概要
ドラゴンクエストシリーズのノベライズ版。
この他、外伝作といえる「ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説」が存在する。
特にロトシリーズに顕著だが「知られざる伝説」などと一部設定が共通している。
原作ゲームでは味わえない緻密な心理描写や、キャラクター同士の掛け合い、オリジナルキャラ・設定・展開などが最大の魅力。
また原作では名無しで台詞のない歴代主人公にそれぞれキャラ付けがなされている。
一部の設定は原作ゲームにも逆輸入されており、例えば現在の銀髪ロングヘアのピサロの元ネタは小説版『Ⅳ』におけるキャラクターデザインと思われる。
その一方で大胆すぎるオリジナル要素や、原作キャラクターの改変、一部の矛盾設定などかなりクセの強い作品でもあり、人によって好みが分かれやすいといえる。
あくまで原作とは別物と割り切って読むのが良いだろう。
『Ⅷ』以降は執筆されていないが、これはインターネット文化の台頭による二次創作等の隆盛や、原作ゲーム自体の技術・表現力の向上によりストーリーやキャラクター描写がより深く描写できるようになったこと等が原因として考えられるであろう。
これは公式アンソロジーコミックである「4コマ漫画劇場」の衰退にも同じことがいえる。
一覧
小説ドラゴンクエストⅠ/Ⅱ/Ⅲ
著者:高屋敷英夫
ロトシリーズの小説版。
原作がファミリーコンピュータ時代のゲームというだけあってストーリー・キャラクター描写が深堀りされていないためか、オリジナル設定やキャラクターが非常に多いのが特徴。
特に『Ⅰ』の竜王軍の「竜王六魔将」や、『Ⅲ』のバラモス、ゾーマの配下である「バラモス四天王」「ゾーマ八魔将」といった既存モンスターで構成されたオリジナル組織などが魅力的。
これらは後に登場したダイの大冒険の大魔王六軍団、『Ⅺ』に登場した六軍王の元ネタになったともいわれている。
各町や国などの文化・歴史、人口なども細かく設定されており、広大な世界を冒険しているような気分になる。
その一方でキャラクターの心理描写などが少なめで進行も淡々としており、「人間味が感じられない」という意見も。
またオリジナルキャラクターの中には原作のキャラクターを踏み台にするかのような悪目立ちをする人物も散見され、問題点として挙げられることも多い。
小説ドラゴンクエストⅣ/Ⅴ/Ⅵ
著者:久美沙織
イラスト:いのまたむつみ/椎名咲月(新書版)
天空シリーズの小説版。
ロトシリーズの小説版とは打って変わって非常に緻密で耽美な情景・心理描写が特徴であり、いのまたむつみ氏による少女漫画的な挿絵との親和性が高い。
特に『Ⅳ』の1巻はまるまる一章ぶんピサロの物語となっており、ロザリーとの出会いや一族との争いなどが緻密に描かれており、現在のピサロ像に影響を与えたといわれている。
他には『Ⅴ』のピエールにも独自の設定が大幅追加されており、第二の主人公もかくやといった活躍をする。
勿論他キャラクターの掘り下げや仲間同士の掛け合いなどにも力が入っており、中には著者独自の解釈で大胆に原作から改変されているキャラクターも存在する。
一方で、ピサロをはじめテリーなど特定の著者お気に入りキャラクターへの偏愛が激しい、BLGLをはじめ妙にアダルティックな描写がある、独自のカップリングが成立している(特に『Ⅵ』で顕著)などかなりアクの強い作風であることも事実。
小説ドラゴンクエストⅦ
著者:土門弘幸
イラスト:いのまたむつみ/鳥居大介(新書版)
『Ⅶ』の小説版。
原作が原作なのである程度仕方がない面もあるが、とにかく原作のストーリーを大胆にカットして独自に再構成しているのが最大の特徴。
一方でオルゴ・デミーラの詳細な背景設定や、種泥棒などと呼ばれ不評を買っていたキーファのかっこいい見せ場、原作では単なる設定画でしかなかった主人公のトカゲの意外な出番など、原作を良い方向にアレンジした描写も多い。
また、「なぜモンスターは最初は弱くストーリーを進める毎に強くなるのか」という「RPGあるある」のツッコミに独自の解釈で回答しているなどユニークな設定もみられる。
小説ネーム
小説版における主人公や仲間など、独自の名前がつけられているキャラクターの一覧。
※1…夢の世界の主人公が「イザ」、現実世界の主人公が「イーザ」と呼ばれている。
余談
- 小説版の主人公は独自に名前が設定されているのだが、『Ⅴ』の主人公の名前「リュカ(本名:リュケイロム・エル・ケル・グランバニア)」は特に人気が高い。しかし、公式の映画作品での無断使用が発覚しトラブルになったことがある。以降は小説版の主人公の名前については公式側も慎重になったのか、スーパーライトの「クエストお助け隊」で使用されていた小説版主人公たちの名前が変更される等の事例があった。
- CDシアタードラゴンクエストは小説版を簡略化したものとなっており、主人公の名前など共通する設定も多い。ただし、CDシアターの方はナンバリングを下る毎にオリジナル要素が少なくなっていった。