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ホワット・ア・ワンダフル・ワールド

ほわっとあわんだふるわーるど

此処では、主に『ジョジョの奇妙な冒険』第6部『ストーンオーシャン』最終回について解説する。これは「運命」の引力(であい)によって、世界で一人だけの少年を通じた感動(あい)の物語っ…。
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曖昧さ回避

  1. ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』最終回の副題(サブタイトル)。
  2. 言葉自体の意味は「この素晴らしい世界」「なんて素晴らしい世界」などと解釈表現される。
  3. 制作創作では採用される語句の一つであり、世界的にはルイ・アームストロングの歌曲『What a Wonderful World』が有名。


本稿では1.について解説する。


概要

ジョジョの奇妙な冒険』第6部『ストーンオーシャン最終回の副題(サブタイトル)。

原作・TVアニメ版とも共通。


時間が加速し、宇宙が一巡しかけた世界での一人の少年天国を求めた神父の最後の戦いの決着、そして後日談が描かれる。


特に副題(サブタイトル)「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」は、終盤にとある少年が体験した希望の物語が印象的である。


本稿では便宜に、一人だけど独りじゃあない少年(ボーヤ)が巡り会った「世界(いんりょく)」を記述。


この前の世界に在った、最悪との熱い篤い決戦は【このちっぽけな小僧がああああああああああ】などを参照。


世界は再び巡る

野球のユニフォームを着た少年アメリカフロリダ州にあるバス停近くに立っていた。バス停の時刻表にはGREEN DOLPHIN STREET ORLANDの文字。付近にはガソリンスタンドがある。



「 あ…… 」

「 バス…… 」



野球少年風の子どもは、走り出そうとするバスへ追い付こうと駆け寄る。






「 だからさあー 」

「 50ドル紙幣しか持ってないんだってばぁー 」


「 なんで釣り銭ないのよ このバスー 」


「 なんだよ 客に対して そーゆー事いうのかあーっ 」




「 やった! 止まった! 」


そして運良く停まるバスへ更に近づくと、車内から何やら揉め事で騒ぐ声が聞こえる。



「 わかったよ! わかったよ! 」

「 ちょっと待ってくれ! 」


「 今そこのガスステーションで くずして来っから! 」



バスから降りてきたドレッドヘアのヒスパニック系女性。彼女はバス近くにいた野球少年風の子どもへ陽気な口調で話し掛ける。



「 おっ! 小僧! 」

「 このバス乗るのか? 」


「 いいトコ来たな! 」

「 カネクズれる? この50ドル札 」


「 な? いいだろ? 」

「 これ偽札じゃあないよ 」

「 このバス小さいカネじゃなきゃあー絶対ダメっつーのよ 」



少年は怯えているというより、まるで思いがけない知人へ出会った驚愕唖然としている風だ。ドレッドヘアの女性は少年の奇妙な反応を気にする間はなかった。

なんと乗客だった女性を置いてバスは発車。しかも彼女の、ペンダントが光る手荷物を投げ捨てて…。



「 あっ 何!? 」

「 おいッ! 待てッ! バカ 」


「 カバン投げやがった!! 」

「 なんで走り出すんだ この野郎ーッ! 」



「 おい! おまえが もたついてるから行っちまったじゃあねーかよ! 」

「 次のバスまで2時間だぞッ! 」

「 どうすんだよッ! おい聞いてんのか! 」



ドレッドヘアの女性は野球少年風の子どもへ文句を吐く。



「 くっそっ 」

「 それにしてもグリーン・ドルフィンからの脱獄囚とでも思ったのかな 」


「 あ… 」

「 あなたは...... 」



すると近くで黙って成り行きを観ていた、さも恰好の獲物を狙っていたかのようなタイミングで帽子の男性が話し掛けてきた。



「 なぁ! 」

「 オレの車ガス欠なんだよ 」

「 ガソリン代とメシ代おごってくれるんならば 好きなトコまで乗っけてってやってもいいぜ 」


「 そっちのボーヤもどうだ? 」



「 そうやって旅費浮かしてんのか? 」

「 知らない人の車には乗っちゃダメってうちの姉ちゃんがいってた 」



初対面で縁もゆかりもない相手の提案。当然に無理な話として無視しようとするドレッドヘアの女性。

踵を返して後にしようとするが…



ポツ

ポツ


ポツ

ポツ

ポツ

ポツ



「 嵐がくるな…… きっと 」

「 次のバスが来るまで 君らが濡れずにいれるか試してみるのもいいかもな 」



突然にが降り始める。

(先程まで晴れていた空模様からの天気雨。強い降り始めではなく、どことなく愛おしい相手へ頬を撫でるようなやさしい感触を思わせる、水滴程度の雨量。)


嵐が来るかもしれないと天気予報。帽子の男は自分の車へ視線を移すと、車内から女性が出てきた。



「 ………… 」

「 ああ...... 」


「 乗りなよ ぼうや 」

「 怪しいものじゃあないわ 」

「 あたしはアイリン

「 彼の名はアナキスよ 」



個性的で、若き女性自身を現している風のお洒落な彼女(2つのお団子を作った長髪の美しい女性)。派手な見た目に反して心優しさが伝わる、のように柔らかな物腰を感じさせる。



「 ママとパパは どうしたの? 」

「 あたしたちも これから父さんのところへ会いに行くのよ 」


「 彼…ボーイフレンド 」

「 どうなるかわからないけど 父さんさえ許してくれれば…… 」

「 結婚するかも…………… ……あたしたち 」


「 ああ 」

「 あ 」


………

………

………



此処でも野球少年風の子どもは、怪しい人物たちをみてる風ではなく、久しい人たちに会えたように、ワナワナと体を震わせてる。


若き男女(カップル)。ガールフレンドはそれが当たり前のように彼氏へ右手を差し出し、ボーイフレンドは「オレを照らしてくれる光」というように愛おしく彼女差し出した手へ頬擦りする。いやらしさのある仕草ではなく、誇らしい感じもする愛の仕草(はたまた最愛の女性へ、潜航するほどに深く「オレの心の闇を解き放って、貴女に救われてる」と意志表示してるようだ)。



「 くそっ 本当に嵐がくんのか!? 」



ドレッドヘアの女性は、見ず知らずの男女(カップル)の惚気(のろけ)をみせられた事もあってか苛立ちを露にしていた。




「 でも10ドル以上はぜってーに 払わねーっ 」

「 それにケープカナベラルにも寄ってもらうからな! 」



重々と帽子の男が提案した条件に、キッスの如く熱い口調で妥協点を付け、相乗りする意思をみせた。



「 あなた名前は? 」

「 ほら乗りなさいって! 」

「 お金なんてとらないんだから 」

「 ふるえてるわよ 寒いの? 」



若年者(お兄ちゃんとお姉ちゃん)たちの成り行きを傍で、どう言葉を現せばいいか分からない風に、いまだ体を震わせている野球少年風の子ども。

まだ雨に打たれたままの少年に気づいたお団子髪の女性は、車から降りて親しげに話し掛ける。そして自分が着ていた上着 ──ハート型の穴あき服── を脱ぎ、寒さで震えてるような少年の肩に上着を掛けてあげる。ちょうど少年からは、屈んだお姉ちゃんの首の左後ろが見えた。彼女の体には彫物(タトゥー)ではなく、生まれつきと思われる「星の痣」があった。


「 さあ 」


エンポリオです…… 」

「 え? 」



これを目の当たりにして、ついにドッと感情が溢れてきたようで、とめどなく涙たっぷりに泣きながら言葉を漏らす。1人の少年は、目の前にいる人物へというより、遥か彼方にいる誰かへ届くようにと願うかのような様子で…



ぼくの名前は………

ぼくの名前は



自己紹介の最中でも泣き顔なまま。恐ろしさというよりも、悲しさと嬉しさの両方を感じて、それが溢れ出ているような様子だった。



そして「偶然」に集った者たちを乗せた車は、強く降り始めた雨の中を走り出す。

暫くすると、雨天の中でヒッチハイクしている男性を発見した。




「 あ! 見て ヒッチハイカーよ!! 」


「 もう乗せないからな 」

「 十分だよ2で……… 」


「 嵐が来るっていったのあんたよ! 」

「 停めなさいよ カワイソーだって! 」



恋仲たちの意思相違は落ち着いたようで、車は停まり、ヒッチハイカーは急ぎ駆け寄る。

車窓へ張り付くように外を窺っていた野球少年風の子どもは、一時停止した車へ向かうヒッチハイカー(毛皮の帽子なのか毛髪なのか判別しづらい頭をした男性)を呆然とみている。

わけがわからないとも、言葉にできない情緒で空気を飲んでるというような表情…。



そして再び車は動き始める。

依然として降り続ける雨。地球重力で曇空から地面へ落ちるたち。

物語を鑑賞する者にとっては、何処か「一緒にお行きなさい」と、割れ散ったガラスのように煌びやかで祝福の雨(シャワー)みたいに思えてしまう光景。


万物へは「引力」が働いてる法則か、バスが、が、少年が、様々な要因が、纏まったが線から立体を成すように、1つの道筋(かたち)を形成した。

まだ止みそうにない雨の中、道を車は進む。

傍目(どくしゃ)からは、ただ闇に向かってではなく、希望(ひかり)に向かっていると心に感じさせる情景であった。









[ ジョジョの奇妙な冒険 PART6 ストーンオーシャン]

[ 完 ]


備考・余談

ジョジョの奇妙な冒険』第6部『ストーンオーシャン』最終回「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」は、仲間たちから託された希望を更に先へ進めたエンポリオ少年が最悪・プッチ神父と戦い決着、そして後日談となる奇蹟体験で幕を閉じる物語。


奇妙なことに、この数奇な冒険譚の始まりである第1部は、土砂降りの雨の日に事故が起こり、因縁が幕を開けた。そして第6部も、強い雨の日に事故を起こし、因縁へと巻き込まれていった。

この日、運命にひとまず終止符を打ったこの日もまた、雨は降っていた。優しい、愛でるような雨が。運命は変わっていた。ヒッチハイカーを拾い、事故を起こさずに虹のかかった晴れ間へと、彼らは進んでいった。まるで深い深い眠りから目覚めたように


徐倫ウェザーF.F(エフ・エフ)エルメェスアナスイ、それに承太郎と、去ってしまった仲間たち…。

けれど、もう居ない最愛の人たちと再び巡り会えたと理解する悲しさ、嬉しさ、誇らしさ、美しさ、言葉に出来ない情緒で、涙が溢れる感動場面で終幕するっ…。


終わりの変更点

最終回「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」の終わり場面は、連載版・書籍版・アニメ版とで、徐々に変更点が加味されている。

  • 連載版では、ヒッチハイカーが旧世界の仲間たちに相当する人達が乗る車へ駆け寄る画で完結。また此処から始まる、希望的観測を思わせる描写。
  • 書籍版では、依然として雨が降り続ける天候で車が走る画と、雨空にはウェザーアナスイエルメェス承太郎徐倫の並びが重なる感動的な一枚画で完結。連載版よりも更に、どうなるか分からないけど、きっとうまくいく道へ進んでいくだろうと希望がある構図になっている。
  • アニメ版では、書籍版を基に細部へ原作補填されてる箇所が多数。分かりやすい差異に、物語の終わりを飾る感動的な一枚画にF.F(エフ・エフ)が加えられている。また背景の奥には雨空境界、車が走る車道の先は晴れ間があり、更に注目するとが出ている天候も加筆されている。

この他、映像作品の制限へ調整をした登場人物たちの台詞や噺語(ナレーション)、色付きの製作物ならではの描写、原作と比較して奇妙な冒険譚を楽しむのもまた一興。


一世紀以上にわたる物語への一区切り

ジョジョの奇妙な冒険』とは─────


何世代にも受け継がれたディオ・ブランドージョースター家の因縁の物語



壮大な運命が決着される(ひとまずはね)この構成から、アニメ版『ストーンオーシャン』の最終回エンディングでは第1部~第6部までの画が連続する独自演出となっている。各部の重要な一幕や仲間たちが揃っている場面を芸術的な色遣いが彩る画面に、その世界を越えていく流れ星 ──主人公の一族を象徴する存在── の軌跡。そして少年が壮絶な死闘の決着後に目覚めたバス停の場面で、に星がたどり着き、この素晴らしい世界は一度終着する。

背景音楽には英国のバンド「YES」のアルバム「こわれもの」より『Roundabout』(回り道)が用いられている。この曲は、2012年10月の記念すべきテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」の始まりで抜擢されたEDテーマ曲である。『Roundabout』の歌詞は奇しくも、どこかディオ・ブランドージョースター家の運命を感じさせる。


因みに、アニメ版『ストーンオーシャン』の最終回がTV放送されたのは2023年4月8日。原作『ストーンオーシャン』が連載を終了したのは2003年4月8日で、最終話の掲載から放送はちょうど20年の月日が経っている。更に余談だが、2023年4月8日は放送地区により天候雨のち晴れだった。つまり作中の最終場面と類似する気象状況とみれるかも。

時と場、なにか運命的な力を感じないか?


君は「引力」を信じるか?


引用

原作者・荒木飛呂彦洋楽に関連した名称などを作品に盛り込む制作で有名。本最終回ならば、1967年に発表されたルイ・アームストロングの楽曲What a Wonderful Worldが元ネタになってるのだろう。本曲は「この素晴らしき世界」の邦題でも有名な世界的名曲である。


そして「World」は、本作品群においてジョジョ代名詞ともいえるジョースター家の宿敵・DIOや「ジョジョ」の1人・空条承太郎が所有するスタンド能力「ザ・ワールド」 / 「スタープラチナ・ザ・ワールド」から、親和性も感じられる語句である。


世界の姿

ここでちょっぴり野暮な話。


エンポリオ少年が立つ世界は、本当にその位置にあるのか?


その根拠(エビデンス)には、前章での神妙な一幕にある。それは警察官だったとあるギャングが遭遇した奇妙な体験、その場所にある乗り物。

元警察官、レオーネ・アバッキオは数刻前まで命に関わる事態に陥っていたが、次の場面では場所が変わり、体の傷が無い状態になっていた。

今いる場所が何処なのかを決定づける乗り物にバスを提示される。近くへいたお巡りさん「ここは終点であると…。


まったく異なる場所へ変わる展開、この一幕に共通する存在として「バス」が登場する。これらの要素を「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」へ照らし合わせると、エンポリオ少年が立つ世界は何処であるのか…。




だが同じ。

どの世界でも、心で通じる相手に出会える感動は不変(おなじ)であり、姿形ではなく生き様へも命は宿るように、最愛の貴方へ「会えた」という、悲しくて喜ばしい、確かに「知性」を通じて「精神(ココロ)」で理解できる大切さ


世界の味方(なかみ)はそれぞれだから、

味方(なかま)の素晴らしさは一つでない、

思い想いの重力(おもい)が働く、理屈でない理屈があるっ!


関連項目

ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン


徐倫 アナスイ エルメェス ウェザー F・F 承太郎


アイリン アナキス エルディス ヒッチハイカー


エンポリオ・アルニーニョ

ぼくの名前はエンポリオです


人の出会いってのは運命できめられてるのかもしれねえな………

君は「引力」を信じるか?

偶然じゃあない「選ばれた」……「奇跡」だよ

「ありがとう」…それしか言う言葉がみつからない…


What a Wonderful World
















最後に

本話を制作するに構想元にしたと思われるルイ・アームストロング名曲『What a Wonderful World』は、名称だけでなく歌詞やオフィシャルビデオにも、『ストーンオーシャン』最終話の内容を想起させる事柄がある。

その参考部分例、そしてジョジョの作中場面を加味した翻訳(解釈)をしてみると─────



" Yes, I think to myself "

" What a wonderful world… "


『 ああ 僕の心に通じたよ

『 とても運命的で、素晴らしい 希望(あい)のある世界(いんりょく)を感じるよ… 』

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