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反AI

はんえーあい

AI(人工知能)による画像、文章、音声、動画生成に反対する思想運動。 また、AI利用者、及びそのようにみなした人を攻撃する人達の呼称。
目次 [非表示]

概要

AI(人工知能)による画像、文章、音声、動画生成に反対する思想運動。

AI技術が人間の創造性や個性を奪うと主張し、AIによって生成された作品を排除する運動。

またAI使用作品が人権侵害や著作権侵害などの問題を引き起こすと警告し、

AI技術の倫理的・法的な規制を求める運動。

及び、上記の理由から主にAI利用者とAI利用企業、

実際にAI使用したかの有無にかかわらず

AI使用しているとみなした人を攻撃する人達の呼称。


注・現在のAIに批判的であることを自認する立場の人からは

『反AI』は対象者に対する批判、侮蔑の意味を含んだ呼称だという理由で

AI慎重派、生成AI反対派、無断学習反対派などの呼称が提唱されている。



生成AIの是非については世界中で巻き起こっている議論であるが、日本の漫画、同人、アニメ等では「フェアユース(一定の条件を満たしていれば、著作権者から許可を得なくても著作物を再利用できること)の考えがない」、「二次創作に寛容」、「それでいて絵柄アイデアについてオリジナルを尊重することが求める」などの著作物をめぐる独特の風習(日本の著作権法の規定とは必ずしも一致しない)が根付いているため、従来の「業界の常識」の中で育ってきたクリエイターと、そのような不文律を知らない業界外の人々(海外ユーザーを含む)との軋轢が目立っている(外部サイトも参照)。



反AIの語源

「反AI」という単語は生成AI登場前から存在していた。

また反AIも2023年1~2月頃まで、自らを「反AI」と呼称していたのが確認される。

しかし、反AIの誹謗中傷、ネットリンチ、人格攻撃で「反AI」という単語の印象が悪化、

2023年3月頃を境に反AIは自らをAI規制派などと呼称するようになった。



確認できた最古の反AI呼称は、

人工知能学会誌の連載「AIにおける論争」〔第1回〕黒崎 政男

人工知能学会誌(1986~2013, Print ISSN:0912-8085)1987年12月号

に AI反対者の名称として「反=AI論者」という言葉が出てくる。


「反AI」はAIを題材にしたVivyAI崩壊など、

SFで「AIに反対する架空の組織や思想」を指す言葉として認識されていた。

また、2022年頃には画像生成AI、Midjourneyなどが登場し、SF作品と現実を絡めて「反AI」の登場を予測するツイートが増加した。

「仕事がなくなって、反AI勢力が誕生するSFが絵描き界隈で起こりそう」2023年1月3日


2022年7月31日 ゲームクリエイター852話氏のAIイラスト投稿が炎上

画像生成AIユーザーへの日本発の誹謗中傷事件

意外にも、この時点では852話氏を誹謗中傷した人達は反AIとは呼ばれていなかった。


2022年8月29日 AI画像生成サービスmimicβ版が公開

mimicβ版に批判的な言動をした者を反AIと呼んでいるのが観測される。

AIに否定的な言動をする人達を反AIと呼んでいるのはこれが初。

「イラスト提供したクリエイターまで叩くとか反AI正義マンやばすぎて草 過激な市民活動団体とかと何も変わらんやんけ やっぱ人間が一番こわいし醜い、はっきりわかんだね」

反AI since:2022-8-1 until:2022-9-1


2022年12月13日頃から始まったオンラインアートコミュニティArtstationを発端としたAIイラストに反対する活動「NOAI運動」が、2023年1月25日にイラストレーターのよー清水氏(@you629)によってツイッター(現X)上で

「おわ、Artstation(海外のプロ向けpixivみたいなとこ)あまりにも反AI活動&垢消しが多すぎて利用規則が改定。基本的に生成形AIの学習目的でArtstationの作品を使うのは禁止ってことになったようです。先進的な海外ではAIが認められてるって言ってたのは誰だったかな…」

と投稿し、NOAI運動=反AI として紹介し、AI反対派推進派間に「反AI」という単語が一気に広まった。


この頃、ツイッター(現X)上でAI反対運動をしていた反AIも自分自身を反AIだと認識している。

「海外のほうが反AIって方が多いので」2022年10月28日

「でも反AIが増えてて本当に嬉しい😭😭😭😭おおおおおんんんん😭😭(泣)」2022年12月18日

「もしAI周りの事態がいい感じに収束してきたらこのアカウントも削除するつもりでこのアカウント作ったんだけど、のちのち歴史修正されそうだから残しておこうかな…あの頃野蛮な反AI派が〜とか言われんの容易に想像つく」2022年12月26日

「こちらの方は他の方の作品もAIによる改変をした盗作をしていましたね… AIを悪用する連中はこうして反AI派を攻撃してくるのでサブアカウントからの報告になり申し訳ありません…」2023年1月27日


これは、2022年頃は「反AI」はAI反対運動としての意味合いが強く

AI反対運動としての反AIと、AI使用者に対して攻撃的な言動を取る人達に対する呼称(反AI過激派、反AI派等)は呼び分けられていたからである。

しかし、Mimic炎上事件、クリスタのSD仮実装潰し、赤松健議員への誹謗中傷、

反AIによる事件が起こるたびに「反AI」という言葉そのもののイメージが徐々に悪化し、「反AI」という言葉がAI反対運動ではなく「AIに対して攻撃的な言動を取る迷惑な人達」の意味合いを持って使われる事が多くなった。

「「フェミニスト」を名乗ってヘイトをバラ撒く人のせいでフェミニストって名乗れないのと同じ問題が発生しつつあるよね、反AI」2023年3月31日


そのため2023年3月頃より、反AI達は「私たちは反AIではなくAI規制派、AI慎重派である」「反AIはレッテルである」と主張するようになった。

理由は「全てのAIに反対している訳ではなく、AIイラストや無断学習される生成AIにのみ反対している」「ディープフェイクなどAI犯罪行為に反発している」というものである。

「生成AIを問題視してる人に対して反AIって言うのはあまりに雑過ぎる」2023年6月8日

「あ、NO AIを彼らなりに訳すと反AIって事?英語弱弱すぎる……流石にないと思いたい……」2023年3月16日


反AIの主張

  • 著作権法の理解不足

著作権法の知識が不足しており、いついかなる状況でも著作者が著作物の無断利用を禁じる権利があるという誤解に基づき「無断で学習されたAIモデルとAI生成物は著作権違反」であり、違法なAIを使用する「AI使用者は犯罪者」だという主張。

「絵柄が保護されないのはおかしい」「生成AI問題に対応した著作権法がない、立法をすべきだ」「著作権法30条の4を改憲すべきだ」という法律そのものに不備があり、今は合法なAIを使用しているが「AI使用者は脱法行為をしている」という主張。

海外の著作権法と日本の著作権法を混合し「著作権法に違反している」という主張。

これらの著作権法の無知・無理解に基づいた主張は、文化庁の籾井著作権課課長に「知識基盤のレベル合わせができていない」と評された。

著作権法の不理解による主張は政府批判と結びつきやすく、AI使用者が犯罪者であるという主張は誹謗中傷問題に発展しやすい。

  • AIモデルの知識不足

AIモデルの知識がなく、AIモデル内部に圧縮された学習元が存在するという誤解に基づき

「AI生成物はコラージュである」「AI生成物は複製である」「AIモデルは検索機である」という主張をする。

Stable Diffusionをはじめとする画像生成AIのトレーニング用に使われている「LAION-5B」というデータセットに、児童性的虐待画像(CSAM)が含まれていた問題と合わせて

「AIモデル内に児童性的虐待画像が入っている」「児童性的虐待画像で学習されたAIイラストは児童性的虐待画像である」「ゆえにAI使用者は性犯罪者である」という主張。 AI生成物が版権キャラクターや特定作家と似た画風を出力するのは、無断転載された画像で機械学習されているため

「機械学習に使用したデータセットを開示せよ」「問題画像が含まれているならオプトアウト(データセットから除去)せよ」という主張。

ローカルモデルが世界中に普及している現状を無視し、AIモデルの取り扱いを免許制にすべきだという主張。

  • 正当な対価を得ず、機械学習の素材として勝手に使われる事への忌避感
  • アイデンティティの毀損

  SNSの隆盛に伴ってオンリーワンである事(何者かである事)に強い価値がある昨今、

  その特別たり得る部分を奪おうとするAIに自尊心が傷つけられた。

  人間の能力とAIの能力を同列視される事への生理的な不快感。

  • 人間の作った物とAI生成物の区別がつかず、騙された気持ちになる
  • AIを使うことは「ずる」をしているという不快感
  • 競合に対する恐怖

  AIは競争相手であり、自分の食い扶持を減らす存在への恐怖感

  • 新技術が犯罪に使われるなど、社会情勢悪化への懸念
  • AIに人類が家畜のように管理されるという不安
  • AIによる迷惑行為の被害者になった

  無断で自身の著作物をi2iされる、自身の絵柄や声や容姿を許可なくAIで模倣された

  • AIによる市場破壊、AIに職を奪われた

  安価に大量のAI生成物が投稿される事により競合がおき、今までのビジネスモデルが成り立たなくなった。


反AI、その始まり

反AIはAIユーザーへの誹謗中傷から始まった。

2022年7月31日、ゲームクリエイター852話氏がツイッター上で

Midjourneyβで生成したAIイラストと共に

「AIで自動生成した画像 一切加筆と加工をしていない直データ やばい 本当にやばい 廃墟イラスト完全に勝てない 廃業です 神絵が1分で生成される 参った #midjourney」

と投稿し話題となった。これに絵師を中心に「絵師が廃業するわけがない」と激しい反発が起き、この件以降852話氏がAI生成物を投稿するたびに反発が起き、2022年9月頃に852話氏の自宅を特定した反AIが押し掛け奇声を発しながらドアを叩く警察沙汰になり、852話氏は引っ越しを余儀なくされた、

また仕事用メールやDM、まとめサイト、匿名掲示板等に殺害予告を含む大量の誹謗中傷が投稿されていた。

自宅凸事件顛末


852話氏は2023年5月頃から弁護士を通して、複数のIP開示請求と訴訟を行い、現在(2024年5月時点)も開示請求と訴訟は続いている。

一部の訴訟では示談が成立し、示談金が支払われた。

また、示談が成立せず訴訟が提起された1件では、被告が示談に応じず裁判所にも出頭しないまま審理が終了したため、擬制自白として852話氏の勝訴が確定

2024年4月10日に判決が言い渡された。

この判決は生成AIに纏わる裁判第一号である。


この頃、他に誹謗中傷を受けたのは、2022年8月10日Midjourneyで生成したAIイラストで『サイバーパンク桃太郎』を発表した作家兼漫画家のRootport氏や、

2022年8月31日イラストレーターのさいとうなおき氏が「AI全般について、そういう技術が現れてしまった以上は時間を戻すことは出来ない。なので、それありきとして表現を考えていかなきゃなって思う。」という投稿など、

画像生成AIに初めて触れたクリエイターがAIの能力に驚愕し、クリエイターの未来について「絵師中間層は消滅する」「クリエイターはAIに代替えされる」など

悲観的な見解を寄せた事に反発する形で誹謗中傷や人格批判が行われた。


2022年の画像生成AI初期は、「AI使用者が絵師を馬鹿にしている」「AIが絵画の制作を完全に代替することはあり得ない」というのが反AIの論調だった。

確かに2022年初頭ごろの画像生成AIは未熟であり、クリエイターがAIによって置き換えられるという見方は難しいとされていた。


行き過ぎた反AI活動の問題

当然ながらAI生成に難色を示す人々の全てがそうである訳ではないが、モラルやマナーや規約を守らないAI生成画像利用者の排斥に過熱した結果、本来の意図から逸脱し、魔女狩りのような行為に発展しているケースも見られる。


多くの画像投稿サイトではAI生成イラストが一気に増え始めた際、従来では考えられないほどの非常識な量の大量連投が起こり、サーバー負荷の問題でAI生成画像の一律禁止の対応を取ったが、Pixivでは禁止せず、代わりに「AI生成」のカテゴリを追加するにとどまった。


これにより問答無用で排除せずに住み分けと共存を目指したものだが、一部のユーザーにおいてはAI生成のカテゴリタグを使用せず、タグの編集をロックする・全て埋める等して第三者による追加をさせず、コメント欄も閉鎖し、明らかなAI生成画像であるにもかかわらず、意図的に住み分けを嫌って自作画像の界隈に踏み込んでくるユーザーが少なからず見られる。

このようなユーザーは無関係のタグを大量に羅列したり、NovelAI登場直後のような非常識な大量連投をする等の検索妨害行為の並行も少なくなく、その面でも問題になる。


もちろん、AI生成画像に絵柄が似ているだけの自作画像であるケース(AI生成タグを使わないのは当然)もあると思われるが、プロフィール欄に堂々と「AI生成画像を投稿」等と書いていたり、過去の投稿はAI生成と明記していた作品が、全く同じ絵柄で途中からAIタグを消してこのような状態になる等、疑う余地のないユーザーも確かに存在している。


  • 「AI生成画像に絵柄が似ている」だけでAIだと決めつけ排斥。

確かに「ぱっと見でAIっぽいと分かる絵柄」はあるが、該当しそうな絵柄だったら必ずAI生成物であるとは限らない。

前述の通り、AIは膨大なデータを学習して平均値を出力する性質上、AIに似せられたオリジナルが最も多い絵柄パターンでもある。

特に、流行りの絵柄に合わせようと努力してきた人はこの状態に陥る可能性も高く、「元からAIの絵柄に似ている人(AIに似せられた側の人)」は少なくない。


別パターンとして、AI生成画像普及初期に見られたような、ラーメンを手で食べたり箸が5本あったり、背景の構造物が物理的にあり得ない構造をしていたり等の作画ミスの部類を根拠として、AI生成だと決めつけられてしまうケースもある。

流石に箸5本とかはあり得ないとしても、指の数が1本違ったり、パースが狂って背景の建物の大きさの整合性が取れていなかったりする程度ならば、昔から手描きイラストでもままあった事例なのだが、この手の作画ミスが1つでもあると「AI生成だ!」と即座に糾弾する人間が残念ながら存在する。


  • 排斥に用いる方法が暴言やコメント・タグなどに対する荒らし行為など、単純に不適切な方法である。

これは論ずるまでもなく、手段が間違っていれば例え真実を訴えていても問題である。

酷い場合、タイムラプスや作画経緯の配信アーカイブなどの証拠が存在していても尚、強硬にAIだと決めつけるのをやめず、単純な暴言だけで叩き続ける人間も存在する。


特に企業から依頼を受けて描かれ、公の場に出たイラストにこの手の疑惑が降りかかった場合、真実がどうであるかではなく企業に対するダメージを避ける為に企業がイラストを取り下げてしまい、それを持って「AIだった証拠だ!」として、イラストレーターへの叩きが加速する問題もある。


反AIの起こした事件

一つずつ上げていくとキリがないので主だった物のみ記述する。


  • Mimicβ版潰し

8月29日、ラディウス・ファイブ社の「15〜30枚程度のイラストから画風を学習(追加学習)し、似たタッチのイラストを生成」するAI画像生成サービスmimicのβ版がリリースされた。


しかし「悪意のあるユーザーが勝手に自分の作品をmimicに機械学習させ、AI生成物を自分の作品として発表してしまうのではないか」などの危惧から、数多くの批判が寄せられた。

mimicβ版のガイドライン上では「他人のイラストを勝手にアップロードし機械学習」する

いわゆる「無断学習」と呼ばれる行為は明確に禁止されていたが

ラディウス・ファイブ社、ならびにmimicのPRやヒアリングに協力したクリエイター、たんたんめん氏に対する誹謗中傷に発展し

mimicβ版は僅か1日でサービスを停止する事になった。


その後mimicはガイドラインを改定し、利用登録を審査制にする、生成したイラストはツイッターアカウントと紐づいて公開される、利用規約違反を報告できるフォームを設置するなどの不正利用対策を施した上で、11月に復活した。

この炎上事件について「mimicの追加学習は汎用的な技術であり、すぐに海外で類似のサービスが登場するだろう。そうなる前に日本がAIイラスト分野を主導しなければならない、mimicを潰して喜んでいる場合ではない」という指摘があった。その指摘通り、10月にはNovelAIがリリースされ、12月には絵柄を簡単に追加学習できるLoRAが開発された。

イラストAI「mimic」のヒアリングに協力したことで批判を受けているイラストレーター、たんたんめんさんが経緯と私見を投稿

mimic公式の声明


また、2022年9月8日と16日にVtuberディープブリザード氏がmimic開発者と対談した動画と11月7日にmimicを活用した動画は、反AIからの強い非難を受けて

12月17日に非公開となった。

mimic炎上事件以降、AI反対活動及びAI反対者に対して

反AIという呼称が急速に使われ始める。

Twitter上でイラスト投稿者が「AI学習禁止、無断学習禁止」の文言をプロフィールに掲載しはじめる。

2022/8/29「AI学習禁止」がtwitterでトレンド入り


  • クリスタの画像生成AIパレット試験実装潰し

11月29日、セルシスがクリスタにStablediffusionを使用した「画像生成AIパレット」の試験的実装する予定だと発表。

同月にAdobeが自社製品に画像生成AI機能(のちのFirefly)を搭載する発表があったため、画像生成AI搭載のペイントソフトは今後主流になると見込まれ、セルシスは試験的実装を急いでいたと見られている。

この発表は反AIから激しい批判を浴び、セルシスは翌月12月2日に仮実装を撤回した。

「CLIP STUDIO PAINTへ画像生成AI機能を搭載しないことといたしました」

Mimicに続いてクリスタの生成AI機能仮実装を潰した事で、日本のAI開発は遅れる事になり反AIへの不満が一気に高まり始める。


  • 赤松&山田議員への誹謗中傷

参議院議員の赤松健氏は一早く生成AI問題のために動いていた。

Midjourneyリリース以降、特にNovelAI正式サービス後に無断学習や無断i2i被害や絵柄の模倣など、赤松議員の元にAIイラストに関する苦情が寄せられていた。

そのため2022年度末頃、赤松議員は弁護士や文化庁やクリエイターなど各種有識者からヒアリングを行っていることをXで報告している。

2022年9月15日のフランス視察でAI作画等について現地クリエイターと意見交換


2022年頃の反AIは「漫画村を潰した実績のある赤松議員が生成AIを規制し違法化してくれる」という論調で期待していた。

しかし、赤松議員は、2023年1月8日「驚異の進化を遂げる画像生成AI ~赤松健の現時点での提言~」動画を投稿した。

日本が今後AIとどう向き合うべきか?と、前職漫画家の経験を活かしクリエイターとしての立場から提言するものであり、生成AIを普及しつつも規律や法解釈でクリエイターの権利保護をしようという提言であった。

つまりAIを完全に禁止にしたり違法にする内容ではなかったため、赤松議員に期待していた反AIは落胆し、2月6日ASCII.jpのASCII.jp「画像生成AI、珍しく日本が勝つチャンス」発言で怒り、3月23日Stability AI社のCOO・伊藤錬と会合し笑顔のツーショット写真を投稿した事に対して大激怒。

赤松議員はクリエイターの期待を裏切ったという論調で、反AIは激しい誹謗中傷を行うようになった。

赤松議員を見限った反AIは、次に同じく漫画村を潰した実績を持つ山田太郎議員に過度な期待を寄せるようになった。

しかし、山田太郎議員も赤松議員と同意見であった。


山田太郎議員は2022年8月頃よりAI問題に取り組んでいた。

『#山田太郎のさんちゃんねる』【第504回】でAI問題について触れており、2023年3月29日には国会で質疑を行い30条の4の但し書きの解釈について大臣に質問し、「著作権法の解釈は司法判断に任せるのではなく立法府で議論してルールを作るべき」という主張を行っている。

そして山田太郎議員は2023年6月28日に「山田太郎のさんちゃんねる【第542回】議員になって、早一年!赤松健議員、1年間を振り返り!」で、赤松議員をゲストに招きAI問題について触れた。

AI問題に対して単純に反対するのではなく、AI促進と著作権侵害問題を分けて考える必要性があり、特に反AIのような感情的な議論は避けるべきであると指摘した。

そのため反AIは「山田議員はクリエイターの期待を裏切った」という論調で誹謗中傷を行うようになった。


なぜ両議員は反AIに同調せず、反AIを切り捨て現実的なAI規制案を模索したのか?

漫画村問題の際、山田議員と赤松議員は表現の自由を守るため、通信ブロッキングに反対した。当時、出版業界や政府内部から要求があったが、両議員は検閲の恐れがあるとして反対姿勢を貫いた。

とくに赤松議員は無断転載の被害当事者でもあったが、ブロッキングには一貫して慎重な姿勢を見せた。つまり、両議員の対応は「表現の自由を守る」という原則を守ったものでありAI問題に関しても、短慮なAI規制や法改正をして表現の自由を損なう事を危険視したからである。


  • あらいずみるい先生AI魔女狩り事件

スレイヤーズシリーズの挿絵で著名なイラストレーター、あらいずみるい氏がコミックマーケット#C102にて頒布予定のルイルイ企画「るいるい亭にゅ10」と、うちわとクリアファイルを公開

したところ、

同人誌表紙絵とクリアファイルがAIイラストだとして

反AIが「ベテランがAI堕ちした」「盗用AIに手を出した」「AI明記せずに売るとは詐欺行為だ」と誹謗中傷と個人攻撃を行い、AI魔女狩りを行った。

この騒動で、あらいずみるい氏は反AIの誹謗中傷のターゲットの一人となった。


反AIがこの絵がAIイラストだと判断した根拠は、あらいずみるい氏が2022年12月8日にmeituでのi2i変換画像を投稿していた事、2023年5月12日にAIイラストを活用したイラストを投稿していた事、AI 生成メディア認識モデルHiveにてAIイラストだと検知された事である。

これに対し、あらいずみるい氏は8月15日に同人誌の表紙とクリアファイルは手描きであると、原画のレイヤー構成を動画で公開。


ほぼ同時期にHiveが手描きイラストをAIイラストだと誤検知する事も発覚した。

あらいずみるい氏を誹謗中傷していた反AIの大部分は謝罪する事なくアカウントを消し、

先鋭化した反AIは「レイヤーパカパカした程度で手描きだとは信じられない」「AI魔女狩りが起きるのは生成AIが存在するせい」「タイムラプスを出さないのはAIイラストの証拠」などと言い、レイヤー分割AI拡張機能(layerdivider)でAIイラストをレイヤー分けし手描きイラストに見せかけたに違いないと、さらにAI魔女狩りを継続した。

あらいずみるい先生に粘着を続ける反AI「レイヤー分けもAIで出来ました!」


なお、あらいずみるい氏のレイヤー構成は、1影2影など乗算レイヤーやスクリーンレイヤーで細かく分けられており、この動画のようにAIイラストをlayerdividerでレイヤー分割した場合、影やハイライトが一括でパーツ分けされてしまうので、あらいずみるい氏の動画のようなレイヤー構成にはならない。

またlayerdividerの製作者、抹茶もなか氏は「このツールはAIイラストの修正を容易にするための拡張機能であり、AIイラストを手描きに見せかける機能ではない」とコメントしている。


あらいずみるい氏はこの騒動について「ちょっとひどいと思った人のは記録ちゃんと残してる」と述べており、法的措置も視野に入れている事を匂わせている。

あらいずみるい氏へのAI魔女狩り事件に関連して、「反AI」「AI魔女狩り」という言葉の認知がAI問題を知らない一般人にも一気に進んだ。


  • AI朗読劇潰し

株式会社Lol主催の「~AI朗読劇シリーズ~ 『AIラブコメ』」、生成AIに恋愛ドラマの脚本を作らせて、声優が都内の劇場で朗読するというものだった。

声優陣には、人気アニメ「鬼滅の刃」や「BLEACH」などに出演経験がある19人をそろえ、3月13~20日に講演が予定されていたが、反AIからの批判と脅迫により中止を余儀なくされた。


AIイラストを前面に出した広告が反AIの怒りを買い、「盗作脚本だ」「出演した声優の声を学習させても文句を言うなよ」といった批判が殺到した。

またAI朗読劇に参加していた立花慎之介氏が代表をしている事務所が日俳連に所属していたことなどから、反AI達は日俳連の #NOMORE無断生成AI 運動のタグを使い「日俳連が無断生成AI反対をしているのに無断生成AIを使用した劇をするとは何事か」と批判を浴びせた。


株式会社Lolは3月6日にこの朗読劇は文化庁のガイドライン通りの運営をしており問題は無いと経緯説明をしたが、ラノベ作家サカナ霧が株式会社Lol宛てに「開示しない場合は無事に開催されないことを祈っております」「あなたの家族が拉致され臓器を抜かれ、他の人間と接続された状態で見付かったらどう思うか」と脅迫文を送るなど反AIの誹謗中傷は治まらず、3月9日に演者の安全を確保できず「関係者の皆様に多大なるご迷惑がかかる可能性」があるという理由で中止を発表した。


この騒動による経済的損失は推定1000万円に上ると言われており、日本俳優連合の #NOMORE無断生成AI 運動で潰された、クリエイターの仕事を奪うなと言いながら声優の仕事を奪った事例として議論を呼んだ。


外部サイト

日本人クリエイターが持ちがちな"自身の生み出す著作物に対する極めて独占的かつクローズドな考え方"は、自分にとって非常に理解し難いものがある、という話


関連タグ

noAI 反○○ 著作権 著作権法 著作権侵害 パクリ

人工知能 AIイラスト 生成AI 反ロボット主義グループ

絵柄パク...絵柄を似せる行為への悪口・中傷。日本では「マナー・モラル」として「特定の絵師の画風に似せるべきではない」と主張する人もいるが、法的な根拠はない。

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