概要
ギネスブックによれば、現存する世界最古の言語。
文字は漢字を使用するが、漢字の字画を省略する簡体字(中国本土・通称「大陸」、マレーシア、シンガポール)と、省略しない字体を使う繁体字(台湾、香港、マカオ)がある。簡体字の使用とは別口で、難しい字の単語を易しい字に置き換える事もあり、簡体字を使っていない地域でもそういう例はある(台湾の「台(臺)」など)。
簡体字や繁体字も、国によって標準的な字体や句読点の形が異なるため、ウィキペディア中国語版では、各記事ページトップに「不转换/大陆简体/香港繁體/澳門繁體/马新简体/台灣正體」を選択する機能が付いている。
共通の文章語を持つため、各地の「中国語」は同一の言語扱いされているが、地域によって全く会話が通じないほどの方言差がある。官話(北京などの北方から西方・南西で広く使われる)と南方の福建語・広東語などでは発音だけではなく文法も単語も大幅に異なり、英語とドイツ語・オランダ語のように、同系の別言語といっていいほどである。大まかに言うと、南方ほど発音の種類(音・アクセント共に)が多く、北方で廃れた古い単語(往々にして日本語などの漢語と類似する)を今も使っている。北方の官話は古代中国語がモンゴル語や満洲語と融合して変化したものであり、南方の諸方言は、在来言語が中国語化されたものと考えられている。
標準語として、学校では北京方言(北京語)をもとにした普通話(pǔtōnghuà)または国語(國語、Guóyǔ)が教育されている。台湾の中国語には土着の台湾語(福建語系の方言)と客家語(広東省系の方言だが、広東語とは別の言葉)のほか、外省人(大陸からの新しい移民)が持ち込んだ各地の方言があるため、最も広く通用するのは、台湾語ではなく「国語」である。
なお、普通話と国語は、使う文字の系統だけでなく、言い回しや外来語表記などに微妙な違いがある。
中国は日本と同じ漢字文化圏に属し日本語と共有する単語も非常に多いが、その発音体系は、日本語と全く異なる。
まず、現代語の標準語と大半の方言には、清音と濁音の区別がない(清音(無声音)・濁音(有声音)で意味を区別しない)。その代わり、吐く息の強さで発音を区別する「無気音」「有気音」がある。発音をラテン文字で表記した場合、「b」「d」などの(ラテン語・英語・日本語などの)濁音表記が無気音に、「p」「t」などの清音表記が有気音に相当する。北京は「Beijing」だが、「ベイジン」より「ペイチン」が近い。
そして声調という、発音する時の高低アクセントがある(標準語で4種類+「軽声」という弱い発音、南方ではもっと多い)。この声調をごっちゃにすると全く意味が通じなくなるので練習が必要だが、ちょっと間違った程度ならわかってもらえる(音の並びで何となくわかるらしい)。
文法的にも日本語と全く異なる孤立語で、語順で意味を識別する必要がある。しかし北方方言はモンゴル語や満州語の影響で膠着語化しており、日本語のような助詞や多音節単語を用いる事も多い。
概要にも先述しているが、ある日本企業がそれぞれ出身地の違う複数の中国人を採用したら、互いに会話が出来なかったというケースも存在する。
ほかの言語との関係
近隣の言語、日本語や韓国語やベトナム語では、古代や中世の中国文化の導入に伴って、技術や概念を示す単語が流入した。
逆に他国でできた「漢字を並べた単語」が中国語へ流入する事もあり、近代には西洋文化の事物にまつわる単語を日本語からいろいろ導入している。
日本語と中国語で、表記が同じでも意味が食い違う単語はかなり多く、
・漢字を導入した日本人が、日本にいる/あるものに「中国にいる/ある現物は確認できないけど、日本だと多分これじゃないか」という字を当てた
・元は同じような意味だったが、時代が下ると別々の意味になった。
・お互いに何の関係もなく字を当てた。
という例が多い。
漢字を導入した言語以外からの外来語は、そのままの形のものはあまり多くない。発音の組み合わせが漢字単位でしかできず、音を当てて漢字表記すると意味が付いてきてしまうため、外来語は音訳より意訳を優先する傾向が強い。
中国語を公用語としている国
- 中華人民共和国
本土/大陸(普通話)
香港(広東語と普通話、他に英語)
マカオ(広東語と普通話、他にポルトガル語)
このほか、移民先で使われる事も多い。かつては先祖が使っていた方言だけを話していたが、今では各グループの共通語として北京語も話す事が多い。
関連イラスト
キャプションやイラスト内テキストに中国語を使っている絵に、「中国語」タグが付く事も多い。というか、pixivでの圧倒的多数を占める。
関連タグ
漢文…古代中国語を基にした文語。