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水素爆弾

すいそばくだん

核兵器の一種。重水素の核融合を短時間に連続して行うことにより莫大なエネルギーを爆発として生じさせる爆弾。実戦にて使用された例は無いが、爆発実験の余波による被曝事故や放射能汚染問題が起きている。
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概要

水素やその同位体(重水素、三重水素)が核融合し、ヘリウムになると反応後の余分なエネルギーがガンマ線として放出される。このエネルギーは最終的に熱になるため、これを用いて爆発を起こし強烈な熱と爆風を生じさせる爆弾である。核融合反応そのものは水素でも可能であるが、爆弾としては核融合反応が遅すぎるため、重水素や三重水素でなければ爆弾として使えない。

爆発的な核融合反応の条件

重水素を核融合させるためには十分な量の重水素を超高温・超高圧・超高密度下におかなければならない。重水素をそのままの形で用意すると保存や運用が大変なため、リチウム(※)と重水素を化合させ重水素化リチウムとして纏めておき、点火には原子爆弾を使用して超高温・超高圧・超高密度に圧縮する。すると核融合する条件を満たしたあとに、重水素と三重水素の核融合反応(D-T反応)が起こり核爆発が起こる。

核融合による爆発は理論上、α,β,γ線および中性子線、燃え残りの水素の同位体が放出されるのみであるが、実際は点火に原子爆弾を使うため、放射性降下物(死の灰)が生ずる。


※・・・リチウムを使う理由は点火時に原子爆弾から放射される中性子線により三重水素が得られるため。(中性子の捕獲でヘリウムと三重水素に分裂する)

点火に原子爆弾を使わない水素爆弾

核融合条件を満たすためにレーザーを使用したものや強力な磁場を利用したものが研究されている。

用途

兵器のみである。鉱山の穴掘用など軍事用途以外の使い道も考えられたが、残留放射能問題もあり、結局地球上での実用には至っていない。


ただ、地球防衛会議などにおいては地球環境に破滅的打撃を与える小天体阻止手段として検討やシミュレーションはされている。


実験

実戦配備や実戦での使用が行われたことは無いが、開発の過程で各国により何度かの実験が行われている。その中でも特にアメリカがビキニ環礁等で行ったアイビー作戦、キャッスル作戦と、冷戦の最中に旧ソ連が実験したツァーリ・ボンバが有名である。

アイビー作戦

アメリカ軍によってエニウェトク環礁にて行われた、人類史上初の水爆実験。液体重水素を使用していたため冷却装置が莫大であり、一般的に想像される爆弾というより、「施設」と呼んだ方が正しいレベルの代物であった。設置されたエルゲラブ島は爆発で消滅、後に残ったクレーターは現在でも確認可能である。

キャッスル作戦

アイビー作戦で使用された水爆は実戦に耐えるサイズではなく、小型軽量化が必須であった。その上上記アイビー作戦の後、旧ソ連が実用的なサイズまで小型化した水爆を"開発した"というニュースが流れたため、対抗する形でアメリカも小型化の研究を行い、その成果をビキニ環礁にて試験した。これがキャッスル作戦である。

キャッスル作戦は合計6回行われているが、それでも爆撃機に搭載できるサイズにはならず、爆撃機からの投下実験はレッドウィング作戦で行われることになる。

この時の最初の実験であるブラボー実験の際は危険水域設定が小さく見積もられすぎていたという問題があり、これが第五福竜丸事件を起こすこととなる(この時は合計で2万人もの被曝者が発生している)。

ツァーリ・ボンバ

名前は正式名称ではない。旧ソ連が開発し爆発実験を行った、史上最大の破壊力を持つ水爆(正確には多段階水爆)。当初は100メガトンクラスの爆弾として設計されていたが、実験を行うにあたって自国環境への影響を考慮して50メガトンまで落とされたという曰くつきの代物である。発生した衝撃波は地球を3周(日本でも観測)。キノコ雲のサイズは高さ60km×半径30km、半径58kmの範囲内では致命的な火傷を負うというケタ違いの破壊力を持ち、キューバ危機等で緊迫していた西側諸国を震え上がらせたという。


核実験禁止条約

1963年に調印された部分的核実験禁止条約(PTBT)によって、水爆を含め大気圏・宇宙空間・水中での核実験は禁止されている。しかし、これ以降もPTBTで禁止されなかった地下核実験はたびたび行なわれた。


1996年には地下核実験禁止を含む包括的核実験禁止条約(CTBT)が国連で採択されたが、未批准国などによって核実験が強行されるなどしており、現在も条約は発効していない。


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