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ムカデ

むかで

ムカデ綱に属する節足動物のこと。長い体に数多くの脚を持ち、有毒で機敏な肉食動物。
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概要

多足類のうちムカデ綱(唇脚綱)に属する節足動物のこと。

分節した長い体は偏平で、体節ごとに1対のを左右に持つ。背中側は大小の四角い背板で覆われていて、これは一見して甲羅のようだが、ほとんどの場合は柔らかい。


色は種類によって地味な茶色から赤・黄色・青・緑など鮮やかなものまで知られている。

大きさは数cmから数十cmまで様々で、世界最大は、ペルビアンジャイアントオオムカデで、大きいものだと30cmを越える。日本ではリュウジンオオムカデが最大であり、大きいものでは全長20cmを越える。


最大の特徴は、頭部の直後に付属した顎肢(がくし)という鋭いである。よく頭部のと誤解されるが、実は胴部の前脚から変化した器官で、獲物を仕留めたり敵を攻撃する為の武器として使われる。別名「唇脚類」や学名「Chilopoda」(kheilos 唇 + pod 脚)がこの特徴に由来する(唇のように働く脚)。実際の顎(1対の大顎と2対の小顎)は頭部の腹面に隠れて目立たない。


一番後ろの脚は曳航肢(えいこうし)という特に長い脚で、種類により走りのバランスを保ったり、頭部に形を似せる事で外敵を撹乱したり、外敵や獲物を攻撃したり捕らえる為の武器として使われている。


百足」や「センチピード英語:centipede、"百の脚"の意味)」と呼ばれるが、脚の対の数はどの種も奇数である為、足が丁度100本(50対)あるムカデは存在しない

多くのムカデの脚は30から42対でその半数である50本(25対)にも及ばず、102本(51対)以上あるのはジムカデの種類だけである。


ヤスデとの違い

よくムカデの話題には同じ多足類ヤスデを引き合いに出されるが、ヤスデは自らヤスデ綱(倍脚綱)という別グループで、多足類の中でも両者は特に近縁ではない。

両者の主な違いは次の通りに挙げられる。

グループヤスデムカデ
胴体の形状円柱状扁平状
脚の付け根腹側両側
脚の数ほぼ1節2対1節1対
体の末端特に何もない特別に長い脚(曳航肢)がある
気質温厚凶暴
動き遅い素速い
食性主に腐草食性肉食性

ざっくりなイメージとしては、ヤスデより素早く、脚の密度が低く、末端に曳航肢があるおかげで前後とも1対の肢が突出した造形となる。


生態

肉食で素早く走り、顎肢の毒と咬合力は大型種では特に強い。

顎肢で獲物に噛みついて抑え込み、毒で獲物を麻痺させて仕留める。頭部の小さな顎で獲物を細かく噛み砕いて捕食する。

1体の獲物を捕食しながら、同時に脚で他の獲物を抑え込んで捕獲する事が可能。この特徴はゲジで特に極めている。


主食は昆虫など他の節足動物だが、大型種はトカゲヘビ等の小型爬虫類ネズミ等の小型哺乳類や小型鳥類をも仕留める。


体の左右の気門と体内の気管で呼吸を行い、全てが陸棲だがリュウジンオオムカデのような半水棲種もいる。

体質の関係上、脱水症状になりやすいため、主に落ち葉の下など多湿な環境を好み、乾燥した場所に長時間いると死ぬ。

ほとんどが一匹狼な生活をするが、ゲジ類の場合は集団で洞窟に隠れることもある。


多くの種類は脚を自切するのが可能で、取られても脱皮する度に再生する。


繁殖は交尾ではなく、雌が雄の精包を受け取る方式で行う。多くの種類は卵を抱いて保護し、孵化直後の幼生にもしばらく世話をする。オオムカデやジムカデは成体と同じ数の体節と脚で生まれるが、ゲジやイシムカデは成長に連れてそれを成体の数まで増やす。


ムカデに限らず多足類、多足類以外にも昆虫類、クモ類、甲殻類に言えるが、死後硬直によって体を竦めるような格好になる場合が多い。


分類

現在生きているムカデは3,000以上の種が知られ、次の五つグループに分かれている。

オオムカデ

一般的にムカデと言えばこのグループを指す。タイワンオオムカデトビズムカデ等の代表的な種類を含み、人間に危害を加えるのもこのグループである。規模は800種以上。

脚は通常21~23対、頭部は円盤状、目は最多4対の単眼。


ジムカデ

細長い胴体を持つ小型のムカデ、土中に潜む土壌生物である。脚は27対以上で数多く、51対(102本)以上の種類も存在する。規模は1,300種程度でムカデの中で最多。

頭部は縦長く、目は無い


ゲジ

所謂ゲジゲジ(ゲジ、蚰蜒)。短い胴体に対して脚は極めて細長く、一見ムカデとは思えない姿をしている。規模は100種程度。

脚は15対、頭部は丸く、目は1対の大きな複眼

詳しくはゲジゲジを参照。


イシムカデ

オオムカデ目によく似ているが、やや寸胴で背板は明らかな長短を繰り返している。規模は1,100種程度。

脚は15対、頭部は円盤状、目は原則として十数対以上の単眼。


ナガズムカデ

それぞれタスマニアニュージーランドに生息する2種のみ知られるグループ。

オオムカデと似ているが、細部は大きく異なる。

脚は15対、頭部は縦長く、目は単眼1対のみ。


ムカデのは、種類によって強弱が大きく異なる。ゲジの毒はミツバチよりマイルドであるが、オオムカデの毒は強力で、主によく知られるムカデの毒が後者である。酸性で主な成分は「ヒスタミン」や「セロトニン」や「ポリペプチド」等アミンの一種と、タンパク質でできた酵素である。

神経毒の一種であり、これらの成分が合わさって人体にも様々な害を及ぼす。


人間との関わり

咬害

主にオオムカデは、顎肢が大きく咬合力が強い為、毒の効果を抜きにしても噛まれると激しい痛みを伴い、患部が酷く腫れて噛み傷が残る場合も多い。人間に触れる度に躊躇なく反撃するほど凶暴な種も多いので、迂闊に手を出すのは危険である。その為、衛生害虫としても世界的に広く知られている。


主な症状は激しい痛みや痒み、痺れで患部が腫れあがる。

人によっては痺れが患部を中心に全身に広がったり、悪寒や発熱・発疹や嘔吐なども起きる。


最も恐ろしいのは、ムカデの毒はアレルギー物質を含んでおり、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるという点である。その為、それ以前にムカデやハチなどに刺された経験がある、特に実際にアナフィラキシーショックが起きた経験のある人は要注意が必要である。

人によって症状は様々だが、めまいや嘔吐・血圧低下・呼吸困難などの症状が出た場合は、対処を間違うと危険なので、直ちに専門の医者に受診する事を推奨する。


海外の大型種の場合、幼い子供に限って死亡例もある。


応急処置としては、42、3度のお湯で患部を洗う、ステロイド軟膏を塗るなどがある。ムカデの毒は意外と患部を中心に広がる為、ポイズンリムーバーなどで毒抜きをするのもかなり効果がある。ただし、口で直接患部を吸っての毒抜きは、口内で腫れや痛みや痺れなどを起こす可能性がある為、決して行ってはいけない。また、患部を冷やしたり40度以下のぬるま湯で洗うのも、逆に毒を活性化させて浸透しやすくする為、冷やす場合は必ず毒抜きをする必要がある。


利用など

火傷や切り傷に効果がある民間として、オオムカデの油漬けや乾物が作られたり、観賞魚等のとして冷凍オオムカデが輸入されて売られている。


ゴキブリ等室内の衛生害虫を捕食する為に、ムカデが屋内に侵入した結果で、害虫退治に一役買っている事もある。このことは、人間への毒性と攻撃性が低いゲジでは特にメリットが大きい。


オオムカデ、特に鮮やかな大型種はペットとして人気がある。しかし前述の通り機敏で咬害の危険性があり、累代飼育もまず雌雄の判別が難しく、ストレスになると卵を食べてしまうなど、色んな考慮が必要で初心者向けのものではない。


文化的側面

「凶暴で攻撃性が高い」イメージや、「絶対に後ろに下がらない(後退しない)」という俗信から、戦国時代にはムカデにあやかり、甲冑等にムカデのデザインを取り入れたり、

旗差物にムカデの絵を染め抜いた物を用いた例もある。


また、商家では「客足が多い」縁起物として扱われることがあった。

「カエルの婿選び」と言う民話でも、「おあし(お金)を沢山持ってる」と言う理由でカエルがムカデを婿にしたがるオチがある。


大蛇と並んで妖怪として扱われる事があり、その一方毘沙門天の使いともされる。ムカデは、龍と関わりがある虫であり、沖縄県昔話俵藤太の大百足退治では龍を苦しめる一方、ムカデの別名が『天龍』だったりする(毘沙門天の使いとされるが、同じく使いとされる動物には龍と同じ干支であるトラネズミがいる)。


昔話では悪役とされがちだが、『ムカデの医者迎え』では足の速さを買われて医者を呼びに行ったは良いものの、足が多すぎて草鞋を履くのに手間取るというコミカルな一面も。


公共のメディアでは

センシティブな作品

不気味な生物の代表として、ゴキブリが挙げられるが、

凶暴性で毒持ちなので、ムカデの方がよっぽど危険な存在である。


テレビでは、ゴキブリ等はモザイクがかからないのだが、多くの人が見る時間帯の番組では、

ムカデにモザイクがかかる事も多い(例:アニメ版男子高校生の日常』他)。グロテスクに感じる人が多いので、苦情が来ない為の配慮だろう。


創作では

基本的に凶暴なので、それが性格に反映されている事が多い。

古来よりの象徴として描かれたり、体も大きいことから、強い存在とされる事もある。

虫をテーマにした作品には高確率で登場するので、メディアでは比較的ポピュラーな存在。

しかし、一般的に好まれない外見から、悪役として描かれる事が多く、ヒーロー扱いの作品は少ない。


また、ダメージを受けると身体が分裂し、それぞれ独立して襲ってくる能力を与えられる場合もある。『地球防衛軍』シリーズの百足龍虫がわかりやすい例だろう(実際ムカデを切断するのはNG、しばらく動くが、死んでしまう)。


有名な種類

日本でムカデとして有名な種類は次の通り全てオオムカデの種類である。


トビズムカデ

日本本土に生息し、わりとポピュラー。

中国や韓国などの大陸にも分布する。

黒い体に赤い頭を持つ。足は黄色や赤色。毒性は強い。

最大で15cm近くなるが、普通は7~8cm程度。


アオズムカデ

トビズムカデと並んで日本本土でよく見られる。

青っぽい黒の体に青い頭を持つ。足は黄色や赤色。

全長は7~8cm程度、最大で13cm程。日本固有種。


ノコバゼムカデ

沖縄の山地や海岸付近に生息。紫がかった黒い体に縞模様の曳航肢、青色の足を持ち、日本で最も美しいムカデと呼ばれる。最近は外来種として大阪府や兵庫県、九州、関東などの都市部で発見されている。毒性は弱い。全長は7~12cm程度。


ハブムカデ

沖縄に生息。単に「オオムカデ」ともいう。ハブが生息するようなところに生息し、毒性も強いことからハブムカデと呼ばれている。

全長は最大でも18cm程度。脚の黄色身が強い。


リュウジンオオムカデ

沖縄と台湾に生息するオオムカデ。全長は20cmを越える日本最大の種。脚は美しい水色や緑色をしている、沢の周辺に棲み、水中に潜ったり泳ぐ事が得意な半水性の珍しいムカデで、主に甲殻類を捕食し、冷涼な環境を好むことから飼育は非常に難しい。

最近になって新種と認められたが、非常に希少な種類で絶命が心配されている。

現在は種の保存法の緊急指定主に指定され、捕獲や販売が 禁止されている。


セスジアカムカデ

北海道~沖縄まで広く生息する全長7cm程のオオムカデ。

赤褐色の体に赤い頭、黄褐色の足を持つ。

目は退化し、完全に消滅している。毒性は弱い。

足が23対存在しトビズムカデなどよりも2対多い。


チャイニーズレッドヘッド

中国に生息するムカデ。トビズムカデの亜種とされる。

ベトナムオオムカデ

東南アジアを中心に生息するオオムカデ。

外国産ムカデの中では非常に安く流通量も多い上に飼いやすい為、初心者向けの種類と言われるが気性が荒く、動きが俊敏で毒性もかなり強い。

全長は15~20cm位だが、最大クラスの個体は30cmを超えて、アジア最大のムカデである。


ラオスジャイアント

ラオスに生息する大型のオオムカデ。ベトナムオオムカデの亜種だが、全く似ていない為別種扱いされている。

闘虫映像企画の虫皇帝において23cmの特大個体が参戦し、アースタイガーダイオウサソリといった強豪を圧倒的なパワーでねじ伏せ、いとも簡単に優勝したことで虫好きの間では高い知名度を誇る。


マレーシアンレインボージュエル

マレーシアの高地に生息する大型のオオムカデ。

名前の通り、脚が頭から尾にかけて虹色になっている美しいムカデ。その為非常に高値で取引される。


マレーシアンチェリー

マレーシアジャイアントもしくはチェリーレッドと呼ばれることもあるオオムカデ。全長は15~20cm程度。

赤やオレンジの体に節ごとに黒いラインが入っており、赤みが強い個体は人気が高い。


フェザーテイル

タンザニア周辺に生息するオオムカデ。

卑航肢が団扇のようになっており、威嚇する時はこれで音出して威嚇する。

小型の種類が多く、性格も大人しい種類が多い。


ガラパゴスジャイアント

最大の個体が66cmになったという記録があるが、信憑性に乏しく通常の個体は30cm前後である。また、ガラパゴスと名前に入るが流通している個体はエクアドル産である。


ぺルビアンジャイアント

南米に生息するオオムカデで全長は30cmを超える。

世界最大のムカデであり、値段は数万円単位は下らない程に高価。


関連作品

  • ムカデ人間 - ホラー映画。詳しくは記事参照。 閲覧注意!
  • 日々我人間 - 伊豆に移住した漫画家桜玉吉の、室内に侵入を繰り返すムカデとの闘争に多くを割かれた私記漫画。
  • 東京喰種 - ヤモリカネキへの拷問を行う際、ムカデ投入を行った。以降、ある意味でカネキの(覚醒の要因になったトラウマの)象徴になっている。

関連キャラ

専らゲジをモチーフとしたものは該当記事を参照。

伝承


特撮

スーパー戦隊シリーズ


仮面ライダーシリーズ


その他特撮作品


アニメ


漫画


ゲーム


比喩表現


その他ムカデと名が付く存在

現実

  • ムカデ競争



創作


関連タグ

大百足 蜈蚣 百足女/ムカデ女

節足動物 多足類 ゲジゲジ ヤスデ

百足の虫は死して僵れず

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