概要
ZGMF-X10A フリーダムが背部ウイングバインダーを展開した高機動戦闘モード「ハイマットモード」とウイングバインダー内に格納されている「M100 バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲」および腰部に搭載されている「MMI-M15 クスィフィアス・レール砲」を展開した砲撃戦モード「フルバーストモード」を同時使用した形態。高度な姿勢制御をしつつ、マルチロックオンシステムを併用しモビルスーツとしては規格外な大火力を発揮する。作中ではバラエーナ・クスィフィアスに加えて、手持ちの「MA-M20 ルプス・ビームライフル」も併用した5門一斉射を敢行していた。
マルチロックオンシステムは最大40機を同時にロックオンすることが可能であり、その使用時は並外れた空間認識能力を必要とする。それ故にまともに扱うにはキラ・ヤマトのような超人的な操作技術が必要となる。キラの場合はロックオン後にマニュアルで照準をずらしてコックピットを外して撃つという離れ業まで行えた。
後継機のZGMF-X20A ストライクフリーダムでは、地上戦時に使用。背部ウイング「EQFU-3X スーパードラグーン 機動兵装ウイング」を展開し(ハイマットモードに相当)、腰部搭載の「MMI-M15E クスィフィアス3レール砲」を展開の上手持ちの「MA-M21KF 高エネルギービームライフル」二挺と腹部の「MGX-2235 カリドゥス複相ビーム砲」を一斉射する。プラズマ砲が減少しているが、エンジンの改良や技術改良により総火力はフリーダムより上昇している。
なお、宇宙空間では「MA-80V スーパードラグーン ビーム突撃砲」が使用可能となるため、この場合は「ドラグーンフルバースト」と呼称される(後述)。
さらなる後継機であるSTTS-909 ライジングフリーダムも使用可能(武装名称不明につき公開後に加筆)。構成はフリーダムと酷似しているが、実体シールドがビーム刃を展開し突撃する攻撃も込みになっている。
意外な誕生経緯
今でこそ『機動武闘伝Gガンダム』で言うところの石破天驚拳、『新機動戦記ガンダムW』で言うところのツインバスターライフルのようなフリーダム系列の機体を象徴する必殺技となっているが、大河原邦男による設定では全ての翼を放射状に広角展開する姿の「ハイマットモード」と、ウイングは縦並列させたままクスィフィアスとバラエーナを同時展開する「フルバーストモード」の2種類しか存在していない。
このハイマットフルバーストは2002年TVアニメ放送版PHASE-35『舞い降りる剣』における演出で見せたものなのだが、よく見ると該当シーンですら「翼を全開にしていないパースが効きまくったフルバーストモード」である(要するにフリーダムにおける勇者パースや、類似するポーズという考え方でよい)。
当然、見栄えとしてはフリーダムの「必殺技」になりえる、一番印象に残りやすい画ではあるため、ファンからは立体物での再現が強く望まれ、2004年にはバンダイがMGにおいて、バラエーナ基部に横回転軸を追加することで再現。
MG以降、フリーダムの立体物では基本SDEXやGUNDAM UNIVERSEなどの例外を除きほぼ全てのブランドでハイマットフルバースト再現が可能となっている。極小サイズのHCM-ProやGフレーム(要プレバン限定のオプションセット)ですら例外ではない。
ただし輝き棒と同じく勘違いされた結果追加されたものであり、「MGの説明書で初めてハイマットフルバーストという単語が登場している」ということも、注意しなければならない
現在、各配信サイトなどで見られるSEEDのHDリマスター版では、このハイマットフルバーストに沿った、全開の翼の状態で書き直されているため、この技(のようなもの)がなくなるといった心配はしなくてよい。
このハイマットフルバーストに限らずガンダムを含めたロボット作品は後付けの追加機能が珍しくないが、機体の代名詞の一つとなったのは珍しいケースと言えるだろう。
尚、実は公式設定において「ハイマットフルバースト」という呼称は存在しない(同形態もフルバーストモードと一絡げにされるのが通例)。そもそもこの造語は「ホビージャパン」や「電撃ホビーマガジン」といった模型誌において使われ始めたものがファンの間で浸透したのだが、MGフリーダム発売時の広告でも記載されていたり、ゲーム「ガンダムトライエイジ」での必殺技名に設定されている点を見るに半公認なのかもしれない。
ゲームにフリーダムが登場する際は半ば公式設定化しているようで、フリーダムの必殺技が「ハイマットフルバースト」になっている事も多い。
スーパーロボット大戦シリーズではSEEDが初登場した『第三次α』で「ハイマットフルバースト」という名称で必殺武器として所持しており、以降フリーダムは毎回この武装を所持している(ガンダム関連ゲームで初めて正式に「ハイマットフルバースト」の名称を使用したのがこの第三次α)。
スパロボでは通常兵器版とMAP兵器版の両方が存在するのが通例で、通常兵器版は小隊システムがある作品では全体攻撃になるが、小隊が無い作品ではただの単体攻撃である。あの量を単体に向けて撃つので大半当たってないのは気にしない。
MAP兵器版は無差別範囲攻撃ではなく個別にロックオンして同時攻撃する性質上、敵味方の識別機能を持つ事が殆ど(範囲に味方を巻き込んでも味方にだけ当たらない)。
また、人気ソシャゲであるモンストとコラボした際にも、フリーダムガンダムのSSとして「ハイマットフルバースト」が設定されている。その演出はかなり凝ったものになっており、
↓
動き回った後、マルチロックオンシステムでボスをロックオン
↓
一斉発射
という流れになっている。しかもSS発動中はアイコンのキラの目が種割れ状態になる特別仕様。
派生
- ミーティア・フルバースト
エターナルに装備されているアームドモジュール「ミーティア」と合体している状態で使用するフルバースト。
ミーティア合体状態だとルプス・ビームライフルが使えないが、それを遥かに上回る量の武装がミーティアに搭載されているため、同時攻撃可能な数は圧倒的に上回る(フリーダムの場合は総数85門)。
作中ではこれらの武装を活用してMk5核弾頭ミサイルの群れを撃墜するなどの「それっぽい活躍」はしているが、ハイマットフルバーストと同じく「ミーティア・フルバースト」という名前は特に登場していない。こちらも名前が出ているのはスパロボ等のゲームのみである。
なお、上記の通りミーティアの武装量に物を言わせる攻撃であるため、ミーティアとの合体機構とそれを扱うだけのロックオンシステムを搭載している機体であればどれでも使える。例として、単体ではフルバーストモードが搭載されていないZGMF-X09A ジャスティスでもミーティア接続時はミーティアフルバーストが可能である。
- ドラグーン・フルバースト
前述した通り、ストライクフリーダムが使用するフルバースト攻撃。
本体の武装に加え、8基の「スーパードラグーン」を全展開して同時掃射する攻撃(総数13門)で、その面制圧力はフリーダムのハイマットフルバーストを大きく凌駕する。
とは言え、初期の劇中ではこのような名称自体を用いていなかったのはハイマット・フルバーストと同じで、こちらもスパロボが初出である。
なお、ドラグーンは大気圏内(地球重力圏内)では使用不可能であるため、当然ながらドラグーンフルバーストも使用不可能である。砲身が全て下を向いているため重力下のビーム砲として使う事も出来ず、この点においては地上でも純粋な背部ビーム砲として運用できるZGMF-X666S レジェンドに軍配が上がる。そのためスパロボでは地上ステージだとストフリの武装ラインナップ自体が変わり、ドラグーンが消えると共に「ハイマット・フルバースト」に武装が変わる。当然威力はドラグーン・フルバーストよりも低い。
しかし『UX』では何故か設定を無視してドラグーンが大気圏内で使用可能になっているため、地上でも宇宙でもドラグーン・フルバーストが使える。
ドラグーンが使えるようになったことで面の制圧力こそは増えたが、バラエーナが廃止されてしまった分上部の極太ビーム軸がドラグーンとカリドゥスで分散されたため、「フリーダムよりも中途半端で見栄えは悪くなってしまった」という声もある。
類似
「全兵装一斉射撃」というガジェットは見栄えが良いためか、ロボット作品では度々散見される。1975年の特撮映画『メカゴジラの逆襲』ではメカゴジラが全兵装の砲撃でゴジラを苦しめ、1980年の『伝説巨神イデオン』では全方位ミサイル一斉射撃を見せている。1997年の『勇者王ガオガイガー』ではキングジェイダーがビームの斉射を見せた。ガンダムシリーズでは1997年の『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』において地球降下後のガンダムヘビーアームズ改が見せた全砲門攻撃が印象深い。だが、フリーダムのハイマットフルバーストに最も近いのは2000年の『GEAR戦士電童』に登場する電童のフェニックスエール装着形態であろう。無制限のエネルギーや放射線状の羽根、そこから複数のビームを発射する等共通点が多いし、何より監督が『SEED』と同じ人である。