概説
ニンジャ、サムライ、ゲイシャ、スシ、テンプラ、ハラキリといった日本の伝統文化が曲解・誇張されて登場するのが古典的なスタイルである(ウィザードリィに登場するヌンチャク、ポリスアカデミーに登場した「ヨガ・ベッド」のように勘違いされた他の東洋諸国の文化が混入することもある)。
第二次世界大戦に由来するカミカゼ、戦後の高度経済成長期やバブル時代に由来するジャパニーズ・ビジネスマン、21世紀日本の象徴オタク、ゴスロリなども登場する。
特に映画(何と007シリーズにも勘違い日本が登場したことがある)上に最新作でもその要素があり、アメリカンコミックにも頻繁に登場するが、天外魔境シリーズ、パラダイス・フリートのように日本の作品でも描かれることがある(天外魔境シリーズは和風だけど日本じゃないという設定があるため、日本とは似て非なるものという意味合いがある)。
勿論、マジで勘違いしている物も多いが、近年では敢えてB級感や安っぽさを演出するためにこの表現を用いた作品も存在する。キル・ビルやニンジャスレイヤーなどがこのタイプの代表例と言える。
2000年代に入ると考証を重要視する風潮もあり、予算や製作期間に余裕をかけられる映画作品では日本人コーディネーターの起用や綿密な取材等により、多少の勘違いはあっても流石に昔ほど激しいものは無くなってきている。
しかし、低予算映画や海外ドラマでは未だに凄い勘違いがあったりするので、興味のある人は調べてみると良い。
また、昨今のハリウッド作品ではむしろ勘違い日本がメインターゲットであるアメリカ人にウケる為にわざとやっている作品も多い。
一般人の間ではまだまだ健在。インターネットの普及でオタク文化が世界に広まった一方、日本語の習得困難さのため様々なイメージが作られた。DeviantARTには海外絵師の考えた日本像が多数投稿されている。
ことにニンジャなどは深刻で、どこをどうしたのか分からない思考を経た結果、本物の忍者が頭を抱えるほどの勘違いニンジャと化した忍術道場が存在しバラエティ番組で取り上げられたこともある。おそらくフジキドですら頭を抱えて立ち去るであろう。
勘違いからわかることは、異なる文化を理解することは簡単なことではない、しかしそれを各々が必死になって自分の知識や経験で理解しようとしている姿なのである。
よくありがちな勘違い
より詳しい例は下記の外部リンクを参照されたし。大体はこんな感じである。
- いまだに武家社会で帯刀が当たり前。サムライも忍者も当然のようにいる、もしくは日本の特殊部隊や秘密結社としてニンジャが扱われる。
- アクロバットを使う剣道
- みんな着物を着て歩いており、帯もバカボンのように異常に高い位置で巻いている。
- 室内に鳥居、金屏風、日本刀が立っている。そして赤色以外の鳥居が無い。
- 掛け軸の文字が微妙に間違えている、または完全に意味不明の文字列となっている。
- 中国と日本を混同している
- 文字がどこかおかしい
- フォントがシステムフォントみたいなやつになっている。
- 音引(伸ばし棒のこと)が縦書きでも横向きになっている。
- 文字が左右反転している。
- 漢字とひらがなとカタカナがへんてこに入り混じった、全く意味の無い言葉になっている。
- 日本のどこにいても富士山が見える。
- いついかなる時でも食事が寿司。
- 高級料亭では料理は全て女体盛りで供される。
- 日本酒と緑茶以外の飲料が全て廃れている。
- ビジネスマンは七三分けで出っ歯に黒縁眼鏡。
- ジャパニーズマフィアの戦闘能力がスーパーヒーローと対等に渡り合えるほど高い。高確率で人身売買に関与している。
- 挨拶に軽い会釈という概念が存在せず、全て深々とお辞儀。
- 休日は墓場でピクニック。
- 電車はみんな走ルンですシリーズ。新幹線は0系と700系しかない。
- 外が暗く、常に桜が咲いて雨が降ってネオンが光っている。
- みな働きすぎなほど働いている
- 小声でボソボソ話す(蠅に例えられる)
- 女性が男性に遜っており、男性優位社会
- 中国人や韓国人風の吊り目であることが多い。
日本人による類似の勘違い
勘違いアメリカ
天外魔境_第四の黙示録、妖怪ウォッチ3、メタルウルフカオスではこれをパロディにした「日本人の目から見た間違ったアメリカ」が舞台になっている。このように勘違い日本のパロディとしての間違った他国観も近年では登場している。
勘違いアメリカというよりは勘違いテキサス、勘違いインディアン(全てのインディアンはウォー・ボンネットを着用する、などといったもの。
恐ろしいことに現実に影響を与え、ウォー・ボンネットの習慣がなかった部族が(観光収入目当てで)ウォー・ボンネットを着用するようになったりしている)といった類のものが良く知られる(ただし日本作品よりもアメリカ白人による西部劇の影響の方が強いだろうが)。
創作における描写ではないが、「アメリカ人であれば誰でも筆記体でカッコよくサイン出来る」という思い込みも典型的な勘違いアメリカである。アメリカは州や地域ごとの教育格差が酷く、このようなことは決してあり得ない。
また戦後日本にテレビが普及してすぐのころ、需要に対して供給が追いついておらず、アメリカからアメリカで製作したドラマを輸入し放送していたこともその一因であるといえる。
(日本ではまだ生中継が主流だった。)
このドラマに出てくる登場人物は
「金髪碧眼の白人、一戸建ての住宅に住み、みな陽気な性格、父親は外でバリバリ働きながらも家族を支え指導し、母親は美しく家事に万能」であり、未だにアメリカ人にこういったイメージを持つ日本人は一定数いる。当然、今はこういったドラマは放送されていない。
勘違い韓国
財閥を解体しなかったことを原因とする社会腐敗・受験戦争に至るまで様々。
国家運営そのものへの批判に関しては韓国社会を参照。
勘違い中国
意外と古くからある勘違い他国観。
要するに中国人は協和語(~アルよ)で話し、全員カンフーを習得していて、若い女性は常にチャイナドレスを着ているという類のもの。辮髪の習慣も漢族自身のものであると誤認されることが多い(本来は清朝時代の支配民族・満州族に強要されたもの)。
1970-80年代の作品に多く、代表格と言えば『魁!男塾』(民明書房)だろう。
西洋でも「ノックスの十戒」に「ミステリーに中国人を登場させてはならない(トリックの種明かしに「中国人なら可能」を使ってはならない)」という一文が存在する。
勘違いインド
これも日本に古くから存在する誤った他国観。
つまり、インド人男性は常にターバンを着用して立派な髭を蓄え、また女性は常にサリーを着用し、3食カレーを食べ、暇さえあればヨガのポーズで瞑想しているといった類のもの。
実際にはターバン姿の男性は「シク教徒」と言われる人たちで、インドの中では少数派である。
またインド人=超能力者、魔術師といったイメージも存在するが、これは芥川龍之介の短編小説『魔術』の影響もあるのではと推測される。ただし褐色肌の額にドット模様(ビンディー)を付けた、ときに超能力を使う神秘的な少女はだいたいアレのせいか。
また、3食カレーを食べるのはインドではなくバングラデシュである。
インド国内ではこのような勘違いインドは勘違い日本と違ってあまり受け入れられておらず、それが原因で炎上する場合も。
勘違い中世ヨーロッパ
日本ではファンタジーRPGや小説家になろう等の影響が強いため発生する。
詳細はナーロッパの外部リンクを参照。
勘違いスペイン
近年では是正されつつある誤った他国観。
サグラダ・ファミリアは現地では特別視などされておらず、闘牛は動物愛護やカタルーニャ州のスペイン本国からの独立気質などから禁止され、牛を傷つけない競技に変更されている。
勘違いフランス
上記スペイン同様に、フランスは皆ベルサイユのばらみたいな高貴な感じという誤ったイメージ。最たる例は『機動武闘伝Gガンダム』のジョルジュ・ド・サンドである。
勘違いイギリス
これに関しては上記2国に比べれば多少マシである。しいて言うなら、イギリスはスパイ大国で、魔法省があって、食事がまずくて、女性はみんな不思議の国のアリスみたいな外見で、男性はみんなステッキをついている、くらいであろうか。
ただし、誇張表現染みた紅茶への執着に関しては本当だったりする。
勘違いロシア
未だにソ連のイメージが抜けきれておらず、男はヒゲマッチョで女は雪女のような美女(ただし中高年はみんなゴツい)みたいな誤ったイメージが多い。一般的に日本人がイメージしやすい「ロシア人っぽいロシア人」はスラヴ民族と呼ばれる多数派の民族であるが、ロシアはその広大な面積から想像がつく通り多民族国家であり、スラヴ民族は国民の3/4程度である。残りは中央アジア系の人たちが多く、日本でロシア文化の代表みたいな扱いのコサックダンスはウクライナのコサック族の伝統芸能(源流はモンゴル族)である。
あと、何かとつけて「ハラショー!」などの単語を言う。
色白なのも冬場は氷点下二桁に達するのが日常で海が凍る事もままあるレベルであり、ほぼ外出しなくなる以上無理はない事だが、ぶっちゃけロシアに限ったことではない。
勘違い中東
中東問題への興味・関心の薄さが原因にあり、地域全体をひっくるめてしまう勘違い。
中東の国家はどこもイスラム教の戒律が厳しくて、アメリカと対立していて、石油王が幅を利かせているという思い込み。
勘違いアフリカ
これも日本に古くから存在する勘違い。
黒人しか存在しない、虎を始めとした全ての猛獣はアフリカに生息するなどといったものが主。人食い人種が住んでいる、未だにガラス瓶等の文明の利器を知らない、等の「未開の地」なイメージが多数。
勘違い北極と南極
基本的に北極と南極の区別が付かないと言うものが多い。
代表例は北極にペンギンが登場したり、南極に白熊(ホッキョクグマ)が登場すると言うものや、「北極大陸」と言う存在(北極は氷が浮いているだけで陸ではない)。
また勘違いではない、「設定自体が荒唐無稽な創作物」も存在している。
勘違い宇宙
創作においては、地球外の天体すら誤った解釈をされることがある。
勘違い火星
「火星」という字面だけを捕らえ、暑い惑星なのだろうというステレオタイプ。(実際は平均気温-43℃の氷の大地)
勘違い木星
ガス惑星であり、現実的に移住することが不可能であることを知らないというもの。
ラップ『未来世紀日本』など、やはり荒唐無稽なSFではよくある。
勘違い海王星と冥王星
定期的に並び順が交代してしまうため、惑星の並んでいる順番がどちらが先であるか分からないという話。
後に、そもそも冥王星を惑星と定義すること自体が誤りであるという最新の学説により、この問題はほぼ解決された。
勘違いアンドロメダ銀河
銀河系のそばにあるということしか知らず、フィクションのイメージしか持っていないというもの。
宇宙大シャッフルの存在も大きいか。
現実世界における勘違い日本
欧米人が自国に日本文化を移植した結果や新興国の商人が日本製品の偽物を作った結果、勘違い日本的現象が発生することがある。
編者がミラノに行った際の体験談を記すると、スーパーに売っていたおつまみのSUSHIパックには本邦同様に三段階のグレードがあり、何故か下からOOSAKAとKYOTO、そしてNARITAだった。
……恐らく東京は銀座や新宿など中心部が分かりづらかったため、空港のある成田にお鉢が回ってきたのだろう、千葉だけど。ていうかこれも全部OEDO(お江戸)にすれば解決したのでは……?
勘違い都道府県
また、日本人が自分の居住地以外の地方について間違った地方観(コッテコテ芸人まがいのヤクザもんがはびこる大阪、工場でガンダムが製作されている静岡、高菜とラーメンしか思いつかない博多、人外魔境の戦闘民族の土地薩摩などが対象になりやすい)を抱いていることもままあるが、これは勘違い日本とは呼ばれない。
⇒勘違い都道府県へ。
関連タグ
ブレードランナー 大江戸ファイト モータルコンバット ワンダホー・ニッポン
FUNK_FUJIYAMA-プロモーションビデオが勘違い日本大爆発である。
闘う日本人-主として戦後すぐから高度経済成長期、バブル期までの様々な事物が歌われている。
エドモンド本田-SUMOUの代名詞(MUGENのSUMOUでは理不尽判定が罷り通るため、真っ当に格ゲーをしているエドモンドは扱いが悪いが)。なお海外の漫画では化粧まわしがモロにアレな事も。
3×3Eyes-ムエタイの試合に出場した藤井八雲のリングネームがソニー・本田と、エドモンド本田風である。
バック・トゥ・ザ・フューチャー-パート2の未来(2015年)でのマーティの日系人上司の名前が「イトウ・フジツウ」。
仮面ライダーレーザー/ギリギリチャンバラガシャット-勘違いSAMURAIと言える。
忍者スーパー戦隊-スーパー戦隊における勘違い日本の代名詞。なおニンジャブラック・ジライヤを演じたケイン・コスギの父親はNINJA(勘違い忍者)映画の大御所ショー・コスギである。
リチャード・ブラウン/シンケンブラウン-侍戦隊シンケンジャーへの弟子入りを希望したアメリカ人のゲストキャラ。
腹切都市-ケント・ギルバート主演の短編ドラマ。勘違い日本の要素をこれでもかと詰め込んだ意欲作で、未だに間違った日本文化を信じている外国人サラリーマンがそんな非常識やステレオタイプが罷り通っているNIPPONへ転勤する物語。ちなみに監督は円谷作品で活躍した実相寺昭雄。
ワノ国-ONEPIECEに登場する勘違い日本モチーフの国。ヒヒや狛犬がいる。
西村喜廣-井口昇や園子温監督作をはじめとした、勘違い日本映画作品の美術を担当する、自身も映画監督である特殊メイクアップアーティスト。