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※この組織そのものが本作のネタバレに関わるので注意。


概要

スカイウォールの惨劇によって分断された日本の3国家の一つ「東都」の裏で主に暗躍する、正体不明の謎の秘密結社である。


組織としては主に実験体となる人間を拉致しては、“ネビュラガス”を注入する人体実験を繰り返し、次々とスマッシュを生み出してそのスマッシュを東都の町に放っている。他にもビルドを初めとしたライダーシステムも元々はファウストで研究されていた。

アジトは、スカイウォールのネビュラガスが噴出しているポイントの内部に存在し、序盤に桐生戦兎達によってアジトの場所が特定された為、その後は拠点を移している。


組織の創設及び主な活動範囲は東都だが、後に北都にもファウストの研究施設が存在する事が判明しており、スカイウォールを超えてその活動範囲は各地に及ぶ。

創設者の一人で事実上のトップが、東都政府の上層部にいるだけあって、裏では東都政府に対しても大きな影響力を持っており、刑務所に実験体拉致の為の人員を送り込んだり、拉致を繰り返しても一切表沙汰にはならない(そもそも上記したアジトも、政府指定の立ち入り禁止区域内に存在していた)。


万丈龍我も物語開始直前にこの組織に拉致されて実験を受けて脱走した他、戦兎もかつてファウストに囚われて実験を受けた事を断片的に覚えており、その時の自分が人体実験される記憶とその実験を見物する「コウモリ男」の姿が戦兎の中の唯一の記憶である。

だからこそ、戦兎はビルドとして彼等の放ったスマッシュと戦いながら、自分の記憶を取り戻す為に組織を追っている。


数年前には、東都中央研究所から2枚のパンドラパネルと東都所有のフルボトルを強奪しており、その事件は他国との問題になる事を恐れた東都政府に揉み消されて表沙汰にはならなかったが、東都政府は最初からファウストという組織の存在は認知していた。そして、昏睡状態から覚めた石動美空を拉致してボトルの浄化を強要していたが、石動惣一が美空とフルボトルとビルドドライバーとパンドラパネルの1枚を強奪して逃走している。

そしてその後、彼等は記憶喪失となった戦兎と出会い、戦兎と石動親子は互いの目的の為に仮面ライダービルドとして活動し、ファウストの追跡を始める事となったのである。


ちなみに人間をスマッシュにしてしまう技術は、ネビュラガスがスカイウォールから発生している事からも分かる通り、火星で発見されたパンドラボックスに由来する力と技術である。第4話のナイトローグの発言によれば、どうやら火星由来の力を利用して究極の生命体を生み出す事が、彼等の目的の1つであるらしい。


ネビュラガスによるスマッシュ作成の技術や、ライダーシステムやファウストで運用されているトランスチームシステム等の兵器は、全てかつて「悪魔の科学者」と呼ばれた葛城巧が開発した技術である。彼自身は人体実験を政府に内密で強行した罪で数年前に研究所を解雇され、現在は既に死亡しているが、その研究を引き継いで政府の影で兵器開発を続けているのがファウストである。


第9話では、ガーディアンの開発や各国での配備等を進めた企業であり、日本全土に影響を及ぼす日本最大の大手重工業メーカー・難波重工がスポンサーとしてバックについており、彼等から資金援助を受けている事が明らかとなった。

その為に、東都で運用されているガーディアンは、任意でハッキングしてファウストのガーディアンに変わるようになっている。


ちなみに幹部メンバー全員が、トランスチームシステムで擬似ライダーに変身するのが特徴で、仮面ライダー史上初めて怪人幹部に相当する存在が一人もいない悪の組織である。


創設(ネタバレ注意)

ファウストは元々、平和路線を貫く現在の東都の首相である氷室泰山の政策に反発する形で、息子の氷室幻徳を初めとした主戦派によって結成された組織であり、謂わば東都政府から分裂する形で生まれた秘密結社だと言える。


さらに第7話にて、ブラッドスタークが葛城巧がファウストの創設者である事を示唆したが、戦兎の葛城に対する関心を高める為に言ったように見えた事や、後にスタークがローグと二人きりの場にて「ファウストを共に創った仲間」と言った事から、虚言である可能性も残っていた。


しかし、第15・16話で幻徳からも巧が彼と共にファウストを創った事が明かされ、ファウストは東都政府で認められなかったネビュラガスとライダーシステムの研究・実験の為に、巧が幻徳と共謀して結成した組織である事が判明した。

そして巧の「これが人類の未来の為なら、自分は悪魔に魂を売って科学の道に邁進する」という幻徳との誓いから、ゲーテの戯曲で有名な悪魔メフィストフェレスと契約したとされるファウスト博士から取って、組織は「ファウスト」と命名されたのである。


最終目的

その最終目的は、仮面ライダーシステムを軍事兵器として完成させ、火星由来の軍事兵器や生物兵器を使って他国を併合し、同時にパンドラボックスの中に眠る強大なエネルギーを手に入れる事で、核兵器をも凌ぐ力の下で再び日本を統一する事である。


その為に、美空にパンドラボックスの鍵である20本のフルボトルの浄化を進めさせるべく、実験も兼ねて東都の町にスマッシュを放ち、スマッシュと戦兎達を戦わせて泳がせていた。

前述した、石動惣一が美空やパネルをファウストから奪ったという話は全部デタラメであり、彼こそがブラッドスタークだった。彼は精神的な理由でボトルの浄化ができなくなった美空が、正義の為と信じて安定してボトルの浄化を進められるようにし、同時に戦兎にライダーシステムの強化を進めさせる為に、2人を自分の監視下に置いて「正義のヒーロー・仮面ライダービルド」が活動する為の拠点と環境を整えたのである。


そうして、思惑通り美空は20本全てのフルボトルの浄化を完了し、戦兎は巧が残したライダーシステムの発展形であるスクラッシュドライバーを完成させたのだった。

さらに、戦兎の正体はスタークによって顔と記憶を変えられた、死んだ筈のファウストの創設者にして悪魔の科学者・葛城巧その人だった事も明らかとなる。


一方で、幻徳の目的はあくまで上記したパンドラボックスのエネルギーと仮面ライダーの力を使っての日本統一だったのだが、スタークの方は難波重工と内通して独自に暗躍しており、その目的や思惑にはズレが生じている。

加えて、巧が人類を守る為としてライダーシステムの研究・開発を押し進めていた裏には、後に実は全く別の目的と真意があった事も明かされていった。


作中での動向(ネタバレ注意)

これ以降には作品内容に関する重大なネタバレが書かれています。







第12話以降の展開

第12話では、東都政府の壊滅作戦により表向きではファウストは壊滅した。ただし、あくまで東都政府及び難波重工との関係を揉み消す為の一時的な措置に過ぎず、全ての元凶が首相補佐官である幻徳の秘書の内海成彰とされてしまった事で、むしろファウストの真実を追及する事が困難となってしまった。


しかし、幻徳の目論みでは表向きにファウストを壊滅させた後に、裏での活動を続けるつもりであったようだが、以前から幻徳=ナイトローグと衝突を繰り返してきたブラッドスタークや難波重工は既に東都に対して見切りをつけており、北都の協力者としての行動を本格的に開始してしまう。

これによって結果的に、後ろ楯を失った東都のファウストは本当に自然消滅する事となった。そして同時にいつの間にか北都にも、幻徳も知らなかったファウストの研究施設が存在する事が明らかとなる。


北都のファウスト

北都に設置された新たなファウスト。

新たなと言っても、幻徳を始めとした東都側が知らなかっただけで、組織自体は難波重工とスタークによって東都のファウストの研究や技術を横流しされる形で、以前から設置されていた模様。

ちなみにこちらでもファウストという組織名はそのまま使われており、作中でも何度か言及されている。


東都のファウストとの最大の違いは、パンドラボックスの光の影響で好戦的になり、積極的に軍備拡張と戦争の準備を進めている多治見喜子首相をトップとした北都に設置されている為、こちらは事実上北都政府公認の組織として活動している事である。

勿論存在は秘匿されているが、スマッシュや軍事兵器ライダーシステムの研究・開発は、半ば公然と行われており、そこで作られた兵器がそのまま北都軍に運用されている。


難波重工の全面的なバックアップと、東都と違って実質の政府公認組織という事もあって、東都のファウストよりも遥かに研究は進んでおり、戦争開始の段階で自我を保って戦えるハードスマッシュや、スタークが戦兎から盗んだデータを使ってスクラッシュドライバーや、それを使ったライダーである仮面ライダーグリスが完成していた。


そして、東都と北都の戦争勃発後しばらくは元ファウストの幻徳が東都軍側、スタークと難波重工が北都軍側につき、戦争を通じて対立するという構図になっていた。

しかし、幻徳が増長して首相代理の権限を超えて北都への侵略を実行しようとした事で、美空の力で回復した氷室首相から東都を追放処分にされた他、スタークと難波が北都に肩入れしていたのは、実は西都を勝たせる為の芝居だった事が発覚し、またもや勢力図が大幅に塗り替えられる事態に。


西都によって北都が制圧された事で、北都のファウストも当然ながら西都の管轄下に置かれ、第23話で西都が重い腰を上げて戦争に参入した時、そこには亡命して西都に鞍替えした幻徳の姿があった。

結果的に内海、スターク、そして幻徳の3人が西都の下に再結集する事になったが、後に西都の御堂正邦首相をスタークに暗殺させて彼に成り代わった難波重三郎が、西都を支配して彼等の事も統括し指示を下す立場となり、ファウストも殆ど難波重工に吸収合併された形になっている。

…が、その難波重工も第38話で力を取り戻したスタークことエボルトの手により、難波を始めとした主要メンバーが総じて死亡あるいは寝返る等して事実上の崩壊状態となり、西都と難波重工そのものが御堂首相に成り代わったエボルトによって、纏めて乗っ取られ支配される形になった。


その一方で、北都のファウストの研究施設自体はまだ健在で機能しており、その後はエボルトの計画の為に利用される事となり、葛城忍の管理下で主にロストフルボトルを使ったロストスマッシュの研究と開発が行われる。

そして、第45話で全てのロストフルボトルがブラックロストフルボトルとなり、エボルトの目的が達成された事と、研究責任者の忍が死亡した事も受けて研究所は放棄され、最終的に戦兎が新世界を作り上げた事により人々の記憶からも消え、ファウストは完全に消滅した。


これまでの経緯を見て判る通り、ファウストという組織の実態は『仮面ライダーシステム』とパンドラボックスの力の独占を目論む難波重工と各勢力、ひいては彼等をも利用していたエボルトの目的を代行させる為の、謂わば大掛かりな代行組織である。さらに劇場版で明かされた真相も踏まえれば、ファウストは最初からエボルトを初めとするブラッド族が、エボルトの力を取り戻す為の研究と戦争を煽る為に、人間達を利用して用意させた自作自演のハリボテに過ぎない。

特に、北都のファウストになって以降は様々な勢力の下に併合される事を繰り返し、終盤は最早所属すらも曖昧で実質的には実態のない組織と化してしまっていた。


エボルトに弄ばれた人間は数えきれない程いるが、言ってみればファウストという組織も、エボルトの介入を受けたその時から彼の玩具に成り下がっていたと言えるかもしれない。

まさしく、悪魔(エボルト)と契約して破滅した「ファウスト」という名前通りの組織だったと言える。

センシティブな作品


構成員

下記の通り、エボルト以外のほぼ全員が離脱もしくは死亡している

また、様々な勢力や人物が様々な思惑から関わっていた組織なので、厳密にはどこまでが組織の正式な構成員で、誰を組織のトップとするかの定義はかなり難しい。

エボルトに私物化されて以降のメンバーについては西都(仮面ライダービルド)の記事も参照


東都のファウストの幹部

表向きのリーダーにして創設者の一人。組織分裂後は紆余曲折を経て難波重工配下になるが、後に事実上エボルトの独壇場となった難波重工と手を切り、完全に離脱


参謀格と思わせて黒幕。途中から難波重工と結託するも最終的に難波重工をも切り捨て、最終的には御堂首相に成り変わってファウストの施設を利用している。ちなみに彼は表向きは途中参加のメンバーだが、組織の結成にも間違いなく影で関わっており、本人も「ファウストは自分達が作った」と語っている。


創設者の一人にして研究の総合責任者。物語開始時点で死亡扱いされており、現在は不在となっている。


過去協力していたメンバー

幻徳の部下。元々難波重工から出向していた人間であり、幻徳から切り捨てられる形で離脱、以降は古巣の難波重工へ戻った。そして難波の死に伴いエボルトの部下へと転向


家族を人質に脅迫され協力させられていた。

最終的には組織から切り捨てられ離脱


  • 桑田真吾

東都中央研究所の研究員で、戦兎の同僚。

巧のシンパであり、ファウストに協力する。

情報隠蔽の為に、自らガスを過剰摂取して自害する。


  • 河合栄多

東都中央研究所の研究員で、戦兎の同僚。

彼も巧のシンパであり、ファウストに協力する。

スタークの正体が巧だと勘違いして話しかけるも、彼に桑田の顔に変えられ意識を失った。その後は消息不明


難波チルドレンの一人。

難波を通じて間接的に協力する。後に離脱


北都のファウストのトップ

北都政府首相。

北都のファウストは事実上の政府直轄組織なので、彼女が実質的なトップである。

西都に北都が制圧されて以降は彼女も拘束されて行方不明だったが、ロストスマッシュになれる貴重な体質者として生かされており、後に実験体にされる形で再登場。ジーニアスフォームとなったビルドにネビュラガスを中和する形で助けられたが、その際にパンドラボックスの光の影響も消えて本来の人格を取り戻し、そのまま保護される形で離脱


西都政府首相。

西都が北都を制圧して以降は、当然北都のファウストも彼の管轄下に置かれる。しかし、後に難波の指示を受けたスタークによって暗殺される。


難波重工の会長。

暗殺した御堂首相に成り代わる形で西都を支配し、事実上北都のファウストも乗っ取って吸収合併する形となったが、後にエボルトに裏切られ御堂同様に彼に暗殺された。


影の協力者

巧の父親でエボルトの影の協力者。

北都のファウストの研究施設で研究や実験を行い、後にロストスマッシュの研究と開発を統括する。

最終的にはエボルトによって殺害された。


元東都の首相側近で、正体はエボルトと同じブラッド族の一人。

首相補佐官だった幻徳とも元同僚で、主に幻徳の働きかけて影で戦争を煽っていた張本人。当然ながら東都のファウストの結成やそこでの兵器開発にも影で影響を与えていたと思われる。

地球の滅亡ではなく支配に興味を示したエボルトを見限り、独自に地球破壊を実行しようとするが、幻徳が変身する仮面ライダーローグとの戦いで敗死した。


元北都の首相側近で、正体はエボルトと同じブラッド族の一人。

多治見首相の側近として北都にて戦争を影で煽っていた張本人であり、当然ながら北都のファウストの結成や、そこでの研究や兵器開発等にも大きく関わっていたと思われる。

地球の滅亡ではなく支配に興味を示したエボルトを見限り、独自に地球破壊を実行しようとするが、元北都の仮面ライダーである仮面ライダーグリスとの戦いで敗死した。


パトロン

ファウストに資金援助をしていた大企業。

実質ファウストを吸収合併したが、後にエボルトによって壊滅。トップも暗殺されて組織と西都の実権は纏めてエボルトに掌握される事となった。


怪人


戦闘員


余談

平成ライダーは意外に所謂「悪の組織」や「秘密結社」が少なく、ファウスト以前の「悪の組織」「秘密結社」を辿ると仮面ライダーWに登場したミュージアム財団X仮面ライダーフォーゼホロスコープスぐらいしか出てこなかったりする(細かい所を辿ればNEVEREXE黒の菩提樹ネオシェードとかもあるが、これらは悪の組織と呼ぶには規模が小さい)。


基本的に平成初期のライダー及び、オーズからウィザードまでは数少ない強力な怪人達が目的を共有しているだけで、雑魚怪人達の方は別に組織に所属している自覚がなかったり、そもそも組織と呼べるもの自体が存在しないパターンが多い。

それ以降もロイミュードバグスター辺りはこのスタンスであり、眼魔世界も最早秘密結社というより国家規模で、そもそも共通目的を持った明確な組織とは言い難い。

次回作の仮面ライダージオウの敵であるタイムジャッカーも似たようなものであり、仮面ライダーゼロワン以降の令和ライダーの敵も基本的にはこのスタンスである。


加えて、仮面ライダーファイズスマートブレイン仮面ライダー鎧武ユグドラシル・コーポレーション仮面ライダーエグゼイド幻夢コーポレーション等の平成ライダーで登場する敵組織は、表向きは普通に一般人にも広く知られている一般企業であり、特にユグドラシルと幻夢はあくまでトップや一部のメンバーが問題だっただけなので、「悪の組織」や「秘密結社」とは言い難い。


このように、ファウストのような純然たる「悪の組織」や「秘密結社」と言える組織は平成以降はかなり珍しく、人体実験や軍事兵器開発と言いこの辺りは昭和ライダーのオマージュの色が非常に強い。


また、紛う事なき悪の組織であるが、WEBムービーで(TV本編でも存在する設定なのかは不明だが)組織内向けにFaus Tubeなる動画配信を行なっており、非人道的な本編とは打って変わって庶民的な一面も見せている。


関連項目

仮面ライダービルド ナイトローグ ブラッドスターク スマッシュ

氷室幻徳 葛城巧


難波重工ダウンフォール…本作に登場する別の悪の組織。難波重工は事実上の上部組織であり、仮面ライダーWミュージアムにとっての財団Xにあたる組織となる。

財団...同じくライダーシステムの軍事利用を目論んでいる秘密結社。その為に人々に非道な人体実験を行って怪人化させていた。

ファウスト・ネットワーク別のライダー作品に登場した同名の組織。スピンオフ作品ではガーディアンと名前のつく戦闘員を従えていたなど、共通点がある。


バグスター←ファウスト→タイムジャッカー

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