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CV:戸部公爾 スーツアクター:今井靖彦


「私はお前達のように、金に楽しみを感じられんのでね。破壊と殺戮ほど、高級な趣味はない」(Case File11)


※この記事にはネタバレが含まれています。閲覧には十分注意して下さい。


概要

囚人No.なし 圧縮冷凍年数:不明


ドン・ドルネロ率いるロンダーズファミリーの幹部で、金属でできた二足歩行の黄金のが、マントを羽織っているかのような容貌のサイボーグであり、ギョロリと光る真ん丸な目が印象的。 左手は3本指のマジックハンドになっている。

戦闘の際は主に左手を変形させたマシンガンと、口からの光線を使用する。


外見こそ完全なロボットだが、人間と同様に自分の意思で思考し行動しており、喜怒哀楽の表現も非常に豊か。 話し方も低くて押し出すような物言いのドルネロとは対照的に、甲高い声で饒舌によく喋る。性格も冷静沈着で、基本的には丁寧語の落ち着いた物腰で接するが、感情が高ぶると顔が展開し、不気味な顔立ちとなる。


機械技術に明るく、ゼニット等の組織が必要とするメカニックを制作したりもしている。

ロンダー刑務所を20世紀に脱獄させるための工作のほとんどを行っている。


ただし、ドルネロやリラと違って、「金銭目的の犯行」よりも、娯楽としての破壊と殺戮を好む残忍な気質を秘めており、時に凶悪犯であるヘルズゲート囚人の解放や、純粋な破壊兵器の開発を展開する等、組織の方針とは合わない行動を起こす場合もあり、その度にドルネロから窘められていた。


名前は日本の通貨単位から。


劇中での活躍

剥がれ落ちて行く理性の仮面

西暦3000年、刑務所の職人になりすまして、ドルネロ&リラと共に時間保護局のロンダー刑務所を乗っ取り、20世紀にやって来る。

ドルネロやリラのように金儲けに関心を示さず、破壊や殺戮に喜びを覚える危険な嗜好の持ち主であり、解凍する囚人も暗殺者テロリストなど、一際危険な連中ばかり。

Case File.16で解き放った美食放火魔ビンセントも、罪状だけ見れば「食い逃げ犯」と一見小物だが、実際は犯行現場の店に放火して回るという相当な凶悪犯である。


ドルネロも当初からそれには気づいてはいたものの、何故かきつく咎めず口頭注意だけに留めていた。

尚、前述の様にドルネロとリラとは目的が異なっているが、仲間意識が無いわけではなく、一緒に食事を楽しむ光景も見られる。


序盤では普段の振る舞いはまだ落ち着いており、囚人に対しても散発的に破壊や殺人をけしかけるだけで、リラの浪費癖にドルネロ共々呆れる言動も見られたが、Case File.18では彼等にとっては使い道の無さそうな新エネルギー源・λ2000を第三総合研究所より強奪。

続くCase File.19では、λ2000をより効率良く変換させたζ3を使用した、ロンダーズとしては初の巨大破壊ロボット・破壊兵器ノヴァを製作し、今まで例のない大規模破壊を行う等、ギエンの行動は次第に不可解さを増していく……。

第一の破壊天使


関連タグ

未来戦隊タイムレンジャー ロンダーズファミリー




以下、作中におけるネタバレ






























【秘められた過去、歴史の分岐】


演:天間信紘


「でも、3から上はちょっと苦手なんだ……すぐ覚えるけどね」(Case File.42)


ギエンは本来はごく普通の人間だった。

元々は30世紀のダウンタウン一角で孤独に暮らす、シャボン玉好きで純真なヒューマノイドのホームレス青年(地球人かどうかは不明)だったのだ。ある日、当時の敵対勢力であるクーロンズ・ファミリーに追われていたドルネロを自分の住処に匿った彼と交流を結ぶが、それが発覚し自身も襲われ、ドルネロをかばって解放されるまで口を割らなかったために、瀕死の重傷を負わされてしまう。2度も命を救われたドルネロは、満身創痍で住処に戻ったギエンを闇医者の元に運び、そこで治療も兼ねたサイボーグ手術を施させて今の姿となった。


機械化以前は年齢の割に子供っぽい性格をしており、しかもあまり学校に行ってなかったようで頭が悪く、数字も3より上はろくに数えられない程だったが、施術の際に電子頭脳を大量に搭載して優れた知能を得た。しかし、電子頭脳の影響なのか、その代償として人間だった頃の人格が破壊され、今のような悪党へと変貌。そうしてドルネロと共にファミリーとして犯罪を繰り返すにつれ、やがて異常なまでの殺人・破壊嗜好を膨らませていく(自身に蓄積していた周囲への愚弄に対する反抗心が、電子頭脳によって爆発した見方もできる)。


「全ては私の思うままになる!。私より賢い者がいるか? そうだろ、ドルネロ?……ヒャハハハハハ……!!」


ギエンを手術した闇医者もそれは予測しており、あらかじめ「電子頭脳の解除キー」を渡してはいたものの、ドルネロはできるだけそれを使いたくなかったらしい。ギエンが勝手に破壊を繰り返していてもきつく咎めなかったのもここに端を発していた。


だが、そんなドルネロの親心とは裏腹に、ギエンの破壊衝動は更なる加速を見せ、先の破壊兵器ノヴァの開発を皮切りに、度々ヘルズゲート囚人解凍しての破壊活動を行う等、次第にドルネロの意に反した行動が増えて来た。Case File.20でさすがのドルネロも激怒してギエンを殴り、ヘルズゲート房のを没収するが、ギエンは鍵をこっそり複製して隠し持っており、エンボスを解凍しての大規模なバイオテロに及んだのを契機に、とうとう堪忍袋の緒が切れたドルネロに解除キーを挿入されて、機械化以前の人格に戻され軟禁されるが、リュウヤの暗躍でキーを破壊されて活動を再開。


「破壊への第一歩」としてλ2000の強奪を目的に、解凍した殺人犯ハーバルと大量のゼニットを率いて、浅見グループの第三総合研究所を襲撃、そこでドルネロが密かに情報を流して、再度作らせた解除キーを持ったタイムレンジャーと交戦する。ドルネロしか存在を知らないはずのキーをタイムレンジャーが持っていた事実に、ドルネロがとうとう自分を見限ったのを悟りながら交戦、互角の戦いの末追い詰められたが、またもリュウヤの干渉で難を逃れて「自分の破壊行為が歴史に定められたものである」と確信。絶対的な後ろ盾に満足しつつ撤退していった。


その後Gゾードが襲来すると、機体に積まれたミュートエネルギー炉を破壊兵器に転用しようと目論み、ファミリーの後ろ盾もなくなったのに単独でGゾードを鹵獲しようという無謀な行動に出る。さらに面白半分でGゾードを刺激して休眠モードから戦闘モードに移行させたり、タイムレンジャーの変身能力を奪ったりと、Gゾードの排除とギエンの保護を狙うリュウヤ等タイムレンジャーを翻弄するが、竜也の合流によって断念する。


ミュートエネルギー炉確保に失敗したギエンは、当初の予定通りλ2000から変換したζ3を動力源に、破壊ロボットであるメカ・クライシスを開発、無差別破壊をさせるが、その前に遂に刺し違えてでも彼を止める決心をしたドルネロが出現。

第二の破壊天使

一度は追い詰められるも、弱々しく命乞いをするギエンを見て、止めを刺せないドルネロを返り討ちにし遂に殺害する。

そして最後の仕上げとして、「自らの手で破壊を楽しむ」べく有人操縦型のネオ・クライシスを開発して街で破壊の限りを尽くし、迎撃に出たブイレックスとの激突で、空間さえも歪ませて周囲を崩壊させていく。

第三の破壊天使

実はギエンとブイレックスには同じく「超高密度のλ2000」が動力として使われていた。このエネルギー体には時空を歪める性質があり、両者の激突で時空のバランスが崩れた結果起こったのが21世紀の大消滅の惨劇であった。

リュウヤが20世紀を訪れギエンをGゾードから保護しようとしていたのも、先のギエンによる無謀なGゾード鹵獲作戦が大消滅がいつ起こるかの歴史分岐点であったことが理由である。ギエンがGゾードに殺されブイレックスとの戦いが起こらず、λ2000による時空破壊が30世紀に至るまでゆっくりと進行してしまう「30世紀の大消滅」こそ、リュウヤが止めたがっていた歴史だったのである。

ブイレックスを至近距離からの放電で沈黙させ、止める者がいなくなったギエンとネオ・クライシス。


「歴史に定められた破壊だ! 今日、私は神になる!」


機体冷却のための休養を挟んで訪れた2001年2月4日、狂気の極みに達した金色の罪人は、遂に地上を完全に廃墟とすべく動き出した。


【心を失くした罪人の末路】

「破壊、ハカイ!ヒャハハハハ!!……ドルネロ、僕ヲ見てヨ! ドコニイるのォ~!?」


破壊衝動で電子頭脳が限界を迎えたのか、それとも破壊への快楽に酔い痴れているのか、ネオ・クライシスを駆り暴れ狂う中で完全に理性を失ったギエン。最早彼は自らの手で唯一の友を手にかけた事実ばかりか、今まで何度も戦ってきたはずのタイムレンジャーさえも分からなくなってしまう程に、錯乱の極みに達してしまっていた。


「なんなンダ!? オ前たチ誰だ!! ボクノ邪魔ヲスルナァァ~~~ッ!!」


街を闊歩し、目の前の全てのものを叩き潰そうと、再度立ち塞がったブイレックスやタイムロボを相手に大立ち回りを演じる。


だがタイムロボが時間を稼ぐ間に、滝沢直人からDVディフェンダーを受け継いだタイムレッド浅見竜也が、ブイレックスのλ-2000をΖ-3に変換。そしてΖ-3のエネルギーによるマックスバーニングがギエンに直撃し、彼のλ-2000も消滅。こうしてネオ・クライシスは破壊され、同時にギエンのλ-2000も無害な微粒子にまで分解されたため、大消滅は最小限に防がれた。


「……ドルねロ……どコ行っちゃッたノ……?。ぼク……おかネ数えられルようになっタよ……イチ……ニィ……」

「ア゛ッ!!!……」


周囲に建物やネオ・クライシスの残骸が散らばる中、致命傷を負ったギエンは上記のうわ言を言い切る前に、顔面が崩れ落ち遂に沈黙。

誰に気づかれも看取られもせず、ひっそりと消滅して逝った。


はからずも『狂気と悲劇のサイボーグ』として皮肉な運命を辿った彼だったが、息絶える直前に最後の最後で見せたのは本当に死に際で取り戻したかつての純粋な心だったのか、それとも壊れかけの電子頭脳が最期に見せたバグだったのか。

唯一の理解者もいなくなった今、恐らくそれを知る者は未来永劫もうどこにもいないだろう…………


余談

以上の経緯から、作劇上「タイムレンジャーが圧縮冷凍せずに倒した唯一の敵幹部」と形容しも差し支えない。元々ロンダーズファミリーが「小規模な敵組織」かつ「追加の敵幹部も登場していない」という図式であり、なおかつタイムレンジャー側からすれば仲間割れでボスが死に、そのボスを殺害した張本人も『射殺やむなし』な対象であり、そのどさくさ紛れに別の敵幹部がトンズラした」という構図にもなっている。


劇中を見れば分かる通り、ある意味ではタイムレンジャーに登場したどの囚人よりも恐ろしい犯罪者で、同時にスーパー戦隊の歴史の中でも屈指の悲劇の悪役でもあったギエン。その出生の秘密が開かされる以前に発行された図鑑等では、サイボーグではなく機械生命体と紹介されていた。


造り手が闇医者だったのもあってか、まだζ3が開発される前の話とはいえ既に旧式のエネルギーであるλ-2000の大量使用に加え、抑制キーが必要なくらい後に暴走する危険性があると分かりきっている低品質な電子頭脳の過搭載と問題点も多く、総合的には「かなり欠陥だらけのサイボーグ」だったりする(当時のドルネロはライバル組織との抗争で追い詰められており、あまり頼れる伝手がなかったものと思われる)。


劇中を見れば分かると思うが、意外にも竜也とギエンは共通点や対になる点が多く、見方によっては「ギエンは竜也のIFの姿」と言えてしまう面がある。


  • 共通点
    • 幼少期はいじめられっ子
    • 金儲けに精を出す目上の男性(竜也は渡、ギエンはドルネロ)とは最初、不仲ではなかったが、次第に我を通すようになって溝が生じて行く

  • 対比
    • 竜也は仲間に恵まれて彼等と信頼関係を築いて行ったが、ギエンは誰とも信頼関係を築けなかった
    • Case File.42にて、竜也は散々反目していた渡に対して最終的に理解を示すようになったが、ギエンは見限られたと言う思い込みからドルネロに憎悪を抱いて殺害してしまった

特に対比の部分が両者の明暗を分かつ決め手となった部分は大きく、「父の渡と分かり合えずにエゴと意地の張り合いを続け、信じられる仲間もいないまま悲劇的な末路をたどった竜也の成れの果て」を体現したのがギエンという見方が出来る。


『百化繚乱[下之巻]』にて、デザイナーである原田吉朗氏曰く「『常に改造を繰り返す完璧主義者となっており、徐々に改造していく偏執狂』という事で全身が金色になっていく予定だったが、敢えてそうしなかった」らしい。


声を演じる戸部氏は昨年の『救急戦隊ゴーゴーファイブ』では火炎サイマ獣ヘルゲロスと、地響きサイマ獣ガネムージャの声を演じており、今作と合わせて3作品連続のスーパー戦隊シリーズ出演となった。3年後の『爆竜戦隊アバレンジャー』ではザクロバキュームの、4年後の『特捜戦隊デカレンジャー』ではリコモ星人ケバキーアの声を担当している。


そして、人間時代を演じたのは東映不思議コメディーシリーズにて、渋谷ケンジとして出演した天間信紘氏(戦隊シリーズでも過去に『高速戦隊ターボレンジャー』で日野俊介の亡き弟・俊二を演じている)。改造直後のギエンの声も担当している。


上記の通り名前の由来は『円』だが、サイボーグ手術によって得た紛い物の知性や、21世紀の大消滅に関わる創られし(破壊)神等から、偽物の『偽』+『円』=偽金に掛けているとも推測される



関連タグ(ネタバレ注意)

サイボーグ 哀しき悪役


リコモ星人ケバキーア:中の人繋がりで言動や容姿、性格が似ている戦隊怪人。


アルジャーノンに花束を:モチーフかも知れない小説。知能は低いが純粋な心の青年が、手術で得た天才的頭脳と引き換えに心を歪ませて孤立し、最後には元の知能に戻る部分が共通している。


魏延:モチーフに入っているかもしれない武将。恩人であるボスを最終的に裏切ってしまうのは、名前の音に引っ張られたのだろうか……。


ブラック補佐悪の組織のボス側近ポジだったが、ボスを裏切って射殺し、切り札のロボットに乗り込んで主人公に闘いを挑むも、最終的に敗死した悪役繋がり。


ジョーカー(バットマン):Case File.42のギエンがサイボーグ手術を施されて今の姿となって蘇ったシーンは、ティム・バートンの実写映画版でのジョーカー誕生のシーンを連想させる。


ドクター・アシュラ(毒島嵐):ギエンと同様、数もまともに数えられなかったのが改造されて天才の頭脳を手に入れた戦隊敵幹部。ギエンと大きく違うのは改造で人格が変わってしまったわけでなく、元から悪の道を突っ走っていた。


Dr.ヒネラー悪の組織のボス(中の人はドルネロと同じ)の側近ポジの元人間の哀しき悪役繋がり。ボスを裏切って惨殺し、切り札のロボットに乗り込んで主人公の前に、ラスボスとして立ちはだかった共通点がある。


デストラ・マッジョギャングのボスの側近ポジ繋がり。こちらはボスへの忠誠心が強く、最後まで組織のために行動する等、人物像も顛末も対照的。


イジルデ21年後に登場したマッドサイエンティストの機械生命体の幹部繋がりで、最終決戦では自らのイメージを象徴した巨大ロボに乗って攻撃を仕掛けたが、最終的に狂乱して撃破される等の共通点を持つ。

ただしギエンは私利私欲に強く最終的にはドルネロを謀殺したが、こちらは逆にボスに忠誠を誓っている。


ケフカ・パラッツォ:『FF6』のラスボスで、同じく元は普通の人間だったが人工的に魔導士を生み出す手術によって強大な力を得るのと引き換えに人格が破綻。言動も幼稚かつ狂気染みて次第に破壊衝動に傾倒。やがては世界を崩壊へと導く等、ギエンと共通点が多い。


天才怪獣ノーマン:こちらも出自等が似ている


不破諫「組織の本懐よりも自身の目的を最優先とする」「本人の望まぬ手術によって、人生が滅茶苦茶にされた末に死亡した」特撮キャラ繋がり。ただし、ギエンは「ドン・ドルネロが『瀕死のギエンを救いたい』善意」から、不破はある人物の身勝手な目的の手駒にする悪意」からと細部は全く異なっている。


義円:室町幕府6代将軍足利義教の僧侶時代の名前。

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