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概要

リュツォ・ホルム湾東岸(宗谷海岸)に位置し、南極大陸氷縁から西に4kmの東オングル島に位置する日本の南極観測基地。


1957年(昭和32年)に開設。日本初の南極観測基地であり、60年以上にわたって南極における日本の最大の拠点であり続けている。あすか基地(1985年開設)、みずほ基地(1970年開設)が閉鎖され雪中に埋もれている現在では、この他の日本の有人観測拠点は他にドームふじ基地(1995年開設)があるだけ。観測隊員が通年滞在する拠点としてはここだけである。


周辺は隕石の宝庫であり、(他国の観測隊が発見したものも含め)知られている南極隕石のおよそ半分がこの地域で見つかっている。


設備

現在の昭和基地は3階建の管理棟(1992年築)と基本観測棟を中心に、宿舎や発電棟、レーダーなど約60棟が東西・南北400メートル四方に連なる。複数のヘリポート、電離層アンテナ、太陽光パネル、風力発電装置などがあり、約60人が長期滞在できる。


昭和基地の建物は初期から現在まで木造プレハブがメインである。これは木質パネルが軽量で断熱性に優れているため。初期には素人である観測隊員が人力で建てなければならないという制約もあったことも理由で、第一次南極観測隊の建設した最初の基地建物は日本初のプレハブ建築だった。重機を持ち込めるようになった現在では、管理棟など一部に鉄骨構造の建築もある。


南極観測隊は、12月から翌年2月まで滞在する「夏隊」と、2月から翌年1月まで滞在する「越冬隊」に分かれ、毎年南極観測船で日本との間を往来する。


気候

大陸から4㎞離れているため、南極にしてはかなり暖かく、夏は気温がプラスになることも多い。それでも冬は平均気温がマイナス20度となり(これでも南極としてはかなり暖かい)、毎日のように地吹雪(ブリザード)が吹き荒れる。


輸送

南極観測では、越冬を支える大量の物資の輸送が成否を左右する。昭和基地周辺は南極大陸の中でも海氷が厚い地域として知られ、時には夏場でも6mにも達して砕氷船の前進を阻む。南極観測船「しらせ」の連続砕氷能力は(初代・現行の2代とも)1.5m。分厚い氷に阻まれ前進できなくなった場合は助走をつけて氷にぶつかる「ラミング」で進むが、さすがに6mの氷を割るのは無理である(なおここで言う「接岸」は燃料をパイプライン輸送するためのホース展張ができる1km以内に「しらせ」が到達すること)。「しらせ」が接岸できない場合は海氷上に物資を下ろしてから雪上車で運ぶが、効率は落ちる。昭和基地周辺は南極の中では気温が高いだけに、氷上に「パドル」と呼ばれる水たまりが大量にできて雪上車が使えなくなることもあり、この場合ヘリコプターによる空輸頼りとなる。


南極観測に乗り出した日本が観測場所として割り当てられたプリンスハラルド海岸は、それまで米国や英国などの観測隊が7回も上陸を試み失敗していたいわくつきの場所であった。初代南極観測船「宗谷」の能力では越冬に必要な大量の物資輸送は困難と考えられ、観測隊を派遣した文部省は「予備観測で基地建設を行い、次年度に越冬観測」を目標にした。だが、この年は気象条件に恵まれ、「宗谷」は開けた水路を辿って陸地まで約25kmの位置まで到達できた。東オングル島に昭和基地を開設、雪上車や犬ぞり隊による昼夜を分かたぬ輸送作戦が展開され、150トン余りの物資を陸揚げした。隊長の永田武は昭和基地での越冬を(本省の指示を仰がず)決断し、副隊長の西堀榮三郎以下11人の越冬隊が成立した。しかしこの幸運は2度はなく、次の観測では「宗谷」は氷に閉じ込められてしまい本観測を断念。空輸により越冬隊は撤収したものの犬ぞりを引く樺太犬を見捨てざるを得なかった。


第3次観測以降の「宗谷」は陸地に近づけず、もっぱらヘリコプターによる空輸に頼った。後継の「ふじ」も、「宗谷」より大型で砕氷能力が優れていたにもかかわらず、18回の南極観測の中で接岸できたのは6回だけである。「ふじ」は第13次観測で1ヶ月以上氷に閉じ込められるなど、その後の観測隊も、リュツォ・ホルム湾の気象条件の厳しさを度々思い知らされることになった。


昭和基地が登場する作品

  • 南極物語:昭和基地に取り残された樺太犬のタロとジロの物語。
  • 宗谷物語:初代南極観測船「宗谷」の半生を描いたテレビアニメ。
  • 復活の日:ウイルス蔓延で大半の人類が滅亡した中、ウイルスの侵入しなかった南極で各国の観測隊員が文明存続を目指すSF作品。昭和基地がたびたび登場する。
  • 宇宙よりも遠い場所:アニメ作品。上記のメイン画像はこの作品より。
  • けっきょく南極大冒険:各国の南極観測基地を巡るゲーム。昭和基地はスタート地点およびゴール地点として登場。

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