概要

『かたわ少女』(Katawa Shoujo)とは、Four Leaf Studiosによる同人ゲーム。ビジュアルノベル・アダルトゲーム(エロゲ)である。

略史

2007年、アメリカにサーバーを置くふたば☆ちゃんねるの非公式姉妹サイト「4chan」に、ある同人誌の1ページがアップロードされた。

それはらいたのサークル「絶対少女」がリリースした同人誌『Schuppen Harnische』の1ページ。「ヒロインが身体障害者」というコンセプトの架空の恋愛ゲーム『片輪少女』のイメージイラストだった。

このゲームを実際に作ってしまおうという話が4chan内で盛り上がり、話題はプロジェクトとして進行した。

そしてその年の夏、ハンドルネーム「Aura」を中心とする、特にアクティブだったメンバーがワークグループ"Four Leaf Studios"を結成し、開発に着手したのだった。

2009年4月、最初の体験版「Act1」(Ver.1)が公開。「Act1」のバグフィックスや多国語対応と平行して開発が進められ、2012年1月4日に完成版「Ver1.0」が公開された。2013年7月8日に最初のマイナーバージョンアップが行なわれている。

オリジナルは英語版で、他国語版は完成版Ver1.1がフランス語に、Act1(Ver.5)がフランス語、日本語、ドイツ語、ロシア語、中国語（簡体字版・繁体字版）、イタリア語、マジャール（ハンガリー）語に対応している。

2015年4月1日、かたわ少女日本語完成版（V1.3及びV1.3J）がリリース。

同年6月7日に修正版の1.3.1(J)がリリースされた。このバージョンが公式な最終版となっており、サポートの終了も発表された。完成版で公式に対応している言語は、英語・フランス語・スペイン語・日本語の4つ。

なお、同時に、独自の翻訳版をゲームに追加する手順が公開されており、これに則ったドイツ語版・韓国語版・イタリア語版も公開されている（イタリア語版はゲームのメインライターSilentcookによるもの）。

※上記バージョン表記内の「J」の有無は、日本国内で配布するにあたり一部の画像を修正する必要があったために生じている差異を明らかにするためのもの。J版は国内での基準に準拠している。

開発メンバーは有志の翻訳者を除けば全員、外国人である。

当初、開発サイドは「かたわ」という日本語が侮蔑的なニュアンスを含んでいることを知らなかった。

『かたわ少女』が日本で大きな話題になると、Four Leaf Studiosは、このタイトルに悪意がないことを表明し、謝罪した。

あらすじ

ある穏やかな冬の日、中井久夫は雪の中を待っていた。

やがて一人の少女が現れる、彼を呼び出したのは同級生の岩魚子だった。

少女が少年を呼び出して、することといえば限られている。

ゆっくりと言葉をつむぐ岩魚子に、久夫の胸は高鳴った。

だが岩魚子が想いを告げた瞬間、久夫は意識を失い、倒れてしまう。

先天性の不整脈が発見された久夫は、長い入院生活を送ることになった。

クラスメイトとは疎遠になり、岩魚子とも会わなくなった。孤独と絶望に打ちひしがれる久夫。

やがて春が来るころ、久夫は医師から、障害者学校への転入を薦められる。

はじめは気落ちしていた久夫だったが、せめて新しい環境でやるだけやってみようと決意を固める。

山久高校。そこで久夫の新生活が始まる――

登場人物

主人公とメインキャラクター

「抱える障害」は作中描写に基づく推定。障害の名称はウィキペディア日本語版に準拠。

中井久夫（なかい ひさお）

本作の主人公。

急な環境の変化に戸惑いつつも、山久高校での暮らしに溶け込もうとする。

境遇ゆえか、皮肉屋で、周囲に悪態をつくことも多い。

急な運動は控えるようナースからは通告されており、少しずつリハビリを続けることになる。

著名な推理・幻想小説家と一字違いだが気に止めないこと。

【ヒロインたち】

詳しいプロフィールが公開されている彼女達。日本発のギャルゲーと比較するとBMIは高め、つまり標準体重であるのだが、何故か全員スリーサイズから推測される体重の方が明らかに軽い(笑美や淋が五体満足であると仮定しても)。

茨崎笑美（いばらざき えみ）

事故により、両足のひざから下を失うも、そんな境遇はものともせず、普段は義足をつけて元気に走り回っている。明るく楽天的な性格。

廊下を疾走していたところ久夫と衝突。その後、リハビリのトレーニングをしようとグラウンドを訪れた久夫と再会する。

よほど走ることがすきなのか陸上部に所属。毎朝のランニングは欠かさない。

一緒にランニングをすることになった久夫に昼食のお弁当を作ってくるなど、世話焼きな一面がある。

琳とはルームメイトだが、学校生活でもよく手助けをしている。

池沢華子（いけざわ はなこ）

幼少時に失火で自宅と父を失い、自身も右半身に火傷を負う。その痕がケロイドとして大きく残ったため、容姿に強いコンプレックスを持っており、顔の半分を髪で覆い隠している。

引っ込み思案で、人とうまく関係を築くことができず、いつも一人で本を読んでいる。

久夫は図書室を訪れた際、彼女に出会うが、どう話しかけても逃げられてしまう。

心を許せる唯一の存在はリリーで、彼女とのティータイムが華子の安らぎのひと時である。

ちなみに彼女が読んでいる本はAct1の段階では『パイの物語』、ムービーシーンで読んでいるのが『個人的な体験』である。

意外とボーイッシュなファッションが似合う。

砂藤リリー（さとう‐）【左側】

ハーフであり、金髪碧眼の容姿。お嬢様校に通っていたこともあり、気品ある大人びた物腰が特徴的、普段の生活では白杖を使っている。

生徒としては優等生であり、視覚障害者専門学級である3年2組の学級委員も勤めている。

物腰が柔らかく親しみやすい性格で、初めて会った久夫に紅茶を振る舞い、すぐに仲良くなった。

華子とは親友同士で、いつも彼女を優しく"見守って"いる。

反面、性格が正反対の静音とはしょっちゅう対立しており、犬猿の仲のようだ。

メインヒロイン随一の巨乳。

名前は百合にも由来しているとのこと。おいスタッフ、お前ら外国人だろ。

手塚琳（てづか りん）

美術部に所属しており、両足と口を使って絵を描く。足は実生活でも腕の代わりに使っており、そのため男子制服のズボンを着用している。

彼女の手がける抽象画は哲学的なひらめきに基づいており、難解な発言をしては周囲を戸惑わせる。

しかし、本人はいたってマイペース。

当初は久夫も振り回されるばかりだったが、学園祭用の壁画制作を手伝ううちに、彼女の奇妙な言動に感じ入るようになり、少しずつ美術にも興味を持ち始める。

お気に入りポイントは屋上で、昼休みになるとルームメイトの笑美と一緒にお弁当を食べている。

羽加道静音（はかみち しずね）

非常に押しの強い性格で、得意げに眼鏡に手をやる動作が印象的な眼鏡っ娘。

山久高校の生徒会長を務めるなど、リーダーシップに溢れている。

どんなときでも意志ははっきり表明し、相手が誰だろうとひるむことはない。

特に風紀の乱れには厳しく、それゆえ他の生徒と対立することもしばしば。

周囲とのコミュニケーションは、手話に達者なミーシャが通訳をして行うが、静音の言葉とミーシャの言葉が一緒くたになって大変ややこしい。

ミーシャと二人で生徒会に所属しており、久夫にしつこく勧誘をかける。

サブキャラクター

御門「ミーシャ」椎名（みかど「‐」しいな）

縦ロールのピンク髪が目立つ、久夫のクラスメイト。転入してきた久夫に対し、最初に声をかけてきた生徒でもある。「ミーシャ」は自己考案の愛称。

声が大きく、いつも豪快な笑い声を上げている。

手話が得意で、静音の通訳を勤めている。しかし、静音と比べて若干頭の回らないところがあるため、訳が不完全になることも。

静音のサブキャラで非攻略対象だが、公式サイトではメインキャラ待遇となっている。

二次元の少女にしては体重があるが、その分スリーサイズの細さが際立っており、そこから推測される体重と約10kgもの差がある。

瀬藤健二（せとう けんじ）

学生寮で、久夫の向かいの部屋に住んでいる眼鏡少年。リリーのクラスメイトでもあるがめったに授業に出ず、半引きこもり状態。

どういうわけかフェミニズムを「人類を滅ぼす悪の陰謀」と思い込んでおり、この山久高校に恐るべきフェミニストの陰謀が迫っていることを察知し、人類の生き残りとなるべく、常に気を張り巡らせているらしい。

何かと奇行が目立つが、久夫はいい友人となる。

ナース

いつも笑顔を絶やさない、山久高校の男性看護師。「ナース」は学内での通称で本名は不詳。

思いやりに溢れ、自分の仕事に誇りを持つ。

武藤昭夫（むとう あきお）

久夫が在籍する3年3組の担任教諭で科学担当。ややくたびれた印象の背の高い中年男性。

現実（生徒の名前含む）に関心がなく、適度にドライな性格だが、科学に関しては割と情熱的かもしれない。しかし華子の性格に（半ば諦め気味だが）配慮して彼女が教室を抜ける事を黙認したり、久夫に将来の事も考えて勉学に務めるようアドバイスするなど、細かいところもある。

白川優子（しらかわ ゆうこ）

山久学園の図書室の司書。アルバイトで、本業は大学生。カフェ「上海」でもアルバイトしている。

かなりのドジっ娘らしく、初登場時にいきなり頭をぶつけている。彼女自身もドジっ娘であることは自覚しているらしく、うつの傾向がある。

その一方、彼女の言葉が自分や他人の障害にどう向き合うかで悩む久夫に啓示を与える事も。

野宮紳一（のみや　しんいち）

恰幅のいい美術教師。

琳のことを「愛弟子」と呼び、かなり気に入っている様子。

砂藤晃（さとう あきら）

リリーの姉。スーツを着こなすビジネスウーマン。

普段は法律事務所勤務で、たまにリリーに会うため山久高校に来る。

リリーは山久高校に転入するまで姉と暮らしていた。そのせいか、リリーは姉の前でだけ、甘えるようなしぐさを見せる。

家事が苦手らしい。

羽加道秀明（はかみち ひであき）

静音の弟。何故か女装をしている男の娘。歯に衣着せぬ話し方をする。

親戚の晃が世話係にされている関係上、外出時は彼女と一緒にいることが多い。

3年3組のモブ生徒たち

久夫が属する3年3組には、華子・静音・ミーシャの他にも以下の14人の生徒が在籍し、Act1で登場する。スタッフの趣味なのか、かなりマニアックなネタだったり、作者は命知らずなキャラがいたりする。

日本語表記は2014年7月現在未設定。席の位置はプレイヤーから見て手前を1列目（教壇寄り）とする。

その他の生徒

• Aoi,Keiko
• Chiharu
• 片山梨花（かたやま りか）
• 榎本咲（えのもと さき）

物語の舞台

山久学園 （やまく-）

日本のどこかにある全寮制の障害者学校。

校名から、学校教育法上の特別支援学校（かつての盲学校・聾学校・養護学校を引き継ぎ2007年4月1日に発足）ではなく、障害者への支援教育を行う通常の高等学校という扱いのようである。

生徒には知的障害者がいないが、代わりに、現実の日本では「障害者」としての認知度がまだ低い内部障害者（内臓に障害を持つ者）を受け入れている。

視覚障害者は専門の学級があるが、その他の身体障害者は精神障害者や内部障害者と一緒のクラスになっている模様。

多額の資金援助を受けているため、財政には困っておらず、広いキャンパスに立派な施設が立ち並ぶ。

24時間看護スタッフが待機しているだけでなく、近所に総合病院もあり、福祉的には充実している。また、設備のバリアフリーも行き届いているようである。

生徒たちの社会的自立を支援するのが学校としての方針。

ただ校風はおおらかで、授業をサボる生徒の姿もよく見られる。

カフェ「上海」

学園の近くにある和風の喫茶店。カフェでありながら、店名は「上海」。

山久高校の生徒たちにとっては憩いの場である。

肩口の開いたウェイトレス服が特徴。優子はここでアルバイトをしている。

AURAMART

生徒たちが買い物に立ち寄るコンビニ。

何故かセ○ンイ○○ンと書いてあるが気に止めないこと。

動作環境など

Windows（XP以上）、Mac_OS_X（10.6以上）, Linux（X86/X86 64）上で動作する。OSX版はPower PC版Macintoshでも動作可能。

ゲームエンジンは「Ren'Py ビジュアルノベルエンジン」を使用している。

クリエイティブ・コモンズの表示-非営利-改変禁止（CC BY-NC-ND）ライセンスに基き、フリーウェアとして無償頒布されている。

関連動画

オープニング

プロモーション動画

『かたわ少女』で「コンビニ」

関連イラスト

関連タグ

エロゲ

同人 同人サークル

かたわ 欠損 アクロトモフィリア

4chan - 本作開発の拠点

らいた（RAITA、本庄雷太。代表作に『絶対純白魔法少女』など） - 本作誕生のきっかけを作った絵師。スタッフクレジットでは「Special Thanks」の大トリを飾っている。

検索してはいけない言葉 - 所謂「凌辱もの」のレッテルを貼られているのか、いまだにこれに数えられている。

『ONE～輝く季節へ～』 - 攻略可能ヒロインの何人かが障害者という設定であり、本作と比較されることがある。

『僕と君の夏休み』 - 掲示板で集まった素人がギャルゲーを作るという、同じような趣向の企画、及び作品（フリーゲーム）。発足は2007年、リリースは2010年と時期も近い。

『DokiDokiLiteratureClub!』 - オール外国人制作・日本風ギャルゲーつながり。同じくRen'Pyを使用したフリーゲームでもある。

関連リンク

かたわ少女 - Four Leaf Studios