Magic: The Gatheringにおけるモリンフェン(Morinfen)
ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社(Wizards of the Coast, Inc 略称Wotc)から発売されているカードゲームシリーズ、Magic: The Gathering(略称M:tg またはMtg)に登場するクリーチャーカードの一枚。
エキスパンション(カードセット)『ウェザーライト』に収録。希少度はレア。
ヴォルラスの配下であるファイレクシアの工作員。
ガロウブレイドという兄弟分と共に、ストーリーの中心人物であるクロウヴァクスと戦い、彼の一族を皆殺しにした残忍にして強力な刺客である。
確固たる個性とストーリーにおける重要な役割を持つ伝説のクリーチャーであり、有象無象の魔物の一匹と言うわけではない。
カードとしての能力
マナコスト | (3)(黒)(黒) |
---|---|
カードタイプ | 伝説のクリーチャー — ホラー |
パワー/タフネス | 5/4 |
能力 | 飛行 |
累加アップキープ ― 1点のライフを支払う。(あなたのアップキープの開始時に、このパーマネントの上に経年カウンターを1個置く。その後あなたがこの上に置かれている経年カウンター1個につきアップキープ・コストを1回支払わないかぎり、それを生け贄に捧げる。) |
相手プレイヤーの防御クリーチャーを飛び越える『飛行』と使用しているプレイヤーのライフさえ奪ってしまう『累加アップキープ‐ライフ1点』を持つ。
古いカードであることを加味すれば充分な実力を持ち、ライフの減少も構わず敵を即殺する黒の特徴をよく現したカードと言える。
遊戯王OCGにおける モリンフェン(Morinphen)
高橋和樹原作の漫画『遊☆戯☆王』をモチーフにコナミ社が制作・販売しているゲーム、遊☆戯☆王ファイブディーズ オフィシャルカードゲーム(以下OCG)に登場するモンスターカードの一枚。
収録パックは『Vol.4』及び『暗黒魔竜復活-REVIVAL OF BLACK DEMONS DRAGON-』。希少度はノーマル。
フレイバーテキスト(カードの説明文)には、
『長い腕とかぎづめが特徴の奇妙な姿をした悪魔』と書かれており、
実際、イラストにはその通りの奇妙な姿をした悪魔が描かれている。
遊戯王の初期モンスターは明らかにMTGをモデルにしており、ほぼそのまんまな奴らが
結構居たりするのだが、その中でも名称・シルエット共にほぼ元ネタのままという割と危険な存在。
一応色がカラフルに変わっていたり細部が魚っぽくなっているが、名前からして
MTGオリジナルクリーチャーの固有名詞のままなので完全に言い逃れのしようがない…のだが、
北米版遊戯王カードを刷っていたのが一時期M;tgの発行元と同じだったりした事もあり、
黙認もしくは問題とはみなされなかったのか特にお咎めはなかったようである。
なお、北米版の綴は元ネタのMorinfenとは違い、Morinphenと変更されている。
カードとしての能力
★5 闇属性 悪魔族 攻撃力1550 守備力1300
通常上級モンスターである。
「OGCにおける最弱モンスター候補の一枚」と称されるほど弱く、デッキに入れる価値が薄い
ハズレカードの一枚。初期の遊戯王において、他にも残念なスペックのカードは
『レオ・ウィザード』、『シェイプ・スナッチ』等が存在するが、モリンフェンの場合は
後述するような理由からこの2枚すら下回ると言われる事もある。
一見攻撃力・守備力共に無難なバランスにまとまっているように見えるが、遊戯王OCGの
初期カードは一部例外を除き、単純に攻撃力と守備力の合計でレベルが設定されており、
「攻撃力守備力の合計が2800までがレベル4、2900からがレベル5」と線引されていた。
モリンフェンの場合、合計値は2850で境目なのだが、他の同値のカードが
軒並みレベル4に割り振られる一方で、このカードだけが何故かレベル5に設定されるという謎の扱いを受ける事となり、最弱のレベル5モンスターとなってしまった。
(例えば、「ケンタウロス」は攻撃力1300+守備力1550で合計値が同じなのにレベル4である)。
初期ブースターパック組の中には低スペックなレベル5モンスターは他にも存在していたが、
その中でも最弱。更にレア度の低いノーマルカードであるにもかかわらず、無駄に
レベルが5あるせいで上級モンスター枠として無駄に封入されていた事から迷惑なモンスターとして認知度が高まる。
その後、未整備だったOCGのルールが整備されるにしたがって、
『レベル4までのモンスターはリリース(生贄)不要、レベル5~6は1体、レベル7以上は2体』と
召喚周りのルールが整備された事で、モリンフェンは生贄が必要な癖に下級モンスターにも劣る能力のコスパ最悪のモンスターとなってしまう。
当時の環境でも生贄1体で出せるモンスターには攻撃力2500の『デーモンの召喚』や2400+効果の『人造人間-サイコ・ショッカー』等、
有用カードが存在していた事を考えるとあまりにも酷い格差である。
なお余談として、このデーモンの召喚のモデルもMTGの『奈落の王』で、
これ以外にも初期の高攻撃力モンスターはMTGのカードをモチーフにしている物が多かったのだが、
同じくMTGのカードをモデルにしているのにモリンフェンだけがこのような仕打ちを受けているという点もよりネタ性に拍車をかけていた。
OCGのルール改変に伴い、それ以降攻撃力と守備力の合計でレベルを付けるというルールは
撤廃され、レベル4の通常モンスターの攻撃力はデメリットなしで1900、ありなら2000、
レベル5の通常モンスターは2000~2500程度を基準として調整されるようになったため、
元々レベル4モンスターと大差無い能力しかなかった(攻撃力だけの勝負ならレベル3にすら負ける事もあったが)モリンフェンは完全にレベル4モンスター以下という立場に追いやられていった。
なお、攻撃力1550という数字は非常に厄介でもあり、各属性に存在している
リクルート効果持ちのモンスターで特殊召喚やサーチできる攻撃力の上限は大抵1500である。
つまりモリンフェンはギリギリ低攻撃力モンスターサポートの効果を受けられない場所に
位置しており、これがより攻撃力の低い『レオ・ウィザード』、『シェイプ・スナッチ』にすら劣ると言われる所以である。
このようなネタっぷりから、古くからデュエリストの間ではネタにされると同時に
愛されているカードでもあり、チューナーモンスター『カオスエンドマスター』の登場で
デッキから特殊召喚できるようになると、闇属性のモリンフェンと光属性の『カオスエンドマスター』自身で
『カオス・ソーサラー』をシンクロ召喚するというネタコンボが登場したりした。
他のモンスターを使ったほうが圧倒的に現実的なのだが、急にモリンフェンが出てくるという
インパクトからネタ重視の場合に使われる事もある。
カルト的人気
古くからその弱さとネタっぷりが認知されていた事もあり、遊戯王OCGにおける
ネタカード最強の一角とも言えるカルト的な人気がある。
掲示板の専用スレッドでオリジナルのサポートカードが考案されたり、モリンフェンの強さを讃える『モリンフェン様Wiki』というサイトが作られたりと、ごく一部の愛好家の間では
崇拝とすら言えるほどの人気を誇っている。この辺りはM:tgのクリーチャー『甲鱗のワーム』に通じる所がある。
また、このようなネタ人気は公式にも認知されており、
- レベル5モンスター紹介のコーナーで他のカードが原作やアニメに登場したものばかりなのに対し、なぜか紛れ込んでいる
- スリーブイラストのファン投票の選択肢に入っていた。しかもこの投票で3位を取った為に
本当に受注生産限定とは言えモリンフェンスリーブが販売される。
- この好成績(?)を受けてか、実に17年ぶりにパックに再録される
- ARC-Vで「クズカード」としてばらまかれたカードの中にその姿がある
など、度々イジられている。