プロフィール

母カルティカは英国産。アイルランドで繋養されていたが社台ファームに輸入され、本馬は通算6番仔。欧州時代の半姉にG1・2勝のケマー(第1仔・父デインヒルダンサー)がいる。

母父レインボウクエストは1985年の凱旋門賞馬。日本ではサクラローレルの父として知られ、母父としてはアスクビクターモアの他にバンブーエールなどを輩出している。

1歳時のセレクトセールで1億7000万円で廣崎利洋HDに購入され、生まれ故郷社台ファームの吉田照哉代表との共同所有とした(共同所有のため「モア」がついている)。

戦歴

2-3歳時

6月26日の東京5R新馬戦で戸崎圭太の騎乗でデビュー、単勝1倍台の1番人気に支持されるもジオグリフの3着に敗れる。2戦目で未勝利戦を勝ち上がり、10月のアイビーS(L)ではドウデュースと0.1秒差の3着に入線。3戦1勝で1年目を終える。

3歳は自己条件から始動し、鞍上を戸崎圭太から田辺裕信に乗り替え1勝クラスを勝利する。

次走の弥生賞ディープインパクト記念ではドウデュースと再び対戦し、クビ差先着で重賞初勝利を収める。

皐月賞はハナを切って逃げる形となりジオグリフの5着に敗れる。次走の日本ダービーでは終始2番手につけ、持ち前のスタミナと長く使える脚でドウデュースの3着に粘り入線した。

一夏を越し、秋はセントライト記念から始動する。再び1番人気に支持されたが、残り100mでガイアフォースに差され、ハナ差の2着に敗れる。

迎えた1ヵ月後、10月23日の菊花賞。

ダービー馬ドウデュースは凱旋門賞を目指しフランスへ遠征、皐月賞馬ジオグリフおよび皐月・ダービーとも2着のイクイノックスは天皇賞(秋)へ向かったため、実に65年ぶりの皐月・ダービー連対馬が全頭不在となる混戦模様のレースで2番人気に支持された。

序盤でセイウンハーデスが大逃げを打つとその2番手につける形でレースを進めていく。

3コーナーで仕掛け、4コーナーで先頭に立つとそのまま逃げる形に持ち込み、後方で脚を貯めていたボルドグフーシュ、ジャスティンパレスに迫られながらもゴール板を通過。

写真判定の結果、ボルドグフーシュとハナ差数センチの先着で悲願のG1タイトルを獲得した。

タイムは3:02:04とナリタトップロードのコースレコードを0.1秒更新し、ディープインパクト産駒は歴代最多の菊花賞5勝目となった。

田辺裕信騎手は自身初のクラシック競走制覇を果たし、田村調教師も初のクラシックタイトルを獲得した。

4歳時

菊花賞後は有馬記念に出ることなく休養し、明けて古馬となった4歳は天皇賞(春)を目標に日経賞から始動。日経賞では1年先輩の菊花賞馬・タイトルホルダーとの初対決となる。

菊花賞をレコード勝ちした実績に加えて、タイトルホルダーが凱旋門賞への遠征以降調子を崩していたこともあり、雨が降る中迎えた本番では1番人気に推される。しかしテンションが上がり過ぎて出遅れた上、雨によって不良馬場と化した馬場に脚を取られるなどの不運が重なり、タイトルホルダーが8馬身差を付けた復活勝利を上げる中で9着と惨敗してしまった。

その後は巻き返しを図るべく予定通り天皇賞(春)に出走。鞍上には田辺騎手に代わってタイトルホルダーへの騎乗経験もある横山武史騎手に乗り替わりとなる。しかし本番ではジャスティンパレスの11着と敗北。続けて武史騎手を鞍上に出走した宝塚記念も、イクイノックスの11着と辛酸を舐め続ける結果に終わってしまう。

突然の死

宝塚記念後は復活を期して秋に備えるべく放牧に出されたが、8月8日、放牧先において熱中症を原因とした多臓器不全のためこの世を去った。4歳没。

折しもこの2023年7月は、日本の観測史上最も平均気温が高かった月と気象庁が発表する記録的な猛暑の中であった。また7月末に福島県で行われた相馬野馬追（引退した元競走馬達が数多く神事に参加している）でも、2頭の馬が熱中症で死亡し、行事の催行方法や馬の安全について議論が交わされていた矢先の突然の訃報であった。

GⅠ馬の現役中の病没は、2022年1月に胆石を原因とする多臓器不全で亡くなったワグネリアン（2018年日本ダービー優勝馬）以来の出来事となってしまった。

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ディープインパクト：同世代ではキラーアビリティに次ぐ2頭目のGⅠ馬となる。

• 2022年クラシック世代（22世代）のクラシック三冠競走勝利馬
  • ジオグリフ：皐月賞馬。新馬戦・皐月賞で敗れるが、日本ダービー・菊花賞では先着し、2勝2敗。
  • ドウデュース：日本ダービー馬。弥生賞で勝つも、アイビーS・皐月賞・日本ダービーで先着されており、1勝3敗と負け越している。