概要
アメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲルの著書。1979年に刊行。
高度経済成長期を経て目覚ましい成長を遂げた日本を分析し、その教訓を発信するために執筆された本である。
日本でも翻訳版が発売され、ベストセラーとなった。
安定成長期の日本企業は世界中に進出を強め、飛ぶ鳥を落とす勢いを持っていた。特に家電や半導体は向かうところ敵なしで、本書が刊行されたアメリカでも日本製品は大きなシェアとなっていた。
故に、世界中のビジネスマンが教訓を学ぼうとこの本を手に取り、やがてタイトルは日本の無双ぶりを示す標語としても広まった。
しかし、日本の栄華もバブル崩壊で終わりを告げる。企業は売り上げアップよりも当座の負債の圧縮に汲々とするようになり、就職難に陥った当時の若者はブラック企業からゴミのように扱われ疲弊。「技術立国」を担ったエンジニアや町工場のオヤジも技術をアジア諸国に移転した後は使い捨てられ(この時期の日本人は技術移転しても日本以外のアジア人にハイテクができるわけないとマジで信じていた。というか今も一部信じている)、自滅。現在の「安い日本」が形成された。
各国が日本の背中を追って奮起した時代はとうに過ぎ去り、今の日本から教訓にされているのが「経営と経済政策の失敗」である点は皮肉と言うほかない。
今では「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は、安定成長期の日本の繁栄を懐古するフレーズとして使われることが多い。
関連項目
- 24時間戦えますか:同じくイケイケだった頃の日本を象徴するフレーズ。現在では真っ向から否定されるのも同じである。
- バック・トゥ・ザ・フューチャー:1985年公開の映画。作中に「いいものはみんな日本製だ*というセリフがあり、当時の評価が垣間見える。