系に置き換えられ運用を外れた。

気動車

• キハ58系(キハ58形)・キハ28形)

新津運輸区(現・新潟車両センター新津派出所)・小牛田運輸区(現・仙台車両センター小牛田派出所)・南秋田運転所(現・秋田総合車両センター南秋田センター)所属の急行形気動車。

国鉄民営化以降は新津車は主に米坂線直通列車として急行→快速「べにばな」や普通列車として、小牛田車は急行→快速「月山」や陸羽西線の列車として、秋田車は秋田地区の普通列車として運用された。

• キハ40系(キハ40形)・キハ47形・キハ48形)

新津運輸区・小牛田運輸区所属の気動車。

新津車は新津駅〜酒田駅間及び米坂線直通列車で、小牛田車(キハ40形のみ)は陸羽西線の列車として余目駅〜酒田駅間で運用された。

前者はGV-E400系、後者はキハ110系200番台に置き換えられ運用を離脱した。

• キハ52形

新津運輸区所属の気動車。主に米坂線直通列車等で使用された。

• キハE120形

新津運輸区所属の気動車。初めは新津駅〜酒田駅間及び快速「べにばな」を含む米坂線直通列車で運用されていたが、新潟駅の保安装置更新に伴い同駅への乗り入れが不可となって以降は新津駅〜新発田駅間及び米坂線直通の普通列車でのみ運用された。

郡山車両センター会津若松派出所に転属した為運用を離脱。

客車

• 24系(24形・25形)

青森車両センター所属の客車(寝台車)。

「鳥海」→「あけぼの」(25形は「あけぼの」のみ)「出羽」「日本海で運用された。

• 50系

南秋田運転所所属の客車。普通列車で使用されていた。

JR西日本所属

電車

• 485系

京都総合運転所(現・吹田総合車両所京都支所)所属の交直流両用特急形電車。

特急「白鳥」で運用された。

• 583系

京都総合運転所所属の交直流両用特急形電車。急行「きたぐに」用の車両。

臨時急行「あおもり」として運用された。

電気機関車

• EF81形

敦賀地域鉄道部(廃止)所属の交直流両用電気機関車。

寝台特急「トワイライトエクスプレス」「日本海」牽引機。

客車

• 24系(24形・25形)

宮原総合運転所→網干総合車両所宮原支社)所属の客車。

寝台特急「トワイライトエクスプレス」及び2往復時代の「日本海」のうち1・4号を担当した。

JR貨物所属

• EF81形

富山機関区所属の交直流両用電気機関車。

2016年(平成28年)3月26日ダイヤ改正で定期運用から離脱。

• DE10形1500番台・3500番台

東新潟機関区所属のディーゼル機関車。

酒田港駅に常駐し酒田港線の入換で使用されていたが、2021年3月13日ダイヤ改正で愛知機関区のDD200形に置き換えられ運用を離脱した。

事故

阿賀野川橋梁脱線事故

1961年(昭和36年)8月29日発生。

新津駅〜京ケ瀬信号場(現・京ケ瀬駅)間の中新田踏切(廃止)で下り839レ普通新津発村上行がトレーラーと衝突。そのまま阿賀野川橋梁に差し掛かり、牽引機のC57 106蒸気機関車がトラス橋4連のうち新津方の1連及びトレーラーと共に転落。機関士2名が死亡し、乗員乗客12名が負傷した。

1974年(昭和49年)貨物列車脱線事故

1974年7月10日発生。

西目駅〜羽後本荘駅間の船岡トンネル入口で、上り8090レ臨時特急貨物八戸貨物発百済(現・百済貨物ターミナル駅)行が、台風により崩落した土砂に乗り上げ脱線。牽引機はED75形736・732の重連だったが脱線後もトンネル壁面に衝突しながら50mほど暴走し、機関士が機関車とトンネルに挟まれ死亡。牽引していたコンテナ車は4両が脱線した。

事故後ED75-736は現場で解体され、ED75-732は修理されて復帰し後年ED79-110に改造された。

JR羽越本線列車脱線事故

2005年12月25日発生。JR東日本発足以降最悪の事故とされる。

砂越駅〜北余目駅間の第2最上川橋梁付近で、485系3000番台上り2014M特急「いなほ14号」秋田発新潟行が橋梁通過直後の直線区間で脱線し、盛土下の養豚場に転落。乗客5人が死亡し乗客乗員33人が負傷した。

事故発生当日の山形県庄内地方は局地的に大荒れの天気だったが、最上川橋梁付近の風速計は当時の基準では異常を検知していなかった。その為突発的に発生した竜巻等により脱線したと考えられている。

なお乗務員は運転士、車掌共に経験の浅い若年だったが適切な処置を取り、特に運転士は安全の為に自己の判断で規定以上の減速処置を取るなど安全に配慮した運転をおこなった為刑事責任を問われなかった。またベテラン運転士がインタビューで「対処のしようがない」と答えており、航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)も後日「予見する事は不可能だった」と結論を出す等、乗務員に過失が無い事は誰の目にも明らかだった。

風の息づかい

にもかかわらず毎日新聞は事故発災翌々日に社説にて「(前略) 突風とは言いながら、風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはずだ。(後略)」という非科学的な論理でJR東日本及び乗務員を非難した。

当然毎日新聞への非難が殺到し、同社は一応謝罪文を掲載するものの自社の擁護する記事を出し続け、結果的に大炎上する事となった。

以後インターネット上では毎日新聞によるトンデモ理論が発表される度に「風の息づかい」が登場する事となる。

なおこのような根拠の無い鉄道バッシングが起きた背景には、事故発生同年の3月2日には高知県宿毛市の土佐くろしお鉄道宿毛線宿毛駅で特急「南風17号」の衝突事故、4月25日には兵庫県尼崎市でJR史上最悪のJR福知山線脱線事故と大規模な事故が立て続けに発生していた為、鉄道に対する信頼が大きく失墜していた事が挙げられる。

(同年中はほんの少しのオーバーランでも大々的に取り上げられる程世間が過敏になっていた)

外部リンク

• 羽越本線 - Wikipedia
• 羽越本線 - ニコニコ大百科
• 羽越本線 - アニヲタWiki