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王霊官(Wang Lingguan、ワンリングァン、おうれいかん)とは道教の神。

繁体字表記:王靈官

簡体字表記:王灵官

概要

異称として「王天君」「王天霊官」「王天神君」「隆恩真君」「豁落霊官王天君」「都天大霊官」「太乙雷声応化天尊」「執法無私王元帥」「玉枢火府天将」「三五火車豁落雷公」「三五火車豁落王霊官」「先天首将赤心護道三五火車王天君威霊顕化天尊」がある。

神霄派では「雷霆都天豁落三五火車糾罰霊官鉄面雷公王元帥」「都天豁落猛吏赤心忠良制鬼縛神火雷霹雳霊官王元帥」「南極火雷赤心忠良猛吏王元帥」とも呼ばれた。


封神演义』(封神演義)の影響を受けた派においては本作に登場する「王天君」と同一視される。


道教護法神の代表格。孫国敉の『燕都遊覧志』では「天将三十六居第一位」との記述があり広く「道教護法三十六天君之首」と呼ばれる。護法神からなる三十六天君あるいは三十六元帥チームのメンバーは一定していない。

明朝3代目皇帝永楽帝の時代に道士・周思徳は王霊官を二十六将の首位に置いた。


『[[太上元陽上帝元始天尊説火車王霊官真経』によると、この神は「南斗離星火之首」でもある。


彼を祀る廟を「霊官宮」「霊官殿」という。

道観(道教寺院の種別で、道士が定住し祭醮という儀礼が行われる宗教施設)の山門(寺院敷地の入り口にあたる門)等に守護神として祀られる事が多い神明。

道教の宗派の一つである「全真教」系の寺院ではほぼ確実に前殿(寺院を構成する殿堂の一つで入り口から入った先にある拝殿)に祀られている。こちらは王霊官を祀る前殿をそのまま「霊官殿」と呼ぶ。


生誕祭は農歴(中国の旧歴)6月15日。


出自

姓は王、名は善。ヴァリアントによって元々名は無かった(後で名付けられた)というものや王悪という名であったりする。


彼のオリジンを語る伝承には大きく二通りあり、一つは人間だったという記載、もう一つは生贄を求める悪神であったというパターンがある。


前者では北宋8代目皇帝徽宗の時代の人で、蜀の薩守堅(薩真人)の弟子となり符法を学んだという。


後者では、とある廟を通りかかった薩真人が、そこに少年少女が人身御供に捧げられているのを見て天の道理に反すると術でそこを焼き払った。

この時彼の目も焼けてしまった。彼は玉皇大帝に不服を申し立て、玉皇は新たに慧眼と金眼を授け、薩真人が罪を犯したのならやってもいいと言った。

そうして12年間監視を続けたが罪を見出す事が出来ず、その徳に感服した彼は薩真人の前に姿を表わし、従者にして欲しいと頼んだ。


『三教源流捜神大全』

巻四「王元帥」

『三教源流捜神大全(三教捜神大全)』巻四の「王元帥」の箇所では、襄陽(現在の中国中部・湖北省の都市)の洛里の人で、姓を王、名を悪、字を秉誠という。父の名は王臣。母は邵氏。出生年も明記してあり、それによると貞観丙申年(貞観10年=西暦636年)七月庚申日申時に出生。

幼い時から孤独で、書を読まず、腕力の有り余った乱暴者だったが、曲がった事が大嫌いで、不平を述べる人がいれば駆けつけて悩みを共有し、悪人がいればぶちのめした。

自分の正しいと思った事は曲げず、他者の不正を容認することも出来ない気質の持ち主で、その公平な態度は尊敬されていたが、その武勇から恐れ避けられもした。彼に恩義を感じる人々がいる一方、多くの敵をつくった。

あるとき、荊襄(荆州と襄陽をまとめた呼称)の地に来た彼はそこの古廟に妖怪が住み着き、神を装って貢ぎ物を要求し、叶えられないと疫病をまき散らし、その要求の重さに近隣住人は困窮し我が子を売る人も出る有り様だった。王悪はこれに怒り、廟も像も全て焼き払った。

その時、怪風が吹いてきた。薩守堅が疫病を鎮めに来ていて、彼によって妖怪も倒され平和が戻った。

この箇所ではそのまま玉皇から「豁洛王元帥」に勅封され、「赤心忠良」の金印を授かり、天下の都社令を管轄する職務が与えられた(王善、という名称は最後まで出ない)。

巻二「薩真人」

王霊官の師である薩守堅について書かれた箇所で、ここでも王霊官についての言及があるが、「王元帥」での記述とは大きく異なる内容となっている。

廟に祀られる神として童男童女を人身御供に捧げさせていた者の名が「王善」となっている。廟の主として人々を苦しめる存在があべこべになっている。

廟を術による火で焼き払われた後、十二年間薩守堅の行動を監視し、非が見当たらなかったので感服し、復讐を諦め従者として降る、という形になっている。


図像表現

真っ赤あるいは緑がかった青黒い肌色をしており、朱色の髪の毛が生え、額には第三の目がある。右手には金鞭を持ち、左手は「霊官訣」と呼ばれる印相を結んでいる。

別名を「玉樞火指」「通天指」といい、地上の民の苦しみを天上に知らせ、祈りを届ける事を象徴している。

が、その手の形が中指を上に向ける、という物であるため、欧米圏に由来する致命的に挑発的なハンドサインと区別する注意書きが掲載される事もある(這個神明很少見/比中指的王天君)。

件のサインは手の甲を相手側に向けるが、「靈官訣」のほうは手の甲は下向きで拳・指は右に向ける、という違いがある。

「靈官訣」には握り拳に近い物のほか、上向きににした中指を中心に、他の指を複雑な形に絡める、という形もある。

中指の先から炎が出ている表現もなされる(慈玄聖太宮安置の像)。


左手に金磚(きんせん)を持つ作像例もある(慈濟仙官府安置の像)。


豁落靈官王天君救劫靈應真經』によると、金甲(黄金の甲冑)を身に纏い、電(いなずま)が閃くような紅色の袍(ほう)を着て、龍索と雷火帯をつけて、緑色の靴を履いている。


乗り物は火輪(風火輪)。彼のものは腹筋ローラーに近い形状でも表現され、その場合ホイールの中心から垂直方向に足を載せる棒が左右に伸びている。


虎に乗り、八卦袍を着て、左手に壺に近い形状の元宝を持つ作像例も存在する(木雕王天君神像-文化部-典藏網-藏品資料)。


扶鸞の神として

道教における自動書記による託宣儀式「扶鸞」にルーツを持つ恩主信仰では「五恩主」の一人に数えられ「王恩主」「王恩主善」と呼ばれる。


儀式が行われる「鸞務院」に「鸞務院院尊」として祀られることもある。


フィクションにおいて

佑聖真君(玄天上帝)の佐使(補佐役の副官)として登場。第7回において、太上老君八卦炉から脱走し暴れる孫悟空を止めるべく立ちはだかる。

玉帝の霊霄殿の前で如意棒と金鞭の打ち合いを繰り広げる。佑聖真君が援軍として三十六人の雷将を呼んで包囲し、彼等はそれぞれの得物を手に凶悪なまでの鏖戦を仕掛けるが、三面六臂モードに切り替えた悟空を前に近づく事も出来ず、玉皇は最後の手段として釈迦如来に退治してもらおうと使者を送る羽目になる。

  • 『封神演义』

物語の最終盤で九天応元雷声普化天尊聞仲の配下たる「雷部二十四神」の一人として封神される。本作での王天君の個人名は「王変」。


関連タグ

華光:「霊官」の称号を持つ事、火神である事、風火輪を乗り物とする事など王霊官との共通点が多い道教神。

繁体字表記:王靈官

簡体字表記:王灵官

概要

異称として「王天君」「王天霊官」「王天神君」「隆恩真君」「豁落霊官王天君」「都天大霊官」「太乙雷声応化天尊」「執法無私王元帥」「玉枢火府天将」「三五火車豁落雷公」「三五火車豁落王霊官」「先天首将赤心護道三五火車王天君威霊顕化天尊」がある。

神霄派では「雷霆都天豁落三五火車糾罰霊官鉄面雷公王元帥」「都天豁落猛吏赤心忠良制鬼縛神火雷霹雳霊官王元帥」「南極火雷赤心忠良猛吏王元帥」とも呼ばれた。


封神演义』(封神演義)の影響を受けた派においては本作に登場する「王天君」と同一視される。


道教護法神の代表格。孫国敉の『燕都遊覧志』では「天将三十六居第一位」との記述があり広く「道教護法三十六天君之首」と呼ばれる。護法神からなる三十六天君あるいは三十六元帥チームのメンバーは一定していない。

明朝3代目皇帝永楽帝の時代に道士・周思徳は王霊官を二十六将の首位に置いた。


『[[太上元陽上帝元始天尊説火車王霊官真経』によると、この神は「南斗離星火之首」でもある。


彼を祀る廟を「霊官宮」「霊官殿」という。

道観(道教寺院の種別で、道士が定住し祭醮という儀礼が行われる宗教施設)の山門(寺院敷地の入り口にあたる門)等に守護神として祀られる事が多い神明。

道教の宗派の一つである「全真教」系の寺院ではほぼ確実に前殿(寺院を構成する殿堂の一つで入り口から入った先にある拝殿)に祀られている。こちらは王霊官を祀る前殿をそのまま「霊官殿」と呼ぶ。


生誕祭は農歴(中国の旧歴)6月15日。


出自

姓は王、名は善。ヴァリアントによって元々名は無かった(後で名付けられた)というものや王悪という名であったりする。


彼のオリジンを語る伝承には大きく二通りあり、一つは人間だったという記載、もう一つは生贄を求める悪神であったというパターンがある。


前者では北宋8代目皇帝徽宗の時代の人で、蜀の薩守堅(薩真人)の弟子となり符法を学んだという。


後者では、とある廟を通りかかった薩真人が、そこに少年少女が人身御供に捧げられているのを見て天の道理に反すると術でそこを焼き払った。

この時彼の目も焼けてしまった。彼は玉皇大帝に不服を申し立て、玉皇は新たに慧眼と金眼を授け、薩真人が罪を犯したのならやってもいいと言った。

そうして12年間監視を続けたが罪を見出す事が出来ず、その徳に感服した彼は薩真人の前に姿を表わし、従者にして欲しいと頼んだ。


『三教源流捜神大全』

巻四「王元帥」

『三教源流捜神大全(三教捜神大全)』巻四の「王元帥」の箇所では、襄陽(現在の中国中部・湖北省の都市)の洛里の人で、姓を王、名を悪、字を秉誠という。父の名は王臣。母は邵氏。出生年も明記してあり、それによると貞観丙申年(貞観10年=西暦636年)七月庚申日申時に出生。

幼い時から孤独で、書を読まず、腕力の有り余った乱暴者だったが、曲がった事が大嫌いで、不平を述べる人がいれば駆けつけて悩みを共有し、悪人がいればぶちのめした。

自分の正しいと思った事は曲げず、他者の不正を容認することも出来ない気質の持ち主で、その公平な態度は尊敬されていたが、その武勇から恐れ避けられもした。彼に恩義を感じる人々がいる一方、多くの敵をつくった。

あるとき、荊襄(荆州と襄陽をまとめた呼称)の地に来た彼はそこの古廟に妖怪が住み着き、神を装って貢ぎ物を要求し、叶えられないと疫病をまき散らし、その要求の重さに近隣住人は困窮し我が子を売る人も出る有り様だった。王悪はこれに怒り、廟も像も全て焼き払った。

その時、怪風が吹いてきた。薩守堅が疫病を鎮めに来ていて、彼によって妖怪も倒され平和が戻った。

この箇所ではそのまま玉皇から「豁洛王元帥」に勅封され、「赤心忠良」の金印を授かり、天下の都社令を管轄する職務が与えられた(王善、という名称は最後まで出ない)。

巻二「薩真人」

王霊官の師である薩守堅について書かれた箇所で、ここでも王霊官についての言及があるが、「王元帥」での記述とは大きく異なる内容となっている。

廟に祀られる神として童男童女を人身御供に捧げさせていた者の名が「王善」となっている。廟の主として人々を苦しめる存在があべこべになっている。

廟を術による火で焼き払われた後、十二年間薩守堅の行動を監視し、非が見当たらなかったので感服し、復讐を諦め従者として降る、という形になっている。


図像表現

真っ赤あるいは緑がかった青黒い肌色をしており、朱色の髪の毛が生え、額には第三の目がある。右手には金鞭を持ち、左手は「霊官訣」と呼ばれる印相を結んでいる。

別名を「玉樞火指」「通天指」といい、地上の民の苦しみを天上に知らせ、祈りを届ける事を象徴している。

が、その手の形が中指を上に向ける、という物であるため、欧米圏に由来する致命的に挑発的なハンドサインと区別する注意書きが掲載される事もある(這個神明很少見/比中指的王天君)。

件のサインは手の甲を相手側に向けるが、「靈官訣」のほうは手の甲は下向きで拳・指は右に向ける、という違いがある。

「靈官訣」には握り拳に近い物のほか、上向きににした中指を中心に、他の指を複雑な形に絡める、という形もある。

中指の先から炎が出ている表現もなされる(慈玄聖太宮安置の像)。


左手に金磚(きんせん)を持つ作像例もある(慈濟仙官府安置の像)。


豁落靈官王天君救劫靈應真經』によると、金甲(黄金の甲冑)を身に纏い、電(いなずま)が閃くような紅色の袍(ほう)を着て、龍索と雷火帯をつけて、緑色の靴を履いている。


乗り物は火輪(風火輪)。彼のものは腹筋ローラーに近い形状でも表現され、その場合ホイールの中心から垂直方向に足を載せる棒が左右に伸びている。


虎に乗り、八卦袍を着て、左手に壺に近い形状の元宝を持つ作像例も存在する(木雕王天君神像-文化部-典藏網-藏品資料)。


扶鸞の神として

道教における自動書記による託宣儀式「扶鸞」にルーツを持つ恩主信仰では「五恩主」の一人に数えられ「王恩主」「王恩主善」と呼ばれる。


儀式が行われる「鸞務院」に「鸞務院院尊」として祀られることもある。


フィクションにおいて

佑聖真君(玄天上帝)の佐使(補佐役の副官)として登場。第7回において、太上老君八卦炉から脱走し暴れる孫悟空を止めるべく立ちはだかる。

玉帝の霊霄殿の前で如意棒と金鞭の打ち合いを繰り広げる。佑聖真君が援軍として三十六人の雷将を呼んで包囲し、彼等はそれぞれの得物を手に凶悪なまでの鏖戦を仕掛けるが、三面六臂モードに切り替えた悟空を前に近づく事も出来ず、玉皇は最後の手段として釈迦如来に退治してもらおうと使者を送る羽目になる。

  • 『封神演义』

物語の最終盤で九天応元雷声普化天尊聞仲の配下たる「雷部二十四神」の一人として封神される。本作での王天君の個人名は「王変」。


関連タグ

華光:「霊官」の称号を持つ事、火神である事、風火輪を乗り物とする事など王霊官との共通点が多い道教神。

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王霊官(Wang Lingguan、ワンリングァン、おうれいかん)とは道教の神。

繁体字表記:王靈官

簡体字表記:王灵官

概要

異称として「王天君」「王天霊官」「王天神君」「隆恩真君」「豁落霊官王天君」「都天大霊官」「太乙雷声応化天尊」「執法無私王元帥」「玉枢火府天将」「三五火車豁落雷公」「三五火車豁落王霊官」「先天首将赤心護道三五火車王天君威霊顕化天尊」がある。

神霄派では「雷霆都天豁落三五火車糾罰霊官鉄面雷公王元帥」「都天豁落猛吏赤心忠良制鬼縛神火雷霹雳霊官王元帥」「南極火雷赤心忠良猛吏王元帥」とも呼ばれた。


封神演义』(封神演義)の影響を受けた派においては本作に登場する「王天君」と同一視される。


道教護法神の代表格。孫国敉の『燕都遊覧志』では「天将三十六居第一位」との記述があり広く「道教護法三十六天君之首」と呼ばれる。護法神からなる三十六天君あるいは三十六元帥チームのメンバーは一定していない。

明朝3代目皇帝永楽帝の時代に道士・周思徳は王霊官を二十六将の首位に置いた。


『[[太上元陽上帝元始天尊説火車王霊官真経』によると、この神は「南斗離星火之首」でもある。


彼を祀る廟を「霊官宮」「霊官殿」という。

道観(道教寺院の種別で、道士が定住し祭醮という儀礼が行われる宗教施設)の山門(寺院敷地の入り口にあたる門)等に守護神として祀られる事が多い神明。

道教の宗派の一つである「全真教」系の寺院ではほぼ確実に前殿(寺院を構成する殿堂の一つで入り口から入った先にある拝殿)に祀られている。こちらは王霊官を祀る前殿をそのまま「霊官殿」と呼ぶ。


生誕祭は農歴(中国の旧歴)6月15日。


出自

姓は王、名は善。ヴァリアントによって元々名は無かった(後で名付けられた)というものや王悪という名であったりする。


彼のオリジンを語る伝承には大きく二通りあり、一つは人間だったという記載、もう一つは生贄を求める悪神であったというパターンがある。


前者では北宋8代目皇帝徽宗の時代の人で、蜀の薩守堅(薩真人)の弟子となり符法を学んだという。


後者では、とある廟を通りかかった薩真人が、そこに少年少女が人身御供に捧げられているのを見て天の道理に反すると術でそこを焼き払った。

この時彼の目も焼けてしまった。彼は玉皇大帝に不服を申し立て、玉皇は新たに慧眼と金眼を授け、薩真人が罪を犯したのならやってもいいと言った。

そうして12年間監視を続けたが罪を見出す事が出来ず、その徳に感服した彼は薩真人の前に姿を表わし、従者にして欲しいと頼んだ。


『三教源流捜神大全』

巻四「王元帥」

『三教源流捜神大全(三教捜神大全)』巻四の「王元帥」の箇所では、襄陽(現在の中国中部・湖北省の都市)の洛里の人で、姓を王、名を悪、字を秉誠という。父の名は王臣。母は邵氏。出生年も明記してあり、それによると貞観丙申年(貞観10年=西暦636年)七月庚申日申時に出生。

幼い時から孤独で、書を読まず、腕力の有り余った乱暴者だったが、曲がった事が大嫌いで、不平を述べる人がいれば駆けつけて悩みを共有し、悪人がいればぶちのめした。

自分の正しいと思った事は曲げず、他者の不正を容認することも出来ない気質の持ち主で、その公平な態度は尊敬されていたが、その武勇から恐れ避けられもした。彼に恩義を感じる人々がいる一方、多くの敵をつくった。

あるとき、荊襄(荆州と襄陽をまとめた呼称)の地に来た彼はそこの古廟に妖怪が住み着き、神を装って貢ぎ物を要求し、叶えられないと疫病をまき散らし、その要求の重さに近隣住人は困窮し我が子を売る人も出る有り様だった。王悪はこれに怒り、廟も像も全て焼き払った。

その時、怪風が吹いてきた。薩守堅が疫病を鎮めに来ていて、彼によって妖怪も倒され平和が戻った。

この箇所ではそのまま玉皇から「豁洛王元帥」に勅封され、「赤心忠良」の金印を授かり、天下の都社令を管轄する職務が与えられた(王善、という名称は最後まで出ない)。

巻二「薩真人」

王霊官の師である薩守堅について書かれた箇所で、ここでも王霊官についての言及があるが、「王元帥」での記述とは大きく異なる内容となっている。

廟に祀られる神として童男童女を人身御供に捧げさせていた者の名が「王善」となっている。廟の主として人々を苦しめる存在があべこべになっている。

廟を術による火で焼き払われた後、十二年間薩守堅の行動を監視し、非が見当たらなかったので感服し、復讐を諦め従者として降る、という形になっている。


図像表現

真っ赤あるいは緑がかった青黒い肌色をしており、朱色の髪の毛が生え、額には第三の目がある。右手には金鞭を持ち、左手は「霊官訣」と呼ばれる印相を結んでいる。

別名を「玉樞火指」「通天指」といい、地上の民の苦しみを天上に知らせ、祈りを届ける事を象徴している。

が、その手の形が中指を上に向ける、という物であるため、欧米圏に由来する致命的に挑発的なハンドサインと区別する注意書きが掲載される事もある(這個神明很少見/比中指的王天君)。

件のサインは手の甲を相手側に向けるが、「靈官訣」のほうは手の甲は下向きで拳・指は右に向ける、という違いがある。

「靈官訣」には握り拳に近い物のほか、上向きににした中指を中心に、他の指を複雑な形に絡める、という形もある。

中指の先から炎が出ている表現もなされる(慈玄聖太宮安置の像)。


左手に金磚(きんせん)を持つ作像例もある(慈濟仙官府安置の像)。


豁落靈官王天君救劫靈應真經』によると、金甲(黄金の甲冑)を身に纏い、電(いなずま)が閃くような紅色の袍(ほう)を着て、龍索と雷火帯をつけて、緑色の靴を履いている。


乗り物は火輪(風火輪)。彼のものは腹筋ローラーに近い形状でも表現され、その場合ホイールの中心から垂直方向に足を載せる棒が左右に伸びている。


虎に乗り、八卦袍を着て、左手に壺に近い形状の元宝を持つ作像例も存在する(木雕王天君神像-文化部-典藏網-藏品資料)。


扶鸞の神として

道教における自動書記による託宣儀式「扶鸞」にルーツを持つ恩主信仰では「五恩主」の一人に数えられ「王恩主」「王恩主善」と呼ばれる。


儀式が行われる「鸞務院」に「鸞務院院尊」として祀られることもある。


フィクションにおいて

佑聖真君(玄天上帝)の佐使(補佐役の副官)として登場。第7回において、太上老君八卦炉から脱走し暴れる孫悟空を止めるべく立ちはだかる。

玉帝の霊霄殿の前で如意棒と金鞭の打ち合いを繰り広げる。佑聖真君が援軍として三十六人の雷将を呼んで包囲し、彼等はそれぞれの得物を手に凶悪なまでの鏖戦を仕掛けるが、三面六臂モードに切り替えた悟空を前に近づく事も出来ず、玉皇は最後の手段として釈迦如来に退治してもらおうと使者を送る羽目になる。

  • 『封神演义』

物語の最終盤で九天応元雷声普化天尊聞仲の配下たる「雷部二十四神」の一人として封神される。本作での王天君の個人名は「王変」。


関連タグ

華光:「霊官」の称号を持つ事、火神である事、風火輪を乗り物とする事など王霊官との共通点が多い道教神。

繁体字表記:王靈官

簡体字表記:王灵官

概要

異称として「王天君」「王天霊官」「王天神君」「隆恩真君」「豁落霊官王天君」「都天大霊官」「太乙雷声応化天尊」「執法無私王元帥」「玉枢火府天将」「三五火車豁落雷公」「三五火車豁落王霊官」「先天首将赤心護道三五火車王天君威霊顕化天尊」がある。

神霄派では「雷霆都天豁落三五火車糾罰霊官鉄面雷公王元帥」「都天豁落猛吏赤心忠良制鬼縛神火雷霹雳霊官王元帥」「南極火雷赤心忠良猛吏王元帥」とも呼ばれた。


封神演义』(封神演義)の影響を受けた派においては本作に登場する「王天君」と同一視される。


道教護法神の代表格。孫国敉の『燕都遊覧志』では「天将三十六居第一位」との記述があり広く「道教護法三十六天君之首」と呼ばれる。護法神からなる三十六天君あるいは三十六元帥チームのメンバーは一定していない。

明朝3代目皇帝永楽帝の時代に道士・周思徳は王霊官を二十六将の首位に置いた。


『[[太上元陽上帝元始天尊説火車王霊官真経』によると、この神は「南斗離星火之首」でもある。


彼を祀る廟を「霊官宮」「霊官殿」という。

道観(道教寺院の種別で、道士が定住し祭醮という儀礼が行われる宗教施設)の山門(寺院敷地の入り口にあたる門)等に守護神として祀られる事が多い神明。

道教の宗派の一つである「全真教」系の寺院ではほぼ確実に前殿(寺院を構成する殿堂の一つで入り口から入った先にある拝殿)に祀られている。こちらは王霊官を祀る前殿をそのまま「霊官殿」と呼ぶ。


生誕祭は農歴(中国の旧歴)6月15日。


出自

姓は王、名は善。ヴァリアントによって元々名は無かった(後で名付けられた)というものや王悪という名であったりする。


彼のオリジンを語る伝承には大きく二通りあり、一つは人間だったという記載、もう一つは生贄を求める悪神であったというパターンがある。


前者では北宋8代目皇帝徽宗の時代の人で、蜀の薩守堅(薩真人)の弟子となり符法を学んだという。


後者では、とある廟を通りかかった薩真人が、そこに少年少女が人身御供に捧げられているのを見て天の道理に反すると術でそこを焼き払った。

この時彼の目も焼けてしまった。彼は玉皇大帝に不服を申し立て、玉皇は新たに慧眼と金眼を授け、薩真人が罪を犯したのならやってもいいと言った。

そうして12年間監視を続けたが罪を見出す事が出来ず、その徳に感服した彼は薩真人の前に姿を表わし、従者にして欲しいと頼んだ。


『三教源流捜神大全』

巻四「王元帥」

『三教源流捜神大全(三教捜神大全)』巻四の「王元帥」の箇所では、襄陽(現在の中国中部・湖北省の都市)の洛里の人で、姓を王、名を悪、字を秉誠という。父の名は王臣。母は邵氏。出生年も明記してあり、それによると貞観丙申年(貞観10年=西暦636年)七月庚申日申時に出生。

幼い時から孤独で、書を読まず、腕力の有り余った乱暴者だったが、曲がった事が大嫌いで、不平を述べる人がいれば駆けつけて悩みを共有し、悪人がいればぶちのめした。

自分の正しいと思った事は曲げず、他者の不正を容認することも出来ない気質の持ち主で、その公平な態度は尊敬されていたが、その武勇から恐れ避けられもした。彼に恩義を感じる人々がいる一方、多くの敵をつくった。

あるとき、荊襄(荆州と襄陽をまとめた呼称)の地に来た彼はそこの古廟に妖怪が住み着き、神を装って貢ぎ物を要求し、叶えられないと疫病をまき散らし、その要求の重さに近隣住人は困窮し我が子を売る人も出る有り様だった。王悪はこれに怒り、廟も像も全て焼き払った。

その時、怪風が吹いてきた。薩守堅が疫病を鎮めに来ていて、彼によって妖怪も倒され平和が戻った。

この箇所ではそのまま玉皇から「豁洛王元帥」に勅封され、「赤心忠良」の金印を授かり、天下の都社令を管轄する職務が与えられた(王善、という名称は最後まで出ない)。

巻二「薩真人」

王霊官の師である薩守堅について書かれた箇所で、ここでも王霊官についての言及があるが、「王元帥」での記述とは大きく異なる内容となっている。

廟に祀られる神として童男童女を人身御供に捧げさせていた者の名が「王善」となっている。廟の主として人々を苦しめる存在があべこべになっている。

廟を術による火で焼き払われた後、十二年間薩守堅の行動を監視し、非が見当たらなかったので感服し、復讐を諦め従者として降る、という形になっている。


図像表現

真っ赤あるいは緑がかった青黒い肌色をしており、朱色の髪の毛が生え、額には第三の目がある。右手には金鞭を持ち、左手は「霊官訣」と呼ばれる印相を結んでいる。

別名を「玉樞火指」「通天指」といい、地上の民の苦しみを天上に知らせ、祈りを届ける事を象徴している。

が、その手の形が中指を上に向ける、という物であるため、欧米圏に由来する致命的に挑発的なハンドサインと区別する注意書きが掲載される事もある(這個神明很少見/比中指的王天君)。

件のサインは手の甲を相手側に向けるが、「靈官訣」のほうは手の甲は下向きで拳・指は右に向ける、という違いがある。

「靈官訣」には握り拳に近い物のほか、上向きににした中指を中心に、他の指を複雑な形に絡める、という形もある。

中指の先から炎が出ている表現もなされる(慈玄聖太宮安置の像)。


左手に金磚(きんせん)を持つ作像例もある(慈濟仙官府安置の像)。


豁落靈官王天君救劫靈應真經』によると、金甲(黄金の甲冑)を身に纏い、電(いなずま)が閃くような紅色の袍(ほう)を着て、龍索と雷火帯をつけて、緑色の靴を履いている。


乗り物は火輪(風火輪)。彼のものは腹筋ローラーに近い形状でも表現され、その場合ホイールの中心から垂直方向に足を載せる棒が左右に伸びている。


虎に乗り、八卦袍を着て、左手に壺に近い形状の元宝を持つ作像例も存在する(木雕王天君神像-文化部-典藏網-藏品資料)。


扶鸞の神として

道教における自動書記による託宣儀式「扶鸞」にルーツを持つ恩主信仰では「五恩主」の一人に数えられ「王恩主」「王恩主善」と呼ばれる。


儀式が行われる「鸞務院」に「鸞務院院尊」として祀られることもある。


フィクションにおいて

佑聖真君(玄天上帝)の佐使(補佐役の副官)として登場。第7回において、太上老君八卦炉から脱走し暴れる孫悟空を止めるべく立ちはだかる。

玉帝の霊霄殿の前で如意棒と金鞭の打ち合いを繰り広げる。佑聖真君が援軍として三十六人の雷将を呼んで包囲し、彼等はそれぞれの得物を手に凶悪なまでの鏖戦を仕掛けるが、三面六臂モードに切り替えた悟空を前に近づく事も出来ず、玉皇は最後の手段として釈迦如来に退治してもらおうと使者を送る羽目になる。

  • 『封神演义』

物語の最終盤で九天応元雷声普化天尊聞仲の配下たる「雷部二十四神」の一人として封神される。本作での王天君の個人名は「王変」。


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華光:「霊官」の称号を持つ事、火神である事、風火輪を乗り物とする事など王霊官との共通点が多い道教神。

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