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必殺口上


一筆啓上 火の用心

こんち日柄も良いようで 貴方のお命貰います

人のお命戴くからは いずれ私も地獄道

右手(めて)に刃を握っていても にわか仕込みの南無阿弥陀仏

まずはこれまで あらあらかしこ

(語り:草笛光子


概要

1975年7月~翌年1月にかけ放送された必殺シリーズ第3作。全28話。

藤田まこと演じる中村主水3作目の登場作品であり、『必殺シリーズ=中村主水』という方向性を決定づけた作品でもある。


前作『必殺必中仕事屋稼業』にて放送中の放送局変更という非常事態により視聴率が大きく落ち込んだことから、そこからの挽回を図るべく企画されており、上述の主水以外にも、中村玉緒沖雅也などのシリーズ出演経験者が別役でレギュラー出演している。


各回のサブタイトルは「一筆啓上 〇〇(二音の単語または二文字の熟語)が見えた」で統一されているほか、オープニングでは上述のナレーションとともに、放送当時の京都の街をゆくメインキャスト3名の映像が流れる。ただし本作の舞台は(一部出張回を除き)これまでと変わらず江戸の町である。


主な登場人物

仕置屋

  • 中村主水(演:藤田まこと)

必殺と言えばこの人。本作で初めて主役を務める。

それまでは北町奉行所の定町廻り同心だったが、本作では南町奉行所に転勤(嫁姑曰く『栄転』らしい)している。

表稼業では相変わらずの昼行燈としてふるまっており、それゆえ嫁姑からも例によってしばしばいびられている。そればかりか姑のせんが自宅に離れを増築してしまい家計は火の車、あげくに二人から付けられた監視役(後述)や昇進した立場のせいで袖の下を貰うにも一苦労と、これまで以上に肩身が狭い様子。

裏稼業仲間にして義理の弟であった糸井貢が悪人に命を奪われた『暗闇仕留人』最終回での一件を機に裏稼業から離れていたが、ある出来事をきっかけに復帰することとなる。

仕置の方法は自らの刀を用いた剣術によるもの。


  • 市松(演:沖雅也)

本作におけるもう一人の主人公

他の組織から依頼され行なった仕置の場を主水に見られてしまい彼の命を狙うが、ほどなく主水から仕置屋に誘われ、彼を仕留める機会を窺う腹づもりで加入した。

感情を表に出さないことが多いが、親交を持った表社会の者や、幼少期に父親を亡くした経験からか子供に対しては不器用ながらも優しさを見せる。

その反面、殺しの裏稼業を職人気質でプライドを持って行っている面もあり、そのスイッチが入っている時には己の殺しの現場を見られればたとえ子供であろうと口封じを行う冷酷さを持ち、仕事料よりも難易度の高い仕事にやりがいを見つけて引き受ける事も多い。また殺し屋仲間はそれがたとえ外道であろうと裏切らない仲間意識の強さも持っている。

かつて同じく裏稼業者だった父を同業者により始末されており、それを知らぬままその犯人に育てられた過去を持つ。故に裏稼業に身を置く者として上述した通りの自覚を持つ一方、そんな自身の異常性も理解しており、自身と似た経緯で天涯孤独になった子供を見て引き取ろうとするも、自身と同じ道を辿りかけた様子にショックを受けて断念したことがある。

仕置屋加入後も他の組織からの依頼は外道まがいのものも含めて受けている様子で、それが仕置屋の助けになったり逆に危機を招いたりすることもある。

表稼業は竹細工職人で、仕置の方法は自作した竹串を用い相手の急所を刺すというものだが、「熱して硬度を上げる」「竹トンボの羽で切り裂いたうえで刺す二段構えをとる」「おでん串で代用する」果ては「折り鶴に取り付け標的に向けて飛ばす」といったものまで、様々なバリエーションが存在している。


  • 印玄(演:新克利)

仕置の前にほぼ決まって遊女を買いに行くほどの無類の女好きの破戒僧。本名は「多助」。

密偵の捨三とは親友であり、彼を通じた主水の誘いを受け加入した。

上州の生まれ。幼少期に母が失踪したうえ病弱だった父の無理心中に巻き込まれて自身だけ生き残り、長年かけて母を単身探し当てるも、好色ゆえに失踪していたうえ息子にまで肉体関係を求めるという異常性を見てしまい、耐えられず自分の親である彼女を交際相手ともども屋根から落として始末した、という過去を持つ。

こうした悲惨な出自ゆえか、自身の生きる世界に無常さを感じており、捨三から「昨日はケラケラと笑っていたかと思えば今日はあれですからね」と評される程に躁鬱が激しい。そもそも彼が仕置屋に加わった経緯も実のところ少々特殊で、捨三が彼を裏家業に勝手に誘ったと知った主水が口封じの為に殺そうとした矢先に「 生きるも地獄、死ぬも地獄。どこかで仏に会ったら、俺は仏を殺すかも知れん 」という風呂場で薪を炊きながらの独り言を聞き翻意した、というものであった。

後に殺した母の交際相手の娘に仇と命を狙われた件である程度の気持ちの整理はついたかと思われたが、やはりトラウマは根深かったようで、似たような毒母に捨てられていた娘が実母と知らず殺しを依頼した一件では、捨三の相談に対し「実の母と教える事は無い」と述べ、その娘に自分を投影しているのではないかと指摘した主水に「それ以上言うと縊り殺す」「今でもお袋に会わなければ良かったと思っている」と返すほどであった。

一応僧としての心得も無いではないが、元々、母親探しの旅で僧の姿をしていれば食いっぱぐれる事も少ないと知ってからそんななりをしていただけで、経文もまともに読めないなどあまり熱心とは言えない様子。それどころか上述した女好きゆえに買われた遊女は数日仕事にならないとされ、「この者を相手にするべからず」との趣旨の人相書きまで出回っている有様である。

一方で捨三が評したように好人物でもあり、捨三や主水は勿論、仕置屋仲間から孤立しがちな市松とも交流を持とうとし、主水が己の死を覚悟した仕置に付き合ったり、市松の身を心配したり、裏切りの疑いをかけられた彼を弁護したりする優しさも見せた。

仕置の方法は、母親殺しのトラウマからか怪力を用いて相手を拘束し屋根の上から落下させるもの。その際に相手が「 やめて! 止めて! 」などと連呼し泣き叫びながら屋根を下り落ちてゆくのが大体のお約束。母親殺しの件である程度気持ちの整理がついてからは、場合によっては他の方法も用いていたが、いずれも武器を使わず素手で行っていた点では共通している。


  • 捨三(演:渡辺篤史)

仕置屋の密偵。

かつてスリをしていた頃に主水に見逃してもらったことがあり、以来彼を「旦那」と呼び慕っている。経緯は不明ながら主水が以前にも裏稼業をしていたことを知っており、その理念を理解したうえで積極的に協力する。

普段は銭湯「竹の湯」で窯番をしており、そこの窯場を主水たちのアジトとして提供している。

印玄とは旧知の間柄で、二人して風呂場をのぞき込んでいることも多い。

自らは仕置を行わないものの、依頼を受けた際の仕置相手の調査はもっぱら彼が担当しており、それが仲間の窮地に気づくきっかけとなったことも。

次作『必殺仕業人』でも引き続き密偵として主水を支えており、その献身的な働きぶりから主水シリーズにおける最高の密偵との評価も高い。


  • おこう(演:中村玉緒)

京都弁を話す仕置屋の依頼引受人で、メンバーの紅一点。

普段は髪結いの仕事をしており、そこで聞いた話や主水たちからの情報をもとに悪人の被害者たちに接触し、依頼を受ける。もっとも裏家業の実働部隊との連絡は主水を通じてのみでアジトにも基本的に出入りせず、ゆえに主水以外のメンバーを当初は知らなかったようであり、印玄を殺す依頼を受けてしまい自覚の無いまま仕置屋崩壊の危機を招いてしまった事もある。

事実上の会計担当であり、仕置料として受け取った五両をメンバーの働きに応じて分配する役目も担っている。また吝嗇な性格で金にうるさく、主水の殺しの標的が既に何者かに殺されていた時は当然、渡した金の返還を迫っている。

捨三と同様に主水が裏稼業に身を置いていたことを当初から知っており、一時期足を洗っていた彼を復帰させたのも彼女だったりする。また、仲間内で「八丁堀」と呼ばれる主水を唯一「中村はん」と呼ぶなど、どうやら彼に対し気があるようだが…。


奉行所

  • 村野(演:宗方勝巳)

南町奉行所の与力であり、主水の上司。

昼行燈と名高い主水の素質を見抜いており、締め付けを強めたかと思えば出張を渋る主水に費用を奮発した挙句袖の下を期待させて焚き付けるなど、なかなかの切れ者であったことから、主水シリーズの中でも一番良い主水の上司だったとしばしば評される。


表稼業における主水の部下である岡っ引き

奉行所の協力者として主水から小遣いを貰う身でありながら、あろうことかせんとりつからも駄賃を貰い主水の行動を監視している(主水が貰った袖の下をよくへそくりにするため)。だが、仕置屋として行動する主水に撒かれたり、逆に主水と揃って袖の下を貰っていたりすることも少なくない。中村家にもしばしば上がり込んでせんやりつから食事を貰っており、そうとは知らず主水の食事を頂戴して彼をいびる二人に加担してしまったことさえある。

新必殺仕置人』でも変わらず岡っ引きをしている様子。


その他

  • おはつ(演:石原初音)

主水行きつけの大衆食堂で女中をやっている少女。

家庭や職場であまりいい扱いを受けていない主水にとっては癒しと言える存在だが、当人は彼を「おじさん」と呼んでいるうえ、彼が同心とは気づいていない。

夜勤に出向くという主水の話を聞いて弁当を用意し、彼を喜ばせたかと思えば弁当代込みでお勘定を頂戴するというしたたかな一面も。


  • 中村せん(演:菅井きん)

主水の姑。りつと二人で彼をいびる。

ちょうどこの時期に離れの新築を行ったらしく、その費用で家計が火の車となっている様子。


  • 中村りつ(演:白木万理)

主水の妻。せんと二人で彼をいびる。

主水との間に子供ができないことをそれなりに気にしている様子で、自宅ではせんの見ていないところで彼にくっついていることも。


己に課す修行の激しさで名を知られた修行僧。俗世では元米沢藩士、木原兵三郎。

主水が師事した田所の道場での兄弟子であり、その剣技の強さに「鬼」と呼ばれ、師の田所からも竹刀の稽古では三本のうち二つは取る強さを持っていたが、田所を斬って脱藩し上方に逃亡し、そして修行僧となっていた。

あの市松が殺すのを諦め、主水もその己を捨てたギリギリの生き方に最後まで勝てる気がしなかった相手であり、必殺シリーズでも最強の敵の一人として必ず挙げられる。


余談

沖雅也演じる市松のキャラクター像は、のちに『必殺仕事人Ⅴ』にて組紐屋の竜を演じた京本政樹が参考にしたとのこと。


主水が事実上の主役である本作だが、本編のクレジットでは市松が先頭、主水が最後尾になっている。これは市松を演じる沖の養父であった彼の事務所社長の要望によるものだとか。

一応クレジットに演出を加え強調して一定の配慮はされていたのだが、同様の傾向は次作『必殺仕業人』でも見られ、これに主水役の藤田まことが不満を漏らしたことからあわやシリーズ打ち切りの事態が発生した。結局、次々作『新必殺仕置人』以降にて主水を先頭とする形で決着したのだとか。


主題歌は片桐和子作詞・平尾昌晃作曲の「哀愁」。歌い手の葵三音子が本編にカメオ出演したことがある。


印玄の殺しでの殺される側の有名な「やめて! 止めて!」の連呼を初めて演じたのは小悪党役で有名な江幡高志氏。これ以後、印玄に殺される者の多くがこれを連呼する事に。ちなみに印玄自身も預かった子供からいたずらをされ屋根から落とされた事があり、その時には「やめて! 止めて!」を自分が連呼する羽目になった(幸い積まれた薪の上に落下し大事には至らなかった)。


関連タグ

必殺シリーズ 時代劇


必殺シリーズ

必殺必中仕事屋稼業(前作) → 本作 → 必殺仕業人(次作)


暗闇仕留人:中村主水シリーズとしての前作はこちらに当たる。

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