ふたなり

男女両性の性器を併せ持つ人を指す。「両性具有」と混同されるが、まったく別の概念である。現代サブカルチャーでは、「女性に陰茎がついた姿」を中心に、様々なヴァリーションがあり、広く浸透して使われている。

概要

男性と女性両方の性の特徴を併せ持つキャラクターのことを一般に指す。「両性具有」と混同されるが、まったく別の概念である。（「両性具有」の記事を参照）。

「ふたなり」という言葉は古くから日本で、｢双成」｢二成」｢二形」という形で使用されていたが、多くは「半陰陽」（インターセックス）の人を指していたと考えられる。

日本での創作作品（二次元のキャラクター像等）では、女性に男性の性器（陰茎）を付けた者が普通で、その反対に、男性に女性の乳房を付けたキャラクターもふたなりと見なされることがある。また、前二者は、実際にリアルな人間として存在する「シーメール・ニューハーフ」と外見的に区別が付かないことより、ふたなりは「女性の身体に陰茎と睾丸が付き、更に、大陰唇・小陰唇・膣などを備えたキャラクター」こそが、本当のふたなりだという考えもある。これ以外にも色々な考えがある。

様々な解釈があり、かなり定義がゆるやかな概念である。多くの人がイメージするのは、女性の身体に、男性の陰茎がついたものである。

海外での呼称

海外では、特に英語圏を中心とする欧米では、日本語のふたなりをそのままラテン文字表記した futanari や、その略の futa が多く使われてきた。

しかし近年は、日本語の半陰陽に相当する、intersex を futanari の代わりに使用する例が存在する。これは、日本で「ふたなり」とされている絵を見ると、実際には「半陰陽」の（美的に表現された）像であることから、この言葉の方がむしろ妥当だからである。

また日本の「ふたなり」は実際の絵では、「女性的シーメール」と区別が付かない場合が多いので、shemale type futanari というような表現がある。ここから、ふたなりを shemale と呼ぶ場合もある（いちがいに誤用とも言えない）。

古代ギリシア・ローマのヘルマプロディートス・ヘルマプロディーテーの彫刻像や絵画は、欧米ではかなり多くの人が知っている。そこから、hermaphroditos, hermaphoditus（ラテン語形）, hermaphorodite などもふたなりの呼称として使われる。

androgynos, androgynus（ラテン語形）は、ふたなりに使われることはなく、これは、日本語での「両性具有」を表すのに使われる。

スラング的呼称

futanari の略の futa は多少ともスラング的用例である。hermaphrodite 等の略である herm もふたなりを示すのに使われる。

他方、shemale は略語として、shem という言葉があり、あるいは、dickgirl, ladyboy などもシーメールの別語としてある（ladyboy は侮蔑的な言葉だともされるが、それを踏まえた上で使われている例が多々ある）。ふたなりをシーメールと同じだという見方からは、これらも futanari の意味として使われることがある。

欧米以外での呼び方

欧米では、futanari という言葉がかなり一般的である。

しかし、中国語だと、ふたなりは、「双成」で、シーメールは「人妖」だが、絵を見た限りでは、ふたなりとシーメールは区別が付かないことがあり、ふたなりを、人妖と呼んでもおかしくないことになる。（無論、双成と人妖を明確に区別しようとする人もいるが、どちらでもよいという人もいる）。

日本発であった「ふたなり」の絵は、インターネットを通じて、世界中に知られているとも言えるが、色々な言語で、どういう呼ばれ方をしているのか。ウィキペディアは、様々な言語での対応記事がリンクで繋がっているが、これで確認すると、多くの言語版で、日本語で書くと、「フタナリ」に相当する名称である。例えば、ロシア語版では、Футанари であるが、これはラテン文字で表記すると、phutanari（フタナリ）に当たる。ハングル及び中国語でも、hutanari に近い音である。

ふたなり化の機会が多いと思えるキャラクター

ふたなりのヴァリエーション

ふたなりは、概念的に幅があり、様々なヴァリエーションがあると言える。ヴァリエーションとしては、定性的なものと、定量的なものがある。

定性的と定量的

「定性的」とは具体的な例で言うと、睾丸がついているかいないかというような話である。ふたなりの絵では、睾丸がついている絵があり、ついていない絵もある。しかし、どちらも広い意味では、ふたなりと見なされている。似たものとして、陰唇や膣等の女性器を備えるかどうかという問題がある。女性器がある方がふたなりらしいが、ない場合でも、ふたなりであると考えられることが多い。

「定量的」は、定性的に対する概念である。陰茎の大きさが、小さいか、中ぐらいか、巨根かというのは、陰茎のサイズという量的な区別である。陰茎が大きくても小さくても、ふたなりに変わりがない。陰唇等についても、普段は隠れていて小さく収まっている場合と、恥丘が大きく、背後からでも、陰唇がはっきり見える場合がある。しかし、これも、陰唇のサイズの問題である。

陰茎や陰唇のサイズは、ふたなりかどうかという判断基準にはならない。ふたなりのヴァリエーションというのは、「身体器官」、男性器や女性器の有無、つまり定性的な条件で決まる。

ふたなりのヴァリエーションは、大きく分けて「女性型ふたなり」と、「男性型ふたなり」の二つの型があると言える。

女性型ふたなり

「女性型ふたなり」というのは、女性の身体に、男性の陰茎を付け加えてできるふたなりである。この場合、睾丸があってもなくても、ふたなりである。英語で、full package という概念があるが、フル・パッケージとは「男性器と女性器を両方備えていること」である（「陰茎と睾丸を備えていること」という、別の説があるが、ここでは前者を採用する）。

女性型ふたなりの場合は、女性器を備えた上で、当然ながら骨格構造や体型も女性である。従って、女性型ふたなりには、更に二つのタイプがあり、合計四つの型がある。

フルパッケージ型 - 身体の外見は女性であり、男性器として陰茎・睾丸を備える。また女性の身体をベースにしているので、女性器は基本的に備えている。
睾丸欠如型 - フルパッケージ型ふたなりとほとんどの点で同じであるが、男性器の睾丸が欠如しているタイプ。
セミパッケージ型 - semi-package という英語の表現は見当たらないが、フルでない場合、つまり、女性器を欠いたふたなり。陰茎と睾丸は備える。ただし身体の見かけは完全な女性である。
睾丸欠如セミパッケージ型 - セミパッケージ型であって、睾丸を備えていないタイプ。この型は、外見的に女性である人物に、陰茎だけを付けたふたなりに相当する。

女性型ふたなりの表

ふたなりのタイプ	身体外見	女性器	陰茎	睾丸
1］フルパッケージ型	女性＋＋	有	有	有
2］睾丸欠如フルパッケージ型	女性＋＋	有	有	－
3」セミパッケージ型	女性＋＋	－	有	有
4」睾丸欠如セミパッケージ型	女性＋＋	－	有	－

男性型ふたなり

「男性型ふたなり」は、男性の身体をベースに、女性化・女体化（feminisation）を行った結果できあがるふたなりである。フェミナイゼーションがどのレベルかによって、タイプの分類に幅がある。以下は、一つの分類例である。

男性型ふたなりは、今日通称される、シーメールやニューハーフに似ている。男性型ふたなりは、「シーメール・タイプふたなり」とも呼ぶことが出来る。

シーメールは女性器を備えていない。「MtF トランスジェンダー」の人は、SRS（性別適合手術, Sex Reassignment Surgery）を通じて、膣などの女性器を人工的に備えることができる。しかし、SRS は男性から女性へと性特徴を転換することで、ふたなりという両性的な身体になる手術ではない。男性器を温存したまま、女性器の形成を行うような方法で、シーメールはフルパッケージなふたなりへと転換できるとも言える。男性器の温存の場合、陰茎と睾丸の両方を残す場合と、睾丸は除去して陰茎だけを残す場合がありえる。

このような医学的処置を、ふたなり化手術（Futarisation Surgery, FS）と呼ぶことにする。ところで、SRS は、男性から女性へ（MtF）、女性から男性へ（FtM）の性転換であるが、性器官だけを転換するのではない。性ホルモン療法や、体脂肪注入、吸出除去などで、体型や肌の外見などを、女性的に、あるいは男性的に変える処置も含んでいる。性転換は、女性的、あるいは男性的な体型や外観を作り出す過程も含んでいる、

シーメールは、女性的な外見を得るために、性ホルモン療法や整形などを通常行っている。現実には、女性としか見えないレベルまで、身体を変えることは困難であるが、元々に小柄で、骨格や体型、容姿なども女性のようである場合、このような処置を通じて、女性の外見を実現できる人がいる。

FS（ふたなり化転換）の後、シーメールの人は、近似的にふたなりになるとも言える。手術後（ポスト・オプ、post operation、略 PO）であるので、これをポストオプ（PO）型ふたなりと呼ぶことにする。そうすると、次のような四つのタイプの男性型ふたなりがあることになる。

ポストオプ・ふたなり化型
ポストオプ・睾丸欠如ふたなり化型
シーメール・タイプ
睾丸欠如シーメール・タイプ

最後二つのタイプは、女性器を作成するふたなり化手術（FS）を受けていない。しかし、シーメールになる過程で、女性の身体の外見は持っている。つまり、女性器は持たないが、見かけ上は女性で、陰茎を持っているのが、シーメール・タイプである。

女性を対象とした「ふたなり化手術」は、女性に男性の外見を与え、男性器を形成して、女性をポストオプ（PO）・ふたなり化することである。その結果は、上に述べた、フルパッケージ型のふたなりに近似した姿となる。睾丸を形成しなかった場合は、睾丸欠如フルパッケージ型に対応する。

男性型ふたなりの表

ふたなりのタイプ	身体外見	女性器	陰茎	睾丸
1］PO・ふたなり化型	女性＋	有	有	有
2］PO・睾丸欠如ふたなり化型	女性＋	有	有	－
3」シーメールタイプ	女性	－	有	有
4」睾丸欠如シーメールタイプ	女性	－	有	－

補足

補足で説明しなければならないことが色々とあるが、簡単に、ふたなりとシーメールは別の概念であるということ。現実に存在する人間として、シーメールの人はいる。そのような人はふたなりではない。しかし、二次元の絵で描いたとき、シーメールの絵は、ふたなりの絵と区別が付かない。このことから、シーメールを「シーメール・タイプ」のふたなりとするのは、合理性がある。

ふたなり概念の歴史的な流れ

ふたなりにおける誇張

ふたなり化する原因

ふたなりには先天性のものと後天性のものがある。

薬品によるふたなり化

何らかの薬品を用いることによりペニスを発生させる方法。飲み薬、塗り薬、様々なタイプがある。

手術によるふたなり化

外科手術によりペニスを植えつける方法。

魔法によるふたなり化

魔法やその他の未知の手段（非現実的な手段）によりペニスを生やす方法。

寄生によるふたなり化

触手や蟲などがクリトリス付近に寄生してペニス化する方法。

医学的なふたなり化

人間の場合、現在、後天的にふたなりとなる技術や方法はない。しかし、手術等で、ふたなりに近似した姿に人体を整形できるので、未来科学技術、あるいはすでに存在するが、未公開の技術などで、「ふたなり化」の転換技術が実用化されているという設定は考えられる。

ふたなりの特徴的な性行為

個々人の想像力や趣味嗜好に応じて、様々な事例が想定できる。

しかし、個人の主観的な好み等を超えて、一般的にふたなりに特徴的な性行為というものは特にないと言える。

ホモ・サピエンスが実行する行為を量的に拡大したものを想像すれば、ほぼすべてのパターンが想定できる。

ふたなりのキャラクター

「ふたなり」のキャラクターは、記事があるものは、最小限の紹介で充分で、詳細は説明は、記事を参照とすればよい。

天使と悪魔

伝統的な天使や悪魔、あるいは霊的存在、神や精霊は、描き手の設定によっては両性具有である場合はあるが、それは必ずしもではない。そして、ふたなりではない。なので天使や悪魔＝両性具有・ふたなりではない。

永井豪作品のサタン

永井豪の漫画『デビルマン』などに登場する魔王。輝く１２枚の翼を持つ神で、男らしさと女らしさを併せ持っている。金髪碧眼。→大魔神サタン

貞子

このキャラクターは、ゆるやかなふたなり概念でも、ふたなりではない。

舟木千加

漫画『シグルイ』に登場する剣士。舟木道場の舟木一伝斎の娘でもある。

馬一頭を易々と持ち上げるほどの怪力の持ち主で、豪放な性格をしている。同道場の門下生に夜這いをかけた際に、自身でも知らなかった半陰陽を知ることとなる。その際、ショックを受けた千加は、相手の顔から胸までの皮を素手で引きちぎっている。

カイネ

ゲーム『ニーア』のヒロイン。

銀髪の可憐な容姿に反して豪快さ・言動の荒さが特徴的。両性具有であることを理由に酷い虐めを受けていた過去の反動と、半身のマモノの浸食を防ぐ為に大胆な下着姿をしている。

両性具有であるのは長年に渡るレプリカントシステムのエラーによるもので、彼女のゲシュタルトは普通の上流階級のお嬢様で配偶者もいる。

余談だがDLCのコスチュームにするとモッコリが見られる。また、カイネ誕生のきっかけは女性スタッフの「男のヒロインを作って下さい」と言う要望を横尾が曲解して応えたため。

ジェナ・エンジェル

ゲーム『DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー』シリーズの敵キャラ。

外見は黒髪の女性だが、機能する卵巣と精巣をもつ両性具有で、ヒロインであるセラの母（父）にあたる。

十年前、地球環境の異常やキュヴィエ症候群の原因が太陽から降り注ぐ情報であることを突き止めた人物で、EGGの情報とメーガナーダから悪魔化ウイルスを構成した。

セラフ

ゲーム『DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー』シリーズの主人公サーフとヒロイン・セラの想いが一つになった時に生まれた完全なる人間。

外見は短髪の少女だが、その肉体は男女両方の特徴を備える。

仲間の一人であるシエロから「兄ラ」と呼ばれ慕われている。（サーフへの「兄貴」+セラ）

テスタメント（初代、X〜XXAC版）（ギルティギア）

ゲーム『ギルティギア』シリーズの登場人物。

聖騎士団長・クリフの義理の息子であったが、某国の計画に巻き込まれギアにより改造されてしまった。

外見は男にしては中性的だが、これはもともと男性だったがギアに改造された影響で女性器を付けられ両性具有となったため。イノのセリフや、ｶﾝﾁｮｰを喰らった際のセリフで「わ、私の秘密に近づくな！」といっていることから、下半身が普通の男性のものと違う模様。

旧作では男性寄りの容姿と男性声優のふたなりだったが、最新作ではふたなりではなく、逆に性器がない無性別となり、外見も女性寄りになり声も女性声優となった。

男性⇒両性具有の両性⇒性器がない無性別、と肉体の性別が変化した人物である。

欲音ルコ

『UTAU』のキャラクター・音源の一人。

VIPPERのスレの意見を集めた結果、ふたなりになった。

他にもオッドアイ、長身長、12歳、ルークについて等、突飛した設定が多い。

ウルスラ・シュマルリージ

漫画『ロッテのおもちゃ!』の登場人物。

王国親衛師団第1特務親衛隊隊長。階級は大佐。27歳の女性。犬魔族なので普通の耳とは別に頭に垂れ下がった耳がついている。真面目な性格。

女性だが男性の機能も持った特殊な性別で、メルチェリーダの夜伽も務められる。巨根。

ミル・ヴァルナ王女

『MAZE☆爆熱時空』の副主人公で、大バートニアン帝国の皇位第一継承者（であったが権利放棄）。

ジャイナ聖教団に追われていたところをメイズに助けられ、以後メイズをオネニーサマと言って慕う。

14歳だが、基本的に公式の場以外ではかなりの"おポンチ（軽薄で頭が悪い間抜けな男性のことを指す「いかれぽんち」のこと。）"で、実年齢より幼い印象。

外見はかわいらしい少女だが、男メイズをも遥かに凌ぐ巨根の持ち主。

ヘルマプロディートス

記事を参照。

シルビア（このすば）

見た目は完全に女性だが、元々の性別は男性。他の生物を取り込むキメラの性質により、女性的な部分は後から変化したもの。そのため下半身はそのままらしく、男性器はあるが女性器の有無は不明。一応男性である主人公に惚れるが、男の部分も女の部分も反応するため、念のためふたなり扱いとする。

リチャード（薔薇王の葬列）

ヨーク家の三男として生まれたが、女の体にアレがあるという特殊な姿をしているため、母親から「悪魔の子」呼ばわりされ、捨てられた過去がある。

現在は、その体を利用して不意打ちなどを行っている。

島原美和

『亡き少女の為のパヴァーヌ』の登場人物。

おっとりしたおとなしい性格の尼僧。居場所を守るため男として海軍の特務士官の中尉であった。

クリムヴェール

『異種族レビュアーズ』の登場人物。種族は作中世界でも珍しい天使。

性欲旺盛のスタンク達には男として通しており、両性である事は明かせていない。サイズはメンバーで一番。

サキュバス街に連れ込まれて以来、下界の性風俗に興味津々ではあるものの、真面目な性格もあって自発的にサキュバス店には通っていない。…というスタンスをとっていたが、18話では一人で出かけるようになってしまった。

一方で両性故に男女両方の感性を持っている事から女性寄りの言動を見せる事も。

「性転換の宿」に行った際には、女性だが男性器が付いているハイエナ獣人のお姉さんを選んだ。

セイバー（Fateシリーズ）

『Fateシリーズ』の顔である登場人物でアーサー王の女体化キャラ。彼女は自身の姉であるモルガンの魔術により一時的にふたなりにされ、その精子をモルガンの胎で育てたことでホムンクルスの息子(娘)モードレッドが産まれているため、セイバーはれっきとした一人の父親なのである。常にふたなりキャラではないが、男性器を生やされて父親になっているのでこちらに記載。