声：雨宮天
概要
「魔笛」と呼ばれる魔装具でモンスターを召喚・使役できる。笛の扱いの才能は妹より劣る。
その妹のヘルトラウダ・セラ・ファンオースが持つ魔笛が自身が使う魔笛より強力というのもあるが、ヘルトラウダが超大型魔物を二体召喚できるのに対して彼女は一体のみ。
経歴
修学旅行中のリオン・フォウ・バルトファルト達が乗る客船を襲撃。公爵令嬢であるアンジェリカ・ラファ・レッドグレイブを人質に取って残りを始末しようとするが、これが仇となり、リオンと彼に扇動されて腹を括った学園生徒達の反撃に遭う。
交戦中、旗艦に単身突入してきたリオンに捕らえられ逆に人質に取られたばかりか、ルクシオンによって戦力を潰され完敗。学生の集まりに返り討ちにされた挙句、人殺しを嫌ったリオンが命までは取らなかった所為で生き恥を晒す羽目になり、最強の黒騎士であるバンデル達の面目が丸潰れとなる結果となってしまう。
その後、学園に留学生として送られたが、裏では内通者であるフランプトン侯爵を利用してリオンを陥れようと暗躍。
しかし、ホルファート王国の戦いの中、ミレーヌ・ラファ・ホルファートから公国建国の真相と、当時ホルファート王国の大公だった初代公王の裏切りと暴走が長い戦いの原因であり、ファンオース姉妹が都合の良い事のみを聞かされて育ったお飾りの立場だと突きつける。最初はそれを信じようともしなかったが、妹ラウダの犠牲と更には裏切った臣下から両親の死が主戦派による暗殺だった事実を知らされ、度重なる精神的なショックを受けた所為で自暴自棄となる。その後は超大型魔物を召喚して全ての道連れを図るが、その苦しい心情を理解したマリエ・フォウ・ラーファンの言葉によって憑き物が落ち、踏みとどまった。
戦後は公爵代理に就くことになる。
人物
長い黒髪で、白い肌に赤い瞳が特徴的な細身の女子。また、リオンが憐れむほどの貧乳。
コミカライズやおまけ等では自分とは逆に恵まれたスタイルを持つアンジェやリビアに嫉妬し、胸が小さい所為で自分に合う服が無い事に荒れる場面がある。
冷静に見えてアンジェ並の激情家である上に公国の人間の例に漏れず王国を敵視している。それに加えて視野の狭過ぎる所があり（リオン曰く「クールビューティかと思ったら、意外と表情が豊かだ」）、最初の戦いでは約束を反故にして人質にしたアンジェ以外の学園生徒達を皆殺しにしようとする等、為政者としては愚策なやり方に出ようとした事もある。その結果、気持ちがバラバラだった生徒達が一致団結する状況を作ってしまい、反撃を許した事で屈辱的な敗北を喫してしまう等、詰めの甘さを見せる事になっている。
一部を除いた臣下達からも、妹共々お飾りの傀儡扱いされており、王国との戦いの歴史の裏に隠された真実を知らずに恨み言ばかりを口にする様をアンジェやミレーヌからは呆れられている。また、妹を失って完全に戦いが自分達の不利に陥った際は、自分を利用していた家臣達に全ての戦争の責任を擦り付けられる形で裏切られる事態となっており、自らに忠誠を誓っている黒騎士のバンデルですらも、彼個人の身勝手な復讐を実行に移す為の旗頭として利用されている側面があった。
上述のような短所はあるが洞察力は高く、短い間でも間近でリオンとルクシオンのやり取りを観察し、そこからルクシオンがリオン以外の人間の命令には従わない事を見抜くと、リオンのロストアイテムを狙っているフランプトンを利用。一時的だったが、リオンの動きを封じ王国が保有していた魔装をせしめ、王国に大ダメージを与える事に成功するなど中々の策士でもある。
また、下記の通り妹想いで根は情深い。
時折、年相応の顔を見せることがあり、エルフの里の占いの結果に若干嬉しそうな反応を見せたり、パルトナー内部のロボット達の無機質さに不安と恐怖を覚えて泣きながら逃げ回るなど、リオンの見立て通り感情は豊かな方である。
人間関係
唯一の肉親の妹のラウダを大切にしており、姉妹仲は良好。臣下のバンデルの事も心の底から信頼していて、彼らが死亡した際には心から悲しんでいる。
エルフの里長の占いでは「いずれ、人生の転機が大きな困難と共に訪れる」「困難と同時に運命の相手と出会う。その方と歩むことが出来れば、貴女の困難な道は光に照らされ、頼もしい支えになってくれる」等と告げられた。
その運命の相手は不明だがリオンである可能性が高く、事実だとすればかなり皮肉である。
短期間の交流ではあったが彼女自身も敵ながらリオンの事は憎からず思っており、寝返るよう説得した事もあった。
しかし、内通者のフランプトンと共謀して彼を陥れようと冤罪を着せ、弱った頃を見計らって手を差し伸べる詐欺師紛いの不誠実なものだった為、当然ながら拒絶されてしまい、結果的に上述の悲劇へと繋がっていった(尚、安易な考えでリオンを嵌めようとしたフランプトンの浅慮さを嘲笑っていたが、ヘルトルーデもまたルクシオンの脅威度を見誤っており、もし戦いの中でリオンが死亡した場合、ルクシオンが王国と公国の双方を滅ぼした後、新人類殲滅に乗り出していた事は想像に難くなく、既に公国も裏切り者の王国貴族達も事実上詰んでいた)。
戦争後に里長の占いを思い出した際には「もっと真剣にリオンを説得するべきだった」と少なからず後悔している。
また、王国滞在中にマリエともそれなりに親しい仲となっており、同じ貧乳同士という事もあってか、巨乳のリビアとアンジェに嫉妬して意気投合し、会話が弾んだりしている。
また、敗北したファンオース家が不利な条約を結ばされた事に抗議する為に五馬鹿と共に行動を起こし、テロ紛いの手段で条約の見直しを余儀なくさせる等、この完全にやり過ぎな行為にヘルトルーデ本人も呆れたものの感謝はしており、後にラーシェル神聖王国の件で交渉の為に五馬鹿と再会した際には、リオンやマリエの事を気に掛けている。
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ネタバレ注意
マリエルートではラウダを通じ真相を知り、戦争に反対する妹を守る為に敢えて取り合わず突き放し。切り札の魔笛の失い王国との国力差があるのは理解しながらも戦に赴く。
開戦前にバンデルから両親の死のついて謝罪を受けるが、その復讐心の強さを見せつけられ自らの無力と絶望感に苛まれる。その後、王国の捕虜になりアンジェに妹の助命と遺言ともとれる伝言を託す。
そして、リビアに取り憑いた聖女の怨念の暗躍によって死に追いやられ、本編とは逆にヘルトラウダが生き残る事になる。
…最も、ヘルトルーデはゲームでは戦死してヘルトラウダが後をその引き継ぐ筈だった為、この点は本来の展開とあまり差異が無い模様。
公国姉妹ルートでは妹ラウダと共にヒロインの1人として登場。
前世の記憶を取り戻した際にトラブルにあってバンデルに拾われる事になったリオンと幼馴染みの関係となっている。
本編最終章にて再登場。
ラーシェル神聖王国がホルファート王国への侵攻を企み、ファンオース家にも同盟を求めてきたが、ヘルトルーデ個人は最早王国…と言うよりもリオンと再び敵対するつもりは毛頭無く、交渉に訪れたジルクとブラッドの取引に応じると同時に自分の意思と掴んでいる情報の幾つかを伝え、リオン、そしてマリエへの伝言を頼んだ。
尚、リオンの話になった際のヘルトルーデの「乙女の仕種」を見たジルクは彼女がリオンに懸想している事に気付き、情報と同時にそれを根拠に「こちらを騙す気は無いだろう」と伝えるが、当のリオンは情報に関しては一応信用したものの、ヘルトルーデの自分に対する好意については「ジルクの勘違い」と決め付けてまともに取り合おうとはしなかった。
その後、ラーシェルとの戦いはリオンの勝利で終わるものの、やがて神聖魔法帝国戦が勃発。
かつての戦争で因縁のあるオリヴィアが魔笛の使用方法に関する情報を得る為、元は妹ヘルトラウダが所持していた魔笛を持って来訪するが、ヘルトルーデはそれを断ると同時に、無理をしようとしているオリヴィアを止めるべくその場で魔笛を破壊。そして、彼女に「遺される者」の立場の辛さを語り、リオンの為に命を捨てかねない彼女を諭すと同時に助力する事を約束(このやり取りの最中、ジルクの時と同様にオリヴィアからもリオンへの好意を疑われている)。
…この時、興奮気味になっていたオリヴィアの「リオンの為なら何でもする」という発言に意味深に反応しているが…？
一方、王国ではアンジェリカの策と国王ローランド・ラファ・ホルファートの企みによって、リオンが次の国王に即位する事が決定し、バラバラだった王国の貴族達は1つに纏まり始める。
ヘルトルーデも久しぶりにリオンと顔を合せる事になるが、同様に彼に想いを寄せている女性達…クラリス・フィア・アトリーと修学旅行での襲撃の件で因縁のあるディアドリー・フォウ・ローズブレイド、そしてルイーゼ・サラ・ラウルトと1つの部屋で待たされる事になり、これがリオンの婚約者であるアンジェリカ達の策と察すると、3人と特に牽制はせずに休戦し、リオンと戦いの報酬に関する話し合いを行い、彼に「望み通りの報酬を与える」という内容の契約書にサインをさせる。
その後、生存確率の低い戦いを前に死を覚悟するリオンと話し、必ず生きて戻ってくる事を願った。
そして、始まった戦いでヘルトルーデはファンオースの艦隊を率いてアルゼル共和国の艦隊と共闘。士気が下がりかけていた王国側の艦隊を煽るなどして戦意を高め、帝国側に少なく無い打撃を与える事に成功。奮闘の甲斐あって戦いはリオン側の勝利に終わる。
尚、本来のアルトリーベ3作目の展開では、妹ヘルトラウダによって率いられたファンオースがホルファートに対して新たな戦争を仕掛け、3作目主人公にして帝国の王女ミリアリス・ルクス・エルツベルガーと聖女オリヴィアの前に敗れるという運命であったが、展開の前倒しによってヘルトラウダはミリアリスと出会う前に戦死。その代償で生き残ったヘルトルーデとファンオース家はリオンによってあり方を変えたホルファート王国に与する事になり、逆に王国の敵となってしまったミリアリスと帝国との戦いに勝利するという皮肉な結果となった。
リオンは瀕死の重傷を負って死の世界を彷徨うが、そこにいたヘルトラウダとバンデルの魂にヘルトルーデの幸せを託され、3ヶ月後に無事に生還する。
彼がホルファート王国の次期国王として即位した直後、ヘルトルーデはクラリス達と共に件の空手形の契約書をオリヴィア達に見せ、「最大限の報酬」としてリオンの側室となる事を希望。
まんまと出し抜かれたと知って唖然とするオリヴィアに対し、無表情でありながら明らかに嬉しそうな様子で「両手でピース」をするのだった。
…しかし、その裏でリオンが最も欲していたミレーヌがローランドに離縁されていたのだが、彼の企みによってミレーヌもリオンの元へ押しかけてくる事態となり、噂程度でしかリオンとミレーヌの関係を知らなかったヘルトルーデだったが、その執着の強さを目の当たりにして激しく抵抗する事になった模様。
ちなみに、他の7人は胸のサイズが巨乳か爆乳(ノエルはリオンの見立てだと「Cカップぐらい」らしいが、明らかにその枠を超えている)な為、ヘルトルーデはリオンの嫁の中で貴重な貧乳枠の立場となった。
…何にせよ、かつてのエルフの里長の占い通り、リオンという「頼もしい支えとなってくれる人物」と結ばれたヘルトルーデの未来は明るく照らされる事だろう。
