概要
キララクとは、キラ・ヤマトとラクス・クラインのノーマルカップリングである。
第1クールのOPから仄めかされた通り、お互いに好意は抱いているのだが、恋人関係には至らなかった。監督が、完全な恋人関係であった人はトールとミリアリア、ムウとマリューぐらいと述べている。
そして、2年後を舞台とした「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の頃には明確に恋人になっていたのだが…最早、熟年夫婦の域になっていた…。一体、この空白の2年間に何があったのか?
機動戦士ガンダムSEED
運命の出逢い
2人が出会った経緯はキラが漂流していた脱出ポッドを保護したことから。
アークエンジェルが水不足から「墓泥棒」だと自覚しながら「生きるため」だと自分達に言い訳をしつつ、ユニウスセブンから「氷」を調達している最中に、キラは強硬偵察型複座のジンが何かを探しているところを発見し、自分達の発見を防ぐために撃ち落とす。心を痛めて落涙するキラは救助シグナルを発している脱出ポッドを発見、保護する。
ポッドから出てきたのは、現プラント最高評議会議長:シーゲル・クラインの令嬢であるラクス・クラインだった。
ラクスが部屋を出て、キラたちのいる場に来たことがきっかけで二人は話すようになる。
彼女に感謝されたキラは「僕も、コーディネイターですから」と言うが、ラクスは「そうですか。でもあなた(キラ)が優しいのは、あなただからでしょう?」と返した。
しかし、アークエンジェルと合流するはずだった地球軍第八艦隊の先遣隊とクルーゼ隊の戦闘が行われていた事から状況は一変。父を死なせまいと形振り構わないフレイが彼女をブリッジへ連行。結果として、彼女は「人質」という形になるが、キラは無断で彼女をザフトへ還す決意をする。
因みにラクスがアークエンジェルに滞在していた期間は、キラがラクスの脱出ポッドを発見及び保護した2月3日からザフトへ還した2月8日の約1週間である。
ラクスの誕生日は2月5日のため、彼女はアークエンジェルの中で17歳になった。
その後、アスラン・ザラとの会話でキラの話題になった際、「私、あの方好きですわ」と発言。
再会と新たな旅立ち
仲間であるニコルを殺されたアスランに友達であるトールを殺されたキラは遂に、互いに本気の殺し合いまで発展してしまう。
エネルギー切れからストライクにしがみ付き、イージスを自爆させたアスランは脱出。キラはセーフティーシャッターが閉じたことから助かり、ASTRAYの主人公:ロウ・ギュールの手によって、マルキオ導師の元へと運ばれた。
ラクスから聞いていた導師は秘密裏にプラント・クライン邸へと移送、漸く目が覚めたキラの目の前にラクスが現れるのだった。
アスランと戦ったことをキラはラクスに話す。
「どうしようもなかった。僕は彼の仲間を殺して、アスランは僕の友だちを殺した。だから……」そう語るキラに対して「あなたはアスランを殺そうとしたのですね。そして、アスランもあなたを。でも、それは仕方のないことではありませんか? 戦争であれば。お二人とも敵と戦われたのでしょう? 違いますか?」と問いかけた。
穏やかな場所で傷ついた心と身体を癒すキラ。そんな最中、発動されたオペレーション・スピッドブレイクの目標がパナマではなく、アラスカであることを知る。
仲間と友人たちの死の危機に、遂にキラは再び起つことを決意する。
「僕たちは何と戦わなきゃならないのか、少し、分かったような気がするから」
「あなた(キラ)お一人戻ったところで戦いは終わりませんわ」という問いに対する己の望む「応え」を返したキラに自分も動くことを決意したラクスはフリーダムガンダムを託すことを決意し、キラの頬にキスをした。
ラクス出撃
フリーダム奪取とスピッドブレイクの失敗を繋げたパトリック・ザラはクライン父娘の捕縛(抵抗する場合も射殺も止む無し)と共にクライン派の更迭を命じる。
潜伏しながらもプラントの市民に平和を説くラクス。
同じく潜伏していた父・シーゲルの死とアークエンジェル(=地球軍製)のシャトルで戻ってきたアスランの件からラクスはプラントからの脱出と本格的に動くことを決める。
アスランを救出し、エターナルでプラントを飛び出したラクスたちは、アスランの護衛にと近くで潜んでいたキラに助けられ、共にL4コロニーへと向かう。
父を喪った哀しみから抱きつき、涙するラクスをキラはそっと抱きしめる。
キラの出生の秘密
コロニー・メンデルのラボでラウ・ル・クルーゼから聞かされた己の出生の秘密と立て続けに行われた三つ巴の戦闘とフレイと戦場で再会してしまい救出出来なかった件で心身共に疲弊し、意識を失ってしまうキラ。
目覚め、「泣かないと決めた」と傷付きながらも涙を我慢するキラの虚勢に気付いていたラクスは、
「泣いて、良いのですよ。だから、人は泣けるのですから」と優しく諭す。
スペシャルエディション版及びHDリマスター版では、己の出生の秘密を話し、「僕は、なんだったのかな? 生まれてきちゃ、いけなかったのかな」と葛藤し、胸の内を静かに吐露するキラに、
「昔、母に言われました。
世界は貴女のもので、そしてまた貴女は世界のものなのだと。
生まれ出てこの世界にあるからには、と。
貴方を見つけて私は幸せになりました。
貴方にいてほしい。私は」
と今の己の気持ちを素直に告げる新規シーンが追加された。
この時に触れていた指輪が、最終決戦時にキラへと託した母の形見の指輪だという伏線が追加もされている(本放送時は突然の指輪描写であったため)。
最後の戦い
フレイから齎されたNJキャンセラーの情報から核を再び放った地球軍に対し、ザフトは報復にジェネシスを発射。互いに殲滅戦へと発展してしまう。
核とジェネシスを防ぐ為、キラたちは動くことを決める。
『何か』を決意したキラに不安を隠せないラクスは、母の形見である指輪をキラに預け、
「帰ってきて下さいね。私のもとへ」と告げた。
キラはそれに対して何も言わず、ラクスの頬へキスをした。
EDテーマ
第1,2クールEDテーマである、See-Sawの「あんなに一緒だったのに」の映像はメインキャラクターを横スクロールで映してしていくものなのだが、1番目がキラで最後がラクスになっており、最初と最後を繋げると、2人が見詰め合っている構図になっている。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
オーブで過ごす2人と始まり
第1次連合・プラント大戦後、マルキオ導師のもとで心を摩耗したキラの身を案じながら、孤児たちと過ごしていた。
ブレイク・ザ・ワールドでマルキオ導師の家が流されたため、オーブ本土に移り住んだ。
しかし、夜更けにコーディネイターの特殊部隊が強襲。
部隊の目的が己の暗殺だったことから、議長に疑念を抱くことに。
このときのラクスは、大切に想っているキラを再び戦いの道に送るだろうことに、年相応に躊躇いと葛藤を見せており、それをキラが抱き締めて諭すという珍しいシーンとなっている。
AA潜伏期
スカンジナビア王国の伝手を頼り、AAで潜伏した面々は、プラントに己の偽物がいる事からますます、デュランダルへの疑念を抱く。
ラクスは情報を得るため、プラントの様子を見てくるとキラに告げ、驚きラクスの身を案じて反対するキラを優しく諭す。バルトフェルドと搭乗したシャトルを墜とされる危機に陥るが、駆け付けたキラによって救われる。キラはやっぱり心配だから一緒に行くというが、ラクスにマリューやカガリらはどうするのかと押しとどめられ、それでも納得できなかったが、ラクスとバルトフェルドに説得され、折れた。
そしてキラは宇宙に向かって行くシャトルを切なげに見送った。
DESTINY PLANとストライクフリーダム
メンデルで得た議長が目指そうと画策している「DESTINY PLAN」を知ったラクス達だが、メンデルを見張っていた部隊に発見、攻撃を受ける。
ファクトリーに協力してくれていた人々と新たな機体、そして新しく得た情報を守るため、地球の軌道上まで逃げるエターナル。その危機をターミナルからの連絡で知ったキラはストライクルージュを借り、駆けつけるのだった。
久し振りの逢瀬と互いの無事に喜び抱き合う2人。
シンとの戦いでフリーダムを失い、無力を感じていたキラにラクスは新たなる剣としてストライクフリーダムを託すのだった。
「ありがとう。これで僕はまた、ちゃんと戦える。僕の戦いを」
「キラ」
「待ってて、すぐに戻るから。そして帰ろう、みんなのところへ」
「はい」
ミーアの死
ラクスがオーブ攻防戦後にカガリと共に表舞台に立ったことでミーアは議長から身を隠すよう命じられたのだった。自分の立場の危うさに不安を駆られ、また、『ラクス・クライン』であったことへの充実感が忘れられず、本物を闇に葬り、成り代わろうとしたミーア。
しかし、「自分は自分以外の何者にもなれはしないこと」「『夢』を他者に利用されてはならないこと」を説かれ、涙する。
しかし、直後に監視役だったサラの凶弾からラクスを庇い、息を引き取るミーア。
彼女の付けていた記録を読んだラクスは、先の対戦の後、自分が表舞台から逃げたことが彼女を死に追いやってしまったとキラの腕の中で後悔の涙を流す。これが、彼女がオーブとプラントの戦いの後にプラントへと戻る決意をした1つの要因になっている。
共にプラントへ
キラもラクスと共にプラントへと身を置くことに。
キラはザフトの白服を身にまとい、ラクスは議員の1人となる。
アスラン「ラクスを困らせたり泣かせたり、それこそ害を為そうとする者なんかがいたりしたら、キラは完全に怒るからな! そうなったらもう、手に負えないから覚悟しろよ!」(DESTINY後のドラマCD「OMAKE quarters」Vol.3より)
戦火を越えて平和を掴み、二人は幸せになれるのか…?
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
C.E.75、戦いは未だ続いていた。ラクスは世界平和監視機構コンパスの初代総裁に、そしてキラはコンパス所属のMSパイロットとしてライジングフリーダムガンダムを駆って戦争の根絶と平和な世界の構築を目指していた。
そんな中、新興国家ファウンデーションからブルーコスモスの本拠地に対する共同作戦を提案されたコンパスの面々はファウンデーションへと赴く。
オルフェ「その血塗られた手で彼女の手を取るつもりか?」
グリフィン「闇に墜ちろ、キラ・ヤマト」
SEEDシリーズ完結編となる今作では二人に試練が訪れる描写がある。
ただ平和を望み、寄り添い合って生きたいキラとラクス。しかし、運命がそれを許さない。果たして二人は運命を乗り越えて自由を掴み、願いを叶えられるのだろうか…?
ネタバレ注意
本来ラクスが結ばれるべき相手は、キラでも元の婚約者のアスランでもなく、オルフェであり、ラクスはオルフェたちブラックナイトスコードと同じくコーディネイターを超える超越種アコードである事が判明した。デスティニープランに従い貴女は自分と結ばれるべきだと主張するオルフェに対して、ラクスは戸惑う。
一方、キラたちは機体と母艦を失いながらも、秘密裏に行動していたアスランの救援で窮地を脱しオーブに生還した。その後、黒幕の正体とその目的を知り、その場に居合わせた者達はラクス救出のために動き出す。しかし、キラは「ラクスが(こんな自分に愛想を尽かして)裏切った」と思い込んでしまうほど、心は既に折れてしまっていた。
そんな姿を見かねたアスランに殴られ、これまでの溜まっていた不満などが爆発したキラは、普段なら言わない暴言まで吐き出しながら反撃するも、元々軍人として訓練を受けていたアスランにボコボコにされる。そして、殴り倒されたキラは涙を流しながら本音を漏らす。
キラ「ラクスに……会いたい」
そして自分の思いに向き合い、アスランとマリューに諭されたキラは、俺たちでラクスを助け出そうとアスランから差し出された手を掴み再び立ち上がる。
その一方、運命を受け入れろというオルフェに対して、ラクスは「自分が愛しているのはあくまでキラ」だと言って拒絶する。
ラクス「必要だから愛するのではありません。愛しているから必要なのです」
オルフェは「キラは死んだ」とラクスに言うが、ラクスはキラの生存を信じていた。苛立ったオルフェに危うく暴行されかけてしまうが、
「力で人を従えても心はけっして従えることはできません。何をされても私の中からキラを消すことはできません」と言い切るラクス。
結局、オルフェは手を出すことは出来ずその場を去る。そのまま監禁され続けるラクスだが、キラが仲間と共に救出にやってくる。イングリットに拘束されてしまい、「それ以上近づいたら彼女の両目を潰すわ。喉を切って歌えなくしてもいい。歌えなくなった彼女をあなたは愛せるの?」とキラに問うイングリット。
キラ「ああ。目が見えなくなっても、歌えなくなっても、ラクスはラクスだ。その全てを僕は愛している」
どんなに変わり果てようとも自分を愛すると躊躇わず言い切ったキラへの想いが募り、ラクスはイングリッドの拘束を振り切ってキラの胸に飛び込んだ。
ラクス「愛しています。私も」
2人が愛の言葉を交わしたのはこれが初めてである。
その後、ラクスはミレニアムに保護されるが、キラの力となるべく最終決戦中に急遽完成したプラウドディフェンダーに乗り込んでキラの元へ急行する。
一方、ラクスをアスラン達に託したキラは、ストライクフリーダムガンダム弐式に乗って戦場へ向かう。
そんな彼のもとにエルドアの戦いで自身を倒したブラックナイトスコードシヴァとオルフェとイングリットが操縦するブラックナイトスコードカルラが立ちふさがる。
キラ「だけど、僕にも武器がある」
オルフェ「何だそれは?」
キラ「ラクスの愛だ!」
ラクスの愛を胸に戦うもMSの性能や相性、戦力の差は大きく、武装の大半を失い、機体はオーバーヒートを起こし、ついにフェイズシフトもダウンしてしまう。
絶体絶命の中、ラクスが乗るプラウドディフェンダーが到着し、ストライクフリーダムガンダム弐式とドッキング、マイティーストライクフリーダムガンダムへと強化させる。
ラクス「私の意思はあなたと共にあります。幾久しく、よろしくお願いします。」
マイティーストライクフリーダムガンダムのコクピットにやってきて、何があろうとも自分はキラの隣にずっといるとキラに告げるラクス。
ラクス「人は必要から生まれるのではありません。愛から生まれるのです」
キラ「僕は自分の手で未来を選ぶ!」
2人で力を合わせ、ブラックナイトスコードカルラを撃破した。
その後はオーブの海岸に降り立ち(パイロットスーツを脱ぎ捨てており、全裸になっている(強めの逆光でぼかされているが、公式音声ガイドによれば裸で間違いないようだ)。二人は口づけを交わす。こうして、未来への希望を感じさせながら二人の物語は幕を閉じた。
余談
- ラクスとオルフェはお互い無条件で惹かれあう様、遺伝子レベルで設計されて生まれており、初対面の段階からラクスがキラにあれだけ惹かれたのはオルフェに似ていたのもあるかもしれないとのこと。
- 監督によると「キラとラクスの邸宅、吹き抜けの2階のフロアが寝室で大きなダブルベッドが置いてあります。セキュリティもあってプラントのシャフト部の超高層エリアにあります。ここの家、2人の心情を表す意味で、2人の身の丈に合っていないというコンセプトで発注しました。2人に合っている生活は、多分SEED後の棲家。」との事。(福田監督のXより引用)
- また監督はラジオで、ラクスがアコードって判ったらアイツ大変だよ。殺されかけるよ。と言及しており、そういった事情もあり映画のラストシーンでキラが仲間たちの元ではなく二人でオーブに向かったのは曰く「とっとと地球帰っちゃったのは生死不明にしようと思って。」との意図があったことが言及されている。
- この後二人は、とりあえず引退とかはないだろうけど(何を引退?)、少しだけ休ませてあげたいなとは思いました。ただ多分またフリーダムはアカツキ島地下で修理と改修を受けるだろうし、孤児院とは別にあるアスハの別荘とかで二人で静かに羽を休ませていそう。(福田監督のXより引用)
今回の一件を通して互いの愛をより強固なものとし、仲間との信頼と絆も深めた二人はこの先どんな試練が訪れたとしてもそれを乗り越えて共に生き抜いていく事だろう。
キラは直接遺伝子操作された第一世代コーディネイターであり、アコードも全員が直接遺伝子操作を施された第一世代相当のコーディネイターなので、ラクスとキラは子どもを作れる。
おめでとうございます。
東屋でラクスとオルフェの接触による感応で出てきた過去の光景の一つにあるものがあった。
ヴィア・ヒビキがキラとカガリをヤマト夫妻に託した後に、キラとカガリを連れていたヤマト夫妻が、赤子の頃のラクスとクライン夫妻にすれ違う形で遭遇しているというもの。
更に、小説版ではあらゆる意味でキラを生み出したユーレンと、ラクスを創ったアウラはライバルであったこと、アコードの中でもラクスは最高傑作であったことが判明した。
- まさか自分達の最高傑作がメンデルでの出来事を知らずに出会い、結ばれるとは当時の2人は思いもしなかったであろう。
関連イラスト
SEED
DESTINY
スペシャルエディション,ファイナルプラスなど
FREEDOM
関連タグ
機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEED DESTINY機動戦士ガンダムSEED FREEDOM キラ・ヤマト ラクス・クライン NL 公式カップリング ピンクと青
ロウ・ギュール:実は、ユニウスセブンでラクスがポッドで脱出に成功したのも彼のお陰だったりするのだが、惜しいことに本人達はその「縁」を知らない…
バツファリ:中の人が同じカップリング。