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概要

歯車を使わずに、エンジンの駆動力をベルトと臼形プーリーなどを使って無段階に変速比を変えられる変速機のこと。オートマチック・トランスミッション(AT)の一種であるが、機構的に有段式のATとは別物と認識されている。起源はかなり古く、ゴムベルト式CVTは20世紀初頭から用いられていたが、古くはトルク容量が小さく、小型スクーターやエンジンを動力として用いる定置工作機械などでしか利用されなかった。この記事では二輪車用や定置機械用のCVTには触れず、四輪車用のCVTについて解説する。


自転車でギア変速をする時に、後輪部のギア(スプロケット)にかかっているチェーンが、大きさの異なるギアへガチャン、ガチャンと音を立てながら移動する様子を見ることができるだろう。この大小のギアが滑らかな一枚の鏡面で、この上をチェーンがヌルヌルと滑っていく様子を想像すれば、それがだいたいCVTである。


四輪自動車で用いられるものは1958年にオランダのDAF社が量産したものが初とされる。日本では、その後1970年代にDAFが開発したCVTを富士重工業日産が導入し、1980年代から小型車に搭載した。「夢の次世代変速機」としてもてはやされたが、数々の欠点(後述)が露呈。しかし開発研究が進んだ結果その多くが解決され、2010年代以降に日本で販売される日本車の主流となっている。現在の日本の乗用車メーカーで、OEM以外でCVT車を販売していないのはマツダのみである。


特長と普及

エンジンの回転数を比較的一定にしながら変速できるため、理論的には有段式変速機より伝達効率が高く、かつ燃費が良い(ただし、動作には高い油圧が必要となるためオイルポンプの動作分が損失となり、高速長距離走行時には多段化した有段式ATに劣る場合もありうる)。「エンジンの一番美味しいところを常に使える」という言い方がされることもある。競技ではこの特長を最大限に活かし、トヨタがどんな車速でも常にエンジン回転数を6000に維持したまま走れるCVTをヴィッツに投入し、全日本ラリーのAT車部門を席巻している。またF1でもテストされ、一周につき1秒のゲインがあることが確認されたという(ただしドライバーがギアチェンジをするという規則から、実戦投入は禁止されている)。


普及期には

  • 発進時のトルクが薄く出足が鈍い
  • 信頼性・耐久性が低い。特に過積載に弱く、貨物車に向かない。
  • エンジンブレーキが弱い
  • プーリーの幅を変えることで変速するため変速に時間がかかり、トルクの薄さとあいまってとにかくレスポンスが悪い

などの欠点が目立ち、一時独自開発のECVTを積極搭載したスバルもATに逆戻りする結果となった。従来のAT車のような「クリープ現象が無い」のも不評(「アクセルを踏まないと動かない」からむしろ安心感があるとして評価する声もあったが)だったので、トルクコンバーターを組み合わせて発進時のトルクを増幅させるとともに、以前のAT車に慣れた人でも違和感なく乗れるようにされた。


そして現在では

  • 大トルクを受け止める技術開発が進み、高級車エルグランドなど)や300馬力ものエンジン出力を誇るスポーツ系車種(WRX S4レヴォーグ)にも搭載できるようになっている。
  • エンジンブレーキの弱さや運転の違和感を補うため、擬似有段変速(ステップ制御)や有段MTモードを採用する(これらはCVTの良さを殺すものとして批判的な意見もあり、採用は一部車種に限られるが)。
  • 高速域の弱点を克服するため、高速域用のギア(副変速機)を採用する。
  • 発進用ギアを備えて、CVT特有の発進時の滑るような感触を減らす。
  • CVT製造のノウハウが蓄積され、信頼性が大幅に向上。通常の自動車の走行距離ではほぼメンテナンスフリーに。

など、乗用車向け用途においてはほぼ弱点は克服された。乗用車の機構を流用するライトバンでもしばしば採用される。


平均走行速度が低く、ストップ&ゴーが多く、小排気量の軽自動車が主流の日本はCVTの長所が生きやすい環境であり、一時は日本でだけあまりにもCVT車比率が高いので「ガラパゴス化」の一例として取り上げられるほどだった。しかし、大トルクに対応したCVTの登場により、有段式AT主流だったアメ車でもCVT車比率が上がりつつある。現在でもクルマ好きの中には「CVTはエンジンの回転数と加速が一致しない(ことがある)」という理由からCVTを嫌う人がいるが、ほとんどのドライバーは気にしないであろう。


欧州メーカーでCVTを積極採用するのはアウディくらいであり、多くのメーカーはMTをベースにクラッチを自動化したDCTを推している。新興国でもCVTの信頼性に不安があること、MTの方がまだコストが安いこと、CVTが故障した際分解修理ができる整備工場は少ないことから、信頼性の高いMTやセミATが主流である。


2010年代末には多段化によりステップATが再び台頭しCVTやDCTを脅かしているほか、電気自動車も控えているというカオスな状況になっている。


電気式CVT

日産のe-POWERのようにエンジンを発電機として使い電気モーターで駆動するシリーズ・ハイブリッド方式やトヨタ・プリウスのようなスプリット式ハイブリッドなどは書類上は「電気式CVT」と書かれる。

が、これらは正確には動力伝達機構や動力源そのものが無断変速特性を持っているため、変速機がない(不要である)というのが本来は正しい。


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