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風の大地

かぜのだいち

坂田信弘原作・かざま鋭二作画のゴルフ漫画。小学館『ビッグコミックオリジナル』連載。第39回(1993年)小学館漫画賞青年一般部門受賞。
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概要

ビッグコミックオリジナル』(小学館)で1990年から連載の長寿ゴルフ漫画

原作:坂田信弘、作画:かざま鋭二

2022年6月20日号よりかざまの癌治療のため休載となり、死去により未完となった。


作品内容

毎回、最後のコマにポエムが書かれるのが特徴。

主人公の師匠として登場する小針春芳のほか、ジャンボ尾崎など実在のプロゴルファーも登場する。長寿連載の宿命というべきか、連載が30年以上に及ぶ一方で作中の時間はそこまで経過していないため、設定や話の整合性がとれなくなっている部分もみられるが、これについては『ゴルゴ13』や『こち亀』よろしく丁重に無視するのが一種のお約束と化している。


主人公沖田圭介は24歳で研修生というプロを目指すにはあまりにも遅い年齢でゴルフの世界に飛び込んだが、恵まれた才能と持ち前の努力、そして理解者の助けによってめきめきと上達、わずか1年でプロテストに合格する。ゴルファーとしての最大の武器はティーショットで400ヤード近くを叩き出す飛ばし屋能力であり、冷静沈着な性格で技術面も高い。


だがこの作品、とにかく主人公の沖田に徹底的に苦難が降りかかる漫画である。

ゴルフのツアー中にはクラブが壊れる・壊される、キャディが沖田や周囲に迷惑をかけたり負傷離脱したりする、同組で回るゴルファーは大抵ロクなやつではなく反則や妨害行為を行う、突発的な気象変化や観客の行動を起因に沖田が罰打を食らう……そんなことが日常的に起こる。


ゴルフ外でも、沖田の周囲の人々に不幸や災難が続く。兄貴分の宇賀神は沖田のプロ合格を見届けぬままで死去、研修生仲間の笠崎は交通事故で長期リハビリ。初めて相思相愛となった女性リリィ・マクガンは交通事故で死去し、その後婚約者となった物部麗子はツアー中に誘拐される

初期の沖田は負けず嫌いで感情が顔に出る性格だったが、こうした出来事が続き、怒り・悲しみ・驚きを心中に押し隠して表情に表さず、口数も少ないキャラクターになっていく。


幾度も心を折られかけながらも、強靭な精神力で苦難に立ち向かい乗り越えていく沖田だったが……極めつけは所属ゴルフ場に通う途中でよく行き会ったことで知り合った小学生5人組の一件だった。ある朝、沖田にしては珍しく長めに5人組と立ち話をし応援を受けた直後、5人組は居眠り運転トラックにはねられ、全員事故死してしまう。(沖田は、ただならぬ物音に引き返して現場を見てしまい、無我夢中で子どもを救助しようとトラックを傾けようとした結果、肩に大きな損傷を負った。)

自分が引き留めたために……という自責の念に駆られた沖田は心身ともにゴルフのできる状態ではなくなり、子ども達の遺族の声を受けて再起するまでに7年の時間を要した。


沖田に感情移入すればするほど、読者の側もゴリゴリと精神力を削られる展開が続き、単行本80巻以上という長さとは別の意味で、一気読みがなかなか厳しい作品である。


関連タグ

ビッグコミックオリジナル 今、僕は冷静さを欠こうとしています

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