概要
1988年3月15日出版。『VOL.1』より以前に発表された作品も収録。内容がギャグ漫画なのは一貫して同じだが、前巻に比べると格闘シーンや死の描写が増えている。また、それまでは脈絡のない話がメインだったが、徐々にストーリー性を持った1つの物語として、1話1話が構成されていくようになる。これは同時期に「天下一武道会編」、「ピッコロ大魔王編」を連載していた『ドラゴンボール』による影響が窺える。
おまけページの「わたしはこうしてマンガ家になってしまった」では、鳥山が漫画家になるまでのいきさつが本人の直筆によって描かれている。
本日のハイライ島
概要
昭和54年(1979年)4月20日増刊号掲載。15貢。『ギャル刑事トマト』(『VOL.1』収録)の前に描かれた作品。『ワンダー・アイランド』シリーズ同様、人気は振るわなかったが、人間と動物が分け隔て無く当たり前の様に共生している世界観は、『Dr.スランプ』を始めとする鳥山作品のルーツともいえる。
あらすじ
ハイライ島(はいらいとう)中学校に通う悪ガキのカン太は、授業に遅刻した挙句給食を盗み食いして虫歯になる。カン太は大嫌いな病院へ行って診察してもらうはめになる。
登場人物
カン太(かんた)
主人公の中学生。身から出た錆で虫歯になり、口内をキリギリス、セミ、アリ、トンボ、クワガタ、ゴキブリ、バルタン星人に荒らされてしまう。その後難あって虫歯は抜けたが、今度は畑のカボチャを平らげて腹痛を起こしてしまう。
先生
カン太の担任教師で、口元に艶ボクロがある。給食は豪華。
八木医院の院長
病気、車、ラジオなどをなおしてくれるというヤギの医師。が、畑で肥やしを撒いた後で手を洗わない、口の中に殺虫剤や爆弾を仕掛けるなど、少々いいかげんな性格。
ESCAPE
概要
昭和57年(1982年)1月増刊号掲載。5貢。シリーズ最短の作品であり、全部でわずか5ページしかない。構図やコマ割りはアメコミに似せて描かれている。
あらすじ
西暦2070年の宇宙の彼方にある惑星ウメコブチャ。そこでは1人の少女が何者かに追われていた。その気配を感じた少女は「もうだめだ」と絶望する。気配の主は少女を見つけると「みーつけたっ!」と叫び、次のオニを決めて再び少女達はかくれんぼに興じるのだった。
PINK
概要
昭和57年(1982年)フレッシュジャンプ12月号掲載。31頁。
副題は「THE RAIN JACK STORY」、後述するアニメ版では「みずドロボウあめドロボウ」。
『ギャル刑事トマト』、『Dr.スランプ』に続いて女の子を主役にした作品。鳥山が本来苦手とする恋愛描写がストーリーに組み込まれている。『Dr.スランプ』連載中だったためか、鳥山曰く女の子を描くのに抵抗を感じなくなった時期の作品であり、主人公ピンクの女の子らしさを試しに描きたかったとのこと。1990年7月7日にアニメ化され、東映アニメフェアにて『ドラゴンボールZ地球まるごと超決戦』、『剣之介さま』と共に上映された。
あらすじ
1年間も日照りが続いている砂漠の町。フロート・バイクを操る少女ピンク、トカゲの様な生物ブラック、ロボットのホワイト達3人組は、何故か大量の水を保有している会社「シルバー・カンパニー」から水を強奪して生活する水泥棒。そんなピンク達の家に、社長のシルバーの通報によって一連の事件の調査のために、保安官のコバルト・ブルーが訪れる。以前からブルーに好意を抱いていたピンクは見惚れてしまう。その後、ピンクは家の物置きで母親のレインコートと傘を見つける。
夜、雨の日にブルーと一緒に傘に入る夢を見たピンクは急に起きると再びシルバー・カンパニーへ潜入して大量の水をいただくため家を出る。シルバー・カンパニーにて貯水庫を手分けして探すピンクだったが、遂に捕まってしまう。危うく殺されそうになったところに保安官が駆けつけ、ピンクは命を救われる。その直後、ホワイトが地下室に監禁されていた雷神の子どもを発見する。シルバーが彼を拐って無理矢理水を作らせていたことが判明し、ブルーはシルバーを逮捕する。
翌日、町には1年ぶりに雨が降り注いだ。結果的に真の水泥棒を暴いたピンクはブルーと一緒に傘に入り、幸せな気持ちに浸るのだった。
登場人物
(★印はアニメオリジナルキャラクター)
ピンク
声-増田未亜
桃色の髪の毛と中学生ぐらいの風貌を持った本作の主人公。ゴーグルを着用し、フロート・バイクに乗り、気絶光線銃を用いてシルバー・カンパニーから水を盗む日々を過ごしている。両親は2年前に他界しており、ブラックとホワイトとの3人暮らしである。保安官のブルーに一目惚れし、前年にホワイトに撮らせた彼の写真を大切に保管している。雨を降らすのに必要な大量の水を得るべくシルバー・カンパニーに乗り込むが、その過程でシルバーの水を作る秘密について知ることになる。
コバルト・ブルー
声-難波圭一
サングラスをかけた保安官。ピンクの家を訪問した際に、フロート・バイクが停めてあったことや、水不足で育たない筈の木が生えていたことから、彼女が水泥棒の犯人であることを確信する。その後、シルバー・カンパニーに急行してピンクを救出し、そこで会社の実態を目にしたことでシルバーを逮捕する。最終的に水不足の謎を解決してくれたためにピンク達の窃盗行為を見逃してくれた。恋愛に疎い性格であり、ピンクの好意には最後まで気づかなかった。
ブラック
声-山本圭子
トカゲに似た、爬虫類を思わせる生物。水泥棒の際は、毎回嘘をついて同行しようとせず、水だけを頂戴する図々しい性格。夜、ピンクの家を訪ねてきたブルーに、彼女がシルバー・カンパニーに行ったことを伝えた。
ホワイト
声-杉山佳寿子
空中を浮遊して移動する、アンテナの付いた小型のロボット。シルバー・カンパニーにて、貯水庫を捜索するうちに、会社の裏を偶然暴き出す。
レッド★
声-金丸日向子
アンテナにリボンを付けたポリタンク型ロボットで、小型ながら浴槽が満たせるほどの水をためることが出来る。
シルバー
声-高木均
シルバー・カンパニーの社長。水不足を利用して高値で水を売りつける。本作の黒幕であり、雷神の少年を誘拐したことで日照りを起こし、彼に無理矢理水を作らせて独占するという悪事を働いていた。自身の行為が全て発覚した後、ブルーの「逮捕ですね はっきりいって」のひと言で連行された。
グレイ★
声-大森章督
シルバーの用心棒のエリマキトカゲ型モンスター。語尾に「~だぎゃ」と付ける。
エリマキカッターやシッポブーメラン(本人曰く一度切れると再生まで2年かかるらしい)を武器に地下水道でピンクを追い詰めるも、武器を全て失い逃走。
レインボー★
声-郷里大輔
シルバーの用心棒のカメレオン型モンスター。
保護色と伸びる舌を武器に工場でピンクを追い詰めるが、ベルトコンベアに巻き込まれ自分が瓶に閉じ込められてしまう。
パープル山本
声-柴田秀勝
シルバーの用心棒の剣豪。
刀を武器にピンクを追い詰めるが、駆け付けたブルーに取り押さえられた拍子に雷神の監禁現場の扉を開けてしまう。
原作では名前は登場しない。
用語
フロート・バイク
ピンクが乗り回すマシン。劇中に登場する乗り物はいずれも車輪が存在せず、地面から浮遊した状態で走行する。ピンクのフロート・バイクは小回りがきくのが特徴で、直滑降を走り抜けることもできる。普段は彼女の家の傍に停車しており、ブルーが水泥棒を探す際に尋ねるきっかけとなった。
騎竜少年 其之壱
概要
昭和58年(1983年)フレッシュジャンプ8月号掲載。15頁。読みは「ドラゴンボーイ」。ジャッキー・チェンの映画を愛好していた鳥山に対し、担当編集の鳥嶋和彦がカンフーの漫画を描いてはどうかと提案したことで発表された作品。「好きで見るのと描くのは違う」ということで鳥山は乗り気ではなかったが、読者からの評判は良かった。鳥山の妻であるみかみなちが中国好きだったためその資料を参考にしており、背景もみかみが描いている。古代中国を思わせる世界観や登場するキャラクターの多くは、翌年から連載された『ドラゴンボール』の原型となった。
あらすじ
仙の国で修行の日々に明け暮れる少年唐童は、ある日老師から試練を与えられる。それは華の国の姫を無事に祖国へ送り届けることだった。行く先々で災難に見舞われながらも、唐童は姫を守り、華の国へと旅を続ける。
登場人物
唐童(たんとん)
本作の主人公。日々己を厳しく鍛え上げる格闘家の少年。今より幼い頃親に捨てられ、老師に面倒を見てもらっている。長い間山で修行していたことから、非常に世間知らずであり、女性の存在を知ってはいたものの見たことがなかった。そのため、姫の胸元をつつきぷよぷよだと言ったり、男性器がないことに驚愕したりしていた。
格闘技に関しては相当な実力を誇っており、怪しいものの気配を感じ取れるなど、洞察力も優れている。しかし、不毛な争いは好まない心優しい性格。
外見は通常の人間と大差ないが、その実態は背中に竜の如き翼を持った怪物。この翼によって、体力の消耗は激しいが空を飛ぶことができ、戦闘の際にも大きく役立つが、捨てられた原因でもあり、劇中でも姫に嫌われるのを危惧して隠していた。
容姿、性格ともにドラゴンボールの主人公孫悟空のモデルである。
華の国の姫
本名不明。2年前、故郷にて戦争が勃発し、老師のもとで預けられた。やがて華の国も安泰となり、唐童をお供に国へ帰ることになった。
性格は非常にわがまま且つ自分勝手であり、国での贅沢な暮らしのせいか、高慢で欲張りな所がある。唐童よりやや身長が高く、年長と見られる。
唐童からは、嫌われるのを恐れて翼を隠されていたが、それが判明した際にはもっと早く言えと愚痴をこぼした。
立ち位置は『ドラゴンボール』のブルマの様だが、容姿は何処となくチチに似ている。
ご老師さま
幼い唐童を拾い育て、格闘家として鍛え上げた師匠。筋斗雲の様な雲に乗って空を飛ぶ。唐童もこの雲に乗ることができる。旅立つ唐童のために竜宝を持たせる。
『ドラゴンボール』における孫悟飯、亀仙人らの要素を持ったキャラクター。
水邪鬼(すいじゃき)
井戸の中に潜む大柄な化け物。水につられて寄ってくる人間を捕らえて食べる。皮膚は岩よりも硬く、唐童の技も全く受け付けなかった。姫を渡せば命は保証すると唐童を誘惑するが、翼を露わにした唐童の空からの攻撃により、弱点の眼に拳を打ち込まれて撃退される。
用語
仙の国(せんのくに)
唐童や老師が暮らす山中の国。彼らの本拠地である御堂の他、唐童の修行場所となる一際険しい山々に囲まれた庵が存在する。
華の国(かのくに)
姫の故郷。かつて争い事が起きたために、仙の国へ姫を避難させた。老師によれば現在は平和になっているとのこと。
唐童のバギー
姫を送り届ける際に唐童が操縦していた乗り物。地上を浮遊しながら発進するメカで、外見は古代中国風の舞台にはおおよそ合わない。操縦席にはレバーが1本ついているのみで、2人以上乗る際は機体の両脇に掴まる。山が続く道に入るために、唐童達は途中で下車した。また、免許取りたてらしく、機体の前後に若葉マークのシールが貼ってある。
竜宝(ろんぱお)
旅立つ際、老師がいざという時のために唐童に手渡した宝玉。これを地に置き、満身の気をもってあてると竜が出現するという。しかし、いざ呼び出してみると出てきたのはとても小さな竜だった上に何の役にも立たなかった。この竜は『其之弐』の表紙を最後に登場しない。
用途や扱い方こそ違うが、ドラゴンボールの原型ともとれるアイテム。
騎竜少年 其之弐
概要
昭和58年(1983年)フレッシュジャンプ10月号掲載。21頁。『其之壱』の続編。前作同様、『ドラゴンボール』に共通する要素を持った作品であり、ヒロインが失禁するシーンや変身能力を持った生物などがその例である。
あらすじ
華の国を目指し旅を続ける唐童と姫。道中で水の国河運にある橋にたどり着いたところ、小さな妖怪と遭遇する。妖怪によれば100年ほど前から橋の向こうの古城に怪物が住みついており、橋を渡る者は皆殺されてしまったという。そんなに悪い奴なら反対にやっつけてやると豪語する唐童の前に何者かの影が現れた。
登場人物
唐童(たんとん)
強い力と優しい心を持った格闘家の少年。背中には翼が生えており、1人で飛ぶだけでもかなり疲れることが本人の口から語られている。にぎり飯を騙し取った妖怪を謝罪だけで許してやったり、終戦後も戦い続ける機械人兵に自ら歩み寄るなど、純粋な強さ以外に格闘家としての器も併せ持つ。
姫
華の国のわがままな姫。色男に弱く、自身のにぎり飯を旅人に分けてあげるが、その人物が妖怪の変化したものだと知って激怒する。唐童が妖怪を逃がしてやっても怒りが収まらず、彼から「ねちこい性格」と呆れられていた。
その後橋を渡る際にも、おんぶをお願いしたり、機械人兵に恐怖して小便を漏らしてしまうなど、子どもっぽい言動が目立つ。
後者のシーンは、後に『ドラゴンボール』の第1話にて、ヒロインのブルマが受け継いでいる。
妖怪
あらゆるものに3分間変身できる能力を持った妖怪。正体は大きな耳に長い尾の小さな姿。年齢は不明だが、少なくとも250年は生きているのだという。
劇中では旅人に化けて唐童達を騙すが、岩をいとも簡単に粉々に砕く唐童の力を目の当たりにして恐れおののき、深く謝罪してその場から去った。
その後橋を渡ろうとする唐童達の前に再び現れ、怪物が襲ってくるため渡らないように警告する。唐童と機械人兵の闘いでは、河運の国の兵士に変身して機械人兵を静めた。最終的に華の国への旅に同行する。
用語
河運の国(はーゆんのくに)
100年前、長きに渡る戦乱によって滅んだ水の国。全体的に河川が多く、その中でも一際大きな大河には古びた大きな橋が架かっている。現在は妖怪の他に住む者はほとんど存在しない。
機械人兵(きかいじんへい)
文字通り機械でできた兵隊。かつては河運の国の戦で使われていた。その内の1体がボロボロになりながらも未だに稼動しており、橋の向こう側に位置する古城跡を占拠している。戦時中は、城に攻め込む敵を撃退し、城を守るように命令されていた。そのため、終戦から100年経った現在に至るまでたった1人で城を守り、橋を渡る者を次々に殺害していた。最終的に妖怪が変身した河運の国の兵士から「しずかにやすむがよい ほんとうによく城を守りとおした」と告げられたことで安堵し、感謝の言葉を述べて永久に機能を停止した。
トンプー大冒険
概要
昭和58年(1983年)52号掲載。45頁。舞台が宇宙のSF作品であること以外は前作の『騎竜少年』と類似した作風となっている。『Dr.スランプ』のキャラクターが登場するコマが存在する。
前作と同じく劇中に登場する宇宙船や「いろいろカプセル」と呼ばれる発明品、主要キャラクターは後の『ドラゴンボール』に強い影響を与えている。
また、余談だが序盤に「クリリー・・・ン」という効果音が挿入されている。
あらすじ
遥か遠い宇宙の彼方で、惑星開発に向けて偵察するために少年トンプーを乗せた宇宙船が漂っていた。途中で事故に見舞われ、大部分が水で覆われた惑星にたどり着いたトンプー。そこには、かつて同じように地球を出た偵察用の宇宙船の残骸と乗り組員の白骨死体があった。ただ1人生き残ってこの星で暮らす少女プラモは、悪い宇宙人の襲撃にあったのだと説明する。トンプーはその宇宙人の船を奪って地球に帰還しようと画策する。
登場人物
トンプー
本作の主人公。惑星開発のために地球から派遣された14歳の少年。宇宙船が大破し、小型ロケットで脱出した後に未知の惑星に着陸した。容姿は『騎竜少年』の唐童と同様孫悟空に類似しているが、比較的常識人で真面目な性格をしている。腹部と背中には幾つかのつぎはぎが存在する。
正体はサイボーグであり、通常の攻撃を受けただけでは死に至らないが、片腕が動かなくなるなどの不具合が生じることはある。しかし、パワーは桁外れであり、敵の大柄で銃の効かない宇宙人をたった一撃で失神させるほどの威力を誇る。また、酸素のない水中や宇宙空間でも差し支えなく生身で生活できる。偵察隊に選出された理由もサイボーグだったかららしく、サイボーグになったのも偵察隊に入る前であることが推測される。
最後は小型ロケットの外側にしがみついた状態でプラモにナビゲートをしながら地球へ向かった。
プラモ
本作のヒロイン。トンプーの出発した2年前に地球を出たが、偵察圏内の星にて宇宙人の襲撃に遭う。他の2人の乗組員は殺されたが、彼女は隠れていたために難を逃れた。それ以来その星でのサバイバル生活を送っている。そんなある日偶然この星を訪れたトンプーと出会い、行動を共にするようになる。
おてんばで少々間の抜けた性格。年齢はトンプーと同じく14歳だが、彼よりも遥かに背が高く、体型もかなり豊満である。彼女によると偵察隊に選ばれた理由は超能力を持っているかららしいが、1時間かけてやっとスプーンを曲げられるほどの微弱なものであり、それがなんの役に立つのかについては本人も全く理解していない。
劇中では露出の多い格好で敵を油断させようとしたが当然失敗し、あっさり捕まってしまったところをトンプーに救出された。最後は小型ロケットの操縦席に乗り込み、トンプーの指導を受けながら地球へ向かった。
容姿と性格から『ドラゴンボール』のブルマのモデルとされている。実際、主人公と身長差のある異性のコンビ、一緒に入浴中相手の年齢を聞いて驚愕する場面、互いに名前を聞き合って変な名前だと言われるくだりなど、初期の「少年編」との共通点が多い。
宇宙人
凶悪な巨漢の宇宙人で、「うちゅうのおたずねもの」という旗を掲げていることから既に指名手配されていると思われる。
2年前、プラネット8号の乗組員を手当たり次第に殺害しており、現在もその星に居座っている。
用語
プラネット12号
トンプーが乗っていた宇宙船。惑星開発計画に先がけて偵察用に送り出された12番目の試作品。2年前にはこれと同じモデルのプラネット8号が派遣されており、乗組員にはプラモがいた。様々な機能が設定されているが、どれもいまいち科学の進歩を感じられないものばかり(トイレに未だにトイレットペーパーやピコレットがあるなど)。冷凍睡眠室が備え付けられており、トンプーはこの部屋内のカプセルの中で5年間眠っていた。その間に第2エンジンの機関部が故障するトラブルが発生し、大爆発を起こした。
小型ロケット
プラネット12号に搭載されている緊急脱出用のロケット。小型故に燃料が早く尽きてしまうため、長距離の移動には不向き。トンプー達は最終的にこのロケットで星々を渡って宇宙船を探すことにしたが、1人用のため、宇宙空間でも平気なトンプーがロケットの外側に張り付いた状態での飛行となった。
宇宙人の船
凶悪な巨漢の宇宙人が乗ってきた宇宙船。円盤の下側に円柱を取り付けたような形が特徴。トンプーにも全く分からない仕組みでとても操縦できそうになかったため、手榴弾によって爆破された。宇宙人自身はトンプーに殴られてその場で気絶したため、爆発に巻き込まれて絶命した模様。
トンプーのバイク
惑星での偵察に用いた乗り物。車輪が無く、反重力で走行する。また、水の上でも同様に走れる。いろいろカプセルによって出された。
いろいろカプセル
バイクや家など、あらゆる物体を内蔵した小さなカプセル。プラモが地球を出た時期とトンプーが出発する時期の間に開発されたため、プラモは存在を知らなかった。沸騰した湯の中にカプセルを入れて10秒経過すると凝縮された物体が実体化する。欠点としては湯を沸かす必要性があるということ。
後のホイポイカプセルの原型である。
Mr.賀
概要
昭和61年(1986年)49号掲載。25頁。読みは「ミスター・ホー」。登場人物の服装や兵器など、作品内の数々にミリタリーマニアの鳥山の趣味が反映されている。終戦後の帰還兵に対する風当たりの強さ、グリーンべレー、敵軍相手に単身奇襲するアクションシーンといった要素から、1982年公開の『ランボー』による影響が垣間見える。
あらすじ
北の国と南の国の間で起きた南北戦争終戦後の物語。かつて北軍の兵隊だったホーは、南の国へ観光旅行に来ていた。ところがその町は異様なほど静まりかえっており、北の国の人間に対しても冷たい。町の子ども達によると「チャイ一味」という、かつては北軍の兵隊だった悪党集団が、終戦後も南の国に居座って町を占領し、好き放題に荒らしまわっているのだという。ホーはチャイ一味に捕らえられた娘を救い出し、奪われた町を取り戻すべく、たった1人で立ち向かう。
登場人物
ホー
元北軍兵のドジな青年。24歳。通称「ミスター・ホー」。終戦後、観光に訪れた南の国の若い娘に一目惚れするも、よそ見をしたために自動車事故を起こした挙げ句、娘には冷たく軽蔑される。その後、車を求めて町を彷徨う過程で北のチャイ一味の暴挙を知る。惚れた娘がチャイ一味に連れ去られたため、一味を成敗するために1人で基地に潜入する。
普段はおっちょこちょいで頼りないが、戦時中はとても優秀な兵隊だったという過去を持ち、その実力は計り知れない。戦線から退いていたにもかかわらず、わずか1分ほどでチャイ一味をあっさり壊滅させ、最後は救出した若い娘と共にデートに出かけた。
若い娘
後述するチャズケの姉で、名前は劇中では明かされていない。親をチャイ一味に殺されたことから北の人間を嫌っており、自身に好意を抱くホーのことも「ミスター・アホー」と呼んで全く相手にしない。チャイ一味に攫われるが、直後にホーの活躍によって救い出され、彼に一目惚れする。
チャズケとオカカ
町の少年。帽子を被っている方が前者で、猫の姿をしている方が後者。共に親をチャイ一味に殺されている。ホーを弱そうだが悪人ではないと判断し、一味と戦うために武器の扱い方を教えるよう懇願する。チャズケの姉が誘拐されたことで一味と戦う決意を固める2人だったが、ホーに拒否され、彼1人で挑むことになった。後にホーがチャイ一味を倒したと聞いた時は2人とも信じられず、唖然としていた。
チャイ
南の国の町を牛耳り、金品を巻き上げる悪党一味のボス。7人の部下がいる。西のはずれの牧場の娘を連行し、拷問して金のありかを吐かせようとした。最終的にホーによって基地と部下共々爆破された。
用語
223部隊
南北戦争時に北軍に設置されていた特殊部隊。通称「ブラックべレー」。圧倒的な強さを誇る精鋭揃いだったことから戦時中は「悪魔の文通友達(あくまのペンフレンド)」という異名で恐れられていた。ホーもかつてはここの所属であり、現役ではないながらも優れた戦闘スキルを発揮している。終戦に伴い身を引いた現在は「天使のようによい子」になったらしい。
剣之介さま
概要
昭和62年(1987年)38号掲載。17頁。江戸時代の様でありながら、車やテレビ、インスタントラーメンといった製品が存在する奇抜な世界観の作品。『ドラゴンボール』連載中の作品であり、「中国の次は日本だ」ということで時代劇風になったという。鳥山は本作を結構気に入っている作品だとコメントしており、続編を依頼された際にも「気に入った作品だからいじりたくない」という理由で断り、その代わりに『豆次郎くん』(『VOL.3』に収録)を執筆した。後にアニメ化され、1990年7月7日に『Pink みずドロボウあめドロボウ』、『ドラゴンボールZ地球まるごと超決戦』との3本立てのうちの1作として上映された。
あらすじ
幼稚園の帰りに友達のお臀からデートに誘われた剣之介。しかし、デートというものが何なのかよく分からない剣之介は母上に意味を尋ねる。母上はデートの楽しさは人によりけりであり、デートをしていてつまらない男は最低だったと述べた。これを聞いた剣之介は男としての立場を守るため、お供の忍丸と共にデートを成功させるための模索を始めるのだった。
登場人物
剣之介(けんのすけ)
声-冬馬由美
本作の主人公。幼稚園児でありながら剣術に長けている。その腕前はかなりのものであり、真剣でカツアゲしてきたチンピラ相手に峰打ちで圧倒している。理想的なデートのやり方を覚えるために苦悩する。当日の朝、完璧な計画でデートに臨もうとするが、肝心な車の運転ができなかったため、父上の車を内緒で動かした挙句壊してしまう。
忍丸(しのびまる)
声-古谷徹
剣之介の家に仕える小ブタの忍者。誠実だが、少々臆病でドジな性格。剣之介に頼まれてデートについて教授するが、当の本人もテレビや雑誌で得た情報しか知らず、デートの楽しさについてもいまいち分かっていない。
お臀(おでん)
声-渡辺菜生子
剣之介のガールフレンド。ちょっと勝気な性格の少女。日曜日の朝8時に来るように剣之介をデートに誘うが、勝手に父上の車を動かして壊してしまった剣之介は待ち合わせの時間に遅れてしまい、お臀から「最低」と言われてしまう。
SONCHOH
概要
昭和63年(1988年)5号掲載。18頁。読みは「そんちょう」。鳥山は本作について「 SUZUKIのジムニーが描きたかっただけの話」「主役はジムニーで村長はどうでもいいが、おじいさんを描くのは好きだった」と語っている。話の大部分がカーチェイスであり、爆破シーンやスピードの描写が後の『ドラゴンボール』の「サイヤ人編」以降の作風に活かされている。
あらすじ
ポンポン村の村長と愛車のポチは、今日も村のパトロールをして廻っている。ある時、車窓から空き缶をポイ捨てした男に注意をするため、村長はポチに乗り込んで車を追いかける。ところが、その車の主は発電所に爆弾を仕掛け、そのリモコンスイッチを手にした悪のスパイだった。
登場人物
硬岩鉄之進(かたいわてつのしん)
通称「村長」。ポンポン村の村長を勤める老人。頑固で厳格な性分。老体だが、運動神経は抜群。村を大切に思うが故に、かなり細かいことに対しても見逃さず注意する。村の平和と秩序を乱す者には容赦しない。
青いハナ水(あおいはなみず)
国家転覆を目論む悪の組織の一流スパイ。本名は不明であり、この名はコードネーム。なお通信相手の上司に対しては「赤いハナ血」と呼んでいた。
発電所の超原子炉に爆弾をセットし、逃亡する最中に空き缶を路上に投げ捨てたことで村長に追われる。マシンガンや煙幕で村長をやり過ごそうとするが全く歯が立たず、反対に車を爆破されてしまう。追い詰められた末に村長を銃殺しようとするも返り討ちに遭い、自ら捨てた空き缶を返却されて注意される。
男が悪のスパイであり、自身が人知れず国を救ったことを村長は最後まで知らなかった。
用語
ポチ
村長の愛車。村長がポンポン村の見廻りをする際に運転する。外見はスズキ・ジムニーの2代目第2期の3型インタークーラーターボをモチーフにしている。正面には「SUZUKI」のロゴと「PONPON S871」と表記されたナンバープレート、両脇のドアには「PONPONVILLAGE」と書かれている(最初のコマには「TONTONVILLAGE」と誤表記されている。)。
一見何の変哲もない乗用車だが、ロケットエンジンを搭載しており、時速260キロを楽々と超えるほどの馬力を持っている。また、マシンガンや誘導ミサイル弾といった武器も内蔵しており、さらに両脇から羽根を伸ばして空を飛ぶこともできる。
単行本の表紙にカラーで載っている際のボディの色はエメラルドグリーンで、村長の他に収録作品の主人公達と一緒に並んでいる。