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「お前達は仲間じゃない!」

打ち切り最終回での翔の台詞より引用


概要

大ヒットした『聖闘士星矢』の連載終了後、その路線を継承して1992年に連載を開始したバトル漫画。

主人公・翔は「神人類」として選ばれ「エボリューション」(変身)してシェルター(『星矢』の聖衣のようなもの)をまとってネオ・ソサエティと戦うという、これまた『星矢』の路線を受け継いだ壮大な設定で、伏線として序盤から敵の幹部が沢山登場した…のだが。


小宇宙(コスモ)→フィール

聖闘士(セイント)→神人類

聖衣(クロス)→シェルター

○○座の××→ルーツが○○の××

聖域(サンクチュアリ)→ネオ・ソサエティ


と、設定面で全て『星矢』の単語に置き換えることが可能で、単行本ではシェルターの分解装着図まで描かれていた。

本作でオリジナリティがある要素といえば、コンセプトが「チェス」+「進化論」(連載当時サイレントナイトがチェスの駒を連想した)と、「チャージ」という「新人類同士は互いに生命力のやりとりが可能で、ダメージを受けた者に生命力を分け与えて回復させることができる」能力であろう(当然、与えた側は生命力を失い、最悪死に至る)。

本編ではヒロインが瀕死の状態の翔にチャージを行うのだが、そのポーズがどう見ても騎乗位で「これ絶対入ってるよね」としか思えないのである。

なので本作が語られる際にはこれがネタにされることが多い。


その一方で内容と設定から車田版『イナズマン』と呼ばれることもある。

理由として

  • 神人類の集団であるネオ・ソサエティがエスパー軍団である『新人類帝国ファントム軍団』と類似する
  • その神人類が変態(変身)を行う
  • 神人類として目覚めた主人公が敵組織に対し反旗を翻し戦う

イナズマン自身も敵の襲来によって超能力が目覚めているため、主人公の翔とも覚醒から立ち位置まで一致しているのである。



超能力戦士の全面戦争を描いた『サイレントナイト翔』だったが『星矢』の焼き直しにしか見えない内容だったこともあったのか人気は振るわず、僅か13週で打ち切りという憂き目に遭ってしまう。

そしてその最終回の最終ページは、見開きで地球をバックに「NEVER END」と大きく描かれるという、かの『男坂』にも匹敵する衝撃のラストであった。

本作が打ち切られた週刊少年ジャンプ1992年48号は、後に全1960話という少年漫画史上不滅の金字塔を成し遂げた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載800回を記念する号という、あまりにも皮肉なものであった。

そして巻末の車田正美のコメントも…


GOOD-BYE……………………………………………………………………………


この一言だけであった。

そして車田正美は本作を最後に、週刊少年ジャンプから離れることとなった。

単行本は全2巻が発行されたが、そこでのコメントも印象的なものが多かった。


表紙カバー折り返しの作者コメント


人類はサルから進化して現在に至ったというが、

この先も進化をつづけていくとすれば、いったいどんな姿になってしまうのだろうか?

勉強のしすぎで、脳ばっかり肥大化したタコみたいなヤツか?

いや、そんなやつなら、世の中もうすでにごまんといるぜ。

う~~む。進化ってのも、あんまりいいもんじゃないかもしれないな。


単行本最終ページでのコメント


時の流れの中で

わずかでも

翔に立ち止まってくれた

君に……


……ありがとう



ネタ的な意味で様々な伝説を残した車田作品として、マニアの間では『男坂』と共に語り継がれている…のかもしれない。

前作とも言うべき『聖闘士星矢』が後に様々な媒体でリニューアルされ、2012年から2014年にかけて新作TVシリーズ『聖闘士星矢Ω』が放送されたことを思うと、この作品の残したものは一体なんだったのであろうか…。しかし活かされなかったいくつかの設定は別の雑誌に掲載された『B'TX』に流用されているため、「サイレントナイト翔」の存在は無駄にはなっていない。

また2013年にはチャンピオンREDで聖闘士星矢の少女版の「セインティア翔」が連載を開始しているが、本作品とは関連性はないと思われる

だが、同じく伝説的打ち切り作品となった『男坂』が30年ぶりに連載復活するという事件があったため、もしかしたら本作にもワンチャンはある…のかもしれない。


ストーリー

孤児である少年・翔はある日、謎の声に導きかれ学校の校庭へと足を運ぶ。そこには妖精のような人物・紫鈴が横たわっていた。

彼女は翔に神人類に進化できる能力「エボリューション」があることを話し、神人類と呼ばれる人物で構成された組織ネオ・ソサエティが世界の支配を企むために暗躍していることを打ち明けた。動揺する翔の前に紫鈴抹殺の指令を受けた恐竜型の神人類が現れる。ピイたんを目の前で殺された翔は怒りでハヤブサの戦士「サイレントナイト」にエボリューションし、刺客の神人類を倒す。

翔はネオ・ソサエティの野望に対抗する存在となり、地球の命と人々を守るためにネオ・ソサエティの陰謀に立ち向かうことを決意する。


登場人物

主人公。中学生。ファルコン(ハヤブサ)のサイレントナイト。

正義感の強い熱血漢で、他者の命を何よりも大事にする。ペット兼友達であるハヤブサ「ピイたん」を刺客である恐竜型神人類に自分をかばって殺された際にエボリューションを遂げる。

エボリューション後はハヤブサの属性を活かした高速戦闘を行う。必殺技は光速のパンチで倒す「ファルコンバースト」。

紫鈴(シーリン)

フェアリーのサイレントナイト。妖精という現在では架空の存在とされる生物をルーツとする、めずらしい存在。そのためなのか変身すると小さくなる。

皇虎(おうこ)

タイガーのサイレントナイト。一応味方キャラだが、紫鈴を見捨てる冷徹さで翔から拒絶される。

涼(りょう)

皇虎の相棒的存在でピーコックのサイレントナイト。かわいい系の女顔でいちおう正義側だがえらく性格は悪く、二言目には「面倒くさいなあ」、重傷の翔を「こんなの助けても足手まとい」と言ったこともある(連載が続けば性格も改善したのかもしれないが…)。


シスター

教会で働く修道女で翔の知り合い。神人類の矢を隠匿するなど謎多き女性。


アーサー

ネオソサエティのイーグルのミッドナイト(サイレントナイトの一個上の階級)。神人類に覚醒した際に姉・マリアを含めて家族を皆殺しにしてる。

クルーガー

バッファローのサイレントナイト。アーサーの部下である大男。最終的に情に打たれて翔にチャージして死んだ。

ジャコビニ

ネオソサエティのブラックホークのミッドナイト。ルックの部下。アーサー含めて始末せんと下記2名を率いてやってきた。

タラン

スパイダーのミッドナイト。鋼鉄をも切り裂く糸を武器にしてるが、皇虎に斃された。

ネーク

ラミアのミッドナイト。涼に斃された男の娘

ルック

ネオソサエティの幹部。二つ名はワイルドボアのルック。デカくて粗暴で残忍で好色で人肉食の気があるアブない性格。

アルファロメオ

ネオソサエティの幹部。ルーツはグリフォンのビショップだが、格上であるはずのルックにあからさまに恐れられている。打ち切りがなければ彼の正体が明かされるはずだったのだが…。

コウモリ

コウモリのサイレントナイト。不忠の罪で殺された。

ポーンの皆さん

恐竜やモンスターになった連中。


用語

エボリューション

人間の進化の過程において、かつての弱肉強食の時代に自分の大元(ルーツ)だった生物の記憶を目覚めさせることで過去の戦闘力と現在の人間としての知力を融合させ、新たに戦闘的な姿へと進化する現象のこと。エボリューションの際に全身に防御用のシェルターと呼ばれる殻に覆われ、ルーツによっては武器も成型される。戦闘後は脱皮するようにシェルターが身体から剝れるが、脱皮後のシェルターは実体化する。

エボリューションした者の姿は常人の目に映らないため、神人類同士の戦いは常人は感知できない。しかし戦闘の痕跡は残る(上記の通り、戦闘後はシェルターが脱皮し実体化する)ため、その痕跡を消すためにシェルターを完全に粉砕する必要がある。

ルーツ

神人類がエボリューションした際にモチーフとなる動物。人間の脳や遺伝子には太古からの進化過程がすべて記憶されているとされ、その中から自分のルーツである動物を見つけることによりエボリューションが可能となる。きっかけは様々で、翔の場合はペットのピイたんの死によって目覚めている。

上記の通り人の遺伝子にはすべての生物の記憶が刻まれているため、複数のルーツに目覚める神人類が現れる可能性があったが、打ち切りによりそれは謎のままとなってしまった。

神人類

18歳未満の人物がエボリューションすることによって覚醒した超能力人類。ネオ・ソサエティは覚醒した神人類を集め、裏から旧人類(18歳までにエボリューションしなかった人類)を抹殺し、神人類のみの世界を作るために暗躍していた。

神人類の矢

別名『青龍の矢』。太古から存在するとされる龍の紋章が印されている矢であり、生命の起源に関係あるとされる。この矢を持つ者は世界を手中に収めることができるといわれている。


関連タグ

週刊少年ジャンプ 車田正美 打ち切り

B'TX:上記の通り、いくつかのボツ設定が劇中で活かされている。


わんだふるぷりきゅあ!:動物から人の姿へと「エボリューション」する経緯が似ている。ただし神人類と異なり、元が犬や猫と言った動物である。パピヨン犬であるこむぎの危機によって自らの身体を人の姿へとエボリューションさせている。

イナズマン:上記の通り類似点が多数存在する。

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