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邪悪の王

じゃあくのおう

ギラ/クワガタオージャーのキャッチフレーズであり、宇蟲王の「子」としての肩書。

概要

ギラ/クワガタオージャーが王として名乗る肩書(キャッチフレーズ)。

元は、育った孤児院でのヒーローごっこで悪役を演じていた際に名乗っていた物だったが、自分の生まれの因縁に巻き込まれる形で反逆者の汚名を着せられた以降、それに立ち向かう意味も込めてこの肩書を公に名乗る事となる。

邪悪の王とは名乗ってはいるものの肩書とは裏腹にギラは底抜けに優しい正義感溢れる青年である。反逆者として追われてからは現在、確立されている正義を一つの正義として考えつつも、それに仇なす別の正義つまりは『悪』という意味合いとして名乗っている。

その後、紆余曲折を経てシュゴッダムの王となった以降も、人々の未来を奪わんとする存在の邪魔をする者』の意味を込めてこの肩書を名乗っている。


ところが第40話ラクレス・ハスティーと組んだ宇蟲王ダグデド・ドゥジャルダンが、「ギラは自分の力を与えて作った子(に等しい存在?)」という衝撃の告白を行い、加えて実際にギラを操ってエクストリームキングオージャーを降臨させ操る芸当をやってのける。

その上で「ギラはチキューを守る役割を放棄し、逆に滅ぼそうとしている」との嘘を付き、彼とその仲間である王様戦隊を孤立させ一網打尽とする策略の布陣を敷いた。


…だがこれは、不死身であるダグデドを倒す為に奴が持つ不死身を貫通する力を掠め取る為、ラクレスが17年もの歳月を掛けて演じた邪知暴虐の道化、その演目の大詰めであった。そして見事不死身を貫通する力を掠め取り、これまで苦境に追い込む事で鍛え上げた弟、ギラ・ハスティーと共にラクレスはダグデドを遂に討伐。

その後、弟の優しさに引き合わされ繋がった他の王様戦隊に命を救われたラクレスは、ゴッカンで開かれた裁判に掛けられる。そして隠す理由が無くなった事もあって、シュゴッダム王室=ハスティー家より『邪悪の王』ギラが生まれた理由を、ラクレスは裁判の壇上で滔々と語り始めた。



先々代シュゴッダム国王にしてハスティー兄弟の実父、コーサス・ハスティーはかつて宇蟲王の従僕者の証として力の下賜を請い、それへ答えたダグデドがコーサスの妻(シュゴッダム先々代王妃にしてハスティー兄弟の実母)に「滅びの力」を植え付けた事から、全ては始まった。その後突如として妊娠した王妃は自らの命と引き換えに男児を産み落とし、その男児は『奇跡の子』として王室の外に存在を秘匿されて育てられた。…この子供こそが、幼少期のギラである。

すなわちは、チキュー人の王族の女性にダグデドが「滅びの力」=自らのBNAを混入させて製造した一種のデザインベイビーと呼ぶべき存在が、『邪悪の王』ギラの正体であった。しかし、ハスティー兄弟のDNA一致率が90%以上(=父方(コーサス)の遺伝情報も持っている)という事実から、当時のハスティー家が認知していなかった(あるいは知らないふりをしていた)母胎内の受精卵にダグデドが手を加えた可能性が高い。


コーサスが、実子の一人を生まれながらの怪物とし兼ねない存在へと変えたのは、その実子=ギラを宇蟲王に反逆する力として使う算段の為。更にダメ押しとして、コーサスは長らく休眠状態にあったゴッドクワガタシュゴッドソウルを加工した料理・レインボージュルリラを幼いギラに与えて人としての意識と記憶を失わせ、対宇蟲王の兵器=道具へと仕立て上げる非道な行動を起こした。それは強大な怨敵を倒す為と称して、意思すらなかった我が子ギラへ生まれながらに壮絶な重荷を背負わせてしまった罪悪感を抱える、コーサスの父親としての情けでもあった。

しかし兄として、ギラの傍に居た少年時代のラクレスが弟の変調に気付いて騒動を起こした事が、シュゴッダム王家を密かに監視していたカメジム・ウンカの介入を招いてしまう。そして以降の間近での監視をする隠れ蓑としてボシマールはカメジムに殺害されて入れ替わられ、コーサスも謀反を企てた報いとしてグローディ・ロイコディウムと合流したカメジムの襲撃に遭い、必死の抵抗も空しく抹殺されてしまった。


そして空席となったシュゴッダムの玉座に無理矢理ラクレスを据えた宇蟲王一味は、二度とシュゴッダムが謀反を考えない為の見せしめとしてチキュー全土に及ぶ大災害を発生させ、それをラクレスの目前で見せ付けた上で再度の服従を強制した。これこそが17年前(※第2部時点、第1部時点では15年前)『神の怒り』事件の直接的な原因にして真実であった。

しかし、ギラはコーサスが殺されてから神の怒りが実行されるまでの僅かな間にラクレスの手で行方不明とされ児童養護園に送られていた様だが、その経緯はギラを「ダグデドを倒すための道具」としてではなく戦いとは無縁の「普通の人間」として生きて欲しいという兄心故の行動だった。


また因みに、ダグデドは安全圏から惑星を滅ぼす手段として自分に星の住人の憎悪等が向かない為の身代わり兼自滅劇の起点となる存在を造り出していた節があり、その存在を端的かつ揶揄して表現する意味で『邪悪の王』と嘲っていたのが示唆されている。



その後、本性の一端を解放したミノンガン・モウズの出現による時間の錯綜の影響で子供の姿に戻され、なお且つそこから元に戻った際の副作用により失っていた王室時代の記憶をギラは取り戻す。

更にミノンガンの体内を通してダグデドが復活を果たした事も合わせ、ギラは自らの罪を背負ってこの世から去る決意でいた兄・ラクレスに生きて戦う事を要求。それに他の王も同調しラクレスも要求を受け入れた事で、宇蟲王に抗う反逆者として王様戦隊は改めてその地盤を固めた。


かくして、生まれながらに宇蟲王の力を有し、その上で守護神の魂も与えられていた始まりの国の弟王は、紆余曲折の末に自らのルーツと与えられた役割を自覚。それでいて誰かに強制されず自分の意志で与えられていた力を使う事を決め、身勝手な誰かの思惑に逆らう『邪』道を選び、独善を振りかざす輩を絶つ『悪』を成す者、“心優しき邪悪の王”としての王道を改めて突き進む事を決めたのだった。


関連タグ

王様戦隊キングオージャー

ギラ(キングオージャー)ギラ・ハスティー:総じて、『記憶を失くし平民として生きていた王族』が、『自分の宿命等を知った上で自らの道を見定め進む王』と成る過程を象徴するワードに『邪悪の王』がなったとも評せるだろう。


ダグデド・ドゥジャルダンゴッドクワガタ(クワゴン):ギラに力を与えた者達。なおクワゴンもダグデドの被造物の一つだったが、ギラに自分の魂を力として預けた事が切っ掛けとなって彼の優しさに長らく触れ、その延長で同胞らと共に邪悪な造物主へ反逆する道を選択するに至った。


デズナラク8世:宇蟲王一味が2000年前から干渉し、『人類の敵』との悪名と濡れ衣を着せられた地帝国バグナラクに溜まった憎悪と怨念を背負い、人類滅亡による復讐を企てる『邪悪の王』を演じる事となってしまった人物。王様戦隊との攻防の果てで、ギラの裏表無い謝罪の姿勢と優しさを向けられた事で憎しみ等を手放すも、直後に自分の側近として振舞っていた宇蟲王の手先に処刑されてしまった。また、バグナラク人のルーツはシュゴッドソウルを摂取して身体に昆虫の遺伝情報を組み込み進化した人間であり、レインボージュルリラという形でシュゴッドソウルを体内に宿したギラも似た経緯を持つ事に。

一方因果にも、彼の心を救ったギラもダグデドの干渉で同じ轍を踏み掛けたが、宇蟲王側に与する形で弟を守っていたラクレスや彼の優しさに触れた他の国の王や民達、そしてシュゴッドとの間に作っていた縁によって苦境を乗り切り脱する事が出来た。逆に見れば、自分の優しさを他者に感じさせ、良縁を紡ぐ機会に恵まれたか否かがギラとデズナラクの運命の分かれ道だったとも言えるかもしれない。


グローディ・ロイコディウム:ギラやバグナラク人と同じく、シュゴッドソウルを膨大な量摂取させられて造り出された存在。だがこちらは多大な副作用も受け、宿った死者を操る能力に心身を囚われた生きた屍にしてそうなる以前の記憶を忘却した、宇蟲王の惑星殲滅兵器にして無惨な道具へ成り果てている。

皮肉にも、コーサスが父親としての情けでギラに施した処置を延長した経緯を経て誕生したとも言え、ラクレスに庇われなければなっていたかもしれないギラのIFの姿とも呼べよう。またラクレスからしても、グローディの引き起こした『神の怒り』を止められずそれを境として面従腹背の道化芝居に長らく身をやつした事から、極めて因縁深い怨敵でもある。


黎明の使徒リジェ別の平行世界の地球(アース)人夫の胎児に、敵組織首領が魂と力を憑依させて造り出した幹部にして、首領の仮初の身体=道具。こちらは紆余曲折の末に邪悪な意志と力より解放され、再会した両親と共に普通の人の子として生きる結末となった。


万丈龍我:母親の胎内に居た頃で地球外生命体に憑依され、その遺伝子を生まれながらに宿した人物。

朝倉リク悪の帝王の遺伝子から作り出されたデザイナーベイビーであり、造物主から道具としての役割を背負わされた出生を持つも、その運命に覚悟を決めて立ち向かい覆し、自分の道を切り開きヒーローへと成った人物。

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