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オリシャ

おりしゃ

オリシャ(Orixa、Orisha、Òrìṣa)とは、西アフリカのヨルバ人の神話・伝統宗教、およびその影響を受けてアフリカ外で成立した諸宗教における神々、精霊である。
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概要

アフリカ西部、ニジェール川流域に住むヨルバ人にはキリスト教イスラム教を信じる人も多い(コプト教っていうのがかなり早くから来てたらしい)が、古来からの民族宗教を信じている人も多い。ナイジェリア人でヨルバ族のエイモス・トゥトゥオラ作のファンタジー『やし酒飲み』は、延々ヨルバ族の伝承に登場するものが主人公へ襲い掛かるが、作者(チュツオーラって書きたい)は敬虔なクリスチャンである。

この「ヨルバ人の宗教」は多神教であり、オリシャはその神話における神々である。他の多神教における上位の神々(gods)だけでなく精霊(spirits)も包有する概念であり、日本における「八百万の神々」に通じる。


最高神オロルンの使者であり、不可視の世界「オルン」と物質世界「アイイェ」の間とを仲立ちするオリシャは「イルンモレ(Irunmole)」の名でも呼ばれ、イルンモレは四百柱いるとされる。(オリシャの皆さんは東洋の「気」みたいなアチェと呼ばれるものがオロルンから出てできたとか言われ、えーとオリシャを拝むときに石へ封じてとか、聖像へドルペソなどのお賽銭上げたり、お線香みたいに葉巻捧げたりする、なんか日本の信仰、儀礼っぽい処がちょっとある)


ヨルバ人をはじめとする黒人が奴隷売買で南アメリカ大陸中南米カリブ海に連れ去られると、ヨルバ人奴隷により旧来の信仰を守るために支配者・主人階級が信仰するキリスト教の装いを取り込む試みがなされた。この地で生まれたヨルバ系宗教において、それぞれのオリシャに対応するカトリック聖人がいるのはその名残である。ただ後述するブードゥー教が、フランス人による迫害(祖霊信仰がどうぶt書けん)とキリスト教への改宗に対抗する目的で「表の顔」としてキリスト教の守護聖人を使うのに対し、サンテリアなどではオリシャは「アフリカの神々が聖人へ転生」したと考える(なんか、こっちの旦那さま方は黒人の儀礼の方を興味深く見てたとか、ブラジルの方では黒人女性が誑し込んでたとかでこんなマイルドな、本地が垂迹するみたいな形になったそうなの)ため、例えばシャンゴという「若いイケメン」で浮気性で情熱を司る男性のオリシャは、聖バルバラ(バーバラの。実在の可能性が低い女性の聖人で、彼女を折檻せんとする父親が雷に打たれた伝説がある)と同一視されるなど、性別に関して無頓着である。さらに、一応コブレ(キューバの地名。英語へ直訳するとカッパー)の「慈愛のマリア(Virgen de la mercedes)」自身も厚く崇拝されているが、このマリア像は同時に河川神オシュンである。このような経緯により、却って、レグラデオチャとも呼ばれるサンテリアでは独自の施設を持たず、教会などが兼用される。例えばハバナ郊外のエル・リンコンやサンティアゴ・デ・ラスベガスにある、サンラサロ(聖ラザロ)を祀る教会はソレがあてられるオリシャ、ババル・アジェの寺院とされ、通常はカトリックの教会として機能しているが11月17日のババル・アジェの日には信徒がオリシャの施設として参詣に行く(1950年代後半のキューバの革命は宗教を一応弾圧したけど教会を粉砕するまではいかなかったの)。

こちらの主人であるスペインポルトガルの人は黒人の儀礼からまた魔術(キンバンダのが正当っぽいそうであるがマクンバとも言う)へも魅力を感じ、実践するものが現れ、時代がさらに下ると心霊主義スピリチュアリズム)や西洋魔術の影響を受けた宗教も現れるようになった。


スペインやポルトガル人は黒人奴隷が使用に耐える状態にするため、彼らをカビルド(cabildo 聖堂参事会の意)という、各民族ごとに振り分けられたコミュニティで飼うことになった。この制度のため、ルクミ(スペイン人によるヨルバ族の俗称で、ヨルバ語の「私の友達」を指す「oluku mi」の意からとられた)は祖先の伝承その他を継承し得た。こうして、ブラジルのウンバンダ(ちょっと仏教が入る)やクィンバンダ、カンドンブレ(ポルトガル語ベース)、キューバなどのサンテリア(スペイン語ベースなのだが、若干訛るってあの「S音がT音」になるのでオリシャはオリチャになる)、カチンボ(インディオの信仰とバンツー系が入ったブラジルの宗教)、アバクア(ニャニーゴ 「否定的な表現はN音」とする汎世界的なお約束がっ あー「恐れを知らぬ者ども」の意の俗称で表されるイボ人の興したもの。女人禁制で、ディアブリートと呼ばれるトリックスター的なもの以外はほとんど知られていない)、といった諸宗教が発祥し、原典のヨルバ神話にはいないオリシャも誕生した。それでもなおヨルバ神話が基礎になっているため、ヨルバ人以前に有能な家畜として狩られたバンツー族(狩り取った地域をわざと混ぜて管理してたら奴隷的にダメになったという経緯がある上に、檀原照和先生によると文化がショボい)の興したパロ・モンテあるいはレグラ・デ・パロと呼ばれる信仰は、崇拝されるンプンゴと呼ばれる神々が、オロルンにあたるザンビ(Zambi又はNzumbiンスンビ ゾンビと関連する語だけど光の側の最高神で人へ幸運を齎す)、オバタラに当たるティエンバ・ティエラ、イェマヤにあたるマードレ・デ・アグア(水の母)、シャンゴにあたるンサシ、オシュンに当たるママコーラ、オッグンにあたるサラバンダ、ババル・アジェにあたるコバジェンデ、などオリシャと習合した形で辛うじて残っている。

同じような形でフォン人の伝統宗教と他宗教が混交してハイチで誕生したのがブードゥー教である。こうした宗教は、相互に影響を与えており、ヨルバの軍神オグン、道路の神エレッグアなどブードゥー教の精霊(ロア)ともされているものが何柱かいる(オリシャではシャンゴという神様がブードゥーでソボとか、道路のオリシャ「エレッグア」がブードゥーで「レグバ」など名前が変わるのがいる)。フォン族とヨルバ族の間では抗争の歴史が一応あり、「あてられる守護聖人が若干異なる」(チャンゴに当たるカンドンブレの「シャンゴ」は、ヨルバの王朝オヨ朝で王を表すライオンと関連する聖ヒエロニムスがあてられる)程度のほぼ同じ信仰で親近感を持つサンテリアとカンドンブレの関係に対し、彼らとブードゥーの信徒(ティギニンという)とはお互いの宗教を別の者として一定の距離を持つが、皮肉にも「キューバへ行かされたフォン人」がマタンサスを根城に興した宗教レグラ・アララは、後にサンテリアへ吸収されている。


 オリシャには各々に、カミーノ(スペイン語で「道」)と呼ばれる派生神が存在し、それぞれで信仰される。例えば、イェマヤにはイェマヤ・アウォジョ(七色のスカートを穿いて戦に臨む)、イェマヤ・オクティあるいはオグンデ(鍛冶屋オグン・アラグ・べデの嫁でしつけに厳しく、山刀を持ち旦那ゆかりの鎖を体へ巻き付け戦に出る)などの8柱のカミーノが、エレッグアには河川神オチュンとともに歩く、悪戯好きでおしゃべりで不平屋の「エシュ・ラロジェ」、祖霊エグンと共に働き、賢いのでよっぽど祈る人のためになる者でないと願いを聞き届けくれない「エシュ・アラゴナ」、カミーノの主「エシュ・オロナ」、奇跡を興す呪物の集合体「エシュ・アラゴナ」、ババル・アジェと行動を供にする、真面目な中年の姿をした「エレグバ・アフラ」、海神オロクンと行動を共にし、世界のあらゆる富に近寄ることができる上に魔法使いという説もある「エシュ・アジェ」、組織内に面倒な仕事を作る「エシュ・ビ」、エレグアの起源で海岸に住む「エシュ・アジャンキ(アニャーギとも)」、人気のない処に住む「エシュ・ラグバナ」十字架のエレグア「エシュ・メリンラジュ」シャンゴの火の秘密を知るシャンゴの連れ「エシュ・バララインジェ」、オグンへ食べ物を与える「エシュ・アワニレグベ」がいるなど各々にいる。わからないことは考えない、こまけぇこたぁいいんだよ!がサンテリアのババラウォ(司祭)が説く託宣である。


オリシャたち

 オバタラ エレッグア オルンラ シャンゴ オグン イェマヤ オシュンの7柱がアフリカの7大神である。また、上述の通り派生神カミーノが存在する他で、実際に何柱居るのか把握するのは困難である。

ヨルバ神話

オロルン創造神オロドゥマーレ、天界の長オロフィと一体ともされる至高の神。

イェマヤ:母なる海の女神。至高神を除く全ての神々の母。オグンとオルンラとオリシャ・オコ(農業のオリシャ)の嫁でもある。

エシュ:オロルン以外には制御も困難なトリックスター。カンドンブレの呼称がエシュ(Exu)で、全性欲を司り、サンテリアではエレッグア、ブードゥーではレグバという。両性具有で、通常は道路を司る。

オグン文化英雄の顔を持つ軍神。鍛冶屋でもある。一応Oyaを配偶者としているが、ラテンアメリカ信仰圏(異常に広い)では、夫婦仲は冷え切っているとされる。

オシュン:河川神。女性の美と出産、財宝を司る女神でもある。お産から転じて静脈や胃、腸も司り、外科手術の際に拝まれる。セクシーダイナマイツな形をし、シャンゴの二番目の妻ということになっている。

オバタラ:父なる天空神。イェマヤの夫。地母神オドゥドゥアが妻ともされる。両性具有。

シャンゴ:火と雷の男神。司法神と軍神の性質を持つ点でオグンと共通し、彼とは「強敵(とも)」の間柄である上にオグンの嫁Oyaを巡っていろいろある。堪え性がなく喧嘩っ早く嘘つきで女っ誑し、太鼓とダンスの名手でギャンブラー(踊りの陶酔とギャンブルは神聖な儀礼の零落したもの)というラテン系(黒人で実在した王様らしいけど)のため、ラテンアメリカではよく信仰され、トリニダード&トバゴの一部では彼による一神教がある程である。

ババル・アジェ医療を司る神。元イケメンであったが、下半身にだらしがなかったので至高神に一回発疹まみれにされた上に殺され、下半身派閥によってなんとかなったものの復活した姿は足を痛めた発疹だらけの老人だったので、兄弟シャンゴに頼んで2匹のわんこを貰い、一応隠居しつつ、民草へ皮膚病を齎したり癒したりしている。という悲劇のオリシャであるが、信徒は多い。

オルンラ:イフェの表と呼ばれる呪具で占術を主宰する。最も賢いオリシャ。


ヨルバ系混淆宗教

ポンバ・ギラ:ウンバンダ、キンバンダにおけるエシュの妻。「魔女の女主人」にして同性愛者守護神

ゼ・ペリーニャ:ウンバンダとカチンボにおける貧者の守護神にしてダンスの精霊。白で統一された服装の洒落者。

関連タグ

アフリカ ナイジェリア 習合

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