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サイコドリーム

さいこどりーむ

「サイコドリーム」とは、1992年に日本テレネットから発売されたスーパーファミコン用のゲームである。
目次 [非表示]

概要

サイドビューのアクションゲームで、日本テレネット(本作は「ライオット」ブランド)が「ヴァリス」以来連綿と制作してきた系譜の最末期のタイトルになる。

テレネット系列のアクションゲームではずっと問題視されてきた操作性が大幅に改善されており、ジャンプアクションの感触は鋭敏で良好。

アクションゲームとしてはやや冗長だが、バックストーリーと全編一貫した、まさに「幻想的・夢想的」な演出・BGMはプレイヤーの感情面に強く訴える力がある。

刺さる人にはとことん刺さる作品。

ちなみにタイトルのサイコドリームの「サイコ」は、日本テレネットが製作したソフトの通算

315(3=さ、1=い、5=こ)本目から来ている。


海外市場には「Dream Probe」として1993年に発売予定であったものの、販売会社のRenovation社が消滅した事で立ち消え。後にプロジェクトEGGで2012年にWindowsに移植された。

日本ではSFCでの発売以降バーチャルコンソールで配信される事もなく、そのまま忘れ去られたものと思われていたが…。


2021年2月のNintendo switch Online スーパーファミコンソフト配信のラインナップに登場し、作品を知る人から非常に驚かれた。

…知る人もいるかどうかわからないほどのマイナー作品であり、且つゲームの評価もそれほど高く評価されていなかった(発売当時のファミ通レビューで40点満点中18点)為である。

ちなみに同時配信には同じように仮想現実をストーリーに取り入れた「真・女神転生Ⅱ」が含まれている。


さらに2022年3月に、未使用曲も収録されたオリジナルサウンドトラックCDがリリースされた。

ストーリー

作中の世界(架空の1990年代初頭の日本)では、精神を作品にダイブさせて楽しむ映像ソフト

Dムービー」が若者の間で氾濫している。

1992年、Dムービーの中でも危険と名高い映像作品「廃都物語」に入り込んだまま現実に帰還しない少女・柚木沙耶香を帰還させる任務を受けた政府組織の男女が少女の夢に同調して入り込み、夢の世界を駆け抜ける。


用語


・Dムービー

実体験と仮想世界を行き来するマシン。これと専用の薬剤・Liピルを用いる事で作品に入り込む事が可能となる。しかし、精神遊離剤のLiピルと感覚接続器の併用が当初から危険視されていた。

ハード性能の向上により、安価なマシンが急速に広がった事で若者達のステータスの一つとなっていった。

21世紀のフィクション世界では一般的になった感覚を置き換える仮想現実手法とはシステムが違い、映像ソフト・ハード・薬物の力によって、ソフトが設定した「」を眠っている間に観るというマシンである。

他者が「そこ」を共有するには、夢の主に同調する必要があり、夢の主の心身にトラブルがあれば全員にダメージが及ぶ。

似たような概念の映像作品が普及している例としては「DETONATORオーガン」のP.A.S.F.U.(パスフー。使用者の夢に干渉し使用したソフトの夢を見られる)や、「COBRA」第1話で地球でアトラクションとして楽しまれている「トリップ・ムービー」か。


・ブレインアウト

Dムービーに接続しLiピルを摂取して作品内に入り込む事。


・シンカー

Dムービーに入ったきり帰還しない者を指す。生命活動に必要な食事も排泄もされない為衰弱していき、この状態に陥ると生命活動はもって一週間。生命維持装置をつけたところで植物状態に代わりはなく焼け石に水。

だが「理想の世界に入り込める」という誘惑に若者が勝てるはずもなく、シンカー問題は深刻化の一途をたどっている。


・『ダイアモンドの犬』

Dムービーに入ったきり帰還しない「シンカー」を現実に強制復帰させる活動のために政府が設立した組織、国家公安委員会直属・公安4課の仇名。

宝石じみた結晶が取り付けられた記章のイメージからそう呼ばれている。


・デバッガー

『ダイアモンドの犬』に所属する、Dムービーに耐性を持つ現実引き戻し作業実行メンバーのこと。

作中の主人公二人が該当する。


・「廃都物語」

作中世界で最も流行し、最も危険な幻想作品と言われている。

監督は鬼才デヴィッド・ヴィスコンティ。

寂れた都市にクリーチャー達が闊歩しており、主人公達の行く手を阻む。

本編のステージ構成は、

1面は見渡す限りのビル街(ほとんどの窓ガラスが割れている)、

2面は地下鉄、3面はビル清掃の屋外エレベーター、

4面は桜が舞う武道館脇道路、5面はビル街の間を縫う高速道路、

最終面の6面は遠くに西洋風のお城を望む洞窟。

…という構成だが、果たしてこれが廃都物語固定のものなのか、少女沙耶香の記憶を何らかのかたちで参照しているのかは分からない。


登場人物

シジマ・リョウ(男主人公)

RYO

『ダイアモンドの犬』に所属するデバッガーで、ゲームでは赤いマントを着こんだ騎士然としたキャラクター。赤い二角帽をナポレオン被りしている。

ミューテーションするとマントはそのままに全身が外骨格で覆われた刺々しい容姿になる。


トバリ・マリア(女主人公)

センシティブな作品

『ダイアモンドの犬』に所属するデバッガーで、ゲームでは黒いボンデージ風の服を着たキャラクター。

ミューテーションすると背中にの翅が生え、ジャンプボタン長押しで緩角度落下ができる。

ちなみに近接攻撃のフリークアウト3段階目・ミューテーションにはその場でくるくる回って攻撃するモーションがあるが、背中を見せた時に画面を止めるとお尻がほぼ丸出しなのがわかる。


柚木沙耶香

私を助けないで

今回の救出対象。ゲームではステージクリア時に出てくる一枚絵の少女が彼女。

彼女が13歳の時に父親が愛人と共に失踪。後に離婚し母子家庭となっている。

沙耶香の母親はその母の私生児として産まれ、旧家の血筋を絶やさない為に望まぬ結婚をしたので、拠り所が娘の沙耶香しかなく過保護

母親から男女交際を引き裂かれるなど強硬な母親の行いを沙耶香は愛情ではなくただの抑圧と感じており、Dムービーに耽溺していく事になった。

映像作品の中でも特に没入度が高く危険と名高い「廃都物語」にブレインアウトしシンカーとなった。元々病弱な身体、しかもゲーム開始時には既にブレインアウトして3日が経過しており、救出までの猶予は24時間しかないと思われる。


ゲームシステム

残機制なし・体力制、時間制限あり。コンティニュー可能(パワーアップ・得点リセット)。

十字ボタンで移動、Yボタンで攻撃、Bボタンでジャンプ、Aボタンでファイナルアトラクション。

Rボタン押しっぱなしで移動がダッシュになり、ジャンプ力も上がる。


モンスターを倒すことで出てくる6色の「プロテイン」を獲得する事でパワーアップ。

  • イエロープロテイン:標準攻撃が近接攻撃になる。標準攻撃が近接攻撃の場合はフリークアウト(強化)する。
  • ブループロテイン:標準攻撃が射撃攻撃になる。標準攻撃が射撃攻撃の場合はフリークアウト(強化)する。

(イエローとブルーは対応しており、時間経過で変化する。近接と射撃を切り替えるとフリークアウトが初期状態まで弱体化する。)

  • レッドプロテイン:ブルーかイエローのフリークアウト3段階目で取るとミューテーションを起こしグラフィックが変化して攻撃力が強化、近接攻撃3フリークに加えて、射撃攻撃3フリークを左右に同時に発射する。ただし形態変化してから3回被弾すると初期状態に戻ってしまう。
  • ピンクプロテイン:ライフが4ゲージ回復する。
  • グリーンプロテイン:獲得すると3回攻撃に当たるか画面を切り替えるまで残るバリアを貼る。
  • パープルプロテイン:ファイナルアトラクション(ボム)の回数が増える。

ランダム性があり、一部場面を除き時間経過で変色するので狙った色のプロテインを獲得するのは比較的楽。


主人公二人の性能もフリークアウトの分岐で変化。

リョウの近接攻撃フリークアウトは肘や膝の骨を伸ばして攻撃するフレイムフリーク。

射撃攻撃フリークアウトは腕に寄生させた生物からレーザーを放つパラサイトフリーク。パラサイトフリーク3だと、レーザー弾は地形で反射する。


マリアの近接攻撃フリークアウトは爪が鋭利に伸びるネイルフリーク。

射撃攻撃フリークアウトは腕を銃に変化させて光弾を撃つキャノンフリーク。キャノンフリーク3では光弾が誘導する。


  • 攻略面の性能で言えばマリアの方が大幅有利。6発発射の光弾が全弾誘導弾なので、撃ちまくるだけでザコを殲滅しボスも近づかなくて済む。おまけに近接攻撃もマリアの方が連射速度が速く、敵をノックバックで食い止める能力が高い。

ファイナルアトラクションの性能は微妙にリョウ・マリアで異なり、リョウの「モゼイックディジーズ」は攻撃判定の出が速い代わりに無敵時間が短め。マリアの「ブラッディレイン」は攻撃判定の出が少し遅めだが、無敵時間は長め。


余談

本作のデザイナー西崎まりの氏は2004年に夭折しており、この作品のアートスタイルに魅了されたファンから惜しまれた。


造形家、デザイナーの韮沢靖氏は、ゲーム誌のインタヴューで好きなゲームにこの作品を挙げている。


関連タグ

日本テレネット レトロゲー

仮想現実



エピローグ

エンディングは割とあっさりしており、彼女が帰還出来たかどうかはゲーム中だけではあまり推し量れない。しかしソフトの取り扱い説明書にはエンディングのその後が描かれており、購入した人を驚かせた。

以下、取り扱い説明書に記載されたエピローグ。



季節は春になった。

陽気がふわりと溶け出した天気の日に、久しぶりの休暇をとったリョウとマリアが桜並木の通りを歩いていた。

「いい天気ね」

「うん」

二人は神社に向かってゆっくりと散策を続けている。

日頃のきつい任務から解放されて穏やかな気分に包まれた静かで平和な休日の午後を満喫していた。

「あら、あの子……」

急に立ち止まってマリアが一人の少女を指差す。

鳥居の下で若い男の子と話していた少女がマリアに気付いて明るい笑顔で会釈した。

若くて健康な礼儀正しい女の子がするように。

はにかんだ表情を浮かべた少女は傍らの少年と手を組んで表通りの雑踏の中へ消えていった。

爽やかな風が桜の花の積もる石畳の上に翻る。


「誰、今の女の子?」

リョウが不思議そうな顔でマリアに尋ねる。

「なあに、わからなかったの? 沙耶香ちゃんよ、あの子。いやねえ」

信じられないといった風にマリアがにらむ。

「髪がショートになったぐらいで気づかないものかしら」

「いや、随分と印象が変わっていたから…」

リョウは少し狼狽して言い訳をするように答えた。

「まあいいけどね」

柔らかな春の日差しに目を細めてマリアはそっとリョウにもたれながら腕を絡める。

「あの子も元気になったみたいで本当に良かった…」


うららかな表通りにあふれる花見客に紛れるようにリョウとマリアは再びゆっくりと歩き始めた。

季節は春も盛りの頃である。

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