学閥

がくばつ

学校の出身者同士が形成する勢力のこと。

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1 概説

2 大学の学閥

3 大学以外の学閥

4 関連タグ

5 外部リンク

出身の学校により形作られる勢力。

概説

いわゆる同窓会(先輩後輩同級生の相互関係)が個人的関係に留まらず、社会的かつ組織的かつ経済的な実効力を持った状態。あるいはその状態を維持している組織および組織連合体の総称。「(学校名)閥」と呼ばれる。

特に運動部(体育会系)の上意下達によるOBの繋がりなどが有名であり、スポーツ業界でも出身大学閥が形成される場合もある。学閥により出世のしやすさや勤務場所が左右される職場も未だ多い。

また同じ大学でも学部やキャンパス位置(いわゆる本校と分校)の別によって別の派閥を形成するケースもある。

互助組織として有用な存在ではある一方、行きすぎると過剰なコネ環境や身内贔屓の横行、理不尽な上下関係を過剰に強いられる事になるなど、社会そのものが人に正統な評価を与えられない不全状態へと陥る可能性を持っている。(これ自体は学閥に限らず「家族会」のような血縁や「県民会」のような地縁でも起こり得る事だが)

特に進学に伴い学閥意識の激しい学校や社会に放り込まれると、それまでの人生や人間関係(特に友人関係)を無闇やたらに否定する価値観を叩き込まれ、結果として友人関係や家族(親子・兄弟)関係を破壊してしまう事も少なくない。

また逆に学閥意識の激しい学校の出身者が自らの子どもに対して、その志望や意思を否定・無視して、親の出身校（さらには同じ学部・同じ順位）に入ることを強制する事もまた、よく見られる。このケースでは受験に失敗して親の出身校に入れなかった事や親の希望する学部・キャンパスに入れなかった事をきっかけにネグレクトなど児童虐待に至る悲劇もよく起こると言われる。

あるいは人間関係の破壊や虐待に至らずに無事に過ごせていたとしても、熟年・老年になってから親の介護のために地元に帰ろうかと思っていたら、その地元が会社や組織内でも別の学閥に牛耳られていて希望の転勤ができず、仕方なく隣県に勤務し老年が近いにもかかわらず親の介護をしながらの（若者でもキツい）遠距離通勤を強いられるなどというトンデモな弊害も起こる事がある。

こうした事を原因として行われる理不尽な虐待や差別は、時に「(学校名/学閥名)虐待」あるいは「(学校名/学閥名)差別」と呼ばれる事がある。もちろんこうした行為は、紛れもない本末転倒であり、自らが愛する出身校の名と誇りを自ら汚す行為に他ならない。

大学の学閥

官公庁や政界、医学界などが有名なところであるが、民間の大手企業内でも学閥が形成される場合が多々ある。

諸外国にもそのような学閥は多く見られ、アメリカのアイビー・リーグ、イギリスのラッセル・グループなどが有名。韓国ではソウル大を頂点とする典型的な学閥社会である。また中国でも学閥を優先した人事が横行しており、タイでもトップとされるチュラロンコン大学出身者が要職に多数就いている。...というか、社会学者の研究によると、現代の諸外国の大企業では学閥がモノをいうのが普通であり、日本は現代において学歴が最も軽視されている社会だという（もちろん職場にもよる）。

大学そのものが少なく、進学自体が限られた層しか出来ない国だと、大卒それ自体がエリート層となる。

大学以外の学閥

大抵は大学の学閥を指すが、日本国内では地方により高校の学閥も根強く形成されており、そうした地域では「公立で歴史が古く高偏差値の学校」(特に江戸時代に成立した藩校の系譜を継いでいる学校)の価値が高いとされる傾向にあり、こうした学校出身のOB達が県庁や地元企業の幹部などに多数おり地域の財界はもちろん選挙などにも影響を与えている。

東北地方や九州で強いと言われており、特に長野県・熊本県の公立高校の学閥意識の激しさは有名。

そのほかには福島県や北関東の男女別学の上位公立校にも閥意識が強めに見られる。

こうした地域では「他県出身者でも初対面で出身高校を聞かれた」「お見合いの釣書で高校名を見る」などの逸話が多く、かなり近年まで上位とされる高校に入るための中学浪人もあった。地域上他県への通学などが難しく、郡部と市街地の教育格差が大きかったことも影響していると思われる。

長野県ではこの上に松本市と長野市の地域対立感情が絡んでいる。

最近ではネットや塾の発達、交通機関の改善もあって地域間教育格差は改善されている部分もあるが、上記のような名門とされる高校は有力者の年配OB達が多数地域に根ざしているため容易なことでは覆されていない。

関東・関西の都市部では過去の総合選抜や地元集中、ゆとり教育などの影響で進学校は私立高が優位な傾向が強かった時代もあり、学校自体の多さからも上記のような公立高校の学閥はあまり目立たない。

しかし東京大学の合格者数の多い学校等では政財界や官庁に閥が形成されていると言われており、有名なのが灘高校・麻布高校・開成高校等の私立や、国立の筑波大附属駒場等。

外国ではフランスのグランゼコール（高等職業専門学校）閥、イギリスのパブリックスクール（私立のエリート中等教育学校）閥が有名である。