この記事には奏章Ⅱ「不可逆廃棄孔 イド」に関する重大なネタバレを含みます。

ネタバレ注意

ノウム・カルデア…もとい藤丸立香は、最後の最後でやっぱり裏切った異星の使徒最後の一騎である『伯爵』ことカリオストロを倒し、「第七の試練　恩讐火焔　巌窟王モンテ・クリスト」に打ち勝ち、元の現実世界へと帰還。

事態はこれで終わり、人理定礎もRank DからRank Cへと上がった。

…だが、ナイチンゲールにより「復讐者達が全員カルデアから姿を消している」という事を聞かされる。

すぐに廃棄孔へと戻ると、そこでは当のアヴェンジャー達が、何故か廃棄孔に未だいる残滓の群れを燃やし続けていた。

そして奥にいたその原因は…。

―――――――巨いなる歪みの白亜、大巨柱。

際限なく広がる精神の果てへと届き、貫き、

破いてしまいそうな程に高く高く聳え立つもの。

数多の特異点の数々、

数多の異聞帯の数々、

これまでにマスターの乗り越えた

絶望、悪夢……

数多の的の未練、怨み、想い―――

その残滓が積み重なり、

融け合い、喰い合い、歪みきって、

獲得せしめた新たなかたち。

巨大な異形の柱。

その姿は、まるで―――――

ジャンヌ・オルタ「魔神柱……！？」

サリエリ「記録上の、空想樹のようにも感じられる。何だ、あれは……！」

巌窟王「────────混沌を導く者。─────────終焉を嗤う者。」

巌窟王「己が身を悪性情報と化して、　マスターの精神、そして魂に忍び寄り、庭の悪夢を契機として爆発的に拡大し、生命までも奪わんとして蠢動し続けるもの！」

巌窟王「おぞましき嘲笑者。その、正体こそは────────！」

カリオストロ 「―――――――――はい、私(わたくし)です。

　　　　　　 私こそが霊基本体！

　　　　　　 私こそがマスター絶命作戦における主体――― *****

　　　　　　 悪性情報カリオストロであるのです！」

プロフィール

概要

主人公の心象風景の一つであり、巌窟王が防衛しやすいよう加工した「不可逆廃棄孔」。

異聞帯の戦いで受けた敵意・呪い・トラウマ等のカケラである「悪性情報の残滓」はココに落ちた後、巌窟王の手で焼却されていた。

逃れた残滓もか弱きものに過ぎず「成長性」も無いため、炎ひとつで簡単に掻き消せる些事として、遠からず焼却され切るはずであった。

だが、ある時から最奥にて残滓が積み上がり、白く醜い柱のようなナニカと化して「育っていた」という誤算・異常事態に巌窟王は気づく。

本来ならばただの残滓が、このように独立した個として纏まるなど決してあり得ないこと。

その疑問も、柱から浮き出たカリオストロ伯爵の顔面により氷解する。

悪性情報としてのカリオストロは平安京でのリンボとの接触時、および『遺分體』との初遭遇時に、一部ずつがカルデアのマスターの精神に潜り込んだものと予想され、そのまま精神の奥底に侵入、今までずっと寄生し続けていたのである。

「カルデアを内部から誘導する」という「伯爵の役割」もこういう事で､「主人公と接触し戦闘した」サーヴァント・カリオストロは小手調べ用の分体でしかなく、本体はこの悪性情報だったのだ。

しかも最悪な事に、仕込んでいた張本人がこの事実を今まですっかり忘れていた所為もあった事が後に判明する。

この関係上、姿は今までカルデアが戦ってきた脅威の面影がいろいろ混ざっている。

・見た目には、空想樹のような白い柱、下部には魔神柱、上部にはゼウスの顔面。

・通常攻撃には、デメテルの通常攻撃と、ゼウスのクリティカル攻撃の演出。

・クリティカル攻撃にはケルヌンノスの手。

・チャージ攻撃には魔神柱と空想樹の攻撃演出に加えてORTの攻撃。

などなど、見覚え・聞き覚えのあるものが散りばめられている。

宝具

『秩序に死を、遍く世界に混沌を』(レベリオン・ウ・モンド)

• ランク：B~EX
• 種別：対都市/混沌宝具
• レンジ：1~50
• 最大捕捉：500人

カリオストロ本来の宝具をそのまま流用したもの。

革命の戦火の幻影を伴って、魔力の渦が周囲一帯を薙ぎ払う。

破壊と新生を自らの命題とする精神の具現、心象風景の模倣。固有結界に似て非なるモノ。

秩序特攻の効果を伴う。

この宝具の真価は「秩序の破壊」であり、決して永続的なものではないが、ひとたび発動してしまえば、あらゆる秩序と法則を掌握し、秩序に類する概念を醜悪なまでに書き換え、改竄し、ねじ曲げる。それは法、倫理、規範―――時に、聖杯戦争のルールさえも。

ただし、この真価は本作では基本的に使用されない。

また、本来の規模と効果の運用のためには長時間に渡る儀式と裏工作、リソースの投入が必要となる。

今回は「主人公の生命活動は全て本人のもの」という当然の法則を"歪ませ"、体内を駆け巡る魔術回路を支配下に置いて、魔力の流れをすべて自身に集約。

無限の再生力を得ただけでなく、魔力供給を途絶えさせてサーヴァント達の物理攻撃も魔術攻撃も弱体化させ、巌窟王とジャンヌ・オルタの宝具もまるで通じなくなっている。

小宇宙(ミクロコスモス)としての人体を天体に例えると、最早天体運行そのものを掌握していることと同義といえよう。

余談

普通の魔神柱や空想樹の構成は「1つの巨大なエネミー」だと思われるが、残滓が積もりに積もったこれは「たくさんのエネミーが積もった結果、巨大なエネミーを形成している」と考えられる。

またその証拠に平景清はこれを「我が目には群れとして映っている」と発言している。

登場前から、やり口も言動も「リンボのパクリ、二番煎じ」と劇中内外から散々こき下ろされており、その印象を覆すことなくアッサリ退場してしまった彼だが、実装後のマテリアルにてとんでもない事実が判明する。

元々彼というサーヴァントは、第2部5.5章の天覧聖杯戦争に当時のリンボによってキャスターと偽った状態で招かれていた。その際に、リンボの手で霊基と霊核を改竄され、死にくく増えやすい悪性情報と化していた。

なお、この改竄は霊基の不可逆的な解体を意味する為、平安京聖杯はこれを『リンボによってサーヴァント・カリオストロは破壊された』と判定を下した模様。

そしてその改造の際にリンボの式神が核になったのが原因で、所々の口調や手法などが『キャスター・リンボ』と似通っていたそうだ。

むしろ「がらんどう」が本質のカリオストロに、リンボという「道満から濃縮還元された悪性」の欠片を入れた事でソレ一色に染まってしまい、より一層リンボをなぞった悪逆に突き動かされていた節がある。

なおリンボの式神をベースとした悪性情報であるためか、たまに「霊基に混ざった式神リンボの性質が浮かび上がる」ことがあったようではある。そのため劇中では稀に蘆屋道満の口癖である「ンンンンン！」が出てくる。

最終的には、宝具の真名を明かした時、額の上に五芒星（道満判）が浮かんでいた。

ちなみに平安京においては、宮中でリンボが正体を明かしていない状態で出会った際

「見慣れぬ衣を纏っている故でしょうか。貴方、穢れが幾らか、首回りに憑いておりますよ。」

と、一見親切そうな声掛けをしてくる場面があり、この時リンボが五芒星の印を結ぶ場面がある。

彼への警戒MAXな段蔵や金時の眼前ではあったが、恐らく悪性情報が仕込まれたのは、この場面ではないかと大方予想されている。

となるとアビーが蘆屋道満に向かって『カリオストロはリンボと同じ匂いがした』と発していた事や、今回の件でアビーが道満への助力を指示されていたのは上記の事が理由であった。

つまり、本章で突然の活躍＆味方ムーヴを噛まし、株をあげた蘆屋道満だったが、その実リンボ時に仕込んだままド忘れしていた爆弾を、慌てて事後処理・証拠隠滅しただけに過ぎず、まさかのマッチポンプに全ユーザーは顔を覆い、カリオストロに向いていたヘイトも同情へと雲散霧消するのであった。

ただし、これは道満に対してなら何を言っても良いと言うオタクの悪乗り、ネットで虐めを楽しむ馴れ合いに近い。「異星の側や異聞帯の側で活動していた時の事の責任をとらない」と言う条件ならば「異聞帯にいたが、その後にカルデアに召喚された者」の多くが該当してしまうが道満に対してのみ行っているため。加えて付け加えるならば異星に協力していた者がカルデアに召喚されても異星に付いての詳細を全く語っていない事などから使徒として召喚されていた頃の計画についての詳細な記憶を忘却している、きっかけが無い限り思い出せないなども考えられる。カルデア式召喚そのものが異星の完成の為に用意されていた道具であるため）

そもそも道満は「やった事を思い出しても知らない振りをする事はできた。がまだ責任を取れる状態であったから責任を取る事を選んだ」と言う点で見ればカルデア側で召喚された後に罪悪感も持たず別存在がやった事と考えて気楽に過ごしている多くの者たちよりは善性が有ると言えるだろう。