概要
陰茎としてのおちんちん
そもそもは、古代中国で発生した陰茎を表す象形文字『了』(本来の字形は上下を180度回転させたもの)に幼児を表す『幺』を付け加えた『幺了』に由来する。
これが日本において現在の語形となった経緯こそ不明だが、いつの頃からか「珍」の字を当てられるようになり、丁寧表現の接頭辞「お」を加えて『おちんちん』が成り立ったとされており、一般的には第二次性徴以前の未成熟な男性器を指して用いられる。
その耳当たりの柔らかい語感から「男性としての雄々しさ」よりも「男児としての可愛らしさ」を鮮明に表す最適な言葉として親が子どもに言い聞かせる幼児語として発展し、性表現が多様化した現代においては本来の語義に加えて「成人男性の短小包茎=粗チン」を指す侮蔑、はたまた「美少年や男の娘が股に提げる無毛包茎」を指す礼賛の意味も含み、特に後者についてはその有り様を尊崇する不動の信念を「いつも心におちんちん」の標語で象徴する傾向にある。
方言としてのおちんちん
富山県および関西圏の一部で「正座をする」、あるいはそれに類する座位を取るように促す際に使用される方言表現。
語源には諸説存在するが、いずれも「その場に畏まって腰を下ろす『鎮座する』が語源である」とする説を有力視しており、富山県では「おちんちんかく」、関西圏の一部では「おちんする」「ちんちんする」の形で残されている一方、実は「そもそもの意味を誰も知らない標準語」の1つとなっている飼い犬に仕込む芸の1つ『チンチン』はまさにこの意味に従った言葉である。
例えば、富山県で来客をもてなす際には「おちんちんかかんと、こっちでひろがらっしゃい」(訳:正座をしないで、こちらで楽になさいませ)と用いられるが、「ちんちんかく」と全く同じ発音と文字構成を持つ標準語ではまるで意味の違う同音異義語となり、県外来訪者が耳を疑う方言の1つとして『トリビアの泉』などの教養バラエティ番組でも度々取り上げられている。
このように、陰部を意味する標準語が方言では異なる意味を持つ、あるいはその逆転現象が起こっている事例は意外と多く、典型的な例に沖縄方言(ウチナーグチ)の『タニ』が挙げられる。
ウチナーグチにおけるタニは男性器を指す言葉であり、沖縄県民は「くぬ方や、ヤマトゥからめんせーん大谷さんやいびん」(訳:こちらの方は、本土からおいでになった大谷さんです)と紹介があった時には誰もが一度は驚いてしまうのである。しかし、直接的な下ネタを好む上に人目を憚らず公言する幼稚園や保育園、小学校ではこれらの同音異義語のためにいじめが発生しやすい事例報告も少なくなく、デリケートな問題を抱えている。