夢オチ(夢落ち)とは、言わば結末の一種であり、物語の最後で主人公が目覚め、今までの話は全て夢の中の話だったと思わせて物語を終わらせる手法である。
概要
古くは中国の古典『荘子』の一節『胡蝶の夢』から見られており、それ以降も『邯鄲の夢』『枕中記』など、古典文学で多く使われている。西洋文学では『不思議の国のアリス』が一番有名であろう。
古来から使用されている由緒正しい手法だが、その評価はあまり芳しくない。今まで積み上げてきた伏線も何もかも投げ捨てて「夢だから」で片付けてしまう事で、今まで読んできた読者の期待を根底から壊し、結果的に非難の嵐を起こしてしまうことになるのだ。
その為、最初から夢の中の話であることを前提にするか、どう考えても普段の設定とは違う突拍子もない展開で「これは夢だろう」と読者に分かる書き方をしているとか、ギャグ作品でもない限り、完全に「禁じ手」となっている。またギャグ作品だとしても、「数年間の連載全てがヒロインの見ていた夢だった」と言う最終回で終えた作品は大きな批判を受けているので油断はならない。
また、近年では夢オチと思わせておいて、夢の中で貰った物を持っていたり、夢の中で出会った人に出会ったり、仲間全員が同じ夢を見ていて仲間全員に夢の記憶が残っていたり、全体でなく一部分が夢だったり、実は夢と現実が逆転していたり、寝ぼけて夢だと思い込んでいたら夢じゃなかったり、夢オチは夢オチでも正夢だったり、目が覚めた後の世界も夢だったり、etc…
と、「実は夢じゃなかった」「夢と現実のはざまだった」と思わせるオチになっている作品もあるようだ。中には、最初から『こんな夢を見た。』と開き直っている作品もある。
何にしろ「夢オチ」としてさっぱりと終わらせるには、うまく伏線を張り巡らせる工夫も必要なのである。
余談
同人誌(中でもいわゆる薄い本)においては、鬱展開やヒロインが酷い目に遭う展開からの夢オチ(ないしは妄想オチ)はしばしば用いられる。「同人誌中における実際に起った出来事ではない」と明確にすることで耐性の無い読者へ配慮をするため、あるいは作者自身の、「描きたいけどヒロインを酷い目に遭わせたくない」葛藤からだと思われる。