その出会いは“おいしい”奇跡の始まり・・・。
概要
『レミーのおいしいレストラン』とは、2007年に公開されたピクサーの長編アニメーション映画である。原題はRat（ネズミ）をかけた『 Ratatouille 』。
2008年のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞受賞作。
ピクサーの長編としては初となる動物が主人公の作品。キッチンの厄介者として扱われるネズミが料理人を目指すという奇想天外なストーリーに、クリエイターやアーティストへのエールを込めた温かい“一皿”となっている。
レストランを主な舞台とするため、観ているとお腹が空いてくる。
作品解説
監督は『アイアン・ジャイアント』や『Mr.インクレディブル』を手がけたブラッド・バード。
当初はヤン・ピンカバが監督として制作されていたものの、経験上の懸念からヤン・ピンカバが降板。監督を引き継いだブラッド・バードは公開まで残り期間20ヶ月という状態から、出来上がっていたキャラクターデザインや脚本を大幅に改訂し（当初レミーはミッキーマウスのように戯画化されたデザインだった）、そのうえで完成させた。
製作スタッフは作品のリアリティを高めるためフランスへ飛び、レストランの料理を食べ、厨房を見学し、さらにはフランス料理の講習まで受けたという。
あらすじ
レミーは今は亡き天才シェフ・グストーに憧れて、フランス料理のシェフになることを夢見る”ネズミ”。しかしながらレストラン、しかもその心臓部であるキッチンにおいてネズミは招かれざる客であるため、かなわぬ夢であった。
ある日、彼は嵐の中で仲間達と離ればなれになり、生まれ育った田舎から独り、華の都パリにたどり着く。途方に暮れる彼の前に現れたのは、憧れのシェフ、グストーの幽霊。幽霊はレミーを自分のレストラン《グストー / Gusteau's》へと導く。
そこでレミーは、見習いシェフとしてやってきた冴えない青年・リングイニと出会い、ひょんなことからタッグを組むことになる。
登場人物
- レミー
CV: パットン・オズワルト / 岸尾だいすけ
パリから離れた郊外の小さな家に、父親や仲間と一緒に居候していたネズミ。ずば抜けた味覚と嗅覚を持ち、人間の会話を理解できる。家にあったレシピ本を愛読しており、グストーのモットーに感化される形で料理人を志していた。
家主に居候がバレたために大脱出した一族からはぐれ、単身パリへと流れ着き、憧れの《グストー》で目撃したリングイニの大失態を見兼ねて厨房に忍び込む。
人間には言葉も名前も通じないため、専ら「リトル・シェフ」と呼ばれる。
- アルフレード・リングイニ
CV: ルー・ロマーノ / 佐藤隆太
パリにある“五つ星”レストラン、《グストー》で雑用係として働くことになった、どんくさい若者。グストーと親しかった亡き母の紹介状を携えており、後の鑑定でグストーとの間にもうけた息子であることが判明する（グストーが認識していたかは不明）。
自身が台無しにしたスープを極上の一品に仕上げ直したレミーの腕を見込んで協力を提案する。レミーに髪の毛を引っ張られることで体が勝手に動く妙な体質で、彼自身には料理の才能があるとは言い難い。特技はローラースケート。
- オーグスト・グストー
CV: ブラッド・ギャレット / 有川博
劇中では故人として登場する。かつては最年少で五つ星を獲得したレストラン《グストー》のオーナーシェフであったが、評論家のイーゴから四つ星降格の酷評を受けた直後に他界、さらに料理界のしきたりで店はもう1つ星を失い、三つ星となってしまう。
彼の遺言で死後2年は店の所有権が動かせない事になっているものの、商魂たくましいスキナーによって店の格が落ちるのも時間の問題だった。
度々彼の幽霊がレミーに助言をしているような描写があるが、「私は君の妄想だ」と語るように「グストーシェフならどうするか」というレミーの思考がグストーの形をとっているだけで、レミーの知らないことは幽霊のグストーも知らない。
- スキナー
CV: イアン・ホルム / 浦山迅
《グストー》の現・料理長。冷凍食品に魂を売った金儲け第一主義のシェフ。暫定オーナーとしてゆくゆくは《グストー》の乗っ取りを狙っているため、グストーの実子である上にレミーの操縦で注目の若手料理人となった、店の後継者候補のリングイニを邪魔に思っている。
- コレット・タトゥ
CV: ジャニーン・ガラファロー / 甲斐田裕子
《グストー》では唯一の女性シェフで、役職はロティシュー（焙り物、揚げ物の担当）。料理人としての実力は高く、リングイニの指導係を受け持つことになる。美人ではあるが、男社会に揉まれて気が強く、凡庸で素直なリングイニに親しみを覚えるようになる。
- アントン・イーゴ
CV: ピーター・オトゥール / 家弓家正
パリで最高の権威を誇る料理批評家。彼の評価によって潰れたレストランや失業したシェフは数知れず、痩身で血色の悪い見た目もあってか「食べる死神」という異名を持つ。ポリシーは「愛せる料理のみ口にする。愛せない料理は喉を通さない」。
レミーの活躍で名声を取り戻しつつある《グストー》に再び足を運び、リングイニの腕を見極めようとする。
- ジャンゴ
CV: ブライアン・デネヒー / 麦人
レミーの父。害獣扱いされる一族を人間の脅威から守るため厳格で、人間の食文化にかぶれる息子を気にかける。
- エミール
CV: ピーター・ソーン / 茶風林
レミーの兄。ぼんくらで力持ち。栄養になるものなら味は気にせず口に放り込む、ネズミとしてはごく一般的な感覚の持ち主。
関連イラスト
↑こちらはディズニーとピクサー(と映画)のタグが最古である記念すべきイラスト。
