作風として、昭和時代のテレビまんがを平成時代の技術で作るという試みのもとに作られている一面がある。いわゆる70年代テレビアニメへのオマージュが随所に見られ、その部分が大きく評価を分けた作品。また同時代に人気を獲得していた痛快時代劇へのオマージュもあり、特に水戸黄門をモチーフとして各種の設定が構築されている。

オタクシーンにおいてはテレビまんがや時代劇をよく知っているオタク第2世代(およびオタク第3世代前期)までは企画意図によく沿った良作でありサブカルチャーにおける伝統を見事に換骨奪胎させた傑作として評価はとても高い。しかしテレビまんがそのものに疎いオタク第3世代、とくにエヴァ世代(オタク第3世代後期)およびその価値観を範とする者たちからは「古臭く(泥臭く)て時代遅れ」「最新技術や才能の無駄遣い」「新しい技術を使うなら新しいモノを創れ」として難を指摘されやすい。概して、評価点と批判点が表裏一体となっている作品といえ、そのために評価が賛否両論になりやすい作品である(この作品自体にも新しい革新的な部分はあるのだが、いかんせんそれらは令和の観点から見てこそのものであり、むしろそれらは平成時代中期においては「出す時代が早すぎた」類のものであった)。

ただし2期まできちんと作られた事でも解るように商業的には成功しており、令和の今でも根強い人気を獲得していると言いきれる作品である。

あらすじ

第1期

天野原学園中等部に通う少年、光国葵は父の命日に普段は遠くで働きめったに会えない母と墓参りに赴く。だが墓参りの最中、宇宙パトロールを名乗る年賀姉妹からの襲撃を受ける事に。葵の母である美都(ミト)は銀河に名の知れた宇宙海賊(ステラバスター)キャプテン・ミトであったのである。

宇宙パトロールの攻撃により、あえなく美都の体は真っ二つ……とか思っていたら、その体は実は「メイルスーツ」という、いわゆるパワードスーツであった。

スーツの中から出てきたのは「ミト」を名乗る眼鏡の幼女。実はミトはネオテニー種族の異星人であり、葵はそんなミトと地球人の父との間に生まれた、いわば星間ハーフであったのだ。

そして銀河パトロールの襲撃により、この事が敵側に知れた事を悟ったミトと彼女の仲間たちは自分たちの「若君」でもある葵を守るため、天野原学園のある天野原町に潜伏する事を決める。ミト自身も自ら葵を守る(あとメイルスーツがブッ壊れたので大人の姿がとれなくなった)ため身分を偽り「体は子ども、頭脳は大人、百戦錬磨の宇宙海賊」の小学生として天野原学園に通う事となる。

一方、宇宙パトロールの年賀姉弟もミトとその仲間を炙り出さんと地球人に扮して葵に接近する……のだが葵のクラスメートとなった姉弟の姉である年賀睦月は葵の優しい人柄に触れて彼にその想いを寄せる事となり任務と恋心の狭間で板挟みとなり心を千々に揺らしていく。

やがて騒動は宇宙パトロールの母体にしてミトの出自、銀河の天下を支配している銀河星王家の継承問題に端を発する事が明らかになる。葵はまさに銀河星王家の血を引く「ご落胤」であったのだ。

物語は互いに銀河星王家の継承権を保持するミトと同じく継承権保持者にして宇宙パトロールの局長でもある爛磐の衝突に発展。

一方の年賀姉弟は葵が銀河星王家の血を引く事を根拠に、葵こそが次代の銀河星王家・宇宙パトロールの次代を担う継承者であるとして彼の味方になる事を決める。

最後の最後で葵は星王家の力に目覚め、その力を以て騒動を見事に治め、ミトから譲位されて王座に就く事になる。しかし、その代償として葵は女の子になってしまったのだった。

二人の女王様(第2期)

葵たちの奮闘で宇宙銀河は再び太平の世に突入していた。しかし彼らの巻き起こした大騒動は次元すらも揺らし、ある存在を刺激していた。

銀河星王家・初代女王・陽怒(ひかり)。

銀河星王家擁立による天下統一の果て、女王の座に就きながら、その享楽な幼女のごとき残虐性で後の世代によるクーデターをかまされて次元封印された悪夢の女王、とされる存在である。

彼女は宇宙銀河の太平を発展が見込めない、つまらない世界と決めつけ封印から脱獄。葵から女王の座を簒奪し自らの元へと取り戻し恐怖政治を用いて銀河を虐げて「ストレスフルな環境によって銀河世界を成長させる」事を目論む。

その事を知った葵たちも抵抗し、両陣営は激突を繰り返す。

しかし、その激突の中、物語はかつて銀河の民たちのため陽怒を涙ながらに封印した、彼女の夫である「アキツ」の存在を浮き彫りにする。彼こそは葵にまで血筋の続く銀河星王家の「もうひとりの初代」。そして葵の前世であった。

その事に気づいた陽怒は、アキツ＝葵に執着を抱くようになり「アキツ(葵)と陽怒の二人だけで新しい世界で永遠に生きたい」と望むようになる。しかし葵は当然「世界とは宇宙とは、そこに生きる皆がいてこそ」とそれを拒否。唯一愛する人に拒否された(と思い込んだ)ために自暴自棄になった陽怒はついに宇宙の破壊を目論む。

しかし葵はアキツの記憶と力に目覚め、さらに陽怒から連面と受け継がれた銀河星王家の力も上乗せし、アキツの人格を発現させて陽怒を説得。自らアキツの人格を分離させ陽怒に伴わせ、新たに創生される別の世界へと送り出し、ついに銀河星王家(葵)はその創設から続く因縁に終止符を打ったのであった。

登場人物

ミト / 光国美都 / ミト女王

声 - 川上とも子

宇宙海賊のキャプテン。年齢は12010歳（第2期では12011歳）。銀河パトロールから指名手配をされている。熱血で子煩悩な性格で、葵がらみになると、邪魔する者は容赦なく叩き潰す。本来の子供姿(上記左イラスト)と、成人女性のスーツを着装した姿(上記右イラスト)がある。

元々は銀河星王家の女王であったが、その頃はワガママ放題に育てられ、それを当然と受け入れて生きていた冷酷かつ残酷な女王であった。だが、その一方で立場ゆえに自らが本当に欲しいものだけは得られずに窮屈な思いを抱いていた。そのため自らを蹴落とした爛磐のクーデターに関しては「起こされて当然。あの頃の私は本っ当に酷かった。むしろ王座から蹴落として自由にしてくれて感謝している。私の代わりに星王家を真っ当に治めてくれるならなおいい」として含むところは抱いていない(爛磐に抵抗したのは、あくまでも我が子である葵を狙われ巻き込んでしまったため)。

とはいえ女王位を追われ落ち延びた後も信頼を裏切られたがゆえの人格の荒みっぷりはしばらく続いたらしく「残虐な宇宙海賊」として知られた姿は、この頃のもの。なお女王を追われたとはいえ、ついてきた家臣たちもそれなりにおり(宇宙海賊組織であるステラバスター・ミトとしての組織体は、この時にミトについてきた家臣たちが母体)女王として全く人望が無かったわけではなく、自らに成果ある者には必ず報いる女王でもあった。

とある一件で地球に降り立った時に葵の父となる蔭朗と出会い彼との交流を経て、人の命の儚さとゆえの尊さ、それを削ってでも輝く命の煌めきの美しさや、かけがえのなさ、そうして創られ彩られる世界の本当の美しさを知り、葵を生んで人の親となって今の穏やかな人格へと落ち着いた経緯がある。