解説
アジやトビウオなどの新鮮な魚を開いて『くさや液』と呼ばれる発酵液に8~20時間ほど浸した後に真水で洗い、これを一日二日天日干しにすることで作られる。
くさや液は魚醤に近い風味を持つ発酵液であり、乳酸菌の一種であるコリネバクテリウム・クサヤ(通称:くさや菌)を含む。これが酢酸、プロピオン酸などいくつかの有機酸とエステル類が特徴的な香りを醸し出している。
元々は魚の干物を浸すためのただの塩水であり、これを取り替えることなく継ぎ足しながら繰り返し使用してきたことで浸し込んできた魚の成分が蓄積、さらに微生物が作用してくさや液となったものである。古いものほど旨味が出るとされ、くさや生産業者の中には300年も前から続くくさや液を使っているものもある。
とにかくとても臭いことが特徴の一つにあげられ、焼きたてのくさやの匂いはアラバスター単位による臭気指数では1267という日本食最強レベル(納豆は452)であり、世界レベルで見ても最高クラスに位置している。
そのため、現在では臭いが漏れないよう真空パック・瓶詰めなどにして販売されている。
食べ方
食する際には通常の干物のように火で炙ったりして食べるのだが、熱を通すことで猛烈な臭気が拡散するため十分に注意する必要がある。海外で日本から取り寄せたくさやを焼いてたら、その匂いを「人間の死体を焼いている」と近隣の住民に誤解され、警察に通報されたなんて逸話もあったりする。
一部の製品では家庭で調理する必要の無いように予め火を通して身をほぐしたパック詰め製品もある。
味は塩辛いながらもまろやかで深みがあり、焼酎や日本酒の肴としてうってつけ。