概要
その名の通り、複数の(不特定多数の)者が集団となって、一人にストーカーをすること。組織犯罪の一種である。
ストーカー自体については当該項目を参照のこと。
詳しくは後述するものの、「集団ストーカー」被害を訴える人の多くは、統合失調症をはじめとする精神疾患が原因で、さまざまな物事への強い不安や自分ではコントロールできない妄想を抱えていると見られており、実際にはストーカー被害には遭っておらず被害妄想である可能性が高いと考えられる。
無論、実際になんらかの犯罪を目的にある特定の組織やコミュニティによりストーカーに遭っている人や、犯罪目的でなくても興信所などによる身辺調査の過程において組織的に尾行されていることもあり得るため、全てが妄想というわけではない。
実在した集団ストーカーの例としては、1999年に発生した桶川ストーカー殺人事件が有名である。これは加害者と被害者が交際関係だったという接点から発展している。
また、現代ではネット上で荒らし等の行為を働いていた人物が恨みを買い過ぎた末、あるいは単に言動が面白がられみんなのおもちゃにされた末、身元を特定され不特定多数から嫌がらせを受けるようになるという「ネットいじめ」による場合もある。
妄想の中の集団ストーカー
統合失調症などの患者は「ある日突然不特定多数の人物や犯罪組織から狙われ始めた」などと唱え、集団ストーカーによる被害を自称することが多い。
客観的に考えれば、接点のない無名の一般人を集団で付きまとう理由は見当たらないはずであるが、その点は「自分は知識人だから狙われている」「前世からの因縁」などと彼ら独自の世界観で補完されている。
自身のブログやSNSでそういった主張をしているだけならまだしも、無関係の掲示板や動画・ブログ等のコメント欄に自分の主張を書き込んだりマルチポストを行う、不特定の(無関係な)人物を勝手に撮影し「集団ストーカーの加害者」認定して動画や画像をネット上に(無許可で)公開する、自分がたまたま目についた、気に入らなかったという理由での企業や著名人への誹謗中傷、無関係な人間に勘違いや逆恨みで危害を加える等の迷惑行為や犯罪行為に走る者もいる。
ここまで症状が重症化すると、仮に周りの人が精神科にかかることを勧めても、病識(自分が病気である、病気の症状により自分の心身に変化が起きているという自覚)が低い人の場合「自分は健康なのに病気扱いして陥れようとしている」「集団ストーカーの手先である」などと思い込んで関係を断ち切ってしまうこともあるため、対処は困難である。実際に、集団ストーカーの存在やその被害について啓蒙するあるチラシでは、集団ストーカーの目的は「ターゲットをキレさせ(逆上させ)問題行動を誘発し、社会的に被害を与える、もしくは精神的にダメージを与え自殺に追い込む(一部編集補足)」ことであると主張されているが、この主張に即すれば「病院に行くことを勧める、場合によっては直接連れて行こうとする」という対処法はかなり分が悪いといえる。
実際、ストーカー行為を恐れての迷惑行為により警察に逮捕され、強制的に措置入院させることで初めて精神科を受診することになるケースもある。
いわゆる「電波系」とされる人にも、この集団ストーカーにまつわる妄想と関連がある。
集団ストーカー被害を訴える人の中には「電波(※テレビやラジオなどの送受信波や携帯電話、GPSなどの衛星波など多岐にわたる)を通じて思考を読み取ろうとしている」「スマートフォンの中に隠しアプリが仕込まれていて、そこから改造されて情報をストーカーたちに送り込んでいる」などがある。後者については実際にサイバー犯罪の一つとして似たような事例があるため、全てが妄想とは断定できないが、例えば「街ですれ違った相手のスマートフォンから無理やり送り込まれた」「メモやカレンダー、メールなどのやりとりから、自分しか知らないはずの情報を言いふらされて恥をかいた、移動したところに先回りしてストーカーが監査していた」などの主張がある場合は注意が必要である。
さらに(病気が原因で無自覚のまま)集団ストーカー被害に悩んでいる人をターゲットにした「ストーカー対策」を謳うグッズ(例えば「ストーカーからのハッキングを防止するための電磁波遮断アクセサリー」など)や書籍なども複数発売されており、根拠に乏しい陰謀論、またそれを利用した悪質なビジネスに誘導されてしまう危険性も存在する。