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概要

人権侵害、虐待にあたる規則を強要したり、そのような指導を行う部活であり、教育者として立場を悪用した嫌がらせを繰り返す行為がある場合もそれに該当する。


いじめと同じく深刻な社会問題となっており、特に同調圧力が強い日本で多く見られる。

理不尽な規則や指導の部活自体は古くから存在していたものの、法律で解決すべき問題を精神論根性論で乗り切らせようとしたり、学校側の保身で有耶無耶にされたりしたために長年可視化されずに放置されてきた。

あの虐待同然の日本一厳しい高校野球部が存在していたPL学園ですら、インターネット普及前はその理不尽な環境などの実態が知られなかったほどであることからも、当時のブラック部活に対する世論の興味の薄さが窺い知れよう(もっともPL学園の場合は、オーバーワークや暴行によるけがを学校併設病院で治療することで隠蔽していたという事情もあるが)。


部活に限らず、無意味なルール作った当事者がその時点で思考停止して頑なに無意味なルールに固執し続けた結果、何も改善しないまま負の因子が次の世代へと受け継がれるケースも少なくはない。


またダウンタウン松本人志浜田雅功を始めお笑い芸人芸能人を始め彼らも理不尽な事を経験したと自虐的に語る。


主なブラック部活

オーバーワーク

日本の中学校以上の部活動、特にメジャースポーツはオーバーワーク傾向にある。特に高校野球は練習のし過ぎで逆に筋量が増えず、2020年から感染拡大した新型コロナウイルスの影響で練習時間が減ってから逆に投手の球速や打者の飛距離が上昇したという報告も聞かれ、オーバーワーク問題に説得力が生まれている。


無論生徒が自分で納得した上での練習なら問題にはならないが、問題はそれが納得した上での練習の範疇を超えている場合である。例えば吹奏楽部では、土日は午前9時から午後5時まで、延々と演奏によって生まれる大きな音の中で過ごすことになる。「一日休んだら三日遅れる」という根拠のない都市伝説レベルの不文律で聴覚の休息を取らずに練習を延々と行う部活もあり、難聴のリスクもある。


暴力・セクハラ

体罰に対して敏感になった2010年代以前は「生徒を指導するなら殴って教えて当たり前」という風潮があった。2010年代以降は徐々に減ってはいるが、依然として0にはなっていない。


例えば2016年10月、神奈川県横浜市立中学の女子バレーボール部顧問が、部員14人に対して体罰やセクハラ行為を繰り返していたとして懲戒免職となった。顧問教師は2014年8月から2016年2月頃まで暴力、暴言、マッサージと称したセクハラを繰り返していた。感情に任せた暴力と「愛情」という言い訳をするようなセクハラは、対等な関係を結べない証である。


1990年代に報道された九州地方の高校女子バスケット部の顧問による性的虐待においては、顧問が複数の部員と性的関係を持ってハーレムを形成していた。本来部員がその異常性を告発するはずが、顧問と性的関係を持つことが強い部員としてのステータスであるという歪んだ価値観にすり替わった。


高校野球ファンでも知られる島田裕巳は書籍『野球と暴力』(元永知宏、2020年、イースト・プレス)の取材で自身の専門である宗教について「曹洞宗にはしごき・暴力体質があり、それが旧日本軍に輸入されたという説もある」と触れつつ高校野球に関しては「監督=権威者なので、その既得権益を守りたいという意識もある(ので、暴力がなくならない)」という趣旨の分析をしている。


束縛

オーバーワークや暴力・セクハラ以外にも束縛も問題となっている。拘束時間の長さや私生活に入り込むような指導者の態度がそれに該当するが、これが昭和時代の場合は「部活動による人間教育」と肯定され、実際に素行の悪い生徒を教員の家で預かって私生活において目を付けておくということもあったため、問題として表面化しなかった。

しかし2010年代以降、プライベートを重視する価値観が浸透し、このような束縛は問題化していった。


2010年代の首都圏の私立高校のチア部の例としては、夜中までSNSに付き合わせ、自分のアカウントに出した意見や事務連絡に「いいね」を強要し、それを忘れた部員には見せしめのようなシゴキ練習をやらせた。


他にも校則で部活動に必ず入るよう定めている学校もある。


教師にとってもブラックな部活

部活動の顧問は、特に公立中学校の場合、本人の意思に関係無く自動的に決まる場合がある。『部活が危ない』に取り上げられた2010年代後半の事例の場合、硬式テニスとソフトテニスの違いも分からないテニス未経験の新任教師が無理矢理顧問にさせられるケースがあった。

ほぼ無休で学校の授業やクラス運営の仕事をしつつ部活動の顧問を行い、4時間以上勤めればそれ以上の時間に関わらず3000円の休日出勤手当だけだされた(参考文献の『部活が危ない』が出版された2017時点の福岡県においては、これは立派な最賃割れである)。

午前2時から午前3時にようやく就寝することができ、彼はマイカー通勤中に信号待ちの数秒間でハンドルに頭を付けて眠ったこともあった。

彼は教員3年目でなんとか顧問就任を断ったことでクラスの指導の質を上げることができ、保護者からも評価されたが、次の異動先は教員が全員顧問制であったため、顧問就任を強要された。


少年スポーツにおいて

少年スポーツの指導者は本業を持つボランティアコーチが主流であり、無報酬だけに指導者に甘えや驕りが生じやすい。また、指導対象がまだ論理的な自己主張な困難な6歳から12歳の小学生とあって、上意下達になりやすい。


死亡事故が起こる日本のブラック部活の異常性

4人きょうだいの末っ子である三男が柔道の部活で脳に重度後遺障害を負った、「全国柔道事故被害者の会」事務局長の小林恵子は、2010年に語学に堪能な友人らの協力を得て「貴国では、柔道事故の死亡者はいますか?」と電子メールを日本国外の柔道強豪国の連盟や医療機関へ直接送り、相手が返信するまで粘り強く送り続けた結果、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イタリアなどすべての国で死者はゼロだった。

唯一死亡者がいたカナダは1955年、小学生2人が脳震盪の後に死亡したため、即座にケア方法などを徹底周知し、それ以降事故は1件も起こっていない(2010年時点)。

小林は他国の柔道関係者や医師から、日本の死亡事故の多さを驚かれた。例えば柔道事故に関連した論文を書いていたフランスのトゥールーズ大学の研究者に、死亡事故や重篤な脳損傷事故についての論文はないかと質問すると「あなたはなぜ柔道と死を結びつけて話すのか。理解できない」と怪訝がられた。

フランスの柔道人口が日本の約3倍で、ドイツの柔道人口も日本の約2倍(2010年時点)であるにもかかわらず、そうした国で柔道の死亡事故が起こっていないことを小林が文部科学省に知らせると、担当職員は「そんなわけがない」と信じなかった。ところが2013年に文科省が調査すると、民間の調査機関は文科省の関係者に「他国の柔道による死亡事故を、ひとつも見つけられませんでした」と頭を下げた。


小林は日本だけに死亡事故が多い理由として、学校の隠蔽体質とブラック部活の体質改善が遅れていることの2つを挙げている。


ブラック部活の弊害

ブラック部活で培われる授業や生活、健康、家族といった「本来優先しなくてはいけないもの」を犠牲にする自己犠牲的な価値観は、延いてはブラック企業で過労死するまで頑張ってしまう日本人を作り上げる土壌と指摘されている。

自分が苦しむだけならまだしも、後輩に対して「自分もやってきたことだから」「悔しかったら自分で這い上がれ」と攻撃的な態度で接してしまうのが問題となる。


そもそも、日本の企業は理不尽な事に耐えられる体育会系の生徒・学生を欲しがる傾向にあり、体育会系こそブラック企業に引っ掛かりやすい傾向にある。


日本国外からの反応

元高校教師で、教育やスポーツ育成に関して一家言を持つエディー・ジョーンズは、従順で真面目だが失敗を怖がる日本の学校スポーツ部員ら見て違和感を感じ、大人気ドラマだった『スクール☆ウォーズ』のエピソード全編をおよそ3ヶ月かけて視聴して高校における運動部活動を分析。本人によるドラマの感想は「Just stupid。戦時中とかではない。ほんの二十数年前に作られたドラマだということが信じられなかった」である。

ドラマと現実は無論同列には語れないが、顧問が度々部員を殴る描写が、10代までは選手にスポーツを楽しませるという気持ちで育てる方針のジョーンズには理解できなかったのである。

現実にもジョーンズは、ラグビーの強豪高校が午前・午後3時間ずつ猛練習させてから午後の練習後に突然フィットネステストをやらせ、当然数値が悪いにもかかわらず顧問が理不尽に怒るといった光景を、自身でリサーチした結果目の当たりにしている。

ジョーンズにとって、部活動のスポーツが規律を守らせるための道具になり、強靭な精神を作る者になるという考えは誤りである。

また日本在住の外国人も自分の子供を日本の部活が改善されない限り、入れたくないと厳しく批判する。


ブラック部活の末路

ブラック部活を改善せず放置したまま、部活自体が廃部になったケースがある。

度重なるスキャンダルと不祥事が相次いだPL学園野球部がその典型例である。また近年はSNSの急速な普及により部活自体が改善してホワイト化しない限り部活には入れないと主張する保護者がいるのも事実である。今後部活そのものメスを入れてホワイト化する改善しない限り、相当な代償を払い廃部になるのは避けて通れないだろう。


参考文献

島沢優子『部活が危ない』(講談社現代新書、2017年)


関連タグ

学校 校則 部活 部活動

社会問題 いじめ 虐待 体罰 モラハラ パワハラ  犯罪 全体主義 同調圧力 グレーゾーン 非常識 島国根性


ブラック企業…ブラックを冠した日本の社会問題繋がり。


モンスターティーチャー…ブラック校則に深く関与している。


毒親…似た者同士の存在。もちろん学校に通えばブラック部活、家に帰れば毒親の過干渉…と普通に重複する事例のため、子供は居場所がなくなりアダルトチルドレンの精神疾患をさらに悪化させる原因にもなっている。

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