路線データ
路線名 | 宗谷本線 |
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路線記号 |
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区間カラー |
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路線区間 | 旭川〜稚内 |
路線距離 | 259.4km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 | 42駅 |
信号場数 | 1箇所 |
最高速度 | 120km/h |
電化区間 | 旭川〜北旭川:交流20,000V |
非電化区間 | 北旭川〜稚内 |
複線区間 | 旭川〜北旭川 |
単線区間 | 北旭川〜稚内 |
閉塞方式 |
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保安装置 |
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運転指令所 |
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第一種鉄道事業者 | 北海道旅客鉄道(JR北海道):全線 |
第二種鉄道事業者 | 日本貨物鉄道(JR貨物):旭川〜名寄 |
概要
旭川駅(北海道旭川市)と稚内駅(稚内市)を結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線の一つで地方交通線。日本貨物鉄道(JR貨物)が旭川駅〜名寄駅(名寄市)間で第二種鉄道事業者として認可されている。
終点の稚内駅はJRグループ及び日本の鉄道の最北端の駅であり、宗谷本線は最北端の鉄道路線である。
旭川駅~(貨)北旭川駅間は複線で交流電化されている。これは北旭川駅構内に隣接する旭川運転所への分岐点があり、函館本線で使用される電車が走行する為である。なお宗谷本線の列車には電車は使用されていない。
旭川駅〜新旭川駅間で石北本線の列車が乗り入れており、ラインカラーと駅ナンバリングは同区間に限り石北本線の物を使用している。
旭川駅~名寄駅間は高速化事業を行うに当たって、JR北海道と沿線自治体が出資した第三セクター「北海道高速鉄道開発」が地上設備を保有している。
かつては名寄駅で名寄本線と深名線に、美深駅で美幸線、音威子府駅と南稚内駅にて天北線、幌延駅で羽幌線と接続していたが、いずれも廃線となっている。
非常に長い路線だが意外にもトンネルは一つしかなく、雄信内駅の東側にある下平トンネル(全長1256m)が唯一のトンネルである。
近年JR北海道の厳しい経営状況から『自社単独で維持することが困難な路線』となっている。
特に名寄駅~稚内駅間は極端に人口密度が低い地区となっており、利用者の増加も見込まれず廃止される駅が続出する状況となっている。
沿革
開業〜全線開通まで
1898年(明治31年)8月12日に北海道官制鉄道の天塩線(初代)として旭川駅〜永山駅間開業したのが始まり。その後徐々に北へ路線を伸ばしていった。
1909年(明治42年)2月28日には塩狩峠で列車暴走事故が発生し、職員1名が殉職した。この事故は後年旭川市出身の小説家三浦綾子が小説化し、映画化もされた。
同年10月12日には国有鉄道線路名称制定に伴い官制鉄道天塩線(初代)となり、1912年(大正元年)9月21日に宗谷線に改称。1919年(大正8年)10月20日に宗谷本線に改称された後、1921年(大正10年)10月5日:宗谷線に再度改称された。
1922年11月1日に鬼志別駅(廃止)〜稚内駅(初代。現・南稚内駅)間が延伸した事で旧天北線区間が全線開通した。3日後の11月4日に再び宗谷本線に改称されている。
一方、その4日後の11月8日には天塩線(2代)として、現在の宗谷本線区間の一部である音威子府駅〜誉平駅(現・天塩中川駅)間が開業。また1924年(大正13年)6月25日には天塩北線として兜沼駅〜稚内駅(初代。現・南稚内駅)間が開業し、同時に天塩線を天塩南線に改称。
両者は1926年(大正15年)9月25日に幌延駅〜兜沼駅間が延伸された際に天塩線(3代)に改称された。
1928年(昭和3年)12月26日には宗谷本線稚内駅(初代)〜稚内港駅(現・稚内駅)間が延伸され、現在の宗谷本線に相当する区間が全線開通した。
天塩線編入〜国鉄民営化まで
1930年(昭和5年)4月1日に天塩線を宗谷本線に編入し、現在の区間となる。同時に音威子府駅〜浜頓別駅〜稚内駅間を北見線(後の天北線)として分離した。
1938年(昭和13年)10月1日には稚内港駅の線路を延長し、樺太との連絡船利用者輸送の為稚内港駅構内扱いで稚内桟橋駅(仮乗降場扱い)を開業。しかし第二次世界大戦敗戦及びソビエト連邦の南樺太侵攻による引揚者輸送船の運航停止に伴い1945年(昭和20年)8月25日をもって営業を休止。事実上廃止された。
その後も駅や仮乗降場の開業・仮乗降場の駅昇格等が続いたが、赤字や沿線の過疎化等が進み、国鉄末期の1984年(昭和59年)2月1日には名寄駅〜稚内駅間の貨物営業が廃止された。
国鉄民営化後
1987年(昭和63年)4月1日に国鉄が民営化されると、第一種鉄道事業者としてJR北海道、第二種鉄道事業者としてJR貨物がそれぞれ継承。
しかし国鉄時代から続く赤字や沿線の過疎化は止まらず、1989年(平成元年)5月1日に天北線が廃止され、宗谷本線の支線が全て消滅。
また21世紀に入ると利用者がほぼ0に等しい駅が次々と廃止され、宗谷本線自体の存続が危ぶまれている。
現在の運行形態
上述の通り電化区間は存在するが、あくまで函館本線の電車が旭川運転所に出入庫する為の施設であり、宗谷本線の列車は全て気動車で運行される。快速と普通は全てワンマン運転を行っている。
旭川駅〜新旭川駅に乗り入れる石北本線については当該項目を参照。
ここでは宗谷本線系統について記載する。
詳細は「スーパー宗谷」の項を参照。
函館本線札幌駅〜稚内駅間に「宗谷」が1往復、旭川駅〜稚内駅間で「サロベツ」が2往復、計3往復運行されている。
2017年(平成29年)3月4日ダイヤ改正以降は現在の運行系統となっている。また新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で、2021年(令和3年)3月13日ダイヤ改正以降は「サロベツ3・4号」の1往復が閑散期の特定日は運休となる。
- 快速なよろ
旭川駅〜名寄駅・音威子府駅間で4往復運行される快速列車。
2016年(平成28年)3月26日から2017年3月3日まで上り4号のみ稚内駅始発だった。
2019年(平成31年)3月16日ダイヤ改正以降は上りは2号のみ音威子府駅始発(名寄駅まで普通)、その他は全て旭川駅〜名寄駅間の運行。
一部は名寄駅で稚内駅発着の普通列車と接続する。
停車駅
旭川 - 旭川四条※ - 永山 - 比布 - 蘭留※ - 塩狩※ - 和寒 - 剣淵 - 士別 - 多寄※ - 風連 - 名寄高校 - (名寄 ← 音威子府)
※:一部停車 ():各駅に停車
- 普通
名寄駅で運行形態が分かれている。名寄駅を跨ぐ列車は下りは唯一全線を走破する旭川発稚内行と、上りは上述の名寄駅から快速「なよろ」として運行する音威子府発旭川行のみ。どちらも名寄駅で列車番号が変わる(下りは幌延駅でも変わる)。
旭川駅〜名寄駅
旭川駅〜名寄駅間は普通列車は8往復設定されている。この他に区間列車として旭川駅〜比布駅間に3往復、旭川駅〜永山駅間に下り4本(1本は土休日運休)・上り3本設定されている。
旭川駅近郊は宗谷本線の中では本数が多く、特に旭川駅〜永山駅間は快速「なよろ」も合わせるとおおむね1〜2時間に1本運行されている。但し快速通過駅は3時間程列車間隔が開く時間帯が存在する。
名寄駅〜稚内駅
高速化されておらず、過疎化の進む地域を通る為本数が少ない。
この区間を走破する列車は下り2本、上り3本のみ。名寄駅〜音威子府駅間は下り4本・上り5本(1本は名寄駅から快速「なよろ」)、音威子府駅〜幌延駅間は最も少なく上下3本、幌延駅〜稚内駅間は下り3本・上り4本と超閑散路線である。この区間は特急通過駅では最長8時間列車が来ない時間帯が存在する。
旭川駅〜北旭川駅間で運行される。JR貨物の第二種鉄道事業は名寄駅まで認可されているが、北旭川駅〜名寄駅間はトラック輸送が行われている。
駅一覧
●:停車 ○:一部停車 △:上りの一部が停車 レ:通過
():駅番号設定後に駅から格下げされた信号場
駅番号 | 駅名 | 特急 | 快速 | 乗換路線 | 備考 |
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A28 | 旭川 | ● | ● | ||
A29 | 旭川四条 | レ | ○ | ||
A30 | 新旭川 | レ | レ | 石北本線 | |
北旭川 | レ | レ | 貨物駅 | ||
W31 | 永山 | レ | ● |
| |
W32 | 北永山 | レ | レ | 一部普通通過駅 | |
W34 | 比布 | レ | ● | 当駅発着あり | |
W36 | 蘭留 | レ | ○ | ||
W37 | 塩狩 | レ | ○ | ||
W38 | 和寒 | ● | ● | ||
W40 | 剣淵 | レ | ● | ||
W42 | 士別 | ● | ● | ||
W44 | 多寄 | レ | △ | ||
W45 | 瑞穂 | レ | レ | 一部普通通過駅 | |
W46 | 風連 | レ | ● | ||
W47 | 名寄高校 | レ | ● | ||
W48 | 名寄 | ● | ● | 運転系統上の境界 | |
W49 | 日進 | レ | |||
W51 | 智恵文 | レ | |||
W52 | 智北 | レ | 一部普通通過駅 | ||
W54 | 美深 | ● | |||
(W58) | 豊清水信号場 | レ | |||
W59 | 天塩川温泉 | レ | 一部普通通過駅 | ||
W60 | 咲来 | レ | |||
W61 | 音威子府 | ● | 当駅発着あり | ||
W62 | 筬島 | レ | |||
W63 | 佐久 | レ | |||
W64 | 天塩中川 | ● | |||
W66 | 問寒別 | レ | |||
W67 | 糠南 | レ | |||
W68 | 雄信内 | レ | |||
W70 | 南幌延 | レ | |||
W72 | 幌延 | ● | 当駅止あり | ||
W73 | 下沼 | レ | |||
W74 | 豊富 | ● | |||
W76 | 兜沼 | レ | |||
W77 | 勇知 | レ | |||
W78 | 抜海 | レ | 日本最北端の無人駅 | ||
W79 | 南稚内 | ● | |||
W80 | 稚内 | ● |
廃止駅・廃止信号場
- 西永山駅(新旭川駅〜永山駅間):1967年(昭和42年)11月1日廃止
- 南比布駅(W33)(北永山駅〜比布駅間):2021年(令和3年)3月13日廃止
- 北比布駅(W35)(比布駅〜蘭留駅間):2021年3月13日廃止
- 東六線駅(W39)(和寒駅〜剣淵駅間):2021年3月13日廃止
- 北剣淵駅(W41)(剣淵駅〜士別駅間):2021年3月13日廃止
- 下士別駅(W43)(士別駅〜多寄駅間):2021年3月13日廃止
- (臨)智東駅(日進駅〜北星駅間):1987年(昭和62年)4月1日臨時化。2006年(平成18年)3月18日廃止。
- 北星駅(W50)(日進駅〜智恵文駅間):2021年3月13日廃止
- 南美深駅(W53)(智北駅〜美深駅間):2021年3月13日廃止
- 初野駅(W55)(美深駅〜恩根内駅間):2024年3月16日廃止
- 紋穂内駅(W56)(初野駅〜恩根内駅間):2021年3月13日廃止
- 恩根内駅(W57)(初野駅〜天塩川温泉駅間):2024年3月16日廃止
- 豊清水駅(W58)(恩根内駅〜天塩川温泉駅間):2021年3月13日信号場化
- 神路信号場(筬島駅〜佐久駅間):1977年(昭和52年)5月25日信号場・仮乗降場化。1985年(昭和60年)3月14日廃止
- 琴平駅(佐久駅〜天塩中川駅間):1990年(平成2年)9月1日廃止
- 下中川駅(天塩中川駅〜歌内駅間):2001年(平成13年)7月1日廃止
- 歌内駅(W65)(天塩中川駅〜問寒別駅間):2022年(令和4年)3月12日廃止
- 上雄信内駅(糠南駅〜雄信内駅間):2001年7月1日廃止
- 安牛駅(W69)(雄信内駅〜南幌延駅間):2021年3月13日廃止
- 上幌延駅(W71)(南幌延駅〜幌延駅間):2021年3月13日廃止
- 南下沼駅(幌延駅〜下沼駅間):2006年(平成18年)3月18日廃止
- 徳満駅(W75)(豊富駅〜兜沼駅間):2021年3月13日廃止
- 芦川駅(徳満駅〜兜沼駅間):2001年7月1日廃止
使用車両
現在の使用車両
自社車両
苗穂運転所所属の特急形気動車。特急「宗谷」「サロベツ」で使用。
普段は0番台を使用する。かつては「スーパー宗谷」で運用されていた。
5000番台は代走や繁忙期に使用する。
旭川運転所所属の気動車。快速・普通で使用される。
全線で使用されるのはキハ54形のみで、キハ40形は音威子府駅以南、H100形は名寄駅以南で運用される。
キハ54形はかつて急行「礼文」でも使用された。
旭川運転所所属のディーゼル機関車。冬季にラッセルヘッドを取り付けて除雪車として運用される。
JR貨物所属
五稜郭機関区所属の貨物列車牽引用ディーゼル機関車。
過去の使用車両
国鉄民営化以降の車両のみ記載。
自社車両
苗穂運転所所属の特急型気動車。
定期運用では特急「サロベツ」「利尻」で使用された。この他代走で「宗谷」の運用に就いた事もあった。
苗穂運転所所属の急行型気動車。
急行「宗谷」「サロベツ」で使用された。宗谷本線高速化に伴う列車の特急化により定期運用から離脱。
苗穂運転所所属のディーゼル機関車。
急行「宗谷」「天北」「利尻」牽引機。
このうち「利尻」は特急格上げまで客車急行だった為、北斗星カラーのDD51が牽引した事もあった。
苗穂運転所所属の客車。
急行「宗谷」「天北」「利尻」で座席車と寝台車が使用された。このうち夜行の「利尻」以外では寝台車も座席車扱いで使用していた。
また特急化後の「利尻」でも寝台車を塗装変更の上キハ183系に組み込んで使用されていた。
JR貨物所属
- DD51形
鷲別機関区(廃止)所属のディーゼル機関車。
DF200形に置き換えられるまで使用された。
関連タグ
函館本線 石北本線 天塩線 天北線 名寄本線 羽幌線 美幸線 深名線