りんね「ケミーの掟、『人の悪意に触れさせてはならない』」
宝太郎「悪意…確かに感じる。最悪にドス黒い……」
概要
『仮面ライダーガッチャード』に登場する怪人。
奇跡の人工生命体・ケミーが人間の悪意と結合する事で誕生する存在。
錬金術師の間では「悪人とケミーを接触させてはならない」という掟があり、悪意に触れてしまったケミーは意識を失い、取り込んでしまった人間は膨れ上がった欲望のままに暴走してしまう。
この点についてはガッチャードの先行登場作品となる『4人のエースと黒狐』でも一ノ瀬宝太郎が言及している(本人曰く、「錬金術師内での決まり」とのこと)。
公式の設定ではケミーが暴走した姿として説明されているが、実際には悪意を持った人間や錬金術師が都合の良い道具として利用している状態で人に危害を加えるのはケミーの意思ではない。
劇中では主にカードから解放されたケミーを包帯で拘束するように人間が取り込み、黒い霞に包まれながらマルガムへと変貌している。
この性質はケミーがライドケミーカードに封印されていても変わらず、原理さえ理解していれば簡単に変異出来てしまう。
通常は悪意を持った人間にケミーが引き寄せられる事で偶発的に誕生するが、冥黒の三姉妹が手近な戦力として悪用する事もある。その場合、メンバーのクロトーやラケシスは「暗黒に染まれ」という掛け声と共にケミーを取り込み、結合する。
この為、当初は事態を静観していた三姉妹だったが、彼女達のボス的存在であるグリオンからそれだけでは効率が悪いと急かされて、第5話からは意図的に悪意のある人間に接触しマルガム化を促すようになったため、悪意とは程遠い人間からも生まれる危険が示唆されている。
性質
ケミー側の意思は完全に喪失しており、憑依された人間の意識は残っているものの、悪人であるため対話による説得は不可能。更にマルガムはケミーによって自分が超常的な力を得たと理解しているため、例え一時的に切り離したとしても自らの具現化した霞のような悪意を使って再度融合を果たす等切り離すには完全に撃破する必要がある。
厄介な点として、マルガム化した人間は自分の体内にケミーを封じ込めることが可能であり、元の姿と自由に切り替えることが出来る。
一度撃破したとしても、別の悪意ある人間に憑依して復活を遂げたり、ケミーを封印しても冥黒の三姉妹以外の特性を理解した人間が悪用してマルガム化するケースもある。
基本的に人間が変異した銀色の素体に具現化したケミーが覆い被さるような姿となっており、二人羽織を思わせる姿をしている。基本的に素体の両腕はミイラのように交差しているが、個体によっては二肢として遜色なく動かせたり、装飾を無理やり押さえ込んでいる様な異質な形態の者もいる。
上半身は元になったケミーを象徴する装飾が銀色の包帯が結束バンドのように固定されているが、ポピュラーなモチーフでもイメージとかけ離れた配置をした尊厳破壊じみた見た目をしており、さながら「錬成に失敗したホムンクルス」「異なる物質を強引に繋ぎ留めた出来損ないの失敗作」を連想させる。
取り込んだケミーの要素を拡大解釈した武装や能力が基本となる他、変異した人間のメンタリティーを強化する性質を持つ。その習性によっては新たな力が追加されることもある。
なお、マルガムが誕生するのはあくまで悪意を持った人間とケミーが接触した場合であり、人間とケミーが融合したからといって必ずしもマルガムになってしまうわけではない。
例えばレスラーGはタッグパートナーである旭光一郎に取り憑いてアサヒGとなり、ガッチャードと共闘している。
またレプリケミーから錬成したマルガムはオリジナルのケミーから誕生したマルガムよりも少し性能が落ちる模様(それでも驚異なのは変わりない)。第27話では、グリオンが暗黒の力を与えたことで仮面ライダーマジェード、仮面ライダーヴァルバラドを一時的に足止めできるほどまで引き上げられている。なお、その際の容姿は下記の黄金のマルガムと同一。
ミクスタス
ラケシスやクロトーが使用する特殊能力の一つ。通常のマルガムは一人につき一体が限度だが、複数のケミーを取り込むことで強化することが可能となる。
ラケシスは同じ属性のケミーを複数に飲み込むことで戦闘力を高めた一方で、クロトーは強化されてもなおガッチャードに勝てなかった憤りから同属性やガッチャンコケミーの相性すら無視した錬成を行っている。
黄金マルガム
第17話で新たに登場し、グリオンが造り出した「悪意人形」が彼の手でケミーと結合することで誕生する、より邪悪で強力な個体。
黄金を追い求めるグリオンの心情を体現したかのような、黄金の結束バンドで構成された素体を持ち、肉体を補強する様に配置された新たなバンドが追加されている。
輝かしくも怪しげな光を放つ姿は一般のマルガムよりも恐ろしい雰囲気をまとわせている。
ケミーを取り込むのは往来のマルガムと変わらないが、肉体や善意と言った不純物を持たないため、より強く効率的にケミーを拘束することが可能となっている。
人間が変異したマルガム以上の強大な戦闘力だけでなく、例え撃破してもケミーを取り込んだ状態で復活するほどの再生力を持つ。
また、人間でも非常に高い錬金術の素質を持つ場合は黄金のマルガムになることもあるほか、グリオンによって強化されたクロトーが黄金のマルガムに変異している。
グリオンが暗黒の扉の向こう側に連れ込まれてからは、アトロポスが彼が遺した金色のルービックキューブを使って生み出している。
一覧
銀色のマルガム
冥黒の三姉妹、錬金連合関係者が変身したマルガム
マルガム名 | ケミー | 変身者 | 登場話 |
---|---|---|---|
マンティスマルガム | カマンティス | クロトー | 第1話 |
アンツマルガム | アントルーパー | ラケシス | 第4話 |
クローバーマルガム | ハピクローバー | ラケシス | 第8話〜第15話 |
スパイダーマルガム | キャッチュラ | 針馬汐里 | 第11話、第12話 |
オロチマルガム | ジャマタノオロチ | ラケシス | 第16話 |
ウィザードマルガム | クロスウィザード | ??? | 冬映画、HBV |
一般人が変身したマルガム
マルガム名 | ケミー | 変身者 | 登場話 |
---|---|---|---|
スケボーマルガム | スケボーズ | 須藤 | 第2話 |
ポイゾナスマッシュルームマルガム | ヴェノムダケ | 茸本 | 第3話 |
サブマリンマルガム | ディープマリナー | 狩谷 | 第3話〜第4話 |
ゴリラマルガム | ゴリラセンセイ | ゴーレム剛力 | 第5話 |
ホークマルガム | ホークスター | 鉛崎ボルト | 第6話 |
ドラゴンフライマルガム | グレイトンボ | 砂山堅二 | 第7話〜第8話 |
ジャングルマルガム | ジャングルジャン | 矢吹 | 第9話〜第10話、第25話 |
バッテリーマルガム | ライデンジ | 姫野剣、姫野聖 | 第10話 |
スパイダーマルガム | キャッチュラ | 悪意に呑まれた男 | 第11話 |
キュウビマルガム | ナインテイル | お狐様と呼ばれるなんらかの超常的存在 | 第29話 |
アノマロカリスマルガム | アクマノカリス | 犯罪者 | 第32話 |
黄金のマルガム
悪意人形が素体
人間・冥黒の三姉妹が素体
マルガム名 | ケミー | 変身者 | 登場話 |
---|---|---|---|
ウィールマルガム | マッドウィール | 黒鋼スパナ | 第20話~第21話 |
マンティスマルガム(金色) | カマンティス | クロトー | 第22話 |
カラカサオバケマルガム | ベロソル | 地上げ屋の男 | 第28話 |
フェアリーマルガム | ケアリー | 地上げ屋の男 | 〃 |
レプリマルガム (※1)
※1…レプリケミーを使用していること以外は黄金のマルガムと一緒。
※2…容姿はマンティスマルガム(金)と同じ。
その他のマルガム
ミクスタス
ラケシスが変身
マルガム名 | マルガム | ケミー | 登場話 |
---|---|---|---|
クローバーマルガム(バンブーミクスタス) | クローバーマルガム | ハピクローバー、バンバンブー | 第9話 |
クローバーマルガム(バンブーラフレシアミクスタス) | 〃 | ハピクローバー、バンバンブー、バグレシア | 第15話 |
クロトーが変身
マルガム名 | マルガム | ケミー | 登場話 |
---|---|---|---|
マンティスマルガム(サーベルタイガーミクスタス)※1 | マンティスマルガム | カマンティス、サーベライガー | 第23話 |
ゴリラマルガム(ラフレシアミクスタス)※1 | ゴリラマルガム | ゴリラセンセイ、バグレシア | 第25話 |
※1…素体は黄金のマルガム。
余談
- 名前の由来は水銀と他の金属との合金の総称である「アマルガム」で、この原義は「混ぜ物」という意味である。「マルガム」という名称は上記のように「錬成したが不完全・失敗作になった」「全く異なる形質の物を無理矢理癒着させた」という意味合いが込められているのだろうか。
- 怪人名の法則はストレートに「ケミーのモチーフ(英名)+マルガム」。
- 素体は一見すると包帯に覆われたミイラのようだが、コンセプトは「結束バンド」。ケミーが悪の心に拘束されているのを視覚的に表現しているとのこと。
- 今のところ専用の戦闘員が存在しない。平成の『ジオウ』以来で、令和では初。
- それもあってか、一般怪人が少なめな令和ライダーの中では、比較的数が多め。なお、戦闘員は中盤から登場する例もあるため、『ガッチャード』もそうなる可能性はある。
- スピンオフや第32話などでは『ジオウ』に登場したカッシーンが戦闘員として登場しているが、マルガムとは無関係。
- 上述のようなケミーの意思ではなく人間の悪意によって誕生する設定になった理由に関しては、玩具展開上レプリケミー以外のケミーを悪者にはできないというメタ的な理由も含まれている。(レプリケミーですらむしろ被害者側)
- そのためか、物語の舞台となる襟草市が悪人だらけの街となってしまっており、公式も半ばネタにしている。(公式や視聴者の通称として「野生の犯罪者」「野生の悪人」が根付いている。)なお、今までの怪人に変身または使役するタイプは、悪の組織枠を除いて大抵は怪人の力を手に入れてから事を起こすパターンが多いが、今作では怪人になる前から傷害や殺人を起こそうとしていたり、当然のように刃物を取り出す輩がいたり、平然と一般人に銃を向けるヤクザがいたりと、怪人関係なく一般社会の範疇でかなりの治安の悪さが出ており、ファンの間では「歴代の中でもトップの治安の悪さなのでは」という声が見られる(規制が厳しくなった近年では、少なからず怪人による傷害や殺害の描写はあったとしても、人間のままでこのような行動に移すケースは皆無だった)。
- しかし、あまりに描写が行き過ぎるのを避けてか、グリオンが登場した中盤からは人間よりも純然たる悪意を持つ悪意人形がマルガム化するようになり、逆にケミーが善意でした行動で意図せずして人間に被害を与えてしまう事態も起きるなど、人間がマルガムに変貌する展開は第28話まで減少していた(その間に登場した、人間が変貌したマルガムはウィールマルガムのみ。人外である冥黒の三姉妹が変貌した個体は除く)。
- そのためか、物語の舞台となる襟草市が悪人だらけの街となってしまっており、公式も半ばネタにしている。(公式や視聴者の通称として「野生の犯罪者」「野生の悪人」が根付いている。)なお、今までの怪人に変身または使役するタイプは、悪の組織枠を除いて大抵は怪人の力を手に入れてから事を起こすパターンが多いが、今作では怪人になる前から傷害や殺人を起こそうとしていたり、当然のように刃物を取り出す輩がいたり、平然と一般人に銃を向けるヤクザがいたりと、怪人関係なく一般社会の範疇でかなりの治安の悪さが出ており、ファンの間では「歴代の中でもトップの治安の悪さなのでは」という声が見られる(規制が厳しくなった近年では、少なからず怪人による傷害や殺害の描写はあったとしても、人間のままでこのような行動に移すケースは皆無だった)。
関連タグ
仮面ライダーガッチャード ケミー(仮面ライダーガッチャード)
憑依合体:公式サイト的にはこの状態に近いらしい。
ジャマト → マルガム