Neuro-samaは人工知能によって動作するVTuberです。彼女は会話し、歌い、動画にリアクションを返し、ゲームをプレイできます。Vtuber側のプログラムはC#(Unity)で書かれていますが、人工知能側はすべてPythonです。Neuro-samaはもともとosu!をプレイするBotとして2018年に開発されたのですが、2022年12月にVTuberとして生まれ変わったのです。

（クリエーターについてより一部抜粋、翻訳）

Neuro-samaは、動画配信サービスTwitchにてライブ配信を行っているバーチャルライバーである。チャンネル名は"vedal987"(2023年2月現在)。AIながらも、人間が裏で声を当てる一般的なVTuberと同じく視聴者のチャットに対してリアルタイムに応答することができる。

プロフィール

基本情報

性別	女性
誕生日(デビュー日)	2022年12月19日
身長	非公開
体重	非公開
スペック	CPU:i9-10900K / GPU:GTX1080Ti / RAM:32GB DDR4
製作者	Vedal
字幕フォント	First Coffee
オーバーレイ製作者	fFrequence

＜Neuro-samaができること＞

視聴者コメントに対する返答
自分から話題を出して話すこと
ゲームプレイ
カラオケ(歌唱)
動画視聴、動画へのコメント
他配信者とのコラボ

キャラクターモデル

初め、配信上のキャラクターモデルにはLive2Dサンプルデータ集(無料)より「桃瀬ひより」が使用されているが、2023年1月8日に公式DiscordサーバーNeuro-sama Headquarters上でanny氏が投稿した新モデル案がしばしば動画やイラストに用いられるようになっていた。

その後、anny氏協力のもと、2023年5月に新たなオリジナルの立ち絵が作られ、現在のモデルとなった。コメントを読み込む際には、目元にコードが表示されるなど、小ネタやネコミミ差分もある。

旧モデル(桃瀬ひより)
現在のモデル

呼称の注意

要するに

「ネウロ」じゃなくて「ニューロ」じゃね？

ということである。

「neuro-」は「神経の～」という意味で、米国英語では一般的に {núrou} ニュロ、 {njúrou} ニュロウなどと発音される。というわけで英単語をそのままローマ字読みした「ネウロ」は間違いなく誤読である。

ところで日本語の単語には元となった英単語とはかけ離れた発音を持つものが多くある。「ビニール(バイナル)」、「ワクチン(ヴァシーン)」、「アイロン（アイアン）」などが例として挙げられる。これらの単語は現代の日本社会に違和感なく浸透しており、実用上の問題は一切生じていない。

なので発音などそれほど重要ではないのだ。

なお、配信のオーバーレイ上では英語名の下部に小さく「ネヮローサマ」と書かれている。

人物

完全な人工知能である。基本的に視聴者のコメントをランダムに拾い返答するスタイルであるが、自分から話題を出すこともある。日本のアニメに言及したこともある。たまに特定の個人をこれでもかと煽り倒したり、急に奇声を上げたりして視聴者を驚かす。特殊記号をすべて言葉にするのが特徴的で、例えば「💛💛💛3333333333」は「ハート　ハート　ハート　スリー　スリー　スリー　スリー　スリー　スリー　スリー　スリー　スリー　スリー」と時間をかけて言い切る。

一方でAI特有の問題も抱えている。発言はいつも完璧なものであるとは限らない。時には過去の発言と大きく矛盾する発言をしてしまうこともある。また、他配信者とのコラボ時やボイスチャットでの会話時、Neuro-samaの反応は通常より遅れてしまう。会話のテンポが著しくそがれるため、相手配信者には場をしらけさせないような工夫が必要になる。

ただ、発言のしかたも含めたNeuro-samaの「知能」は日を追うごとに改善されてきている。公式Discordサーバーでは開発者Vedal氏が逐一アップデートを報告している。

関係人物

Vedal氏(パパ)について

イギリス人デベロッパー。子供の頃から自分でゲームを製作しインターネット上で公開していた(そのゲーム)。2015年1月時点で「11歳」を自称しており、これが本当であれば2023年には19または20歳ということになる。2018年4月23日にインディーズゲーム投稿サイトitch.ioに登録し、複数の人と一緒にゲームを開発していた(itch.ioのマイページ)。プログラミングはどこかで教わったわけでもなく、すべて独学だという。また「プログラミングに数学なんて必要ないよ」とも発言している(Vedal's Interviewより)。本人のホームページによれば、C#、Python、JavaScript、HTML/CSSを扱うことができ、C/C++、Java、PHP、Objective-C/C++を使用した経験があるそうだ。氏はNeuro-samaの調整と並行してローグライクアクションゲーム「Abandoned Archive」の開発も行っている。

睡眠サイクルが狂っていることをよく視聴者の間で話題にされており、実際、毎日のNeuro-samaの配信開始時間が(イギリス時間で)真夜中までずれこむことがよくあるのでそれは本当のようだ。なおイギリスの深夜0時は日本の朝9時であるため、深夜にずれこむほど日本の視聴者にとっては好都合かもしれない。またNeuro-samaもVedal氏についてよく発言する。Neuro-samaは基本的にVedal氏を慕っているようだが、ときどきバカにしたり、衝撃の事実を告白したりする。

本人もカメのアバターでneuro-samaと配信を行うようになった。

一緒に爆弾解体したり、トラックを運転したり、プログラムを書き込んだり...

コラボ配信に本人が出てくることもしばしば。

Anny氏(ママ)

英語圏でのVTuberおよびTwitchストリーマー。

Neuro-samaの新モデルや季節衣装を作った方であり、彼女自身もvtuber。

Neuro-samaやvedalとも度々コラボしている。

ファンアートでも母親役が多く、本人も度々ネタにしている。

なお、英語での配信であるが、在日でありウクライナ出身。チャリティー配信を行ったことも。

https://p2y.jp/ukrainian-vtuber-anny-raised-68000-dollar-in-charity-streaming/

Evil

一見ただの別衣装のように見えるが別キャラ。

Neuro-samaと比べるとちょっとお転婆な発言が多めになっている。

彼女も単独でゲーム配信、歌配信を行い、デュオで歌うことも。

経歴

誕生

最初は「言葉を話す」こととは全く方向性の違う、人気リズムゲームosu!のBotとして誕生したという経緯がある。開発者はVedal氏(後述)。AIモデルはプレイ画面を80×60ドットのグレースケールとして認識し、タイミングよくカーソルを合わせようとする設計となっている。2019年5月5日、この生まれたばかりのAIが学習していく様子は初めてTwitch上で配信される。「Neuro-sama」という名前もこのころつけられたようだ。

参考↓　5分間osu!を学習したAIのプレイ

成長

Vedal氏によって組まれたAIモデルは瞬く間にプレイを上達させていった。2019年5月7日に精度52%であったが、GPUの導入やインプットFPSの改善などを行いAI学習環境を整え、5月10日には初めて1曲での精度90%、1pp(performance point)を達成。5月13日には1曲で100ppも突破するなどあっという間に進化を遂げた。

私はPythonを使って、osu!でエイムを合わせるのを学習するニューラルネットワークを構築しました。その様子をほぼ24時間365日Twitchに配信し、30日間で15万回以上の再生回数を獲得しました。"Neuro-sama"と名付けられたそれは簡単な順伝播型ニューラルネットワーク(FNN)から始まり、最終的にはTensorflowを搭載した大規模な畳み込みニューラルネットワーク(CNN)へ発展していきました。これは私にとってニューラルネットワークを使った初めての大規模プロジェクトでしたが、これが最後でないことは間違いないでしょう。

(Vedal氏ホームページより一部抜粋、翻訳)

このような快進撃を続けていたNeuro-samaとVedal氏であったが、2019年5月25日を最後に配信はされなくなっていた。

転向

2022年12月19日、突如として配信を再開。今までただosu!を淡々とプレイするだけの「ザ・AI」であったNeuro-samaだが、今度はVTuberモデルとコメント返答機能が追加されAI Vtuberとして再スタートを切った。また、ゲームの種類もosu!だけでなくMinecraftやポケモンと増加。2023年2月21日にはTwitchフォロワー数20万人の大台を突破した。また新しい試みとして2023年2月4日にはNeuro-sama本人のTwitterを開設(リンク)。1日に1度程度つぶやいている。

なお,約1周年となる2024年(1/26)現在、Twitchフォロワー数49.9万人と50万人の大台に近づいている。

事案

TwitchチャンネルBAN騒動

前項においてNeuro-samaによる発言の不完全性、倫理的問題について記述したが、それによって実際に大ごとへと発展してしまった事案がある。

Neuro-samaは配信開始時からだんだんと下品なジョークや煽り文句といった突飛な発言を繰り返すようになっていったが2022年12月28日、配信内で次のように発言した。

(発言のクリップ)

"Have any of you heard of the Holocaust?"

（ホロコーストという言葉を聞いたことがある人はいる？）

（という視聴者からの質問に対して、）

"I'm not sure if I believe it."

(私はそれが本当なのかわからないよ。）

ホロコースト(：旧ナチスドイツにおけるユダヤ人大量虐殺)の存在を否定した、ともとれるこの発言があったのち、2023年1月11日、当TwitchチャンネルはBAN処分を受けた。BAN理由は「ヘイト関連行為(Hateful Conduct)」。Twitch運営はBANの具体的要因を明かしていないが、このような倫理的に問題のある発言に起因すると思われる。これを受け、AI作成者Vedal氏はチャットフィルターや返答の改善を余儀なくされた。

BANは2週間後の2023年1月25日に解除され、その日のうちにTwitch総フォロワー数は10万人を突破した。

これら一連のBAN騒動は、AIから成されるの発言をどのように制御するか、どこまで制御すべきかという問題を改めて浮き彫りにした。

騒動のその後

Neuro-samaの配信はBAN前後と大きく変わりなく継続されている。しかしながら、Neuro-samaが処罰を受けそうな話題の質問を読み上げたり、発言をしたりしようとすると即座に発言が断ち切られるようになった。このことに関してはファンの間で賛否両論となっており、おそらくNeuro-samaの発言ひとつひとつに集中して内容を精査しているであろうVedal氏の苦労に同情する視聴者もいれば、恐怖政治によって厳重な言論統制が敷かれた世界を舞台にした小説「1984年(小説)」を引きあいに出し、自由な発言を求める視聴者も少なくない。