概要
正式には「沢村栄治賞」で、その年の最も優れた先発完投型の投手に贈られる。
戦前の日本プロ野球黎明期に剛腕投手として名を馳せた巨人軍の沢村栄治の功績と栄誉を称え、1947年に雑誌「熱球」が私的表彰の企画として始め、後に公の賞に認定される(ただし、あくまで公式の表彰に準ずる特別賞)。
1981年までは記者投票で選出されていたが、翌年から選考基準が作成され、現在はその基準をどれだけ満たしているのかを参考にして選考委員会が審議し、毎年12球団の中から原則1名が選出される(1966年と2003年には2名選出されている)。
助っ人外国人も対象であるが、現在までジーン・バッキー(阪神)とクリス・ジョンソン(広島)の2名のみ。
1950年に2リーグ制となってからは長らく受賞対象となる投手がセントラル・リーグの選手のみであったが、1989年からはパシフィック・リーグの投手も対象となった。
21世紀以降は毎年のようにパ・リーグの選手が選ばれていた(これは当時のパ・リーグの投手力の高さを物語っている)が、2015年以降は該当者なしの2019年を除いてすべてセ・リーグの選手が受賞している。
なお、2020年現在、千葉ロッテマリーンズのみ受賞した選手がいない。
選考基準
- 登板試合数・・・25試合以上
- 完投試合数・・・10試合以上(※)
- 勝利数・・・15勝以上
- 勝率・・・6割以上
- 投球回数・・・200イニング以上
- 奪三振・・・150個以上
- 防御率・・・2.50以下
※近年、投手の分業化(先発・中継ぎ・抑え)の影響で完投する投手は減少傾向にあり、2001年以降の受賞者でこの基準を満たした投手は松坂大輔(2001年)、ダルビッシュ有(2007年)、涌井秀章(2009年)、田中将大(2011年)、菅野智之(2018年)、大野雄大(2020年)の6名のみ。特に、2012年に受賞したソフトバンクの攝津正は、完投試合数が過去最少の3である。