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概要

アメリカ合衆国の社会問題(アメリカがっしゅうこくのしゃかいもんだい)は、アメリカ合衆国が抱えている社会問題の事である。連邦共和国であるアメリカは世界で最も強大な経済力と軍事力を有するにして世界唯一の超大国及びリーダーとして君臨しているが、2024年1月現在でも問題は多く存在する。中には人種差別(特に黒人差別黄色人種に対する差別)・銃社会など我が国では問題視されにくい課題があり、ここではアメリカが抱えている主な社会問題について解説する。


人種差別

アメリカの中でも代表的な問題で、かなりセンシティブで記事内の単なる一項目として扱うのが難しいので端的に述べる。アメリカは先住民・古い時代の移民・黒人奴隷の子孫・新たな移民・これらの混血などで構成されている国であり、人種・民族・宗教に応じて様々な差別が存在する。人種差別を撤廃する為の動きは長い歴史を持つが、まだ完全に撲滅されたとは言えない状況にある。


今の時点では白人がアメリカの主流と看做されており、過去には白人による相互の対立で例えばワスプ(イギリス系プロテスタント)・アイルランド系カトリックユダヤ系イタリア系の確執も激しかった。現代では白人としての一体化が進んでいる為、白人同士による人種の対立よりも他の人種との対立・差別の方が問題となる事が多い。


アフリカ系アメリカ人(黒人)に対する差別は特に根深いとされ、制度的な差別が撤廃されて久しい現在でも低い大学の進学率・最も多い低所得者層の割合・白人に比べて短い平均寿命・高い確率で犯罪の被害者となるものがある。それを是正するべく1965年9月から大学の入学・雇用などに際して黒人の採用枠を設け、試験の点数に下駄を履かせるなどの政策(アファーマティブ・アクション)が実施されているが、これには当時から賛否の議論がある。


アジア系アメリカ人も中国人排斥法(1882年5月)・移民法(1924年5月)など伝統的に差別を受ける事が多かったが、アメリカに移住する為のビザで技能が要求される中国系アメリカ人インド系アメリカ人は比較的高い学歴を持つ者が多く、経済的に成功している者も少なくない。またこの成功体験を他のマイノリティに振りかざして低く見たり、あるいは都市部に集住する為に労働市場で競合する事が多い関係から他の人種とのトラブルも多い。


2020年1月から流行した新型コロナウイルスは発生源が中国で、当時の大統領だったドナルド・トランプチャイナウイルスを連呼した事もあり、アメリカに在住する中国人・中国系アメリカ人に対する排斥運動が強まった。中国系との見分けが付かない他のアジア系も一部が巻き込まれ、アジア系全般に対するヘイトクライムに発展した事件が発生した。アジア系の中でも日系アメリカ人は第2次世界大戦の時期に強制的に収容された歴史があり、アメリカ政府が度々謝罪している。


銃社会

銃社会を参照


格差

格差社会に纏わる問題はどの国にもあるが、アメリカの経済格差は先進国では最も高い部類とされる。格差を表す指標として使用されるジニ係数で見るとアメリカは2022年9月時点でOECD主要国の中では最も高い0.4である。因みに日本もジニ係数が0.3を上回っており、先進国の中では決して低くは無い点(格差が小さい訳では無い)に留意する必要がある。


死刑存置国

先進国では今や珍しくなった死刑存置国(G7ではアメリカと日本のみ)であり、国内外から批判されている。連邦法と州法の刑罰に死刑があるが、約半数の州は廃止している。因みに共和党が強い州は存置し、逆に民主党が強い州は廃止が多いと言われている。連邦法での死刑は1972年6月に憲法が禁止する残虐な刑罰に相当するとして一時期廃止された時期があったが、1976年7月に連邦最高裁判所が合憲判決を下した事で、死刑執行が再開されて今日に至っている。


ただし死刑制度についての批判は年々高まっており、特に民主党は死刑制度に批判的で、クリントン政権からの民主党政権では連邦法による死刑が執行された事例は無い。2021年1月から大統領に在任しているジョー・バイデンは死刑廃止論者であり、死刑執行を許していない。死刑制度を廃止している州は漸進的にだが増加傾向にあり、南部の州に死刑存置州が多いとされていたが、同年3月にバージニア州が南部の州として最初に死刑制度を廃止して注目された。


学歴

アメリカは実力主義だから学歴は関係無いと言われる事があるが、実際にはアメリカも韓国ほど極端では無いものの、日本よりも学歴社会の面が強い。人権意識が強いアメリカでは人種性別・出身地・生家など生まれつきの要素による差別は許容されないとする風潮が強く、個人の努力次第で上下できる学歴が評価の基準として日本より重視されがちな事がその背景にある。


大卒資格

アメリカは奨学金制度が充実しており、貧しい家庭の子供でも意欲があれば返済が不要な奨学金を簡単に貰える。その為家が貧しいという理由で進学を諦める人は少なく、実際に奨学金を貰って大学に行くという理由から多くの若者が軍に志願する。アメリカでは大卒の資格が強い事から社会人の時に大学で学び直す人が多く、日本ではその時点で大卒の資格を取る人はまだ少数派である。


日本と違って多民族の国であり、それぞれの民族の価値観が異なる中、学歴・資格は人間を評価する物差しとして分かり易いので重要視される。移民がアメリカで働く為に必要な就労ビザも、基本的には大卒以上である事が取得する条件と成っている。つまり言い方は悪いが大卒未満の学歴を有する者は、寿司職人などの専門職でも無い限りは不法移民として扱われてしまう。


大卒資格の価値は大きく、最終学歴が大卒者・高卒者では就職・平均年収・平均寿命に日本より大きな差が付く事が多い。アメリカは日本・韓国の様に学閥が強くない為、卒業した大学のブランド名はあまり重要では無く、無名の大学でも卒業できれば高い評価になるのが一般的である。これはアメリカの大学は基本的にどこも入学の難易度はそれほど高くなく、卒業する方が難しいからである。しかもペーパーテストの成績だけで無く、人間性が優れていないと卒業できない。


身分

アメリカは日本の様な天皇家(他の国で言う王家)が存在せず、その代わりに学歴でほぼ身分が決まると言える。しかもその人の努力次第で上や下にも行ける為、寧ろ学歴でほぼ身分が決まるという事はアメリカ人が持つ幻想が未だ強烈な証拠だとも言える。ちなみに発展途上国失敗国では未だに生まれた家で身分が決まる事例が少なくないようだが、実際はアメリカなどの先進国(日本を含む)であっても実家がある程度裕福だったという人達が高学歴者に多いというのが現実である。


高度な知識を要する職業に就く場合は学部を卒業した者ですら相手にされず、大学院まで行くのが常識となっている。特に医者は日本の様な医学部は存在せず、1度大学を卒業してから大学院で医学教育を受ける流れである。ごく稀にビル・ゲイツスティーブ・ジョブズイチローなどの様に大卒資格が無くても社会的地位が高い人もいるが、それは彼らに学歴に頼らなくても良いほどの特別な才能も有ったからで、これが無い人の場合はなるべく大学に行くべきと言われている。


相関関係

アメリカの場合は学歴と実力が強い相関関係にある為、学歴社会だったとしても文句は出にくいという一面もある。逆に日本の大学は医学科薬学部なども一部の学科を除いて卒業するのが簡単である為、必ずしも学歴と実力が比例しないという問題点がある。ちなみにアメリカに限らず、イギリスフランスなども日本より学歴社会の面が強いと言われており、日本は寧ろ先進国の中では学歴をあまり重視しない方である。具体的にはこちらの方を参照して頂きたい。


平均寿命の低下

日本経済新聞記事1)・BBC記事2)・ロイター記事3)の報道によれば、2022年8月にアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は前年のアメリカ人の平均寿命は76.4歳で、1996年以来の短さになった事を発表した。


男性は73.5歳(前年比0.7歳減)・女性は79.3歳(同0.6歳減)であり、ロイターの報道によれば男性・女性の平均寿命の差は20年超ぶりに拡大しているという。日本経済新聞・BBC・ロイター・いずれの報道でも、低下の原因として新型コロナウイルスの感染拡大・薬物の過剰摂取の増加・心臓病などの影響を挙げている。アメリカ人の平均寿命先進国の中ではかなり短い方だと言われているが、これには以下の様な理由があると言われている。

  1. 日本や他の先進国の様な国民皆保険制度が無いので医療保険に入れない人が多く、結果的に病院に行けない人が多い。
  2. 上にも関連するが、経済的な格差が凄まじいので金持ちも多いが貧しい人も多い。
  3. かなりの学歴社会にして実力主義の国なので、学歴・実力が無い人の就職先が限定されてしまう。
  4. 病院に行くのが贅沢であると考えられている為、鎮痛剤を沢山飲む人が多く、鎮痛剤中毒にかかる人も少なくない。 鎮痛剤に限らずアメリカでは、薬物中毒で亡くなってしまう人が少なくない。
  5. ハンバーガーフライドポテトなどのファストフードを食べる時が多いので、肥満に成りやすい。
  6. 乳幼児や若い人の死亡率が高い。因みにこれは平均寿命に大きく影響する項目であり、老人がいかに長生きするかよりも重要である。
  7. 日本より遥かに治安が悪く、殺人事件に巻き込まれて亡くなる人が多い。
  8. 日本と違って多くの州では死刑制度を廃止しているものの、死刑廃止州でも警察官犯人をその場で射殺する事例が少なくない。
  9. 度々紛争地帯に出向くので戦死する場合もある。

人種ごとの格差

人種ごとの格差が大きく、白人ヒスパニック系の人々はヨーロッパの先進国と大差は無い。しかし黒人インディアンの平均寿命は発展途上国並みに短くなってしまっており、日系アメリカ人の場合は日本人とほぼ同じくらいである。また、ヒスパニック系以外の白人は近年は下降傾向である。しかし黒人の平均寿命も70歳代前半程度であり、アフリカの多くの国が70歳を下回っている事を考慮するならば、かなり短いという訳では無い。


また州ごとの格差も大きく、温暖なハワイ州や富裕層が多い西海岸および北東部は平均寿命が長い州が多いが、逆に貧困層が多い南東部は平均寿命が短い州が多い。2020年4月の国勢調査では最も長いハワイ州の平均寿命は80.7歳でヨーロッパの先進国と大差は無いが、逆に最下位のミシシッピ州は71.9歳なので一部の発展途上国より短い水準となっている。


日本の場合

2023年7月時点での日本人平均寿命は男性が81.47歳・女性が87.57歳である。またG7諸国を平均寿命が長い順番に並べると、長い順で日本>イタリアフランスカナダドイツイギリス>アメリカとなる。ちなみに日本で最も平均寿命が短い地域青森県だが、それでもアメリカで最も長いハワイ州より長く、世界全体で見れば青森県も十分長寿な地域である事には変わりは無い。


失敗国家ランキング

アメリカの順位

2023年6月に失敗国家ランキングでアメリカの順位は141位(調査の対象となっている国は全部で179か国)となり、スコアは45.3点(120点満点)だったが、これはG7諸国としては最も上の順位だった。このランキングでは順位が高いほど深刻な問題を抱えているという判断なので、アメリカはG7の中で最も問題が多い国であるという評価となっており、そもそもこのランキングを作成している平和基金会という団体自体がアメリカの非営利団体である。


アメリカ・イタリアと他の比較

2021年5月までアメリカはG7でイタリアに次いで2番目に悪い国という評価だったが、2022年7月にイタリアに抜かされる羽目になり、2023年6月にイタリアは146位・42.6点となった。以下は各国のランキングを示しており、G20は参加国の中でG7またはヨーロッパ連合加盟国を除外しているが、他の主な国の点数・順位については失敗国家を参照して欲しい。


順位国名数値定義加盟備考
1位ソマリア111.9点1位になった回数が最も多い国。
2位イエメン111.9点2019年から2022年は4年連続で1位だった。
3位南スーダン108.5点2014年6月・2015年6月・2017年5月・2018年4月にそれぞれ発表された統計では1位だった。
10位ハイチ102.9点中央アメリカで最も点数が高い国で、ハイチ大地震の爪痕が未だに残存している。
40位イラン85.4点イスラム共和国2002年1月にアメリカから悪の枢軸と名指しされた国の1国で、1980年4月にアメリカと外交関係を断絶した。
53位ロシア連邦80.7点旧社会主義共和国G20継承する前の国だったソビエト連邦冷戦時代にアメリカと並んで世界の超大国に君臨していた。
101位中華人民共和国65.1点社会主義共和国G20中華民国台湾)は評価の対象外とされている。
117位キューバ59.5点社会主義共和国2015年6月までアメリカとの外交関係が無かった。
118位ベトナム58.3点社会主義共和国ASEANベトナム戦争の爪痕が未だに残存している。
125位ブルネイ54.7点先進国・絶対君主国ASEAN・イギリス連邦
143位イスラエル44.1点先進国アメリカの重要な同盟関係にあり、パレスチナは別枠で評価する。

日本の場合

同じ時期は161位でスコアは30.5点で、アジアではシンガポールに次いで2番目に点数が低い。ただし2011年3月に東日本大震災が発生した翌年の2012年6月には、大幅に評価が悪化していて43.5点だった。先進国は40点未満の国が多く、北ヨーロッパなどには20点を下回る国があるので高くても40点台が普通だが、例外としてキプロス・ギリシャ・ブルネイは50点を超えていた。


関連項目

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日本社会


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