｢3年前の反省の弁も何もかもありゃー全部でまかせだ｣

｢こーして小刑出てきちまえばこっちのモンだぜバーカ！｣

CV:丹沢晃之

概要

三年前の女子高生死体遺棄事件の主犯とされた、左の眉に傷を持つ強面の男。

出所直後にわざわざ剣持のオッサンを呼び出して、当時の自分達の反省の念は全て出任せである事を自ら暴露する悪辣ぶりを披露。

早速その日の夜に住宅街で何者かにより拳銃で襲撃されるが負傷するだけに留まる。

その後は入院していたものの魚崎死亡後に身の危険を感じたのか勝手に退院していく。

その前後に剣持を疑い、罵倒し自分勝手に振る舞う姿は一にも嫌悪感を抱かせた。

今回の事件の怪人「死刑執行人」の手で三番目の標的として『絞首刑』に見立てられビルの一室で首を吊られた状態で発見されるが、発見が早かったためか一たちの必死の救命活動により息を吹き返す。

生死の境をさ迷っても尚、自分の仕出かした罪に反省も後悔もすることなく悪態を吐いていた。

以下ネタバレ注意

｢あんたらの言う通りだよ……多間木と魚崎を剣持の犯行に見せかけてぶっ殺した！｣

｢俺が『死刑執行人』だ｣

彼こそがこの事件の真犯人『死刑執行人』。

今まで見せていた外道な振る舞いは全て演技で、本来は温和で父親思いの勤勉少年。

自分の容姿や独り歩きする悪評を気にすることなく接してくれた十神まりなに淡い恋心を寄せていたが、想い人がいることを察してからは彼女とはいちクラスメイトの善き友人として接していた。

そもそも素行の悪い噂は全部デマであり、幼少期からの付き合いの多間木と魚崎に脅迫まがいのやり方(毒島の父親の医療機器会社は多間木の父親の病院の受注で成り立っていた)で、彼らの起こした問題を無理やり被せられた為であった。

もちろん多間木らとは関係を断とうとしており、多間木が受けるであろう大学よりも上のレベルの医大を志望し、受験勉強のために父親にアパートを借りてもらっていた。

医者志望だったのは、多間木の件だけではなく、父親の医療機器会社のためにもなると考えてのことであった。

実は三年前の事件で毒島本人が加担『させられた』のは死体遺棄のみで、彼女の監禁・暴行に関しては全くの無関係。

多間木と魚崎に渋々上記のアパートの部屋を貸す事になり仕方なくファミレスで勉強していた毒島が、そこでバイトしていたまりなと会話していたら既に彼女に目を付けていた魚崎および多間木が会話に割り込んできた。

その一週間後、まりなが行方不明になったのを知る。

不審に思いながらもまりなの帰りを待っていた一か月後、異変を感じた毒島はアパートに駆け付けた。

しかし時すでに遅く、彼の目の前で二人の拷問で衰弱しきっていたまりなは窓から逃亡を図るが、転落死。

更に多間木達から言いくるめられたことで無理やり協力させられ、罪をなすりつけられてしまった。毒島はむしろ被害者の側であり、彼もまたスケープゴートであった。

死体遺棄はともかく、監禁・暴行に関しては完全な冤罪である。

もちろん、冷静に考えれば都合の良い戯れ言だし警察に通報して正直に話すことも出来たのかもしれないが、初恋の人が目の前で死んだショックで半ば精神が崩壊してしまったものと思われる。

取り調べで最初は黙っていた（というより、ショックで何も言えなかった可能性が高い）が、二人の証言を鵜呑みにした剣持にまりなが持っていたストラップを突きつけられた毒島はまりなも自分も犯人と思っているに違いないと考え絶望。

ついに自分がやったと自白し、そのまま殺人犯の汚名をかぶることになってしまった。

そして入所した途端多間木に裏切られ、父親の会社も潰されて父親は行方不明。

その後、牧師に扮した高遠に「剣持は多間木の父親から賄賂をもらって告発の手紙を揉み消した」と騙された。家族も帰るべき場所すらも失って更に絶望した彼は剣持、多間木と魚崎、そして彼女を救えなかった自分自身への復讐を決意。

犯行計画とトリックは高遠から授けられたものであるが、自分への悪評を逆手に取った「狙われる側の人間」の演技は明智をして「アカデミー賞もの」と皮肉込みで称賛されるほどで、実際に一たちも完全に騙されていた。

剣持に罪を擦り付けつつも確実に標的を始末したが、多間木の焼死事件直後に発した一言が疑念を向けられる結果となり、そのまま全ての犯行が露呈してしまった。

第三の首吊り未遂では演技やフリなどではなく、本当に命を絶つつもりだった。

最後は揉み消した真犯人である湖森の謝罪と事情に、剣持とまりなの関係を知り、剣持への誤解を解き彼に詫びながら逮捕された。

「剣持警部…すまねぇ…」

逮捕後はまりなが遺した遺言を聞いたことで、憑き物が落ちたかのように涙を浮かべて一に礼を言った。

備考

剣持に殴られた際、毒島は自分はどうしようもない流され屋と評した。

彼は、多間木に罪をかぶるように頼まれて流され、剣持に罪を認めろと言われて流され、高遠に犯罪に手を染めろと言われて流された。

流されるだけ流され続けた彼が立ち直るには、流されることのない心の強さが必要になると思われる。どうにか幸せになってほしいものである。

今回の事件は剣持ら警察の証拠品の不十分な調査や一方の供述を鵜呑みにした杜撰な捜査によって冤罪を起こしてしまったことで度々剣持の評価を下げる要因の一つになった。更に被害者遺族を捜査に加える等、現実では完全に問題行動になりかねないことをしており、「金田一世界の警察は無能」と呼ばれる原因の一つとなっている。