概要
一般的には「SIT」（エスアイティーまたはシット）の名で知られる。
全国都道府県警察の刑事部に設置されており、ハイジャックや人質立てこもり事件に対応する部署である。人員は刑事部の捜査員で固められているが、人質救出作戦を行う特殊部隊としての側面も併せ持っている。このためSATや警備部経験者の捜査員も少なくない。
地方では捜査員が1名だけだったり、他の部署と仕事を兼務している場合もあり、立てこもり事件では警備部から人員の増援を受ける場合もある。
本格的な警察特殊部隊のSATが犯人の制圧を主目的としているのに対し、SITは犯人と説得交渉をし、逮捕することを主目的とする。
また、SITは元々事件の捜査が担当の刑事部の部署なので、戦技ではSAT、捜査力ではSITが優れているとも言われており、SITが対応できない事案にはSATが対応するとされる。
なお、警察庁では本記事タイトルと同じ特殊事件捜査係と呼称しているが、実際には特殊犯捜査係や特殊犯捜査班など、都道府県警ごとに組織名が異なる。略称も「SIT」だけでなく、
- SIT：警視庁（東京都）、秋田県警、宮城県警、福島県警、栃木県警、茨城県警、山梨県警、静岡県警、愛知県警、三重県警、和歌山県警、奈良県警、福岡県警、長崎県警、沖縄県警など
- MAAT：大阪府警
- STS：埼玉県警
- ART：千葉県警
- SIS：神奈川県警
- TST：青森県警
- HRT：広島県警
- MARS：愛媛県警
など各警察ごとに違う略称を用いている。
警視庁特殊犯捜査係
警視庁の特殊事件捜査係は、刑事部捜査第一課に置かれている。
1960年代に台東区で発生した吉展ちゃん誘拐事件において、被害者死亡、身代金受け渡し成功、犯人逮捕までに約二年以上という事態に至った警視庁上層部は深刻な危機感を抱く。この危機に警察庁は警視庁に対して捜査第一課に誘拐専門事件を取り扱う係を設置するよう命令した。また1980年代までに全国に設置されるようになった。
また誘拐事件にとどまらず、立てこもり事件にも対処するようになった。
装備
通常時は普通の捜査員と同様だが、銃器を使用した事案などに対処する際は、次のような装備を用いる場合もある。
銃器
- MP5SFK：ドイツH&K社製MP5サブマシンガンのバリエーションの一つ。単発射撃のみ可能とし、短銃身や曲折銃床など室内で取り回しやすいように工夫が施されている。室内での近距離狙撃用と推測されている。
- 自動式拳銃：アメリカS&W社製のM3913や、イタリアベレッタ社製のベレッタ92Vertecやベレッタ90-Twoなどが導入されている。
その他
- その他：催涙ガスを発射するガス銃、非致死性の圧搾空気銃、閃光弾、扉突破用の破城槌などが導入されている。
- 情報収集機材：立てこもり事件に際して建物内の犯人の様子を調べるためのファイバースコープ、コンクリートマイク、電磁波人命探査装置などがある。ただし法律的な理由で中々使用できないとか……
- 防弾装備：防弾帽・防弾衣・防弾盾などを装備している。
なお、SATと違って狙撃銃は配備されていない。これは犯人の逮捕を重視しているSITの方針に反し、狙撃銃は致死性が高すぎて犯人をほぼ確実に殺害してしまうからである。
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