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魔王と勇者の戦いの裏で

まおうとゆうしゃのたたかいのうらで

『魔王と勇者の戦いの裏で』は小説投稿サイト「小説家になろう」に2021年3月から連載されているライトノベル。
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概要

小説家になろうにて連載中の小説。

作者は涼樹悠樹

正式タイトルは、「魔王と勇者の戦いの裏で~ゲーム世界に転生したけど、友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~」。

略称は「たたうら」。pixiv内のタグとしては正式名称よりも「たたうら」「ttur」が多い。


物語の舞台は、主人公が前世で遊んだ経験があるファンタジーRPGと同じような世界。

所謂、転生ものだが主人公はゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる国で生きるモブ貴族となっている。

ヴェルナーは前世の記憶がよみがえった後は、ゲームで起きた魔物の軍勢による王都襲撃イベントを生き残るという目的で奔走することになる。


小説本編では主人公ヴェルナーの一人称で語られているが、時折他者視点のパートが挟まることがある。ヴェルナーの前世の記憶にある元のゲームや歴史の知識をベースにした解説部分が少なくない。特にそれまでと変わった状況が訪れた際には、目の前の状況とヴェルナーの知識をすり合わせたり分析することを兼ねた解説(所謂「蘊蓄」)が語られる。この蘊蓄部分を許容出来ない読者からは評判がイマイチだが、後の伏線になる部分も多く他の作品との違いを浮きだたせる特徴でもある。

他のファンタジー系ライトノベル作品と比べて中高年男性の登場人物が多い。また文庫版第1巻のあとがきでは、編集部と読者の両方から花がないという指摘があったことが記されている。


原作ゲームについて

タイトル名は不明。ゲームの内容についてはそれほど語られてはいないものの、主なイベントやアイテムの効果などについては前世の記憶通りで、ゲームの主人公パーティのメンバーには音声が付いていたことが作中で明言されている。またコミック版ではトールケース型のパッケージであることが描写されている。

しかしゲームの容量の都合で削減された要素などに言及される・ゲームデザイン自体がかなり古典的である等、ROMカセット時代のゲームであるかのような描写も散見される。このため読者の間では「前世でプレイしたのはリメイク版だったのでは?」という推測もある。


書籍化

文庫版はオーバーラップ文庫にて第1巻が2022年3月に刊行された。2023年11月時点で既刊は4巻。イラストは山椒魚

Web版と比較すると本筋は変わらないが、追加キャラクターにより主人公以外の視点で語られる場面が増えており、世界観を補強するようなエピソードも増えている。

第3巻は『ラノベニュースオンラインアワード2023年5月刊』の【熱かった部門】に選出されている。

『次にくるライトノベル大賞2023』では、文庫部門で2位にランクイン。年代別で30代3位

40代1位・50代以上7位、女性読者投票で3位に入っている。

2023年12月現在、シリーズ累計40万部を突破している(紙+電子)


コミック版は葦尾乱平の作画により『コミックガルド』にて2022年7月から連載が開始、2023年11月時点で既刊は3巻。

文庫版をベースにしており、主人公以外の視点ではコミック独自の描写も多い。絵による表現や説明を活かして蘊蓄部分を簡略化し、新規読者にもとっつきやすくしているのが大きな特徴。

各キャラのデザインは文庫版挿絵より頭身が引き上げられ、ゲームを元にした世界を上手く表現している文庫版よりも戦記物としての重厚な印象を受ける絵柄である。

文庫版と違い、正式タイトルに副題が付いていない。


物語

「内政、防衛戦、戦後の後始末――勇者(とも)と違う、俺の戦場。


いずれ魔王と勇者の戦いが世界の命運を決める。そんなRPGゲームの世界へ転生したことを思い出した貴族の子息ヴェルナーは、本来名前も出ずに死を迎えるモブ。理由は魔王軍による王都襲撃だろう。そう判断したヴェルナーは悲劇を回避するため、前世の知識と知恵を総動員して生き残る術を模索する。

ゲームの知識で己を鍛え、勇者マゼルと親友になり……迎えたゲーム開始イベント『魔物暴走(スタンピード)』。勇者のいない戦場で、誰も気付かなかった魔物の狙いを阻止し獅子奮迅の活躍を見せたヴェルナーは、ゲームの歴史をも変えることに――!?

伝説の裏側で奮闘するモブキャラの本格戦記ファンタジー、此処に開幕。」

(公式サイトの解説文より)


物語序盤で発生するはずの王国軍敗北イベントで生き残るどころか、ヴェルナーの活躍で勝利を収めたことで以後の物語展開は大きく異なっていく。

登場人物

主要人物

  • ヴェルナー・ファン・ツェアフェルト

スキル:槍術

本作の主人公。年齢は明言されていないが10代後半の学生。

ツェアフェルト伯爵家の次男だったが、幼い時に優秀な兄を事故で失っており嫡男となった。その事故のあたりで前世が日本人であることを思い出し、以後は魔軍による王都襲撃イベントを生き延びるべく前世の記憶と知識、今生での貴族家嫡男としての立場を活用して立ち回る。

日本人としての記憶と感性を持っているため、他の人から見ると時々規格外の発想をする。

前世では歴史オタクかつ仕事中毒だった模様。偽悪的な言動をすることがあるが、基本的に波乱やトラブルを避けるべく、他者には穏便に対応しようとする。

ヴァイン王国の学園側からは「優秀だが、他者を遠ざけようとするところがある」と評されており、周囲の大人や学友たちからも優等生の一角で大臣の息子、という程度の認識で特別注目を集める存在ではなかった。しかし魔軍最初の侵攻となった魔物暴走(スタンピード)で王国軍に勝利をもたらした後、魔軍の脅威に対応すべく前世の知識に基づいた様々な提案をしたことで王太子をはじめヴァイン王国の重鎮たちに目をかけられ重用(と言うか使い倒)されていくことになる。

一応学園は休学中の扱いで、学生としての籍を残したまま魔軍対策に国の内政にと振り回されており、まともに復学・卒業できそうにないことを内心嘆いている。口癖は「胃が痛い」。


  • マゼル・ハルティング

スキル:勇者

ゲームにおける主人公キャラクター。ヴェルナーとは同い年。

勇者のスキルを持つが、自身も努力家で高い能力を有する。また一度見た物を忘れないという特別な記憶力も持つ。

実家はアーレア村の宿屋であり、両親と妹リリーがいる。

物語開始前には王都の学園に在籍しており、ヴェルナーと友人となっている。ヴェルナーとの信頼関係は強く、言った本人が「こいつ大丈夫か?」と思うくらいヴェルナーの助言を素直に聞き入れてしまう。またヴェルナーが妹リリーと付き合わせてもらっていると告げた際も「ヴェルナーなら」と素直に受け入れた。

能力の高さと温厚な人柄から学園では人気者であり特に平民の星といった扱いだったが、魔軍が侵攻を開始して以降は次々と戦功を打ち立てて更に名声を高めていく。

原作ゲームではエンディングでラウラと結婚、魔軍により荒廃したヴァイン王国の王となっている。


  • リリー・ハルティング

本作のヒロイン。勇者マゼルの妹で、可愛らしい容姿の少女(ヴェルナー曰く「顔面偏差値高い一家」)。

故郷であるアーレア村を襲撃された際に魔軍に攫われてしまうが、危機一髪の場面でヴェルナーに救出された。ヴェルナーに好意を抱いており、彼のために両親とともにツェアフェルト家の使用人として働きながら、貴族としての勉強や礼儀作法を習得しようと努力している。

戦闘能力は皆無だが、乱雑な字を正確に読み取る読解能力、平面から立体を想像して正確に描く高い空間認識能力、優れた記憶力を持ち、要所でヴェルナーを助けている。

ヴェルナーからは「絵画か何かの芸術系スキル持ち」と推測されている。

兄マゼルとは1歳違い。14歳のフェリが「リリーの姉ちゃん」と呼んでいることから15歳以上?

原作ゲームではマゼルの家族には大きなイベントもなく、スチルもなかった。


勇者パーティの仲間たち

  • ラウラ・ルイーゼ・ヴァインツィアール

原作ゲームにおけるヒロインで、パーティメンバーの1人。10代後半。

ヴァイン王国の第二王女。教会からは聖女として認められるほどの実力を持ち、最高ランクの「神託」を受けたこともある。

王族あるいは聖女として相応しい気品と気さくで親しみのある性格を併せ持つ。その一方でヴェルナーとリリーの恋愛事情には食いつき気味に興味を示したり、年の近いリリーと深夜まで話し込むなど、年相応の女の子らしいところも見せている。

原作ゲームでは神聖魔法による高い魔法攻撃力と回復魔法を使いこなし、魔王討伐後のエンディングではマゼルと結ばれた。


  • ルゲンツ・ラーザー

スキル:武器の達人

原作ゲームでのパーティメンバーの1人で戦士。

熟練の冒険者で、マゼルの兄貴分のような役回り。

いわゆる「貴族らしさ」を嫌っている描写があるが、この世界の貴族らしくないヴェルナーのことは高く評価している。作中でヴェルナーに雇われていた傭兵隊のゲッケとは友人。

ゲームでは渋い声が評判の声優が演じていたらしい。

文庫版イラストでは鼻に傷跡があるが、コミカライズ版では右頬に傷跡がある。

主な武器は大剣だが、文庫版では弓も扱えることが描かれている。


  • フェリックス・アーネート

ゲームでのパーティメンバーの1人で設定年齢は14歳。

孤児院出身の斥候(スカウト)。素早いだけでなく勘が鋭い。アーネートは孤児院の院長の姓である。

ゲームでは罠の解除で活躍、特に彼がいないと攻略できない罠だらけの迷宮があった。

かわいい系の外見で、ヴェルナーは初対面時に「このゲームが20年遅く発売されていたら多分女の子だっただろう」と評している。

作中ではヴェルナーが足代という名目で渡した資金のおかげで妹のように可愛がっている孤児院の女の子を助けることができたため、ヴェルナーを兄貴と慕うようになった。

かなりの甘いもの好きで、戦闘シーン以外ではよくお菓子を食べている。


  • エリッヒ・クルーガー

ゲームのパーティメンバーの1人。

各地を旅していた修道僧(モンク)で、格闘による戦闘能力と回復魔法を習得している。

僧侶らしく言動は温厚で礼儀正しい。

ゲームでは「当時としては珍しい修道僧」という設定で、前半では回復と物理戦闘を、後半では回復メインで立ち回ることが多かったらしい。武器は使わないが籠手などを装備している。

作中では、ヴェリーザ砦撤退戦後に王都で兵士たちの治療に協力していたところでヴェルナーと遭遇。ヴェルナーの提案で勇者パーティに合流している。


  • ウーヴェ・アルムシック

ゲームでのパーティメンバーの1人。

ヴァイン王国の老魔術師。古代王国が作り出したとされる魔法装置を研究していたため、魔法に関して豊富な知識を持つ。興味のある話題が出ると結構礼儀を無視するところがあるが、本人の性分と魔法の実力、さらに王族の教育係をしていたことなどから溜息まじりに許容されている。ある意味テンプレ的な魔術師であり、他人にあまり興味がない。

武力重視のお国柄の影響か、邪魔とあらばモンスターだろうが瓦礫だろうが魔法で吹き飛ばそうとする脳筋気質の一面がある。原作ゲームでも王都に居座る魔族に大規模魔法をぶつけて一撃勝ちするイベントがあった。

国家機密であるはずの国内外の地図に関する知識を持っていたため、当初はヴェルナーを警戒していた。


ヴァイン王国

作中の舞台となる大陸で最も大きな国。

当代の国王、王太子ともに優秀と言える。しかし全般的に貴族は武官貴族派の勢力が大きく、いわゆる「脳筋」気質の傾向があり、同じ爵位でも文官派は立場が低めに扱われる(戦場でははそれが顕著)。

原作ゲームでは序盤のイベントで騎士団や王国軍が大損害を被り、王太子をはじめ多数の王侯貴族が戦死していた。

貴族制度の爵位は中世ヨーロッパとほぼ同じ。ただし日本語ではPrinceとDukeを無理矢理纏めた公爵をPrinceのみとし、Dukeに当たる爵位として「将爵」が存在している。そのため爵位は「公・将・侯・伯・子・男」の6つとなっている。

王都には全寮制の王立学園があり、貴族の子息や優秀な平民が通っている。しかし魔物暴走時に学生に死傷者が出る等被害を被り、魔王復活が公表されてからは戦闘に関係する科が休学状態となっている。


  • マクシミリアン・ライニシュ・ヴァイス・ヴァインツィアール

ヴァイン王国国王。既に高齢。内政面で優秀だが軍事面はあまり評価が高くない。

コミック版では髭の量が凄い(ゲーム画面でも)。

原作ゲームでは勇者パーティーを魔王討伐へ送り出すが、後半のイベントで生死不明となっている。

ヴェルナーは原作ゲームでの行動について「王様のくせに地図もくれない」「はした金で旅立たせる」「ケチすぎ」と内心でぼやいていた(所謂RPGのお約束)。


  • ヒュベルトゥス・ナーレス・ヴァイス・ヴァインツィアール

文庫版第1巻時点で38歳。ヴァイン王国の王位継承権第1位の王太子。

転生者であるヴェルナーが「天才」と評するレベルで政治や軍事に長けた才覚を有する。

王国上層部の中でも早い段階でヴェルナーを高く評価しており重用する。また王位継承権第2位の息子ルーウェンがおり、ヴェルナーとマゼルを息子の将来の側近候補として考えている。

原作ゲームではスタート時のイベントである魔物暴走で、戦死したとされている。


  • ルーウェン・ゲッパート・ヴァインツィアール

ヴァイン王国の王位継承権第2位の王太孫。王太子の長男で10歳。

王族としては大人しく、やや気弱にも見える。

比較的歳が近く優れた功績を挙げているヴェルナーに憧れており、基本的に遠方を旅している勇者マゼルよりも頼りにしている節がある。

血縁上ラウラの甥にあたるが、ラウラを姉上と呼んでいることが文庫版で明かされた。

原作ゲームでは名前も登場せず、魔物暴走の際に死亡報告しかなかった。


  • インゴ・ファティ・ツェアフェルト

ヴェルナーの父親でツェアフェルト伯爵家当主・典礼大臣。

文官系貴族・大臣として優れた政治手腕を持っているが、個人の武勇も優れている。

魔王復活以降、ヴェルナーが様々な功績をあげることを親として喜びつつも、政治的な局面でヴェルナーが手こずった際には手助けや忠告を行うなど随所で活躍する。


  • イェヒ・アルティヒ・セイファート

王太子ヒュベルトゥスの大叔父にあたるヴァイン王国の高位貴族で、爵位は将爵。

隠居した軍の高官だったが、魔王復活の事態を受けて現役に復帰した。軍の将官として優秀な能力を持ち、武官系・文官系双方の貴族たちからも敬意を払われている。

良い意味で貴族らしくない発想と真面目に任務に取り組む姿勢を持つヴェルナーを気に入っており、弟子のように何かと気にかけている。


  • オリヴァー・ゲッケ

かなり実力のある傭兵団長。元子爵家の次男。

魔物暴走の際には一時的にヴェルナーの指揮下に入り、その後ヴェルナーの動向には注目している。

冒険者のルゲンツとは友人。

ゲッケの傭兵団は国の正規軍に頼りがたい状況のヴェルナーが頼りにすることも多い。


  • ヘルミーネ

武官系貴族家であるフュルスト伯爵家の次女。ヴェルナーよりは年上で20歳前後?

真面目な性格の女性騎士。武官系貴族らしい価値観の持ち主であり、物語開始時はヴェルナーやツェアフェルト家を無意識のうちに見下していた。しかし魔物暴走の件を切っ掛けにヴェルナーを次第に高く評価するようになる。

正ヒロインの登場が遅いため文庫版で追加された女性キャラクター。Web版には登場しない。作中では武官系貴族令嬢にして女性騎士という視点から見た状況を一人称で語る場面が多め。悪い意味で武官系貴族らしい言動を見せる兄タイロンに苦労させられている。


  • ドレクスラー

ヴェルナーやマゼルと親しい学友。二人より年上。武官系貴族であるドレクスラー子爵家の次男。

騎士を目指しており、地方の魔獣討伐で実戦経験があるため学生としてはかなりの実力者。

魔王復活により学園が休学となった後も、何かとヴェルナー達をサポートしている。

文庫版で追加されたキャラクター。Web版には登場しない。



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